(はじめに)
1−1章でも説明しましたが、「石鎚山地」は、石鎚山から東方へと、笹が峰(標高1860m)までは一本の山稜が続きますが、笹ヶ峰より東は、2本の山稜に分かれます。このうち北側の山稜は、「法皇(ほうおう)山脈」と呼ばれています。
法皇山脈はさらに細かく、東赤石山などを含む「赤石山系」と、その東側の、二ツ岳などを含む「二ツ岳山系」を区分することがあります。
地理的には愛媛県 新居浜市〜四国中央市の、平野部の南側にあたります。
この「赤石山系」と「二ツ岳山系」には、独特の特徴ある岩石が分布していますので、この章で説明します。
法皇山脈はさらに細かく、東赤石山などを含む「赤石山系」と、その東側の、二ツ岳などを含む「二ツ岳山系」を区分することがあります。
地理的には愛媛県 新居浜市〜四国中央市の、平野部の南側にあたります。
この「赤石山系」と「二ツ岳山系」には、独特の特徴ある岩石が分布していますので、この章で説明します。
1)東赤石山;カンラン岩からなる、岩稜と花の山
「赤石山系」の名のもとになったのは、東赤石山(1706m)の山頂部を中心に分布する「カンラン岩」です。岩の表面が酸化して赤さび色をしていることから、「赤っぽい石」―>「赤石」―>「赤石山」と名が付いたようです。なお(文献6)では、赤石山系のことを古くは「赤太郎尾」と呼んでいた、と説明されています。
なお、西赤石山の近くにも、「兜岩(かぶといわ)」と呼ばれる、カンラン岩でできた小規模なピークがあります。(文献4−a)では、「赤石山系」、「二ツ岳山系」の一帯に、大小のカンラン岩体が分布していると、示されています。
カンラン岩とは、上部マントルを形成している岩石であり、カンラン岩の主成分であるカンラン石の密度が大きいため(3.2〜3.8g/cm^3)(文献1)、日本列島では地上に出てきている場所は少なく(他には北海道のアポイ岳が有名)、この東赤石山のカンラン岩は、かなり珍しい岩石といえます。
(文献1)、(文献2)によると、カンラン岩は、カンラン石という鉱物を主とする岩石です。カンラン石の組成式は、「(Fe・Mg)2・SiO2」であり、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)の含有量が多く、岩石学的には「超苦鉄質岩」のグループに入ります。それ以外の鉱物としては、輝石類(直方輝石、単斜輝石)などが主な鉱物です。
カンラン岩は、地中で水(H2O)と化学反応して変化することが多く、そうすると蛇紋岩(じゃもんがん)という岩石に変化します。蛇紋岩は、カンラン石が化学変化した蛇紋石が主要鉱物です。なお蛇紋石の組成式は、((Fe・Mg)2・Si2O4・(OH)4)です(文献2)
蛇紋岩も岩石分類上は「超苦鉄質岩」のグループで、元のカンラン岩と同様に、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)の含有量が多い岩石です。
日本列島では、蛇紋岩は割とあちこちに分布しており、例えば、北アルプスの八方尾根や、尾瀬の至仏山、岩手の早池峰山、北海道の夕張岳などに分布しています。いずれも、高山植物の名所として知られています。
一方で、蛇紋岩化を免れてカンラン岩として地表に露出しているケースは、日本列島では比較的まれで、北海道のアポイ岳(幌満(ほろまん)カンラン岩体) 注1)と、この東赤石カンラン岩体の2つが主な岩体です。
地下深くにあり、普通は直接見ることができない、マントルを構成している岩石を直接見れるという点で、貴重な地質体と言えます。
この、東赤石山から、その峰続きの、八巻山(はちまきやま)付近に分布するカンラン岩体は「東赤石カンラン岩体」と呼ばれています(文献4−g)。
カンラン岩は、上記の通り、鉄、マグネシウムが多いもある為か、通常の植物にとっては生育が難しいらしく(その原因には諸説あり)、東赤石山とその峰続きの八巻山あたりは、五葉松という低木以外に植生が少なく、赤茶色をしたかんらん岩の大岩がごろごろと積み重なった、変わった景観をしています。
また、カンラン岩の岩陰には、鉄、マグネシウムが多い土壌に耐えられる高山植物類が生えていて、6〜8月には、オトメシャジンなどの固有種を含めた様々な花が咲きます(文献6)。そのために東赤石山は、「花の百名山」に選ばれています。
注1) アポイ岳とその周辺のカンラン岩体は、ユネスコが認定した「世界ジオパーク」になっています(文献3)。
一方、東赤石山のカンラン岩体は残念ながら世間的な知名度は低く、特別な保全は図られていません。
さて、高圧型変成岩である結晶片岩類が多い石鎚山地(三波川帯)の中の東赤石山に、異質とも言える、マントル由来のカンラン岩体が存在している理由は割と複雑です。
現在の三波川結晶片岩ゾーンの中に、固体状のマントルが貫入(固体貫入)した、テクトニックブロック(構造岩塊)、との仮説もあり(文献4−a)、(文献5−a)、いくつかの文献、成書では、固体貫入説で書かれていることもありますが、実際はもっと複雑な過程を経ているようです。
以下、比較的最近の文献で、かつこれまでの研究、文献も踏まえてこの地域の地質に関してまとめられている、(文献4)のうち、(文献4−a)、(文献4−b)、(文献4−e)、(文献4−f)の項をベースに、述べます。
この東赤石カンラン岩体は、元々、海洋プレート沈み込み帯のうち、陸側プレートの更に下にあり、多少流動性を持つマントル部分(通常「ウエッジマントル」)と呼ばれる)、にあったと推定されています。当初の深さは30〜40kmと推定されています。但し、後に受けた変成作用により、岩石の性質が変化しており、詳細は不明です。
その後、ウエッジマントルの対流活動により、沈み込み帯近傍へと移動して更に地下深くに沈み込み、地下 約100kmまで至った、と推定されています。
(文献4−a)には、変成作用の痕跡から求められる最高圧力で、29〜38kbar と記載されており、SI単位であるGPaに換算すると、2.9〜3.8 GPa になります。
この、最も深い場所(=最も高圧の場所)に、この岩体が至った時期は明確ではなく、(文献4−b)では、「117〜90Maのうちのいずれかの時期」(=白亜紀の中頃)としています。
この時期の少し後、この岩体が上昇に転じて(=圧力は低下)、圧力が約20〜25kbar(=約2.0〜3.0GPa)となった頃に、後に述べる、「高度変成岩類」の岩体と接合した、と推定されています(文献4−b)、(文献4−f)。この接合時期は(文献4−f)によると、110〜90Ma(白亜紀の中頃)と推定されています。
その後、上昇メカニズムは不明ですが、「高度変成岩類」岩体と一緒に、更に上昇して地表に上がって来た、と推定されています(文献4−f)。
なお、西赤石山の近くにも、「兜岩(かぶといわ)」と呼ばれる、カンラン岩でできた小規模なピークがあります。(文献4−a)では、「赤石山系」、「二ツ岳山系」の一帯に、大小のカンラン岩体が分布していると、示されています。
