アラスカ デナリ国立公園でバックカントリー
- GPS
- 56:00
- 距離
- 18.8km
- 登り
- ---m
- 下り
- ---m
コースタイム
6:50ライリークリークキャンプ場バス停出発―13:15ワンダーレイク着
13:30バックカントリー開始―16:30ワンダーレイク北端―16:40パークロードとLake Creek交差箇所(入山地点)―17:40テン場着
3日目
8:30出発―8:45Wilderness Boundary設置地点 ―11:30ワンダーレイク西の丘南端着―13:00同発―13:45ワンダーレイク西縁着―14:30マッキンリーバートレイル起点―16:00マッキンリーバー到着―17:00テン場着
4日目
4:00出発―5:45バス停着
6:30ワンダーレイクキャンプ場バス停出発―11:30ごろウィルダネスアクセスセンター着
天候 | 晴れ/曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
http://www.nps.gov/dena/planyourvisit/backcountry.htm unit 43(英語) http://www.nps.gov/dena/planyourvisit/unit43.htm unit 15(英語) http://www.nps.gov/dena/planyourvisit/unit15.htm |
コース状況/ 危険箇所等 |
※※※今回歩いたルートのPDFを下部のファイル置き場に置いてあります。是非ご覧になって下さい※※※ ■unit43,15共にテント禁止区域が多くあります。決められた範囲(と言っても広いですが…)を守って楽しくテント泊しましょう! ■unit43に関しては、沢の水は鉱山がある関係で重金属で汚染されているため、フィルターを通しても取り除けない場合があるそうですので、水の現地調達は難しいと考えたほうがいいかもしれません。 ■全体を通して、結局のところツンドラが一番歩きやすかったと思いますが、トレースのないところを歩くのはとても大変です。通常の登山の2倍以上時間がかかると思います。余裕のあるスケジュールを組んでください。 ■晩秋のデナリバックカントリーを歩かれる方へ、歩くルートの簡単な見分け方 赤く見える所…ブルーベリーで歩きやすいが、ふかふかしているところも多い 白いところ…コケ類で地面にしっかり付いているので比較的歩きやすかった。 黄色いところ…地上から1m位のブッシュ、歩きにくい 緑に見える所…樹林帯、見通しなしだが、根っこが張っているので歩きやすい 日本でよくある石のような地面は余りなかったので、基本歩きづらいです。 ■今回いつも日本でお世話になっているiPhoneアプリ『DIYGPS』に現地のマップデータを入れて使用しましたが、大変有用でした。ベースに使った地図はACME MAPPER の TOPOを用いました。これはUSGSの出している有料の地図が無料で閲覧できるのでとても便利です。(日本のウォッちずみたいな感じ)いずれ自分のブログでこのデータを使ったトレッキングマップの作成方法を紹介したいと思います。 ACME MAPPER http://mapper.acme.com/ DIYGPS http://diygps.net/ |
ファイル |
(更新時刻:2013/09/23 23:05)
|
写真
感想
1日目
アンカレッジの朝、起きると雨。傘をさして出発する。
デナリには複数のバス会社、もしくは列車で行くことが出来るが、明日はバックカントリーに入りたいため、手続きを済ませるためになるべく早くデナリに着きたかったので、メジャーなバス運営会社ではなく、アラスカデナリトラベルという、キャビンから国立公園内を回るバスなどをオーダーメイドのパッケージにして販売している会社がちょうどお昼くらいにデナリ駅に着くバスだったので、それの片道バスのみを予約した。(あとから知ったことだが、ここのバスを利用する人は私たち以外すべてパッケージで参加している人だった。何だかお金持ちっぽい人しかいなかったのはそのせいだったらしい。) ユースホステルから歩いて5分のダナイナセンター集合で、7時に出発する。
途中広い駐車場にポツンとあるプレハブがあるだけのコーヒーショップで休憩。ここが安くて美味しかった。
そしてデナリキャビンに到着したが、駅に連れて行ってもらうのは1時間後だというこことになり、すでに時間を過ぎていることを考えると1時間後ではおそいよなーと思っていると、アラスカデナリトラベルの別の運転手がキャンプ場まで乗せて行ってくれるという。
