![]() |
![]() |
![]() |
早朝、天気もよくて、熊に用心しながら声を出して森を歩いた。渡渉を繰り返し、どんどん奥へ進むと目の前に滝が現れた。高いところから流れ落ち、飛沫となって辺りに舞っている。
どこに行けばいいのかと思っていたら、滝の右手に大きな岩があり、この岩と壁の隙間をよじ登るらしい。鎖を掴んで壁を登り近づいてみると、上から水流が激しく落ちているではないか!しかも水は冷たく、手が凍える。この隙間にもロープが下がっていて、足場はよく滑る岩だ。大きな岩の向こうは見えない。
ロープを掴んで登ろうとしたら、たちまち肘と膝までびしょ濡れ。手が冷たくて仕方なく、私はすぐに諦めた。手が痛いのを我慢して、鎖を頼ってゆっくり下降した。青い空と稜線を恨めしく見上げながら、滝の下の、陽の当たる石の上で両手をもみもみしていたわった。
大きな休憩をし、腰を上げてもと来た道を引き返した。私は諦めきれず、今度は車で有明荘まで行き、裏参道に挑むことにした。さっきのは表参道だ。
急登をぐいぐいと登る。なかなかの傾斜だ。すれ違う女の人も、ずっとこんなふうだと言っていた。雪が積もっていて、アイゼンが必要とも言っていた。私はこの時点で、もう登頂は諦めた。行けるとこまで行こうと疲れた足を持ち上げた。何人かの男性とすれ違ったが、みな挨拶のみだった。樹木は豊富に生えていて、根っこが階段代わりだ。崖っぷちの危険箇所では鎖が張ってある。残雪が積もり、雪が降ってきたころ、心細くなり引き返した。木々の間にあった目前の燕岳も見えなくなってきた。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する