カンラン岩とは、上部マントルを形成している岩石であり、カンラン岩の主成分であるカンラン石の密度が大きいため(3.2〜3.8g/cm^3)(文献1)、日本列島では地上に出てきている場所は少なく(他には北海道のアポイ岳が有名)、この東赤石山のカンラン岩は、かなり珍しい岩石といえます。
(文献1)、(文献2)によると、カンラン岩は、カンラン石という鉱物を主とする岩石です。カンラン石の組成式は、「(Fe・Mg)2・SiO2」であり、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)の含有量が多く、岩石学的には「超苦鉄質岩」のグループに入ります。それ以外の鉱物としては、輝石類(直方輝石、単斜輝石)などが主な鉱物です。
カンラン岩は、地中で水(H2O)と化学反応して変化することが多く、そうすると蛇紋岩(じゃもんがん)という岩石に変化します。蛇紋岩は、カンラン石が化学変化した蛇紋石が主要鉱物です。なお蛇紋石の組成式は、((Fe・Mg)2・Si2O4・(OH)4)です(文献2)
蛇紋岩も岩石分類上は「超苦鉄質岩」のグループで、元のカンラン岩と同様に、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)の含有量が多い岩石です。
日本列島では、蛇紋岩は割とあちこちに分布しており、例えば、北アルプスの八方尾根や、尾瀬の至仏山、岩手の早池峰山、北海道の夕張岳などに分布しています。いずれも、高山植物の名所として知られています。
一方で、蛇紋岩化を免れてカンラン岩として地表に露出しているケースは、日本列島では比較的まれで、北海道のアポイ岳(幌満(ほろまん)カンラン岩体) 注1)と、この東赤石カンラン岩体の2つが主な岩体です。
地下深くにあり、普通は直接見ることができない、マントルを構成している岩石を直接見れるという点で、貴重な地質体と言えます。
この、東赤石山から、その峰続きの、八巻山(はちまきやま)付近に分布するカンラン岩体は「東赤石カンラン岩体」と呼ばれています(文献4−g)。
カンラン岩は、上記の通り、鉄、マグネシウムが多いもある為か、通常の植物にとっては生育が難しいらしく(その原因には諸説あり)、東赤石山とその峰続きの八巻山あたりは、五葉松という低木以外に植生が少なく、赤茶色をしたかんらん岩の大岩がごろごろと積み重なった、変わった景観をしています。
また、カンラン岩の岩陰には、鉄、マグネシウムが多い土壌に耐えられる高山植物類が生えていて、6〜8月には、オトメシャジンなどの固有種を含めた様々な花が咲きます(文献6)。そのために東赤石山は、「花の百名山」に選ばれています。
注1) アポイ岳とその周辺のカンラン岩体は、ユネスコが認定した「世界ジオパーク」になっています(文献3)。
一方、東赤石山のカンラン岩体は残念ながら世間的な知名度は低く、特別な保全は図られていません。
さて、高圧型変成岩である結晶片岩類が多い石鎚山地(三波川帯)の中の東赤石山に、異質とも言える、マントル由来のカンラン岩体が存在している理由は割と複雑です。
現在の三波川結晶片岩ゾーンの中に、固体状のマントルが貫入(固体貫入)した、テクトニックブロック(構造岩塊)、との仮説もあり(文献4−a)、(文献5−a)、いくつかの文献、成書では、固体貫入説で書かれていることもありますが、実際はもっと複雑な過程を経ているようです。
以下、比較的最近の文献で、かつこれまでの研究、文献も踏まえてこの地域の地質に関してまとめられている、(文献4)のうち、(文献4−a)、(文献4−b)、(文献4−e)、(文献4−f)の項をベースに、述べます。
この東赤石カンラン岩体は、元々、海洋プレート沈み込み帯のうち、陸側プレートの更に下にあり、多少流動性を持つマントル部分(通常「ウエッジマントル」)と呼ばれる)、にあったと推定されています。当初の深さは30〜40kmと推定されています。但し、後に受けた変成作用により、岩石の性質が変化しており、詳細は不明です。
その後、ウエッジマントルの対流活動により、沈み込み帯近傍へと移動して更に地下深くに沈み込み、地下 約100kmまで至った、と推定されています。
(文献4−a)には、変成作用の痕跡から求められる最高圧力で、29〜38kbar と記載されており、SI単位であるGPaに換算すると、2.9〜3.8 GPa になります。
この、最も深い場所(=最も高圧の場所)に、この岩体が至った時期は明確ではなく、(文献4−b)では、「117〜90Maのうちのいずれかの時期」(=白亜紀の中頃)としています。
この時期の少し後、この岩体が上昇に転じて(=圧力は低下)、圧力が約20〜25kbar(=約2.0〜3.0GPa)となった頃に、後に述べる、「高度変成岩類」の岩体と接合した、と推定されています(文献4−b)、(文献4−f)。この接合時期は(文献4−f)によると、110〜90Ma(白亜紀の中頃)と推定されています。
その後、上昇メカニズムは不明ですが、「高度変成岩類」岩体と一緒に、更に上昇して地表に上がって来た、と推定されています(文献4−f)。
2)「二ツ岳山系」;「高度変成岩類」が分布する険しい山々
「石鎚山地」のうち、「赤石山系」、「二ツ岳山系」には、上記の、「東赤石カンラン岩体」の周辺に、石鎚山地に多い変成岩である、結晶片岩類とは異なる変成岩類が分布しています(文献4−g)。
これらの変成岩類は、文献、成書によって名称がバラバラなので(補足説明1)、ここでは、説明の都合の為だけに、「高度変成岩類」と称することにします。あくまで説明の為のものでオーソライズされたものではありません。
※ なお本節は、筆者の地元の山々ということもあって、個人的な興味によりまとめたもので、かなり細かすぎる内容となってしまいました。悪しからずご了承ください。
この「高度変成岩類」の分布域は、大きく2つに分かれており、東赤石カンラン岩体の北側(東赤石山北側中腹)から、東側(二ツ岳山系全域)にわたっての分布域は、通常「五良津(いらず)岩体」と呼ばれます。この岩体を更に2つに区分し、「五良津東部岩体」と「五良津西部岩体」に分けて考える場合もあります(文献4−c)、(文献4−g)。
本章でも必要に応じ、「五良津東部岩体」、「五良津西部岩体」という用語を使用します。
もう一つは、西赤石山の周辺に東西に細長く分布している分布域で、「東平(とうなる)岩体」と呼ばれます(文献4−c)、(文献4−g)。
いずれも、前節で説明した「東赤石カンラン岩体」に隣接あるいは接合しており、密接な関係にある、と推定されています。また「五良津岩体」と「東平岩体」は、元々は一体のもので、浸食によって、地表の分布域はとしては、現世では見かけ状、2つの分布域に分かれているもの、(あるいは、現世でも地下深部では繋がっている)と推定されています。(文献4−c)。