そしてついに、デナリに到着!だがここで降りるなと言うのを聞かずに降りてしまい、降りたらそこはビジターセンター。運転手はたぶんウィルダネスアクセスセンター(wic)に止まるようしてくれていたのであろう。シャトルバスで移動し、いろいろごちゃごちゃと手続きやら予約など、wicとBackcountry Information Centerを何度も往復し、ようやく今夜の宿であるライリークリキャンプ場と明日のパーミットを取得した。
パーミットを取るのは一苦労で、初めは人気のあるunit15に行こうとしたが明日はいっぱいで、明後日の分だけ取ろうとしたら、明後日の分は明日にならないと取れないと言われ、キャンパーバスの時間を変更し明日また来なさいと言われたので明日夜はワンダーレイクキャンプ場に泊まることにし、予約しに行ったが、すでにいっぱい。(ワンダーレイクキャンプ場は、ものすごい人気キャンプ場なので、予約はだいたいいっぱい。)
作戦を変更して明日は人気が無いのかガラ空き状態であるunit43(unit15の北側のエリア)そして明後日徒歩で移動してunit15に行くことにする。
それなら今日、両方のパーミットを取ることができるので、バスの時間も変更しなくてすむ。これで明日朝、無事に出発できることになった。明日また来ることになったらバックカントリーに入れる時間が凄く少なくなってしまうので、結果的に良かった。
明後日の分は前日にならないと取れないのだが、その前日に別のエリアに入っていれば、そこから移動すればいいわけだからそういうふうにパーミットを取得すればいい。その時は分らなかったが、そりゃそうだよね。そうしないと、一泊終わったらまたパーミットを申請しなきゃいけなくなるものね…。
対応してくれたレンジャーの方は親切だったが、「unit43ってどんな感じの登りになる?」って聞いたら、「ぼく行ったことないからわからないけど、結構藪こぎがきついと思う」って、レンジャーならパークロード沿いくらいくまなく歩いてみてくれよ!って突っ込みを入れたくなった。
とまあ無事に、デナリ到着から4時間ほどかけて全ての予約、パーミットの取得を終え、本日のキャンプ場であるライリークリークへのテント設営までこぎつけた私たちは、ハイウェイを少し北に行った所にある土産物エリアにある、Denali Salmon Bakeというレストランで夕食。ハンバーガーとポテト、カニコロッケのホットサンドを食べた。美味しかったけど量が多くてテイクアウトした。少し天気が明るくなった。明日は晴れそうだ。
2日目
朝は曇りだったがバスが到着する頃には晴れてきた。ここから5時間のバス旅、途中グリズリーやドールシープを見ることができた。
そしてようやくワンダーレイクに到着。とても大きく綺麗な湖。私達はベリーを摘みながら右岸を歩く。たくさんのベリー‼どんどん摘むが、疲れてきてしまい結局パークハイウの道に出て歩く。ここはあたり一面ツンドラ地帯だ。
ツンドラは歩きにくいとパーミット取得時のDVDで言っていて、歩いてみるまでツンドラは草原みたいで歩きやすいんじゃ?と思っていたが、実際歩いてみるとスポンジのようにフカフカで踏み込むたびに15センチくらい下がってしまうのでとても歩きにくい。道無き道を歩くのがどれほど大変か分かった。
しかし、日本では自然を守るために、決められたところ以外は歩いてはいけないと教えられるのに、ここではバックカントリーを歩く場合、人の歩いたあとを残さない為トレースのないところを歩くように指導される。
自然を守るためのアプローチも異なるし、そもそも日本では国立公園内を自由に歩き回って良いんだっけ?もし自由にならないなら、アメリカは国立公園内も自由に見て回る権利を尊重してくれる国だということだ。それらは日本にはない考えで、アメリカのそういうところは好きだ。
何とかカンティッシュナに向かうパークロードに出た私達は、そのままパークロードをワンダーレイクの北までいき、レンジャーステーションを通り過ぎ、とても小さなLake Creekを渡り終えた所でいよいよバックカントリー開始。
少し手前の右手にある小高い丘の上に、可愛らしいprivateの家があってびっくり。こんなところに住めて羨ましい。(ここは国立公園内だが、昔国立公園になる前は鉱山があり、そのまま私有地も残っているらしい。高級ロッジのあるカンティッシュナもその一部。) 事前に入念にオブザベーションしていたのが功を奏し、目的の尾根に難なく乗ることができ、そこから少し歩くと、はっきりとしたトレースがあった。バックカントリーはトレースを作らないように歩くんじゃないのか?と少し疑問に思ったが、トレースがあると楽ちんなのでついついそこに乗りたくなってしまう。
