山行記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1580990.html
【9月1日】
ジュネーブに朝到着、そのまま鉄道でLe Bouveretへ。駅には改札がなくそのまま乗車。2時間弱で到着し、受付会場へ向かう。
会場は飲食店のテラス一角で行われていた。とても小規模で、トルデジアン（TDG）どころか国内のローカル大会レベルで若干不安になる。必須装備のうち3点をごく簡単に調べたら終了、ビブとドロップバッグ受領。
このバッグが問題で、あっさり壊れる。ファスナー破損は勿論のこと、中に荷物が入っていると持ち上げた際に袋が紙のように破れる。突起物があれば穴が空く。インナーバッグがないと荷物が零れ落ちる危険があるので、収容物はスタッフバッグに分けて入れた。
ともかくもこの日やることは終わったので、近くのスーパーを物色。物価は本当に高い。乳製品・パンなど地元の品は安いが、それ以外は全て２倍以上の価格。パン、サラダ、ハム、チーズ、豆乳を買ってレマン湖畔で昼食。その後宿へ。
余談だが、買った安チーズは強烈な納豆臭で、口に入れても不快な食感・粘り。腹の調子もおかしくなった。本当にチーズだったのだろうか。
【２日】
豪華な朝食後、スタート会場Overwaldへ出発。Le Bouveretから４時間弱で、昼前に到着。会場へ向かう途中、多くの選手がドロップバッグを破損しているのを見て、やはりなと思う。ドロップバッグ・ゴールへ送る荷物を預け、GPSをザックに取付けられて最後の手続き終了。このGPSも不調で、自分のものは全く機能せず。
スタート前、カウントダウン途中で号砲が鳴りそのままなし崩しでスタート（13時）。数ｋｍロードを進むとシングルトラック。天気は回復して暑い位。初日はみな飛ばし気味、自分もTDGでは初日やり過ぎたので今回は慎重に進む。
道は明瞭でマーキングもあるが、第3エイドChaserstattへ緩やかに降りる道は不明瞭で分かり辛かった。先行者と反射テープを頼りにどうにか進む。
24時前に第1ライフベース到着。ボロネーゼを食べ、ビールを横目に睡眠室へ。飲めるものなら飲みたかったが注文の仕方が分からなかった。睡眠スペースは定員20人と表示されており、自分が寝る際は2段ベッド下段満員、上段に1名。上段で3時間寝る。
【3日】
起きると睡眠室は満員。外国人に「もう出るのか」と急かされたので、場所を譲って出発準備。外には睡眠室に入れずベンチで横になる人、椅子でうな垂れる人などがおり暗い雰囲気。4時前に出発。若干雨が降ったらしく路面は濡れていた。
今日も良い天気で体調も良好。9月だが花はまだ多く残っている。第2セクションは大きなアップダウンがないので気持ち良く進むが、途中30分ロスト。16時半に第2ライフベース到着。
TDGではライフベースに日中到着した際すぐ出発してその後ジリ貧だったが、今回はその反省を踏まえて休憩を取ることにした。幸い睡眠スペースに空きがあったので1時間横になる。多少は寝れたと思う。
18時前に出発。第3セクション中盤（125�勸漫砲�らはひたすら強烈なアップダウンの繰り返し。2つ先のエイドで仮眠を取る予定で進み22時過ぎに到着。眠気もあり良いタイミングと思ったら、小屋主に「ここで寝ることはできない」と突っ撥ねられる。次のエイドまで13�辧�D+900m・D-1000m。暗澹とした気持ちでとぼとぼ進む。
【4日】
登り途中、眠すぎてその場で横になる。5分位で目が覚め出発しコルを越えるも、下りで眠気が再発し、幻覚で足元が歪み出す。仕方ないのでウインドブレーカーを脱ぎ、寒気で目を覚ましながら何とか下る。
4時前にエイド到着、仮眠ができるとのことなのですぐ寝る。仮眠スペースはかなり寒く、毛布は一人一枚なので、芋虫のように丸まって1時間半睡眠。6時前に出発。
夜明けと共に圧倒的な絶景が姿を現す。一時疲れを忘れながらも進み9時に第3ライフベース到着。足に疲れがあるので15分位横になってから10時出発。
いきなり1200mの超急登、しかもゲレンデで登り辛い。途中途中休みながらコルまで登ると、その先にはモウリー湖の絶景。つくづく好天に感謝しながらも、疲れないよう慎重に進む。その次のCol de Torrentからみた景色には、初見の北アに匹敵する衝撃を受けた。こんなに山を楽しく歩けたのは初めてかもしれない。本当に、来て良かった。自分が山に登っている理由をはっきりと理解できた時間だった。
その次のコルを越えるとディックス湖の堰堤が見え、近くの施設が第4ライフベース。麓まで下るのだが、この下りの道が途中から下草が茂りこれまた分かり辛い。暗くなったので反射テープ頼りに進む。
麓は170�劵魁璽垢離好拭璽斑賄澄�ここから堰堤までは舗装路が繋がっているが、コースは適宜トレイルに入りながら登っていく。これも暗いと分かり辛く、一度逆走した。