この「高度変成岩類」分布域の岩石の岩石化学的性質は、カンラン岩のように超苦鉄質(鉄、マグネシウムが非常に多い)ではなく、苦鉄質(玄武岩相当)に分類され、植物の生育には大きな影響はないようです。険しい岩稜が続く二ツ岳山系も、稜線部まで結構、植物が多く、藪っぽくなっています。また「東平岩体」が分布する西赤石山の山稜部、山腹部も、アケボノツツジが咲く樹林帯となっており、その岩体周辺の結晶片岩類分布域と、植生の違いはありません(文献6)。
この「高度変成岩類」は、見た目は、カンラン岩のような特徴的な赤茶色でもなく、また結晶片岩類(特に苦鉄質片岩)のように、特徴的な緑色でもなく、かつ層状の構造(片理構造)もなく、単にグレーな色合いの地味な岩石類です。
しかし、この「高度変成岩類」は非常に堅い岩石で、特に全域がこの「高度変成岩類」地帯にある「二ツ岳山系」は、険しい岩稜が続き、かつ、一般的な登山道が無いために部分的には藪となっており、ルートファインディング力も必要な、難しい山域となっています。
東端の二ツ岳(1647m)と西端の権現山(1594m)のみ、麓からの登山道がありますが、それでもかなりの険しさがあります。
さて、この「高度変成岩類」が形成された経緯については諸説ありますが、これまでの研究結果も踏まえて良くまとめられている、(文献4)のうち、(文献4−c)、(文献4−e)、(文献4−f)を元にして説明します。
なお、地質体名として(文献4―c)に基づき、「別子エクロジャイト相ユニット」という名称も使用します。この用語は、ここでは、「五良津岩体」と「東平岩体」を含めた用語として使用し、前節で説明した「東赤石カンラン岩体」は除きます。
また変成岩、変成作用全般、及び変成岩に関する用語は、(文献7)、(文献8)も参照しました。
この「高度変成岩類」は岩石化学的には苦鉄質であり、原岩は、玄武岩質の火成岩(玄武岩やハンレイ岩)と推定されています。
それらが、海洋プレート沈み込み帯から地下深部に沈み込み、地下深くで変成作用を受けた、と推定されています。
(文献4−c)では、これら「高度変成岩類」の原岩が玄武岩かハンレイ岩なのかの区別はかなり難しい、としたうえで、岩相(岩の見た目)などから、「東平岩体」と「五良津東部岩体」は、ハンレイ岩が原岩と推定され、「五良津西部岩体」は、玄武岩が原岩と推定される、としています。
産総研「シームレス地質図v2」でも、この(文献4)の研究結果を踏まえて、だと思われますが、「東平岩体」と「五良津東部岩体」に相当する領域の岩石種としては、「変成ハンレイ岩」と表記されています。
また「五良津西部岩体」に相当する領域は、原岩種由来の名称ではなく、「苦鉄質片麻岩・角閃岩」と表記されています。
このうち、原岩が玄武岩と推定される「五良津西部岩体」は、砂泥質の変成岩(片麻岩)や、石灰岩質の変成岩(大理石)が同伴していることなどから、海洋プレート上部を構成していた玄武岩(海山の可能性がある)、と推定されています(文献4−c)。
一方、原岩がハンレイ岩と推定される岩体は、海洋プレート中層(=海洋地殻下部)由来のハンレイ岩なのか、陸側プレートの下部地殻由来のハンレイ岩なのかは、明確になっていません(文献4−c)。
次に、変成作用についてですが、三波川帯に多い高圧型変成岩である、結晶片岩類は、産総研「シームレス地質図v2」では、「鉱物分帯」による変成度区分が記載されており、「緑泥石帯」から「ザクロ石帯」(「変成相」による分類法では、「緑色片岩相」にほぼ相当)とされています。
一方でこの「高度変成岩類」は、広義の「エクロジャイト」(文献1)である、「オンファス輝石+ザクロ石」という鉱物組み合わせを持っていることから、「変成相」としては「エクロジャイト相」に達したと推定されています。
更に詳しくは、「五良津岩体」の一部とも言え、「五良津西部岩体」に接している「権現岩体」の、「エクロジャイト様・砂泥質片麻岩」中に、「藍晶石(らんせんせき)」という特殊な鉱物が認められることから、「エクロジャイト相」を細分化した「変成」のうち、「藍晶石エクロジャイト亜相」という変成条件下に至ったものと推定されています(文献4−c)、(文献4−e)。
(文献4−f)の図b)を見ると、「五良津岩体」、「東平岩体」が、「エクロジャイト相」の変成作用を受けた条件として、温度は、約500〜700℃、圧力で約15〜25kbar と読み取れます。このうち圧力は、SI単位に換算すると、1.5〜2.5GPaなります。
1GPa=深さ30kmと近似して大まかに換算すると、深さでだいたい、45〜75kmに相当することになります(地下の岩石密度を、3g/cm^3 と仮定しての大まかな換算)。
この「別子エクロジャイト相ユニット」が「エクロジャイト相」条件化で変成作用を受けた時期は、(文献4−f)によると、約110〜90Ma(白亜紀の中ごろ)と推定されています。またこの頃に、より地下深部(=より高圧条件下)にあった「東赤石カンラン岩体」が上昇してきて、両者が接合したと推定されています。
その後、この「別子エクロジャイト相ユニット」は、「東赤石カンラン岩体」と共に上昇に転じ、90Ma(後期白亜紀)頃には、圧力で約5〜12kbar(=0.5〜1.2GPa = 約15〜35km深さ)の圧力条件/深度まで上昇し、「別子エクロジャイト相ユニット」周辺の、現在の結晶片岩類分布域(文献4では「白滝ユニット」と呼んでいる)と接合したと推定されています(文献4−fの、図c、から読み取った)。
その後、「別子エクロジャイト相ユニット」(「東赤石カンラン岩体」を含む)と「白滝ユニット」は合体した状態で更に上昇していった、と推定されています。(文献4−c)、(文献4−f)。
なお、「三波川帯」の高圧型変成岩全体に言えることですが、これらの高圧変成岩類が地下深部から上昇してくるメカニズムは、未だ明確ではありません。
まとめると、「三波川帯」という高圧型変成岩が分布する「地帯」の中でも、この章で述べた「カンラン岩体」や「高度変成岩類」は、かなり波乱万丈な経験をしている、地質学的には、非常に興味深い地域だといえます。
※ この節では、解りにくい専門用語がいくつか出てきます。
本文中でそれらの用語を説明すると、文章が煩雑となり読みづらいと思い、
別途、「補足説明」の項を設けて、説明しました。
以下の「補足説明1」〜「補足説明5」もご参照ください。
※ “Ma” は、百万年前を意味する単位
※ “Pa” (パスカル)、” bar” (バール)は、いずれも圧力の単位。
科学分野一般では、SI単位である “Pa“ の使用が推奨されているが、
地質学の文献、成書では、 ” bar” や “kbar” が使用されていることも多い。
1k bar = (約1000気圧)=約100MPa =約0.1GPa
これらの変成岩類は、文献、成書によって名称がバラバラなので(補足説明1)、ここでは、説明の都合の為だけに、「高度変成岩類」と称することにします。あくまで説明の為のものでオーソライズされたものではありません。
※ なお本節は、筆者の地元の山々ということもあって、個人的な興味によりまとめたもので、かなり細かすぎる内容となってしまいました。悪しからずご了承ください。
