久恋の山・赤津山ー西ノ峰まで
- GPS
- --:--
- 距離
- 7.2km
- 登り
- 995m
- 下り
- 978m
コースタイム
- 山行
- 5:45
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 6:35
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・加治川治水ダムからは車の乗り入れ不可。 ・ダムから6km余りの林道脇、右手に東北電力の看板、左手のブナの木に赤いペンキの印があり、そこが登り口。 ・道は草におおわれている個所もあるが、おおむね明瞭についている。 |
写真
感想
赤津山という山の名を初めて目にしたのは、焼峰山に登った時だった。頂上に近い見晴らしのいい尾根上に、遭難碑が建っていた。碑には昭和32年12月30日、本田修蔵という人が赤津山の帰途、ここで命を落としたという趣旨のことが刻まれていた。地元の新発田高校山岳部の合宿訓練中の遭難事故だったようだ。
その時から何となく気になる山ではあったが、登山道も整備されておらず、自分のような素人がひとりで行けるような山でないと、遠くから眺めるだけだった。
先月、二王子岳を経て二本木山に登った折、この赤津山がばかに立派に眺められた。過去の山行記録などを参考にして、ともかく行けるところまで行ってみることにした。
加治川治水ダムから林道を6km余り行くと、道路の左脇に、赤いペンキの目印が付いたブナの木があり、そこが登山口だ。右わきには東北電力の「危ない」という注意喚起の看板が設置してあり、それも目印になる。
登り口からは、いきなり、ブナの大木が林立する急登が始まる。ところどころ木の幹に付けられた目印を拾いながら、これでもか、これでもか、というくらいの急斜面が続く。
それにしても、今日は朝から気温が高い。早朝のひんやりとした空気というものが全く感じられない。たちまちのうちに、汗が噴き出し、地面にしたたり落ちる。
途中2、3箇所、ロープがつけられている急坂を通過しながら、標高600mあたりまで登りつくと、やや登りは緩やかになったが、今度は、ヤセ尾根となり、両側が切れ落ちた箇所が断続的にあらわれて、神経を使う。さらに、小さなアップダウンも連続して、どんどん体力を奪っていく。
716m峰付近まで来ると、赤津山の手前の切歯状の峰・三本槍、が見えてくる。あそこを通過しないと山頂に行けないかと思うと、既に、半ば逃げ腰になりそうだ。そして、このころから、目に見えて、ペースが落ちてきた。そのうち、前方に険しい岩峰の登りがあらわれ、這い登るようにして、何とか通過する。
一般の登山道のように、登りやすいように道が切られていないので、何ともきつい。これは、とりあえず、941メートル峰まで行き、引き返すことも考えようと、のろのろと登り続ける。
941メートル付近まで来ると、赤津山の姿が大きくはっきり目に入るようになる。飯豊の峰々は、山頂部が雲におおわれ、山腹の雪渓だけが白くもやっている。ここでUターンのつもりだったが、前方を眺めると、次第に、斜面が広く、緩やかになり、少し登りが楽になって行くように見える。時間的にはまだ余裕があるので、せめて西ノ峰までと、欲がわいて来た。
ヤマツツジやミツバツツジ、シラネアオイ、イワウチワなどの花々が目に付くようになってくる頃、ようやく西ノ峰に登りついた。赤津山に至る険しい稜線が、目の前に立ちはだかる感じで、くっきりと目に飛び込んできた。何とも素晴らしい眺めだが、残念ながら、ここでギブアップしようと、自分に言い聞かせる。この険しいアップダウンを往復した後、来た道を下山する力はもう残っていない。
食事をして、山頂からの眺めに、しばしの時を過ごす。二王子岳、二ツ峰、門内岳、北股岳、飯豊本山、大日岳と晴れ渡っていれば、またとない絶景だろうに。
下り始めて直ぐに、右太もも裏が攣りそうになる。こんなところで痙攣が起きたら、下るに下れない。慎重に、ゆっくりと足を運び始めたが、ちょっとした登りの場面で、遂に筋肉が硬直し、強い痛みが走り、歩行できなくなる。その場に、腰を下ろしてから、ストレッチをする。しばらくすると治まったので、水分補給をしてから、緩慢に歩き出す。
なるべく右足に負担を掛けないよう、左足を軸にして動いていたら、何と、今度は左足に痙攣が走り、連鎖するように右足も硬直。長く山に登っているが、こんなに激しく、しかも両足が同時に攣るのは初めてのことで、ショックだった。
こんな状態で、登山口までたどり着けるのだろうか、と不安がよぎる。しかし、痙攣というのは、ずっと続くことはない、必ず治まると、いい聞かせる。ともかく水分を多く取り、しばらく休んだ後、ゆっくり歩き始めた。
その後も、何回か、攣りそうになったが、幸い、次第に治まって来た。下りながら、よくこんなところを登って来たなと、思う。
ふと見上げると、いつの間にか、飯豊の峰々にかかる雲も取れ、大日岳が堂々とした姿をあらわしていた。稜線上に、小さくぽつんと御西小屋も確認できる。
ヤセ尾根を通過し、ブナの林の急坂を下り、眼下に林道が見えたときは、さすがにほっと胸をなでおろした。持参した水も、ちょうど底をついたところだった。
登り口まで戻って来て、さすがに悔しい思いも残ったが、無事に下りてこられた安堵感の方が強かった。リベンジについては、気持ちはあるが、体がついていけるかどうか。何といっても、登山口までの6km余りの林道が車を使えないのが、大きい。
久恋の山で終わるかもしれないが、それはそれでいいのかも知れない。
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