22時過ぎに第4ライフベース到着するも、ドロップバッグがないと言われる。思わずWhy?などと言ってしまったが、言われた方もWhyだからどうしようもない。数時間寝るのでその間によろしくと伝え、食事を取って睡眠。最悪なくてもどうにかなるのであまり心配せず4.5時間熟睡。
【5日】
3時過ぎに起床、ドロップバッグは届いていた。シャワーを浴び食事をし、テーピングを貼りかえる。良く寝れたので疲れはほとんどなく十分リフレッシュできた。再スタートのつもりで5時前に行動開始。
第5セクション前半はコース最高峰の2900mの稜線。岩稜帯なのだが、早朝は岩に霜が降りて非常に滑りやすい。転倒の仕方によっては大怪我に繋がるので慎重に進む。風が弱いので寒くないのが幸いだった。
岩場を越え下りに入ると、今日も最高の景色が待っていた。朝日で金色に輝く草原、湖に映る山々、のどかな放牧風景、ほのかに赤く染まる草紅葉。見る景色全てが美しい。
第5セクションは下り基調。1500mの下りが2発続くのでなかなかきつい。夕方に799mまで降りるとかなり暑く、軽く水浴びをした。18時半に第5ライフベースへ到着し、1時間仮眠。20時前に出発。
【6日】
20�區覆�1時半finhautで仮眠。仮眠場所はソファー4つで運よく最後のソファーで寝れたが、後から来た人は地べたに毛布・そのまま雑魚寝など、大きな待遇の差があった。つくづく運任せのレースである。
3時半に出発。この後の2400m級2峰を越えれば、その先は2000mクラスだけ。最後の高山帯を楽しむも、この日から曇り基調で時折雨が降る。しかし早朝には朝焼けのTour Salliereがsalanfe湖に映るという絶景を見れ心が弾む。
穂高のような岩稜帯を登りCol de Susanfeを越えると1500mの下り。雨が降る中12時過ぎに第6ライフベースに到着。ここは立派なスポーツ施設で仮眠場所も一番しっかりしていた。到着が一番ばらける地点なのでここが一番簡素でよいと思うのだが…食事してシャワーを浴び1時間仮眠。14時に出発。
早速1000mの登りで後半は刃渡りのような場所もある岩場。登りきると800m下り800m登る。前半の1500m以上のアップダウンに比べればましなのだが、よくよく考えるとこれも十分きついアップダウン。そして道が泥濘でとにかく滑りやすい。登ってもずり落ち非常に厄介だった。
23時半にTorgon到着。夜になって頭も足も疲れ、靴もずぶ濡れなので気持ちをリセットすべく最後の仮眠。1.5時間寝る。
【7日】
1時過ぎに起床、濡れた靴を嫌々履いて出発。あと20�辧∈埜紊�2回登ればあとは下るだけ。細かい登りと思うも700m、500mの登り。暗いので展望もない。淡々と進むが、途中ガスが出て道が分かり辛くなる。反射テープを頼りに進む。
登り切って最後のエイドを越えるとゴールまで長い長い下り。最後なので走ったが、延々と続くつづら折りの道に嫌気がさす。頼むから下ってくれ、という程平坦な道。TDGもそうだが、なぜこんな道を作るのだろうか。
やっと下り切れば、あとはゴールまで湖畔沿いを進むのみ。長い5日間を振り返りながらゴールへ。会場は人がまばらで、ゴールしてもスタッフ2，3人が簡素に拍手してくれたのみ。省エネでよい。
ゴール後は荷物を受け取り、シャワーを浴びて昼前まで仮眠。天候も回復したので、みな気持ちよく走っているだろう。
昼過ぎに宿へ移動後、スーパーで物色。やはり高い。サラダとトマト味のツナ缶詰、ビール1本ワイン2本で夕食。現地産のワインは微発砲でとても美味しかった。そして12時間寝る。
【8日】
閉会式は明日なので、ただ寝てるだけなのも勿体ないので近くの山へ行くことにする。電車とゴンドラで計1.5時間、2048mのBerneuseへ。今日も快晴、展望は素晴らしい。足の回復はまだまだだが歩けなくもない。4時間ほどトレッキングを楽しむ。
帰ったらサラミパンとカレー味のツナ缶詰、ビールとワイン各1本で夕食、そして7時間睡眠。
【9日】
午前中はブドウ畑を散策し、城兼ワイン博物館へ。土産のワイン3本を買い、午後はLe Bouveretで閉会式。完走者は壇上に上がるのだが、半分の人数で満員。どうせこんな感じでごたつくと思っていたので、完走記念のシャツだけもらって帰る。
日本人の方と軽く食事をした後、ジュネーブへ。レマン湖を見て感慨に浸る。本当に最高の5日間だった。数年後大会がもっと洗練されればまた参加したいとも思うが、その前に個人的な登山で初夏に訪れたい。山の楽しみを再認識し、また大きく広げることが出来た素晴らしい経験だった。
ジュネーブは当たり前だが都会で、喧噪が嫌になってすぐホステルに向かい就寝。中国人の気違いじみたいびきもあまり気にならなかった。
【10日】
朝の便で日本へ。
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