田子倉駅よ永遠なれ/只見線[停まらぬなら歩いていこう秘境駅]冬期閉鎖国道ハイク
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.8km
- 登り
- 277m
- 下り
- 267m
コースタイム
12:55田子倉駅
13:30田子倉駅
16:10冬期閉鎖ゲート(只見町石伏)
天候 | 小雨→雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
西那須野インターから国道400号→121号→289号→252号 足したら1062に達した(^_^;) |
コース状況/ 危険箇所等 |
今週末の廃止後は誰も行かないと思いますが参考までに!? このルートは雪崩注意です。 気温が高くなった日は危険です。 雪崩がそのまま道路を越えて湖に落ちている箇所のトラバース。ここに細心の注意が必要です。 |
写真
感想
ん!?
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JR東日本:乗客減少のため、只見線の田子倉駅を廃止−−来月15日 /福島
毎日新聞 2月26日(火)10時50分配信
JR東日本は25日、只見線の田子倉駅(只見町)を3月15日で廃止すると発表した。夏季のみの臨時駅からの乗車客が1日平均1人程度に減り、採算が取れなくなっていた。
. 田子倉駅は只見−大白川(新潟県)間にある県内最西端の駅。ホームは田子倉湖と山に挟まれた斜面のスノーシェッド内にあり、12〜3月は雪のため閉鎖になる秘境駅として知られた。周囲に民家はなく主に登山や釣り客に利用されていた。11年7月の新潟福島豪雨の水害で区間が不通になり、昨年10月の再開通後も列車は通過していた。
町は水害からの復興に向けた観光誘客に必要だとして存続を求めていた。久保克昌副町長は「山開きなど行事の際の臨時停車など、町として引き続き活用を働きかけていく」とコメントした。
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田子倉駅が廃止されんの?
小学3年生ころであったろうか、家族で郡山から只見という県内でもいちばん遠いところへドライブへ行った。田子倉ダムも過ぎて、なぜか当時真っ黄色のプレハブみたいな田子倉駅に驚いた。
その記憶が思い出された。
思い入れも多少あった無人駅。すでに冬期列車が止まらない臨時駅扱いになり、平成23年の豪雨災害以降は列車が止まっていないんだそう。
秘境駅のなかの秘境駅。
なぜか心が動いた。
列車で行けないなら、歩いていこう、と。
行くなら最後の日曜である11日しか残っていない。
この日の予報はあまりよくない。前日までの気温上昇、当日は雨が降り
しかし気温は下がるという。ここにかけてみよう。
本当は列車の通過するところもみてみたいが、日中の移動が少ない過疎の線。
これは捨てるしかない。
田子倉駅への挨拶のみだ。
この阿呆で酔狂な企画、相方も乗ってくれた。
それでも、かすかに同好の士がいるんじゃないの?って思いながらも只見駅に着く。
なんでも雪崩で定刻通りに小出発の列車が来ていないんだそう。
しかも乗務員と連絡が取れない、なんて鉄道ファンの少年が云う。
そりゃ大事件でしょうに!
安心ください。列車は只見駅の手前まで来ていましたよ。
駅舎内は乗って田子倉駅を通過際に別れを告げるという
いわゆる「通過儀礼」のファンが多かった気がします。
さて、行きますか。
只見駅から数分で田子倉発電所、国道252号の冬期閉鎖口に着く。
ほんとうに雪の壁になっているだけ。看板も特になし。
そして小雨です。まあ行けるところまで行きます。
雪の壁越えてスノーシュー装着。履き慣れました。
田子倉ダム上までは結構な九十九折。
雨といっても気温も下がって雪がしまっているようで歩きやすかったでしょうか。
踏み抜くこともありません。
最初のトンネル、田子倉第1トンネルに差し掛かります。
入り口には水分をたくさん含んだ雪が落ちる時期を窺っているかのよう。
ここが“上からの危険”に対してはいちばん危なかったと思います。そそくさと。
トンネルの出口付近にザック? 逆光でシルエットです。誰か先行者がいるのかな?
近づいてみると氷筍でした。これがトンネル・スノーシェッド内に広がる自然の造形物の最初。
トンネルを抜けるとダム堤体上エリアに到着しました。登りといった登りはここまでになります。
ここでこれまであった前日以前の先行者のトレースがなくなりました。
ダムまでが目的だったようですね。ダムの保守でしょうか。
結局田子倉駅まで! っていう同好の士はおりませんでした。
本来ならダム堤体に近づいてみるところですが、時間と相談し通過します。
田子倉第2トンネル。ここには氷柱が!
人工構造物内の俗っぽさでありながら神秘的な…。なんだろうこの表現。
冬季閉鎖道路は、いわば冬季は自然に還るってことなんでしょうね。
ただこれを維持するにはいろいろと工夫されています。
ガードレールは雪の重みでかんたんに曲がってしまうので取り外されています。
また、夏期に通って「なんでガードレールではなくブロック式なんだろう」と思っていた欧州でよく見る大き目のブロック。
これはたいへん合理的なんですね。ガードレールは曲がるがこれは頑丈、ブロック間は雪の逃げ道になるし、車も墜ちないし。
じつはこのブロックに助けられました。
第一の難所。これは田子倉第2トンネルをすぎて程ない、もう少しでスノーシェッドという地点。
いわばここもスノーシェッドがほしいというところで現れた雪崩あと。
トラバースしないといけません。
慎重に進んだつもりでしたが、爪先キックが足らず…。
滑落です。すぐ左下にブロックを認めたので慌てず左足をブロックに置きました。
ひやりはっとです。
これはいけません。
相方に心配をかけてしまいました。慎重に進んでもらいました。
ここで気を締めなおしました。
その後、地図のとおり、道はクネクネ。田子倉湖の“半島” をぐるっと回りこみながら進みますので、
そのたびに風向きが変わります。スノーシェッドに吹き込んでくる風が雪を自在に操ります。
トンネルは風の通り道です。トンネルの繋ぎ目からもれてくる雫を冷やしてながら氷柱ができたのですね。
中途半端なツララなぞはありませんでした。
冬季閉鎖でも、電光式の道路標識の電源はつながったままなんです。これは電源地域ならではなのか?