少し高度をあげ、トレースから外れた所にある、広くフラットな所に出た。その場所はあたり一面にブルーベリーの実が誰にも侵されることなく生い茂り、守り神のようにカリブーの角が落ちていた。素晴らしく美しい場所。
パークロードから見える所、さらにパークロードから0.5マイル以内の箇所でテントを張ってはいけないことになっているが、地図とGPSで確認するとこの場所はギリギリでセーフだ。よってこの場を今夜の宿泊地とすることに決定。夕食のラーメンを食べて、ベリーを詰めるだけ摘み就寝。星が多い。オーロラは出なかったがいつまでも顔をテントの外に出して夜空を眺めていた。
3日目
8:30行動開始。途中まで明瞭だったトレースが薄くなり、unit15内のワンダーレイク西にある平たい丘のようなピークに出る前にバウンダリのサインあり。ここが地図上でのWilderness Boundaryの境界であり、unit43とunit15の境でもある。
さらに丘を超え、平坦なところへ行こうとしたがブッシュに阻まれ少し下の薄いトレースを南下するが、トレースが途切れるととてもきつい。でも時間に余裕があるのでゆっくり行く。
ようやく丘の南端まで来た。この辺りはワンダーレイクから登ってくる人がいるのか、踏み跡がしっかりと付いている所がある。眼下にはワンダーレイク、目の前にはマッキンリー。素晴らしいロケーションだ。しばし私は陽だまりの中でウトウトし、旦那さんは近くの丘に登りに行く。
余りの素敵な風景に、もし明日の朝6:30のバスに乗らなくてよいなら、ここに泊まりたいと思う。しかし私たちは明日16時に出発するフェアバンクス行きの列車に乗る予定で、そのためには朝6:30にこの下のキャンプ場から出発するバスに乗る必要があった。ここに泊まったのでは、4時前位からおそらく2時間以上かけて既知ではない山道をバス停に向けて下る事になるため、私たちのテン場としては相応しくなかった。
さて、ここからどうするか。
Unit15内でキャンプ地を探すのだが、ここからさらに南の池塘の方に降りるか、東の樹林帯を下り、ワンダーレイクへと降りるか、地図を見ながら考える。
これが実は大変厄介で、ワンダーレイク周辺はバックカントリー禁止エリアなのでワンダーレイクに隣接するエリアであるunit15内の、かつワンダーレイクから離れすぎないところでキャンプし(あまり離れると、真っ暗な中翌朝バス停に向かうのが大変になる)翌朝夜が明ける前にテントを撤収、バス停まで真っ暗な中を歩かなければならないのだ。GPSがあるので道に迷う可能性は低いが、既知ではない道、トレースもなさそうな道、さらに地図を見る限りそのエリアは池塘の点在するエリアを夜も明けないうちにあるバス停まで移動しなければいけないなんてありえない。
そのため、一度ワンダーレイクまで降りてそこから南に下り、McKinley Bar trailという有名なトレッキングルートをへて、McKinley Bar Riverにぶつかったところで川沿いに1マイルほど西に向かってunit15に入り、翌朝来た道をワンダーレイクへと戻る、という案が浮上した。
整備された有名なトレイルなら、夜中通っても道に迷う心配がないだろうし、なにしろこのトレイルは南北にほぼ垂直に通っているため、仮にトレイルをロストしてもGPSとコンパスがあれば迷う心配はないと思った。さらに明るいうちに一度通るので、翌朝折り返す時も土地勘があるだろうとのことで、こちらの案を採用することとなった。
そして意を決した私たちは、東にある樹林帯に突っ込む。
そうした途端トレースがあった。それに従いどんどん下がる。ここはもちろん、いつグリズリーと遭遇してもおかしくない藪こぎ状態で、とにかく大声を出す必要があり、Hi, Bear!と呼び続ける。ようやく湖辺に到着。それからは湖沿いに南下してキャンプ場に行くだけだ。しかしその水際はクマ御用達の道のようで、踏みあとのしっかり付いたわかりやすい道だと思ったら、人間の足跡ではなく、ぬかるんだマッディな所に大きなクマの足跡、そして点在する1リットルくらいの大きな落し物。さすがに恐怖を感じ、声を枯らしながらHi, Bear!と言い続けた。そしてようやくレイクに面する突端のベンチで一呼吸する。誰もいない静かな湖畔の風景は昨日のにぎやかな雰囲気とは異なり、人もまばらだ。そしてマッキンリーバートレイル分岐に到着、14:30出発した。
マッキンリーバートレイルはとても綺麗に整備された緩やかなトレイルで、人気があるのも頷ける。これなら真っ暗な中通っても、問題なく帰ってこられそうだ。