この「高度変成岩類」の分布域は、大きく2つに分かれており、東赤石カンラン岩体の北側(東赤石山北側中腹)から、東側(二ツ岳山系全域)にわたっての分布域は、通常「五良津(いらず)岩体」と呼ばれます。この岩体を更に2つに区分し、「五良津東部岩体」と「五良津西部岩体」に分けて考える場合もあります(文献4−c)、(文献4−g)。
本章でも必要に応じ、「五良津東部岩体」、「五良津西部岩体」という用語を使用します。
もう一つは、西赤石山の周辺に東西に細長く分布している分布域で、「東平(とうなる)岩体」と呼ばれます(文献4−c)、(文献4−g)。
いずれも、前節で説明した「東赤石カンラン岩体」に隣接あるいは接合しており、密接な関係にある、と推定されています。また「五良津岩体」と「東平岩体」は、元々は一体のもので、浸食によって、地表の分布域はとしては、現世では見かけ状、2つの分布域に分かれているもの、(あるいは、現世でも地下深部では繋がっている)と推定されています。(文献4−c)。
この「高度変成岩類」分布域の岩石の岩石化学的性質は、カンラン岩のように超苦鉄質(鉄、マグネシウムが非常に多い)ではなく、苦鉄質(玄武岩相当)に分類され、植物の生育には大きな影響はないようです。険しい岩稜が続く二ツ岳山系も、稜線部まで結構、植物が多く、藪っぽくなっています。また「東平岩体」が分布する西赤石山の山稜部、山腹部も、アケボノツツジが咲く樹林帯となっており、その岩体周辺の結晶片岩類分布域と、植生の違いはありません(文献6)。
この「高度変成岩類」は、見た目は、カンラン岩のような特徴的な赤茶色でもなく、また結晶片岩類(特に苦鉄質片岩)のように、特徴的な緑色でもなく、かつ層状の構造(片理構造)もなく、単にグレーな色合いの地味な岩石類です。
しかし、この「高度変成岩類」は非常に堅い岩石で、特に全域がこの「高度変成岩類」地帯にある「二ツ岳山系」は、険しい岩稜が続き、かつ、一般的な登山道が無いために部分的には藪となっており、ルートファインディング力も必要な、難しい山域となっています。
東端の二ツ岳(1647m)と西端の権現山(1594m)のみ、麓からの登山道がありますが、それでもかなりの険しさがあります。
さて、この「高度変成岩類」が形成された経緯については諸説ありますが、これまでの研究結果も踏まえて良くまとめられている、(文献4)のうち、(文献4−c)、(文献4−e)、(文献4−f)を元にして説明します。
なお、地質体名として(文献4―c)に基づき、「別子エクロジャイト相ユニット」という名称も使用します。この用語は、ここでは、「五良津岩体」と「東平岩体」を含めた用語として使用し、前節で説明した「東赤石カンラン岩体」は除きます。
また変成岩、変成作用全般、及び変成岩に関する用語は、(文献7)、(文献8)も参照しました。
この「高度変成岩類」は岩石化学的には苦鉄質であり、原岩は、玄武岩質の火成岩(玄武岩やハンレイ岩)と推定されています。
それらが、海洋プレート沈み込み帯から地下深部に沈み込み、地下深くで変成作用を受けた、と推定されています。
(文献4−c)では、これら「高度変成岩類」の原岩が玄武岩かハンレイ岩なのかの区別はかなり難しい、としたうえで、岩相(岩の見た目)などから、「東平岩体」と「五良津東部岩体」は、ハンレイ岩が原岩と推定され、「五良津西部岩体」は、玄武岩が原岩と推定される、としています。
産総研「シームレス地質図v2」でも、この(文献4)の研究結果を踏まえて、だと思われますが、「東平岩体」と「五良津東部岩体」に相当する領域の岩石種としては、「変成ハンレイ岩」と表記されています。
また「五良津西部岩体」に相当する領域は、原岩種由来の名称ではなく、「苦鉄質片麻岩・角閃岩」と表記されています。
このうち、原岩が玄武岩と推定される「五良津西部岩体」は、砂泥質の変成岩(片麻岩)や、石灰岩質の変成岩(大理石)が同伴していることなどから、海洋プレート上部を構成していた玄武岩(海山の可能性がある)、と推定されています(文献4−c)。
一方、原岩がハンレイ岩と推定される岩体は、海洋プレート中層(=海洋地殻下部)由来のハンレイ岩なのか、陸側プレートの下部地殻由来のハンレイ岩なのかは、明確になっていません(文献4−c)。
次に、変成作用についてですが、三波川帯に多い高圧型変成岩である、結晶片岩類は、産総研「シームレス地質図v2」では、「鉱物分帯」による変成度区分が記載されており、「緑泥石帯」から「ザクロ石帯」(「変成相」による分類法では、「緑色片岩相」にほぼ相当)とされています。
一方でこの「高度変成岩類」は、広義の「エクロジャイト」(文献1)である、「オンファス輝石+ザクロ石」という鉱物組み合わせを持っていることから、「変成相」としては「エクロジャイト相」に達したと推定されています。
更に詳しくは、「五良津岩体」の一部とも言え、「五良津西部岩体」に接している「権現岩体」の、「エクロジャイト様・砂泥質片麻岩」中に、「藍晶石(らんせんせき)」という特殊な鉱物が認められることから、「エクロジャイト相」を細分化した「変成」のうち、「藍晶石エクロジャイト亜相」という変成条件下に至ったものと推定されています(文献4−c)、(文献4−e)。
(文献4−f)の図b)を見ると、「五良津岩体」、「東平岩体」が、「エクロジャイト相」の変成作用を受けた条件として、温度は、約500〜700℃、圧力で約15〜25kbar と読み取れます。このうち圧力は、SI単位に換算すると、1.5〜2.5GPaなります。
1GPa=深さ30kmと近似して大まかに換算すると、深さでだいたい、45〜75kmに相当することになります(地下の岩石密度を、3g/cm^3 と仮定しての大まかな換算)。
この「別子エクロジャイト相ユニット」が「エクロジャイト相」条件化で変成作用を受けた時期は、(文献4−f)によると、約110〜90Ma(白亜紀の中ごろ)と推定されています。またこの頃に、より地下深部(=より高圧条件下)にあった「東赤石カンラン岩体」が上昇してきて、両者が接合したと推定されています。
その後、この「別子エクロジャイト相ユニット」は、「東赤石カンラン岩体」と共に上昇に転じ、90Ma(後期白亜紀)頃には、圧力で約5〜12kbar(=0.5〜1.2GPa = 約15〜35km深さ)の圧力条件/深度まで上昇し、「別子エクロジャイト相ユニット」周辺の、現在の結晶片岩類分布域(文献4では「白滝ユニット」と呼んでいる)と接合したと推定されています(文献4−fの、図c、から読み取った)。
その後、「別子エクロジャイト相ユニット」(「東赤石カンラン岩体」を含む)と「白滝ユニット」は合体した状態で更に上昇していった、と推定されています。(文献4−c)、(文献4−f)。
なお、「三波川帯」の高圧型変成岩全体に言えることですが、これらの高圧変成岩類が地下深部から上昇してくるメカニズムは、未だ明確ではありません。