“半島”と“半島”をつなぐ送電線、鉄塔もここは豪雪、電源地域なんだな。と思わせる人工構造物です。
そして“半島”対岸のスノーシェッドの“洞穴”が並んだ様。
いずれもモノトーンで表現される無機質さが、なんともいえないものです。
…
地図を見ながら、あのトンネルを越えたらゴールが見えてくる! と奮い立たせながら進みます。
そして第二の難所。こちらはもうすぐ田子倉駅が見えてくるという地点でした。
第一ほど斜度が緩やかだったのが救いですが、こんどはブロックが雪に埋もれています。
時間をかけて慎重に通過しました。
そうすると只見線、田子倉トンネル出口真上に来ました!
やっと田子倉駅です。
直線では行けませんので、また“半島”を回り込みます。
唯一の橋梁をわたりますが雪崩など届かない純粋な積雪深度を測るモノサシのようでした。
もう何個目のスノーシェッドなのだろう、そこを抜けるとわれわれは雪に埋もれかけ、
いや埋もれないよう周到に設計されたと思われる「田子倉駅』に到達しました。
感無量であります。
おまけに入り口も24時間365日開いている。というかドアそのものがない。この門戸開放感がすばらしい。
「立入禁止」となっていますが、ここはお目こぼしいただきたい。
30年以上前とほぼ変わっていない駅舎内は、暖をとっている小鳥たちの居場所でした。
そこに怪しい2人組が入ってきた。小鳥さんたちは小雪舞う外へ逃げてしまいました。すまぬ。
階段を下りてホームへと降りました。
現在1〜2両の列車では持て余してしまうほどの長いホームでした。往時がしのばれます。
当時から降りる人はそれほどいなかったでしょうけれど。
ベンチも一日平均乗降客1人の駅としては破格の3台あります。
古いのも味がありましたが、新しい駅名標もしっくり来ています。
ほとんど利用者がいないのに、更新を差別しなかったJRに敬意を表します。
スノーシェッド内のホームで雪を避けられるかな?と思っていたけれど、風が吹き込んできますからゆっくりコーヒータイムと決め込むことが出来ませんでした。
時間もないのだけれど。
「田子倉駅ノート」がありましたよ。2012.10〜と代替わりしたばかりのノート。
最新が2012.11.25の日付。道路が冬季閉鎖されたあとは誰も来ていない証拠という感じです。
5ページ目に最後の記録を
そして即席メッセージボードを掲げさせていただきました。
…
通過する列車を見送り、サプライズを提供したかったけれども、後にする時間が来ました。
さようなら
…
帰路、心なしか脚が重く感じます。実際に疲れていました。
2つの難所と不意の雪崩に気をつけます。
天候も完全に氷点下まで下がっています。雪は締まりました。
小雪であって新雪が積もることも無く、雪崩の危険性は幸い低くなり助かりました。
最初の難所はスノーシューでのトラバース、荷重に気をつけ無事にクリアしました。
最難所はスノーシューを脱いで慎重にクリアしました。
そこをクリアすると、田子倉集落の鎮守様若宮八幡神社が見えてきました。
ほっと安心。まだ早いかも知れませんが。
八幡さまに道中無事のお礼をし、田子倉ダムも後にしました。
そして下りの九十九折へと差し掛かるのですが、サプライズが待っていました。
カモシカさんと遭遇です。
豪雪地帯の山の斜面を駆け上がっていく途中でお互いにフリーズタイム。
なんともいえませんなぁ。相方はやはりモッてます。
豪雪地帯を逞しく生きるカモシカさんを見送り、無事に里へと下りてきました。
けっこうな“ぶらり旅”でした。
この“思い立ち”は実行してよかったと思いました。
かなり貴重な経験をしました。普通の山歩きとは違った、冬季閉鎖の豪雪地帯の国道歩き。
切り崩した斜面が多く、雪崩のリスクがありますのでおすすめすることを憚らなくてはなりません。
しかし、人工構造物と自然美のマッチングという魅力もあります。
残雪期の気温が上がる日は絶対NGだと思います。
最後に一句
秘境駅 歩いていくのは 卑怯駅
今回はさらに乱文雑文。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
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田子倉駅廃止なんですか
え〜っ!知りませんでした
残念でなりません。。
さびしい
電車に乗ったことはありませんが、駅舎には何度もお世話になったっけ…
廃止前にせめてもう一度訪れておきたかったです。
コメントありがとうございます。
今週で廃止されます。。実質廃止状態でしたが。
bunacoさんは田子倉駅を
浅草岳とか鬼ヶ面山など只見の奥山へのベースにしていらっしゃったんでしょうか。
もしそうでしたら、私なんかよりも思い入れがあることと思います。それだけに田子倉駅を野営に利用していた方は訪ねていただきたかったです。
地方紙にしか載らず、かつ鉄道ファンしか話題にしない情報で、急な廃止なのが残念だったなぁと思います。
駅跡の再利用が気になるところですね
私も今回を機に浅草岳や村杉半島など興味を持ちました。展望だけが山じゃないかも。
bunacoさんの日記も参考にさせていただきます
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