烈風吹き荒ぶ伊豆大島・三原山 (テキサス・ハイキングコースを登り、MTBコースを下る)
- GPS
- 05:00
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 723m
- 下り
- 807m
コースタイム
三原山(剣ヶ峰) 11:30-11:35
御神火茶屋 12:20
(この間、一旦「鎧端樹海トレース」に入りますが、撤退して戻ります)
御神火茶屋 13:05
岡田港 14:45
天候 | 終日晴れて、気温も高めでしたが、季節風が強くてフリースは手放せませんでした。この強風のためか視界もあまり良くなく、登山道からも海が霞んでしか見えないほどです。そしてこの強風は、頂上一帯では人が飛ばされかねないほどの猛威を振るっていました。 |
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過去天気図(気象庁) | 2008年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
船
熱海駅 07:45-(伊豆箱根バス)-07:50 熱海港 08:30-(東海汽船)-09:15 大島(岡田港) 岡田港バス停 09:20-(大島バス)-09:34 大島公園バス停 (帰り) 大島(岡田港) 16:00-(東海汽船)-16:45 熱海港 16:50-(箱根登山バス)-17:00 熱海駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
伊豆大島に日帰りで出掛けるにあたって、渡航手段には熱海からの海路を選択しました。 椿まつりが開催中のこの期間に限っては、島に最も朝早くに着く便が熱海から出ていて、かつ復路も最も遅い便が熱海行きなので、島内での行動時間を最大限確保できるのです。 また季節風が強く海が荒れることもあるこの時期は、場合によっては船の欠航もあり得るので、直前まで天候を見極めて、前日の夜に東海汽船に予約の電話を入れました。 なお大島での寄港地は、元町港と岡田港のいずれかが当日の天候を見てから決められるので、両方の港を起終点とした2種類のプランを予め作成して出掛けています。 大島公園からテキサス・ハイキングコースの入口までの間は、車道→山道→車道→山道といった感じに進みますが、道標による案内はやや控え目でした。 登る方向に歩く場合には問題ありませんでしたが、下る方向の場合、山道の入口を示す標識が目立ちにくい地点があります。 テキサス・ハイキングコースに入って以降は、頂上を経て御神火茶屋に下るまで、特に問題となる箇所はありません。 御神火茶屋から大島温泉ホテルまでの間は、「鎧端樹海トレース」があることになっていますが、少なくともこの日は未整備で、途中で道の続きを見失っています。 このため、この区間は車道を歩くことになりました。 大島温泉ホテルの少し先から岡田港の手前までは、MTBのコースらしい「岡田・フォレストアドベンチャーコース」を歩いています。 いくつか分岐点がある上に、歩く人向けの案内に乏しいコースでしたが、岡田港を目指して下る分には迷わずに歩けています。 ただし逆方向に登ろうとした場合には、まず入口を見つけ難いですし、その後も道迷いが必至ではないかと思われました。 ※デジカメを持ち歩くようになる以前のため、写真はありません。 ※GPS導入前なので、ルートは推測です。 |
感想
今回が第100回目の記念山行となります。しかし高い山は雪と氷に閉ざされた時期で、私の出る幕ではありません。
そこで、近場でありながら遠出の気分を味わえる伊豆大島・三原山を行先に選んでみました。
熱海港に出航40分前に着くと、まだ人の数もまばらで予約してあったチケットの購入も至ってスムーズ。この日の寄港地は岡田港ということでした。
出航15分前になると乗船案内が始まって、船内に乗り込んで出航を待ちます。少なくとも1階席に関しては空席はほとんど見当たらず、ほぼ満席のようでした。
いざ出航すると、海水を噴出して海面から浮き上がって航行するため、揺れはほとんどなく快適な乗り心地です。
ところが、特段のトラブルもなく順調な航海と思っていましたが、岡田港への到着は10分ほど遅れていて、大島公園行きのバスの発車時刻を過ぎています。
それでも、この船からの乗り継ぎのために発車時刻が設定されていたはずのバスは、思っていた通りに乗り継ぎ客の乗車が終わるまでは待っていてくれました。
バスの乗客は15名程度で、ほとんどの人はフリーパスで乗っているようです。でも私はバスの利用がこの便だけで終わるので、終点で現金を払って降りました。
大島公園のバス停の近くには、小さな道標があって南方向を示していて、登山口まで400mと書かれていました。
歩き始めると小さな駐車場の先で舗装道路はすぐに終わり、未舗装の車道に変わります。振り返っても、登山口へ歩く人などほかには誰もいないようでした。
少し進むと、小さな道標が右の山道を示していて、それに従ってしばらく登るとまた未舗装の車道にぶつかります。
その車道は次第に荒れた感じになり、土止めの木段なども出てくるようになって、途中からはもう山道のようです。やや傾斜が強まった木段を登っていくと、舗装道路に出ました。
