※遭難者に関する記述があります。気にされる方は読むのをお控えください。
※担当者によると遭難者の身元が判明したようでした。ご冥福をお祈りいたします。
連休最終日、近辺で少しでも条件の良い山が無いか探し、決めたのは白神岳だった。
昼までに山頂へ到着する想定で家から出発。
登山口へ繋がる道は、昨年の大雨によって国道から間もなくの地点で崩壊しており、3キロほど余計に歩く必要がある。山頂までのハードルが上がった形だが、その分の時間が確保できれば大勢に影響はない。
今回も3月に登った時と同じく、黒崎漁港の空きスペースに車を停めさせてもらった。
身支度をしながら、そこから見える山頂付近はガスだったが、想定の範囲内で問題なし。
線路を渡り、国道も渡り、マイペースを保ちながらじっくり歩く。
時間は10時をまわり、マテ山分岐を過ぎると風が出てきてガスも多くなってきた。
太陽の光も弱くなり徐々に寒くなってきたので、休憩がてらウェアを重ね着して先へ進む。大峰分岐に到着すると、残雪とガスの影響でホワイトアウト状態。慎重に夏道を探りながら歩き、無事に山頂へ。ここまで誰とも会わなかった。ランチタイムにはまだ早かったが、綺麗な避難小屋で休憩した。
眺望は良くなる気配がなく、適当に休憩したあとはマッタリ下山開始。ずっとガスが晴れなかったため、大峰分岐まで慎重に歩いた。
少し下るとガスから抜け、深浦の街並みが見え、写真を撮ったりした。
今日は誰とも会わない日か。連休最終日は皆さん移動日なんだろう、などと考えながら歩いていた。
そんな時、登山道脇の斜面から10mほどのところに、雪や草に埋もれた鮮やかなブルーの何かが見えた。ゴミ?・・・少し立ち止まって良く見る。
・・・違和感があったため、登山道を少し戻って角度を変えて再び良く見る。何か様子がおかしい。まだ雪の残るその斜面を少し下り、少しずつ近づく。・・・?・・・ウェア??まさか・・・・・・!!!
動かなくなった人を見るのは一般的に亡くなった親族やそのほか知人などで、しかも滅多にあることではない。
だが今回は状況が全く違う。山中だし、周りは少し荒れている。あまりの衝撃に身体が固まった。怖くてそれ以上は近づけなかった。
これは大変だ。周りに頼れる人などおらず、すがるものは110番通報のみ。何の躊躇も無く電話(人生初)した。ここが電波の通じる場所で本当に良かった。後から思えば、電話越しに人と会話をし、それによって気を紛らわすことが出来ていたのかもしれない。
状況を伝えた後は手を合わせ、早々に下山開始。
残酷な気はしたが、ここにいてもどうしようもなかった。
白神岳での遭難情報は把握していないし、あの方はいったいいつ山に入ったのか、どこから来た人なのか。遭難に関する通報者がいない(?)ことなど、疑問は残るが、あとはプロが調べるのだろう。
下山後、警察担当者と待ち合わせし、位置情報を提供するなどしてから帰路に着いた。
それから二日。担当者から連絡が入り、ヘリで現場から引き上げられたとのことだった。
身元が判明すれば家族のもとに帰ることができるだろう、そう心で思い電話を切った。
これで自分の気持ちも少し落ち着いた。
遭難された方のご冥福をお祈りいたします。
山で何が起こるかは予測不能。
明日は我が身。貴重な経験となった。
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