ウェストン「日本アルプスの登山と探検」とほぼ同時代の、まだ登山が一般的でない頃の北アルプス、奥秩父での山行が思索的な文章でつづられている。英文学者らしく、自然の描写がなんとも詩的。
読み進める中で気になったのが、現代と比べると圧倒的に貧弱な装備だ。当然登山靴などなく、草鞋を何足も持っていき鼻緒が切れたら新しいものに履きかえている。草鞋なんて今でいえばワラーチみたいなもので、ほとんど裸足も同然である。そんな頼りない足元で北アルプスを縦走する、近代登山黎明期の日本人の力強さを感じる。明治時代の列強国へ追いつこうとするがむしゃらな日本人像が思い浮かぶ。食料は米と味噌が主食、枯れ枝を集めて火をおこす、雨具は蓑など、現代と比べると圧倒的に不便な条件でもどうしても山に行きたくなる強い衝動が著者にはあったのだろう。
著者は山に目覚めた20代半ばから北アルプスへ度々訪れているが、歳を経るにつれ山行の目的が、頂上へ登ることや縦走ではなく渓谷や未踏の山域を訪れることに変わっていくことも興味深い。自分はまだ北アルプスの山に登ったこともないので、とにかくたくさんの山頂を踏みたいと思っているが、いつか山を別の視点から楽しめるようになるのだろうか。
今年の夏は本作にもあった甲武信岳へ登ってみようと思っている。この本を読んだ後だけに、現代の登山道具のありがたみを感じながら登りたい。
こんばんは。
荻窪といえば、「マウント・フレンド」かな。略して”フレンド”と呼ばれてますが。
わたしも山書が好きです。
こんどフレンドに行く機会があったら「ささま書店」をのぞいてみよう。
甲武信岳は、笛吹川・東沢、釜の沢を沢登りで登ったことがあります。沢登りでの登山を実行した理由は、昔、甲武信岳の登路はこの沢を遡行することがメインであった等といわれていることと、「笛吹川・東沢、釜の沢」の美しさ・渓谷美を堪能したかったためです。
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最近読んだ山書
「語りかける山」飯田年穂著。
*感想:古書として購入、読後はH県営の温泉付き山小屋、○○○○小屋に寄贈しようと思っ てましたが、ずっと手元においておきたい山書になりました。
再読中の山書
「第7級」ラインホルト・メスナー著
*感想:昔購入した山書ですが、最近クロス・ヒルさんの日記を読んで感銘を受け、再読中 です。わたしのプロフィールに追記しておきたいと思います。
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>いつか山を別の視点から楽しめるようになるのだろう>か。
整備された登山道を登る一般的な登山。これに対して登山道以外のバリュエーションに岩・沢・山スキー・一部の雪山等があります。難し過ぎるように一般的に思われているかもしれませんが、機会があれば覗いてみてください。新しい世界が待っているかもしれません。
私的には、夏季休暇中に2泊3日で山中の秘湯(電気無し、携帯不通、2時間程度の山歩きを要する等)をベースに沢登の予定です。
piscoさん
こんばんは。
ささま書店はマウント・フレンドのすぐ近くなので機会があれば是非のぞいてみてください。
私はマウント・フレンドで買い物したことはないのですが。。。
「山と渓谷」にも笛吹川の遡行の記録があったので、いつか沢登で訪れてみたいですね。まずは今年の夏に甲武信岳を絡めて2泊の縦走で奥秩父を堪能したいと思います。
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