まとめると、「三波川帯」という高圧型変成岩が分布する「地帯」の中でも、この章で述べた「カンラン岩体」や「高度変成岩類」は、かなり波乱万丈な経験をしている、地質学的には、非常に興味深い地域だといえます。
※ この節では、解りにくい専門用語がいくつか出てきます。
本文中でそれらの用語を説明すると、文章が煩雑となり読みづらいと思い、
別途、「補足説明」の項を設けて、説明しました。
以下の「補足説明1」〜「補足説明5」もご参照ください。
※ “Ma” は、百万年前を意味する単位
※ “Pa” (パスカル)、” bar” (バール)は、いずれも圧力の単位。
科学分野一般では、SI単位である “Pa“ の使用が推奨されているが、
地質学の文献、成書では、 ” bar” や “kbar” が使用されていることも多い。
1k bar = (約1000気圧)=約100MPa =約0.1GPa
【補足説明1】 「高度変成岩類」の岩石名称について
本文でも触れましたが、「石鎚山地」のうち、「赤石山系」、「二ツ岳山系」に分布する、結晶片岩類とは異なる変成岩(この章で「高度変成岩類」とした岩石類)の名称は、文献によって様々に書かれています。
ここでは、それらを例示します。
・(文献6)では、「角閃岩」と記載されています。
・産総研「シームレス地質図v2」では、岩体を4つに区分したうえで、
「変成ハンレイ岩(エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石)」、
「苦鉄質片麻岩・角閃岩(エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石)」、
「石灰質片岩(エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石)」
という、3つの岩石名が記載されています。
・(文献4)では、全体の地質体を「別子エクロジャイト相ユニット」と呼び、
個々の岩石名は、「ザクロ石含有 変ハンレイ岩」、「ザクロ石含有 苦鉄質片麻岩」
など、7種に分類しています。
・(文献5−a)では、岩石名は明記されておらず、
全体を「エクロジャイト相の変成作用を受けた変成岩」とし、
岩体名として「エクロジャイト岩体」と記載されています。
ここでは、それらを例示します。
・(文献6)では、「角閃岩」と記載されています。
・産総研「シームレス地質図v2」では、岩体を4つに区分したうえで、
「変成ハンレイ岩(エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石)」、
「苦鉄質片麻岩・角閃岩(エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石)」、
「石灰質片岩(エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石)」
という、3つの岩石名が記載されています。
・(文献4)では、全体の地質体を「別子エクロジャイト相ユニット」と呼び、
個々の岩石名は、「ザクロ石含有 変ハンレイ岩」、「ザクロ石含有 苦鉄質片麻岩」
など、7種に分類しています。
・(文献5−a)では、岩石名は明記されておらず、
全体を「エクロジャイト相の変成作用を受けた変成岩」とし、
岩体名として「エクロジャイト岩体」と記載されています。
補足説明2) 変成岩の分類方法について
変成岩のうち、広域変成岩は、地下深部で高い圧力、高い温度によって変成作用を受けて形成された岩石であり、受けた圧力、温度条件によっていくつかのグループに区分されます。
岩石学の教科書である(文献7)、(文献8)や、(文献11)によると、
区分方法には2種類あるようです。
a) 一つの分類方法としては、「鉱物分帯」、あるいは「変成分帯」と呼ばれる
分類法で、「緑泥石帯」、「ザクロ石帯」といった用語が使用されます。
産総研「シームレス地質図v2」は、この「鉱物分帯」による分類法が使われています。
b) もう一つの分類方法は、「変成相(Metamorphoric faceis)」による分類法で、
「緑色片岩相」、「角閃岩相」、「エクロジャイト相」などの用語が使用されます。
また、「変成相」による分類法では、温度(T)、圧力(P)をx、y軸に取った
2次元でのグラフ表示で示されることが多いです。
上記2つの分類方法は、(文献11)によると、独立して研究、提案された方法で、相互の関係は、調べた限り、それほど明確ではありません。
このあたり、かなりややこしいので、次の章(「石鎚山地・結晶片岩類でできている山々)の項にて、もう少し詳しく説明しようと思います。
岩石学の教科書である(文献7)、(文献8)や、(文献11)によると、
区分方法には2種類あるようです。
a) 一つの分類方法としては、「鉱物分帯」、あるいは「変成分帯」と呼ばれる
分類法で、「緑泥石帯」、「ザクロ石帯」といった用語が使用されます。
産総研「シームレス地質図v2」は、この「鉱物分帯」による分類法が使われています。
b) もう一つの分類方法は、「変成相(Metamorphoric faceis)」による分類法で、
「緑色片岩相」、「角閃岩相」、「エクロジャイト相」などの用語が使用されます。
また、「変成相」による分類法では、温度(T)、圧力(P)をx、y軸に取った
2次元でのグラフ表示で示されることが多いです。
上記2つの分類方法は、(文献11)によると、独立して研究、提案された方法で、相互の関係は、調べた限り、それほど明確ではありません。
このあたり、かなりややこしいので、次の章(「石鎚山地・結晶片岩類でできている山々)の項にて、もう少し詳しく説明しようと思います。
補足説明3) 「エクロジャイト」と「エクロジャイト相」との違いについて
この章では「エクロジャイト」と「エクロジャイト相」という用語が出てきます。この2つは、似ていますが、意味あいは違いますので、ここで補足説明します。
1)「エクロジャイト」とは
「エクロジャイト(Eclogite)」という用語は、岩石の名称です。
「ザクロ石」と「オンファス輝石」という鉱物を主成分とする、高圧変成岩の一種です(文献1)、(文献9)。
新鮮面の見た目は、緑色をしたオンファス輝石の中に、赤茶色のザクロ石が点在するような感じの岩石です。
原岩は通常、苦鉄質岩(玄武岩、ハンレイ岩)です。
日本では、この章で述べた、「赤石山系」、「二ツ岳山系」にしか分布していない岩石、とされています(文献1)、(文献9)。
なお、(文献4−c)によると、最近(2007年以降)では、岩石としての「エクロジャイト」の定義として、「「ザクロ石+オンファス輝石」の含有量が75重量%以上の岩石」
となった、とのことです。
その為、文献4)では、「ザクロ石+オンファス輝石」を含む岩石を、「エクロジャイト」ではなく、「エクロジャイト様岩石」と呼んでいます。
2)「エクロジャイト相」とは
「エクロジャイト相」という用語は、変成岩の分類方法のうち、「変成相」による分類法上で分類される「相」(Facies)の一つです。
