宝剣岳と滑落
コースタイム
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年01月の天気図 |
写真
感想
正月山行の疲れが今一抜けずシャキッとしないので、日帰り出来て手頃な山に行こう、という事で木曽駒ケ岳へ。どうせならまだ単独では登った経験のない宝剣岳に挑戦してみようと思って、ザイル等も全部担いで千畳敷へ。遭対協の方々からもくれぐれも注意するように、と言い付かっていざ出発
宝剣岳はまだ夏道の鎖も出てましたが、雪もボチボチ付いていたので斜面を直登して頂上に。蒼天を満喫していざ下山。クライムダウンでも行けそうでしたが、せっかくザイル担いできたので練習がてら懸垂下降。傾斜が緩いとこまで降りてロープを片付けて一息付いたところで事件が。
人の声がしたと思ったらズザーと音が。まさかと思って上を見ると人が斜面から滑り落ちてきた・・・マズいと思ったものの距離が離れていてどうにも出来ない、一瞬最悪の瞬間が頭をよぎるものの、すんでのとこで露出していた夏道用の緑ロープに絡まってどうにか停止。
声を掛けると大丈夫だと返事が返ってきたが、よく見るとどうもおかしい。聞けば何とピッケルを持たずにストックだけで登ってきたと・・・ふと足元を見てさらに驚愕、トレッキング用の靴に前爪無しのチェーンアイゼン履いてる!?これには流石に呆れを通り過ぎて怒りが沸いて思わず「何考えてんだよ!ダメだよそんな装備で登っちゃ!」と言ってしまいました
付き合ってられん、と置いていこうと思うものの落ちた人はへたり込んでショックを受けてる空気がプンプンしてる。この先も緩いと言っても装備がきちんとしてる場合に限るし、もし次滑ったら今度はロープなんてどこにも出ていない・・・結局声を掛けて一緒に下山する事に
しかしチェーンアイゼンではまともに踏ん張る事なんて不可能。クライムダウンしようにもソールが柔らかいし前爪も無いから蹴りこんでも全然足場を作れない。仕方ないのでバイルを一本貸して、自分は先行してピッケルのブレードでステップをひたすら切りながら進みました。一人なら10分も掛からずに下山出来る道を結局3〜40分ほど掛けて下山。宝剣山荘の前にまで連れていってそこで別れましたが、別れ際改めて、毎年宝剣岳は死者も出る山だ、死にたくなければ二度とこんな真似はするな、と伝えておきました。
基本的に自分は人の登山にケチつけれる程立派では無いし、そもそも登山においては人とあまり絡みたくない。だからこういう事言うのはあまり好きじゃないですが、今回はあまりに酷すぎると感じます。あまりに無謀、短慮・・・もし例年並の降雪で夏道が全て埋まってたら今頃彼は死んでた可能性が高いです。
登山を新しい人がどんどん始める事自体は私は賛成派です(山道や山小屋の維持を未来に渡って続けていく為には、次の世代がどんどん山に入っていく必要があると考えるからですが)しかしその事が招くトラブルの数々を我々登山者自身が直視する事にも迫られているのではないでしょうか
今回の彼が完全に滑落すれば、当然救助の為ヘリやら救助隊が出る事になります。その事に対して多額の税金が使われている事に対して批判の声があるのは皆さんもご承知の事だと思います。そういった声に対して登山者の側から自浄作用を示さなければ、登山という文化自体が社会から駆逐されかねないと思いませんか?今回も誰か見かけた人が注意していれば・・・難しい理想論なのは分かっていますがそう思わずには居られません
そんな事を思いながら記録を書いている最中にも、登山経験の浅い人が雷雲の中を富士山に登った記録を自慢げに公開しているのを発見しました。前にも少し日記で書きましたが、こんな無謀で無茶苦茶な記録に拍手だらけなのはヤマレコというコミュニティの悪しき現実だと私は思います。
年始にあたり、登山という文化の先行きに少しばかり懸念を感じる山行でした
私もたいしたことを言える柄ではありませんが、
同様のことを良く思います。
年末に乗鞍にいったとき、昼前スタートで登山開始していた
初心者BCボーダーカップルに呆れました。
基礎を学ぶ場が必要ですね。
コメントありがとうございます。自分も書いておいて、ではどうするのか?と聞かれると悩んでしまう部分があります。行政などが啓発活動を進めていくのも一つ基礎を学ぶいい方法ではないかと思います。ヘリを飛ばすより絶対安上がりですしね・・・
はじめまして
aknetouchanと申します。
自分はしばらく前に宝剣に登ろうと思い途中まで向かいましたが
自分の技術、雪の状況から撤退をしました。
巻き添えをくらわなくて何よりでした。
またその方とのその後の行動、本当にお疲れ様です。
その方もさすがに懲りた事でしょう。
nagisukeさんのお蔭で装備の大切さや雪山の厳しさを理解したのではないかと
思います(それ以前に理解している必要が当然なければいけないと
思うのですが、、、)。
何はともあれどちらもご無事で何よりです。
コメントありがとうございます。その時はあまり気にも留めていませんでしたが、確かに自分の方に落ちてきたら危なかったですね 今回ばかりは本当に驚愕の装備でした・・・今回の事がキッカケになってキチンとした装備を揃えてくれる事を望むばかりです。
絶景の写真に魅せられます。私も一つ一つステップアップしてこんな山行にも挑戦してみたいと思います。とにかくご無事で何よりです。
毎度コメントありがとうございます。事件の事はさておいて、15〜16冬山シーズンでは今までで一番の蒼天で、風も穏やかで本当に良い天気でした。今期の中央アルプスは八ヶ岳界隈などと比較して、まだ雪が多い方なので是非一度行ってみて下さい
昨年、3月に御嶽で、滑落して立ち木にぶつかり、救護しましたが、ヘリが来たときには亡くなりました。その時も一人滑落してきて、ピッケルもなし、なくなった方も、軽アイゼンのみ、それが外れて滑落、ピッケルは、無し、皆さん山をナメすぎてますね。もっと技術をつけ、装備をしっかり使いこなせて、安全な登山をしてもらいたいですね。
コメントありがとうございます。(登山に熱中しておいてこんな事を言うのも大いなる矛盾ですが)自分は基本的に臆病者ですし単独行なので何かあったら助からない、という恐怖心が先に立つので、軽装の人を見ると怖くないのかな?と何時も疑問に感じてしまいます。そんな慎重さが薄れた時こそが危ないのかもしれないですね
冬山装備があっても使いこなせないとしかたないですよね
書店に行くと、誰でもすぐに冬山に登れそうな本がたくさんありますね
道具は、すぐに買えるし・・・・
出来るだけかかわりたくないですね
コメントありがとうございます。自分も雪山を始める時はどうしたら良いのか分からず駒ってしまった記憶はあります。色々勉強出来る場がもっとあれば良いと思うのですが・・・
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