直進方向に山道の続きがあって、「テキサス・ハイキングコース」を示す道標が立っていたので、ここが実質的な登山口とされているようでした。
テキサス・ハイキングコースに入ると、傾斜の実にゆるやかな1本道になります。ただしずっと樹木の中を進むため展望はなく、道の様子にも変わり映えがなくてやや退屈気味です。
しばらく進んで樹林がススキなどの草原に変わると、前方には三原山の頂上部が遠くに見えてきますが、周囲の景色は相変わらずほとんど見られずに、単調な登りが続きます。
ようやくそのススキなどがなくなって周囲が開けると、風景は荒涼とした火山礫の砂漠に一転しました。見える限りに灰色の砂漠ばかりが広がる真っ只中にいて、どの方向を見ても自分以外に人の姿も全くありません。
砂漠の中に入ると道の傾斜はさらに緩やかになり、登り坂であることをほとんど意識せずに歩けるほどです。
ところが麓にいるうちから風の強い日だったのですが、この高度ではそれが強風となっていて、しかもそれが真正面から休む間もなく襲ってきます。
ただ登るだけならば緩やかで楽勝のはずなのに、この風に逆らって進むために体力を消耗させられます。しかも登るにつれて風は強まる一方で、瞬間的な突風などに見舞われると真っ直ぐに歩くのが困難になっていきます。
唯一の救いは、これだけの強風にもかかわらず砂漠の砂が巻き上げられることがなく、風に埃っぽさが全くないことでした。細かく乾いた砂が強風の中でも安定して地面に居続けられるのは、ちょっと不思議な気がします。
この強風吹きすさぶ中をひたすら耐えて歩き続けると、大島温泉ホテルからの道との合流点に出ました。
合流点を過ぎ、なだらかな砂漠地帯を抜けて、小石大の火山礫がゴロゴロする道に変わると、ようやく本格的な登りが始まります。
すると向かい風もさらに威力を増して、身体がよろける程の風が常時吹くようになってきました。登りと強風のダブルパンチで相当に苦しいです。
このあたりで、今日初めての自分以外の登山者を見ました。下山中の20人近いグループです。「頑張って下さい」と励まされるも、激烈な向かい風の中では無言のまま笑顔を返すのがやっとでした。
そしてついに火口一周コースまで登り詰めると、強風はもはや猛威から脅威へと変わりつつありました。
それまでは斜面上を吹き下りる風を受けていて、山が盾のようになっていたのですが、火口壁まで登ったことで、洋上を抜ける季節風の直撃をもろに喰らう形に変わったのです。
すでに、ただ立っているのも難しくなりつつある状況でしたが、とはいえ目と鼻の先にある頂上に行かないという選択は考えられませんでした。
ここまでの延長程度の気持ちで頂上への緩やかな道を登り始めます。
ところが、このほんの短い距離を進むのに、想像を超越した困難を極めることとなりました。
頂上が近づくにつれて、風の強さがもう尋常ではなくなっていくのです。時折、何かに掴まっていないと身体を持って行かれるほどの風圧にさらされます。
幸い、この火口壁は内側・外側のどちらも絶壁が迫っているため、コースを外さないように道の左右にロープが張られています。
そのロープに掴まることで、どうにか身体が飛ばされないようにできたようなもので、もしもロープがなかったら、地面を這うようにするしかなかったかもしれません。
ほとんどロープを手放すことができず、しばしば突風に見舞われるたびに立ち止まり、ロープを握りしめて体勢を保ちつつ突風が過ぎるのを待ちます。
持ち手を変えるためロープを離したその瞬間に不意に突風にでも吹かれたりしたら、飛ばされて絶壁の下に落とされかねません。
登山を始めて以来の、最大の危機にさらされていたと言えるでしょう。危険を顧みず、という表現のほうが適当かもしれない状況の中、やっとの思いで頂上の剣ヶ峰へたどり着きました。
晴れた日には富士山も見えるという展望を楽しみに、空気の澄んだこの時期を狙って来たのですが、この強風で空気も淀んでいるのか本土はまったく見えません。
そればかりか、眼下に広がるはずの海原も霞んで灰色っぽく見え、洋上の船影が辛うじて確認できる程度の風景です。
足元の火口の中を覗こうにも、その方向を向くと烈風を正面からまともに喰らって立ち続けていられません。
火口に背を向けて少し斜面を下るとやや楽になることが分かったので、適当な石に腰掛けて姿勢を低くして、外輪山を眺めながら小休止していきます。
それでも強風にさらされ続けていると次第に寒くなってきたので、5分の休憩だけで撤退することにしました。
頂上を後にしても、火口一周コース上にいる間は一瞬の油断もできません。あろうことか、下っている最中に1度だけ身体が宙に浮いてしまう瞬間がありました。
登り同様、何かあってもすぐにロープを掴める位置をキープして歩き続けていきます。
50mほど下り、行く手に見えている展望台と同じ高さになって、体勢を崩されるほどの風からはようやく解放されました。
展望台の前を過ぎると舗装道路に変わり、三原神社に寄り道する頃からは、すれ違う観光客が多くなってきました。火口一周コースでは男性1人を見かけただけでしたが、展望台までは観光客も多いようです。