「「ザクロ石+オンファス輝石+SiO2系鉱物」の組み合わせが安定な、温度―圧力領域」、として定義されています(文献7)。
圧力的には約1〜1.2GPa以上(大まかな深さでいうと、40km以下)が必要な条件です。
また、「エクロジャイト相」はかなり広い圧力(P)温度(T)領域を占めるため、これを分け、いくつかの「亜相」に細分化されています。
文献4−e)では、「角閃石エクロジャイト亜相」、「藍晶石(らんせんせき)エクロジャイト亜相」、「緑れん石エクロジャイト亜相」、「ローソン石エクロジャイト亜相」の、4つの「亜相」が表記されています。
なお「エクロジャイト相」という変成条件に達した岩石は、変成前の原岩の種類によってどういう岩石になるかが左右され、必ずしも全てが「エクロジャイト」という岩石になるわけではありません。
原岩の種類と、「エクロジャイト相」変成岩の鉱物組み合わせ、の関係は、(文献9)に詳しくまとめられています。
また、変成岩は地下深部で変成作用を受けて岩石の種類(鉱物組み合わせ)が変化しても、地表へと上昇する過程で、圧力、温度条件が変化するために、再度 岩石の種類(鉱物組み合わせ)が変化することがあり、それを「後退変成作用」と呼びます(文献7)、(文献8)。
この「後退変成作用」というものがあるため、変成岩の変成条件の特定はなかなか難しい問題であり、同じ岩石でも文献によってその解釈が異なることが多いようです。
産総研「シームレス地質図v2」にて、「エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石」という、ちょっと解りにくい注釈が記載されているのは、(文献4)の研究結果を踏まえて、「その岩体は、過去にはエクロジャイト相に相当する圧力/温度条件下まで達して変成作用を受けたが、現世では、「後退変成作用」によって、その証拠は痕跡となっているものを含む」、という意味を持たせていると思われます(この段落は、私見を含みます)。
1)「エクロジャイト」とは
「エクロジャイト(Eclogite)」という用語は、岩石の名称です。
「ザクロ石」と「オンファス輝石」という鉱物を主成分とする、高圧変成岩の一種です(文献1)、(文献9)。
新鮮面の見た目は、緑色をしたオンファス輝石の中に、赤茶色のザクロ石が点在するような感じの岩石です。
原岩は通常、苦鉄質岩(玄武岩、ハンレイ岩)です。
日本では、この章で述べた、「赤石山系」、「二ツ岳山系」にしか分布していない岩石、とされています(文献1)、(文献9)。
なお、(文献4−c)によると、最近(2007年以降)では、岩石としての「エクロジャイト」の定義として、「「ザクロ石+オンファス輝石」の含有量が75重量%以上の岩石」
となった、とのことです。
その為、文献4)では、「ザクロ石+オンファス輝石」を含む岩石を、「エクロジャイト」ではなく、「エクロジャイト様岩石」と呼んでいます。
2)「エクロジャイト相」とは
「エクロジャイト相」という用語は、変成岩の分類方法のうち、「変成相」による分類法上で分類される「相」(Facies)の一つです。
「「ザクロ石+オンファス輝石+SiO2系鉱物」の組み合わせが安定な、温度―圧力領域」、として定義されています(文献7)。
圧力的には約1〜1.2GPa以上(大まかな深さでいうと、40km以下)が必要な条件です。
また、「エクロジャイト相」はかなり広い圧力(P)温度(T)領域を占めるため、これを分け、いくつかの「亜相」に細分化されています。
文献4−e)では、「角閃石エクロジャイト亜相」、「藍晶石(らんせんせき)エクロジャイト亜相」、「緑れん石エクロジャイト亜相」、「ローソン石エクロジャイト亜相」の、4つの「亜相」が表記されています。
なお「エクロジャイト相」という変成条件に達した岩石は、変成前の原岩の種類によってどういう岩石になるかが左右され、必ずしも全てが「エクロジャイト」という岩石になるわけではありません。
原岩の種類と、「エクロジャイト相」変成岩の鉱物組み合わせ、の関係は、(文献9)に詳しくまとめられています。
また、変成岩は地下深部で変成作用を受けて岩石の種類(鉱物組み合わせ)が変化しても、地表へと上昇する過程で、圧力、温度条件が変化するために、再度 岩石の種類(鉱物組み合わせ)が変化することがあり、それを「後退変成作用」と呼びます(文献7)、(文献8)。
この「後退変成作用」というものがあるため、変成岩の変成条件の特定はなかなか難しい問題であり、同じ岩石でも文献によってその解釈が異なることが多いようです。
産総研「シームレス地質図v2」にて、「エクロジャイト相の変成作用を経験した岩石」という、ちょっと解りにくい注釈が記載されているのは、(文献4)の研究結果を踏まえて、「その岩体は、過去にはエクロジャイト相に相当する圧力/温度条件下まで達して変成作用を受けたが、現世では、「後退変成作用」によって、その証拠は痕跡となっているものを含む」、という意味を持たせていると思われます(この段落は、私見を含みます)。
補足説明4)「ザクロ石」とは
「ザクロ石」とは、(文献12)、(文献14−a)によると、
通常、赤茶けた色合いをした鉱物で、
以下のような複雑な化学組成を持つ鉱物グループの総称です。
英語では、"Garnet" (ガーネット)
日本語表記では、「ザクロ石」、「ざくろ石」、「柘榴石」など、
複数の表記法が使われています。
(文献12)によると、「ザクロ石」グループには狭義と広義の2つの定義があり、
狭義の定義での一般的な組成式は、
「X3・Y2・(SiO4)3」です。
ここで
” X ” には、Ca、Mg、Fe(2+)、Mg(2+)などが入る
” Y ” には、Fe(3+)、Al、Cr(3+)、Ti などが入る
「ザクロ石」グループに属する鉱物のうち、主なものは、以下が挙げられます。
・鉄礬柘榴石(アルマンディン/Almandine)
「Fe(2+)3・Al2・(SiO4)3 」
・苦礬柘榴石(パイロープ/Pyrope)
「Mg3・Al2・(SiO4)3 」
・灰鉄柘榴石(アンドラダイト/Andradite)
「Ca3・Fe(3+)2・(SiO4)3」
なお、実際に岩石中に含まれる鉱物としての「ザクロ石」は、
上記の各種 端組成を持つものの固溶体であることが多い、とのことです。
通常、赤茶けた色合いをした鉱物で、
以下のような複雑な化学組成を持つ鉱物グループの総称です。
英語では、"Garnet" (ガーネット)
日本語表記では、「ザクロ石」、「ざくろ石」、「柘榴石」など、
複数の表記法が使われています。
(文献12)によると、「ザクロ石」グループには狭義と広義の2つの定義があり、
狭義の定義での一般的な組成式は、
「X3・Y2・(SiO4)3」です。
ここで
” X ” には、Ca、Mg、Fe(2+)、Mg(2+)などが入る
” Y ” には、Fe(3+)、Al、Cr(3+)、Ti などが入る
「ザクロ石」グループに属する鉱物のうち、主なものは、以下が挙げられます。