4マイルなので1時間くらい。途中にはレインディアが4頭いた。家族だろうか。最初2匹、見ていたら1頭ずつ増えて、最後には4頭になった。こっちをちょっと気にしながら草をむしゃむしゃ食べている。とても可愛い。そして通る人がみんな摘んでいるのがブルーベリーではなくクランベリーだった。真似して私達も摘んでみた。喉が乾いたらブルーベリーを食べた。クランベリーは酸っぱかったがジャムにすればいいと思う。道中かなり真剣にベリーを摘みまくった結果、ようやく16:00にMcKinley Bar River に到着。てっきり河原があり、それにそってunit15に進めばいいのかと思っていたが、マッキンリーバーには河原が無く、渡渉しないとunit15には行けないことを知る。
Unit15方面の西側はかなり深い樹林帯だ。相当早い川の流れで、今渡っても明日の未明に渡れるわけがないので渡渉は却下。西の樹林帯に入っていき、unit15に入ったあたりでテントを張った。夕食を早めに食べて、私は日記を書き、旦那さんはベリーをさらに摘みに行く。このあたりはクランベリーの宝庫だ。
まったりと川と対岸の山を眺めつつ、8時半頃暗くなったので就寝。川には大きなムースの足跡があったが、寝ている時にムースが来ることはなかった。
しかし、大人気エリアで有名なunit15。レンジャーの人は「バートレイルの終点から、川沿いに左に行けばunit14、右に行けばunit15だよ。わかりやすいからみんなこのエリアに行きたがる。」って言ってたけど…渡渉があるのにそんなに皆行きたがるのかな?謎が深まった1日でした。
4日目
4時出発、デナリ最後の1日が始まった。真っ暗な中、マッキンリーバートレイルに再度合流、来た道を戻る。最近日本ではナイトハイクがはやっているが、暗闇の中のトレイルは不思議な感じだ。wildlifeと鉢合わせするのかとドキドキしたが、特に何も出なかった。喉が乾いたら道端のブルーベリーを食べる。冷え冷えでとても美味しい。
誰もいないバス停に着いたのが45分位前で、暇なのでワンダーレイクを見納めに行く。写真を撮り、とても暗いのでシャタースピードを30秒位にして撮影した。何処からともなく、カエルの鳴き声がしている。それが段々と近づき、老人か、喉の器官が悪い人のような声に変わり、声のするほうを見ると湿地帯の草むらから突然、ぬうっ、と何かが現れた。それは身の丈3メートルくらいはある大きなムースだった。声も出せずに立ちつくす。私達は池の突端の所にいたため、目の前に立ちふさがるムースにどうすることも出来なかった。後ろには池があり、後ずさりすることもできない、しばらく時間がたった。ムースはじーっとこっちを見ている。何もできずに立ちすくむ2人。
やがてムースはくるりと頭を動かし、何事もなかったように、フゴフゴと言いながら私たちの前をゆっくりと横切り、やがて湿地帯の中に消えていった。写真などとても撮れなかった。薄暗いフラッシュをたいてビックリさせて襲われたら大変だったし、それよりも何もできずに動けなくなるような神々しさがあった。『かはたれどき(彼は誰時)』というのが日本にはあるが、まさに私たちが日頃慣れ親しんでいる世界とは違うwildlifeという世界とのつながりを、この時感じた。
やがて6:30にバスは出発。行きと違ってバスは空いており、あまり途中の寄り道もせず、お昼前くらいにwilderness access centerに到着。途中のigloo campgroundから、日本人らしい若い男性が乗ってきた。その人にwacで話しかけられた。これからアンカレッジに帰るところだという。彼は世界一周旅行の終盤で、最後はフェアバンクスでオーロラを見てから帰国したいと言っていた。帰国したあとは、将来本屋を開くために、イギリスにて本屋の修行をするためにワーキングホリデービザを取得したいそうだ。素晴らしい。連絡先を交換し、彼はアンカレッジへ帰って行った。夢に向かって頑張れ!
私達は電車の出発時間まで2時間以上あるので、ハガキをポストオフィスに持って行ったり、モリノグリルの売店で、アイルソンビジターセンターに飾ってあったRee Nancarrowという素敵なキルト作家の作品の絵柄が入ったカードゲーム、お土産などを買った。ここの本で、bar riverで摘んだ赤い実が、lowbush cranberryという名前だと知った。そろそろ3時なので、ゆっくりと駅に向かう。チェックインを無事に済ませ、荷物も預けて身軽になり、売店をぶらぶら。シーズン終わりということもあり、すべて50パーセントオフの文字が踊る。やがて小雨の降る中を、黄色と深い青のDenali Starが入線してきた。そろそろこのデナリともお別れ。たくさんの美しい風景の思い出とと、たくさんのワイルドベリーを抱えて、私たちは列車に乗り込んだ。
(セクション2:ダルトンハイウェイ走行記に続きます。鋭意制作中!)
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する