噴火時に火山弾を避けるためのシェルターを所々で見ながら、御神火茶屋の近くまで来た頃には、頂上周辺の烈風がウソのように収まっていました。普通にちょっと風が強い、という程度のレベルです。
御神火茶屋と大島温泉ホテルの間は、地図を見る限り車道しかないようですが、「鎧端樹海トレース」なるものの存在を紹介しているブログが見つかり、その作者が「おすすめ」としていたこともあって、この区間はそのトレースを歩こうと決めてきていました。
御神火茶屋に着く直前で、道の右手に気を付けていると、少し離れた所に立つ、目立つピンク色の標識を見つけます。近付いてみると、やはりそれは「鎧端樹海トレース」の入口を示すものでした。
トレースの先を見ると、赤い色の四角いプレートが木々に付けられて道を示しているようです。少なくとも入口周辺では、その赤プレートが頻繁に見つかって道案内が明瞭だったので、何の不安もなく歩き始めます。
■「鎧端樹海トレース」は途中敗退
昨年新しく拓かれたらしいトレースは踏み跡が頼りなく、原始の山の中を歩いているような楽しさがあります。が、そんな雰囲気を楽しめたのは最初のうちだけでした。
次の赤プレートがなかなか見つからず、勘を頼りに周囲をあちこち探って、やっと道の続きを見つけるということが何度か起きてくるようになります。
トレース上を塞ぐ倒木がそのままの箇所も少なくなく、シーズン外のこの時期はあまり整備されていないのではないかという印象が、次第に強くなっていきます。
そしてついに、どの方向を探しても道の続きが見つからない地点に至ってしまいました。
時間の制約さえなければ、もう少し探検気分を味わうという選択肢もあったと思いますが、帰りのジェット船をすでに手配済みなので、あまり冒険する時間もありません。
大きく時間をロスすると、そのジェット船に乗り遅れる可能性が出てきてしまうので、ここで深入りするのはやめて引き返すことにしました。
行きに迷った箇所も帰りは順調に通過できたため、30分かかって来た道を15分で戻って御神火茶屋へ。ここで45分ほどロスしたことになります。
※コースの整備状況があまり思わしくないように見受けられたので、整備が行き届くまでの間は、コース入口の標識を一旦外すなりしたほうが良いと、その当時感じたのですが、現在はどうなっているのでしょうか。
結局、御神火茶屋から大島温泉ホテルまでは車道を歩くことになりました。交通量の少ない道でしたが、もちろん自分以外の歩行者の姿など全く見ませんでした。
大島温泉ホテルの入口前を通過して道なりに進み、湯場三叉路バス停のあるT字路を右に折れます。
静かな道を少し進むと、左手に山道の入口があって、「岡田・フォレストアドベンチャーコース」の標識が立っていました。MTBのコースのようです。
このコースへと入ると、「鎧端樹海トレース」と同型で色違いの青いプレートが道案内をしてくれます。
当面は、MTBのコースらしく勾配が緩やかで段差などの一切ない、とても歩きやすい道で、プレートがなくても迷う心配がないくらいに明瞭に続きます。
それでも下り続けていくと次第に道がやや荒れてきて、分岐点なども現れました。
下っている限りは、別の道が合流するだけで悩む必要がなく、時々「←岡田へ」という道標もあったりして、問題なく歩いていけます。
ただし逆に登る場合は、分岐点で道標を見なかったので、かなり迷わされると思います。
コースによってプレートが色分けされているようでしたが、どの色のプレートのコースがどこに向かうのかという案内は、少なくとも私が歩いた範囲にはありませんでした。
下りでも、いつの間にか最初の青いプレートは見なくなっていて、気が付くと黄色いプレートに従って下っていました。
最後のほうでほぼ平坦に近くなった区間が少し長くあった後、ようやく舗装道路に出て、そこでMTBのコースは終わりです。
しかし「岡田・フォレストアドベンチャーコース」の標識は、少しコースを入った所にあって舗装道路からは見えなかったので、逆コースを進む場合には、まずこの入口を見つけるのが難しそうでした。
大島温泉ホテルから岡田港まで歩くなどという、たわけた奴はそうそういないと見えて、舗装道路に出た後のいくつかの交差点にも、道標などは全く立っていません。
持ってきた地形図を頼りに、予め決めていた最短ルートを黙々と歩いて、岡田港にたどり着きました。
「鎧端樹海トレース」の件で時間をロスしていたにもかかわらず、出航まで1時間以上の余裕があったので、食事処で遅めの昼食をとり、土産物店を物色したりして過ごします。
帰りのジェット船では2階席になりましたが、少なくとも2階席では結構空席が目立っていました。土曜日のみの日帰りや、金曜日に入島して1泊するパターンは少ないのでしょう。
また、行きの船は団体ツアー客が相当の割合を占めていましたが、帰りは大半が個人客のように見受けられました。やはり団体客は週末に1泊2日する行程が多いのでしょうね。
詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2008_01_03/mt2008_01_03.html#20080301
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