・鉄礬柘榴石(アルマンディン/Almandine)
「Fe(2+)3・Al2・(SiO4)3 」
・苦礬柘榴石(パイロープ/Pyrope)
「Mg3・Al2・(SiO4)3 」
・灰鉄柘榴石(アンドラダイト/Andradite)
「Ca3・Fe(3+)2・(SiO4)3」
なお、実際に岩石中に含まれる鉱物としての「ザクロ石」は、
上記の各種 端組成を持つものの固溶体であることが多い、とのことです。
補足説明5) 「オンファス輝石」とは
「オンファス輝石」とは、(文献13)、(文献14ーb)によると、
鉱物の、輝石グループのうち、単斜輝石類の一種です。
色は緑色〜暗い緑色。
一般組成式は、「 (Ca,Na) (Mg, Fe2+ , Al , Fe3+) Si2・O6」です。
なお、一般に「翡翠(ひすい)」と呼ばれる鉱物は、「ヒスイ輝石」からなり、
ヒスイ輝石の組成式は、「Na・Al・Si2・O6」です。
(文献13)によると、ヒスイ輝石も、オンファス輝石と同様に、高圧条件下で安定な鉱物です。
「翡翠(ひすい)」と呼ばれる鉱物に、オンファス輝石が混じっていることもある、とされています。
鉱物の、輝石グループのうち、単斜輝石類の一種です。
色は緑色〜暗い緑色。
一般組成式は、「 (Ca,Na) (Mg, Fe2+ , Al , Fe3+) Si2・O6」です。
なお、一般に「翡翠(ひすい)」と呼ばれる鉱物は、「ヒスイ輝石」からなり、
ヒスイ輝石の組成式は、「Na・Al・Si2・O6」です。
(文献13)によると、ヒスイ輝石も、オンファス輝石と同様に、高圧条件下で安定な鉱物です。
「翡翠(ひすい)」と呼ばれる鉱物に、オンファス輝石が混じっていることもある、とされています。
このリンク先の、1−1章の文末には、第1部「四国地方」の各章へのリンク、及び、「序章―1」へのリンク(序章―1には、本連載の各部へのリンクあり)を付けています。
第1部の他の章や、他の部をご覧になりたい方は、どうぞご利用ください。
第1部の他の章や、他の部をご覧になりたい方は、どうぞご利用ください。
(参考文献)
文献1) 西本 著
「観察を楽しむ 特徴がわかる 岩石図鑑」
ナツメ社 刊 (2020)
文献2) チームG 編
「薄片でよくわかる 岩石図鑑」
誠文堂新光社 刊 (2014)
文献3) インターネットサイト
「アポイ岳 ジオパーク」サイト
https://www.apoi-geopark.jp/
文献4) 青矢、野田、水野、水上、宮地、
松浦、遠藤、利光、青木 共著
「地域地質研究報告
5万分の1 地質図幅 高知(13) 第40号
NI-53-27-12,28-9
「新居浜地域の地質」」
産総研 地質調査総合センター 刊 (2013)
https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_13040_2013_D.pdf
文献4−a) 文献4)のうち、
3−6章「超苦鉄質岩類」の項
文献4−b) 文献4)のうち、
3−7章 「変成作用」の項
文献4−c) 文献4のうち、
3−5章 「別子エクロジャイト相ユニット」の項
文献4−d) 文献4)のうち
3−1章 「(三波川帯変成コンプレックスの)研究史」の項
文献4−e) 文献4)のうち
図2.3 「三波川帯と領家帯における変成温度・圧力条件」
文献4−f) 文献4)のうち、
図3.57 「三波川変成岩の変成史総括図」
文献4−g) 文献4)のうち、
図3.1 「三波川変成コンプレックスに分布する岩体等の名称」
文献5) 日本地質学会 編
「日本地方地質地方誌 第7巻 四国地方」
朝倉書店 刊 (2016)
文献5−a) 文献5)のうち、
第3部「三波川帯」の、
3−3−2節「エクロジャイト問題」の項、
3−3−3節「エクロジャイトにおける温度―圧力―変形経路」の項、
3−3−4節「三波川変成岩の温度・圧力経度」の項、及び
図3.3.3「三波川変成岩類の温度・圧力経路」
文献6) 伊藤 著
「赤石山系の自然」
(発行社(者)名は不明) (1971)
文献7) 榎並
「現代地球科学入門シリーズ 第16巻 岩石学」
共立出版 刊 (2013)のうち、
第8章 「変成作用と変成岩」の項、
第10章 「変成相と変成相系列」の項、 および
第12章 「温度−圧力経路」の項
文献8) 都城、久城 共著
「岩石学 2 ;岩石の性質と分類」
共立出版 刊 (1975) のうち、
第20章 「変成作用と変成岩の組成」の項、および
第21章 「変成岩の岩型と分類と命名」の項
文献9) インターネットサイト
ウイキペディア(日本語版)の、「エクロジャイト」の項
2022年12月 閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%88
文献10) インターネットサイト
「TrekGEO」のうち、
「鉱物を歩こう」>「産状と生成過程」>「エクロジャイト相」の項
2022年12月 閲覧
https://trekgeo.net/m/m/metaEC/metaEC.htm
文献11) 橋本
「変成分帯と比較変成論」
岩石鉱物鉱床学会誌 p153-160 (1973)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ganko1941/68/5/68_5_153/_pdf/-char/ja
文献12)
インターネットサイト
ウイキペディア(日本語版)の、「柘榴石」の項
2022年12月 閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%98%E6%A6%B4%E7%9F%B3
文献13)
インターネットサイト
ウイキペディア(日本語版)の、「オンファス輝石」の項
2022年12月 閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B9%E8%BC%9D%E7%9F%B3
文献14)
地質団体研究会 編
「新版 地学事典」
平凡社 刊 (1996)
文献14−a)
文献14)のうち、「柘榴石」の項
文献14―b)
文献14)のうち、「オンファス輝石」の項
「観察を楽しむ 特徴がわかる 岩石図鑑」
ナツメ社 刊 (2020)
文献2) チームG 編
「薄片でよくわかる 岩石図鑑」
誠文堂新光社 刊 (2014)
文献3) インターネットサイト
「アポイ岳 ジオパーク」サイト
https://www.apoi-geopark.jp/
文献4) 青矢、野田、水野、水上、宮地、
松浦、遠藤、利光、青木 共著
「地域地質研究報告
5万分の1 地質図幅 高知(13) 第40号
NI-53-27-12,28-9
「新居浜地域の地質」」
産総研 地質調査総合センター 刊 (2013)
https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_13040_2013_D.pdf
