白馬岳主稜:吹雪と雷とみぞれと強風と。

コースタイム
5/4 白馬尻→3・4峰のコル
5/5 3・4峰のコル→白馬岳山頂→大雪渓→白馬尻
5/6 白馬尻→猿倉
天候 | 5/3 雨のち晴れ 5/4 晴れのち雪、強風 5/5 霧のち曇、時々晴れ 5/6 雷雨のち曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
5/3 白馬駅→(タクシー・約4,000円)→猿倉荘 5/6 猿倉荘→(タクシー・約4,000円)→みみずくの湯→(徒歩)→白馬駅 ※白馬駅から「あずさ」乗車。1日1便。5/6は指定席は満席。白馬駅から自由席で席に座れた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
※計画ルートと、実際のルート 計画ルート: 5/3:猿倉→白馬尻→白馬岳主稜3峰付近 5/4:3峰付近→白馬岳→天狗山荘 5/5:天狗山荘→不帰→唐松岳→八方尾根 5/6:予備日 実際のルート 5/3:猿倉→白馬尻 5/4:白馬尻→3峰付近 5/5:3峰付近→白馬岳山頂→白馬尻 5/6:白馬尻→猿倉 ※道の状況 全体的に雪が腐りかけていて、踏み抜き多数。 ・猿倉→白馬尻 特に危険箇所なし ・白馬尻→7峰 7峰の上りにてザイルを出す。2ピッチ。 ・7峰→5峰 特に危険箇所なし。ナイフリッジが出始める。 ・おそらく5峰→4峰 ナイフリッジから、右ルートは木登り。左ルートは軽い岩登りがあるパートあり。右ルートから行ったが、木登りからの雪壁が少しいやらしい。左ルートが正解か。 ・4峰→3峰 ナイフリッジが継続 ・3峰→2峰 2峰の登りで迷う。取り付きは右の岩から。 ・2峰→山頂 最後は60mザイル。それまではフリーで。 ・山頂→白馬山荘→大雪渓 特に危険箇所なし。大雪渓は雪崩の巣。 ※登山ポストの有無 猿倉荘にて。 ※下山後の温泉 みみずくの湯。入湯料500円、お土産タオル200円。 PH11.2と、日本有数の高アルカリ温泉で、肌がつるつる。 |
写真
感想
※ヤマレコ今週のアクセス数ランキング10位、ありがとうございます。
嬉しいのですが、白馬山域で起きた事故には大変心を痛めています、、、
お亡くなりになられた方々には心からご冥福をお祈りいたします。
また、ご家族とご友人、ご関係者の方々には、心から哀悼の意を表し、お見舞い申し上げます。
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東京緑山岳会春合宿として、バリエーションである白馬岳主稜を登ってきました。
●コース概要
2級上、コースタイム6〜10時間、水平距離2.5km、標高差1,400m。
ゴジラの背のような8つの峰と、ナイフエッジ、晴れていれば開けた稜線上から望む展望、最後の雪壁で、登攀意欲をそそります。
●天候
このGWは、天候が非常に悪く、
・3日:雨のち晴れ、快晴。
・4日:午前中晴れ、時々ガス。
12時頃から少しずつ視程が悪くなり始める。
午後2時頃から急に雲が出始め、風の強さが増す。
東側には前線の影響と思われる積雲が立ち込め、動かない。
午後3時頃から、標高2,500mでは風速15-20m(推測)、みぞれ混じりから、雪に天候が変化。
午後4時頃からさらに視程が悪化、10mほど。
午後8時頃からさらに風速が強まり、深夜1時に突風。
テントは半分がひしゃげ、フライを支えるポールが曲がる。
・5日:午前中霧。もなか雪。気温は0度程度(推測)。風速は弱まるが、午前中いっぱいは霧が晴れず、11時頃から次第に霧が晴れる。
3時頃には再び曇。夜には雨から快晴。スーパームーンを見ることができた。
・6日:夜半から午前中いっぱいまで雷と雨。雪崩の音かと勘違う。
●状況
4日:東には通過後と思われる、前線に伴う灰色の雲が停滞。
だが、なぜか昼間は天候が安定。嵐の前の静けさか。
5日は午前7時頃から青色のヘリが白馬岳主稜と小蓮華尾根上空を4時間にわたってフライト。
当初は、GWに営業している山小屋への物資の運搬か、と思ったが、一向に終わらないので何かあったのか、と思いながら、3峰〜1峰へのクライミングに集中。
霧が晴れ出した11時頃フライトが終わる。
12時に、携帯の電波が生きていたメンバーから、主稜から直線距離で1キロと離れていない小蓮華尾根で遭難事故が発生した旨を聞く。
6名重体というニュースに動揺。
白馬尻まで降りてきて幕営中、お亡くなりになられたというニュースを聞き、心の中で手を合わせる。
●一体何があったのだろう。
天候が急変したことは事実。
ただ、山慣れた方々で、かつ冬装備をお持ちなのであれば、
晴れから吹雪に急変するまでに2時間あったので、
装備の確認、共有、分配、装着、ビバークの準備と色々できることがあったはずです。
それができないくらいの状況が、1km離れたところではあったのだろうか?
と思っています。
当初の報道では、「装備不十分による自業自得」という報道だったかと思いますが、後追い報道では、そうではなく、装備は十分持っていたという内容。
ここが一番の不明点です。
今後、解明されれば良いのですが。
ただ、一つだけ言えるとすれば、当日4日の行程が厳しかったのかもしれません。
私事ですが、昨年のGW、金峰山→甲武信山で、コースタイム6時間に対し、腐った雪と格闘し14時間かかったことがありました。
飲料水も底を尽き、雪を食べながら進みました。
今回のパーティーは、4日の行程はコースタイム8時間。
体力を奪われると、だんだん冷静な判断がしづらくなってきます。
そこに理由の一つがあるのかも?と勝手に推測しました。
●装備
厳冬期用ハードシェル(上下)、晴天時用カッパ、ザイル(ダブルロープ60m)、
ピッケル+アイスハンマー、12本爪アイゼンなど、ほぼ厳冬期に近い仕様。
●白馬山頂の標識
新田次郎作「強力伝」中の実在の主人公、富士山の強力だった小見山正さんが担ぎ上げた、1つ180kg(を2つ!)をやっと見ることができました。
小見山さんはその事業がもとでお亡くなりになってしまうのですが、いつかみたいと思っていた標識を残雪期バリエーションで見ることができて、感激しています。
人間の力って、ホント偉大です。
全体としては、展望、コース共に素晴らしいコースで、日本を代表するクラシックルートという名に恥じないと思います。
難易度としても高すぎるということはなく、素人でもなんとかなりました。
皆様にも是非歩いて欲しいコースでした。
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