文献4−a) 文献4)のうち、
3−6章「超苦鉄質岩類」の項
文献4−b) 文献4)のうち、
3−7章 「変成作用」の項
文献4−c) 文献4のうち、
3−5章 「別子エクロジャイト相ユニット」の項
文献4−d) 文献4)のうち
3−1章 「(三波川帯変成コンプレックスの)研究史」の項
文献4−e) 文献4)のうち
図2.3 「三波川帯と領家帯における変成温度・圧力条件」
文献4−f) 文献4)のうち、
図3.57 「三波川変成岩の変成史総括図」
文献4−g) 文献4)のうち、
図3.1 「三波川変成コンプレックスに分布する岩体等の名称」
文献5) 日本地質学会 編
「日本地方地質地方誌 第7巻 四国地方」
朝倉書店 刊 (2016)
文献5−a) 文献5)のうち、
第3部「三波川帯」の、
3−3−2節「エクロジャイト問題」の項、
3−3−3節「エクロジャイトにおける温度―圧力―変形経路」の項、
3−3−4節「三波川変成岩の温度・圧力経度」の項、及び
図3.3.3「三波川変成岩類の温度・圧力経路」
文献6) 伊藤 著
「赤石山系の自然」
(発行社(者)名は不明) (1971)
文献7) 榎並
「現代地球科学入門シリーズ 第16巻 岩石学」
共立出版 刊 (2013)のうち、
第8章 「変成作用と変成岩」の項、
第10章 「変成相と変成相系列」の項、 および
第12章 「温度−圧力経路」の項
文献8) 都城、久城 共著
「岩石学 2 ;岩石の性質と分類」
共立出版 刊 (1975) のうち、
第20章 「変成作用と変成岩の組成」の項、および
第21章 「変成岩の岩型と分類と命名」の項
文献9) インターネットサイト
ウイキペディア(日本語版)の、「エクロジャイト」の項
2022年12月 閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%88
文献10) インターネットサイト
「TrekGEO」のうち、
「鉱物を歩こう」>「産状と生成過程」>「エクロジャイト相」の項
2022年12月 閲覧
https://trekgeo.net/m/m/metaEC/metaEC.htm
文献11) 橋本
「変成分帯と比較変成論」
岩石鉱物鉱床学会誌 p153-160 (1973)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ganko1941/68/5/68_5_153/_pdf/-char/ja
文献12)
インターネットサイト
ウイキペディア(日本語版)の、「柘榴石」の項
2022年12月 閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%98%E6%A6%B4%E7%9F%B3
文献13)
インターネットサイト
ウイキペディア(日本語版)の、「オンファス輝石」の項
2022年12月 閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B9%E8%BC%9D%E7%9F%B3
文献14)
地質団体研究会 編
「新版 地学事典」
平凡社 刊 (1996)
文献14−a)
文献14)のうち、「柘榴石」の項
文献14―b)
文献14)のうち、「オンファス輝石」の項
【書記事項】
初版リリース;2020年4月15日
△改訂1;章立ての変更。文章見直し、一部加筆修正。(2022年2月7日)
「参考文献」の項を独立化、一部加筆。
1−1章へのリンクを追加。
書記事項の項を新設、記載。
△改訂2;第1部の全面改訂作業に伴い、
本文は全面的に内容を見直し、加筆修正(2022年12月7日)
第1部の章の構成変更に伴い、章番号を「1−4章」から「1−5章」に変更
写真、地質図等を添付
参考文献の項 大幅追加
ヤマレコ内の山名情報をリンク
△最新改訂年月日;2022年12月7日
△改訂1;章立ての変更。文章見直し、一部加筆修正。(2022年2月7日)
「参考文献」の項を独立化、一部加筆。
1−1章へのリンクを追加。
書記事項の項を新設、記載。
△改訂2;第1部の全面改訂作業に伴い、
本文は全面的に内容を見直し、加筆修正(2022年12月7日)
第1部の章の構成変更に伴い、章番号を「1−4章」から「1−5章」に変更
写真、地質図等を添付
参考文献の項 大幅追加
ヤマレコ内の山名情報をリンク
△最新改訂年月日;2022年12月7日
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※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
どなたでも、山に関する知識や技術などのノウハウを簡単に残して共有できます。
ぜひご協力ください!
面白すぎて止まらないです。エクロジャイトを自分の目で見たいです。なんと美しい岩石でしょう。もう少し早く知っていればと惜しまれます。また行かないと!
この第一部(四国山地の部)は、この連載の最初に書いたもので、今から見ると少し記載が不十分なところもありますが、「面白かった」との感想で、私も書いた甲斐があります。
なお「エクロジャイト」の岩石サンプルは、以前、この付近の村役場(旧:別子山村)の玄関口に展示してありました。
最近はそこに寄ったことがありませんが、もしあれば写真を撮って、この記事に載せておきます。
権現岩近くの鉄塔下ではエクロジャイト?を発見。エビラ山に行く途中の黒岳では、この説明文にある「ざくろ石を含む高度変成岩類」とそっくりな岩石がゴロゴロありました。ざくろ石の径は1センチほどもあり、白くキラキラした鉱物(雲母?)も見受けられました。
いずれにしても、研究者によって解釈が異なるこの地帯の変成岩、研究フィールドとしては峻険な山に登らなければいけないという地理的困難さもあいまって、なかなか真実には辿り着くことが出来ないようで、興味は永遠に続きそうです。
また、このような、やや解りにくい内容のものを読んで頂き、ありがとうございました。書いた甲斐があります。
この項の「赤石山系」は、私の地元の山々ということもあって以前から地質学的な興味があったこともあり、改めて自分で読み直してみても、ちょっと細かすぎたかな、という感じがあります。
・・一方で私自身もアマチュアでありプロではないので、これだけ細かい内容を書いたわりに、引用文献など充分には理解できているとは言い難い、というのが、正直なところです。(汗)
ところで、この「赤石山系」は古くから地質学の研究が盛んな場所なのですが、謎の多い地域であり、未だ持って多数の研究結果がリリースされているような状況です。
このような、謎が多いものほど人を引き付ける、というのは、良質なミステリー小説のようでもありますネ。
「自然界は奇なり、人知の及ばざること、神の世界のごとし」・・・といったところでしょうか。
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