「おはようございます。」と声をかけると、「どこまで行くの?登山届け出して行ってね。」と言う。
「林道を少し歩いて来ます。今から登山届け出してきますね。」
するとお母さんは、
「最近、登山届け出して行かない人が多いの。さっきの人たちも出して行かなかったのよ。」と先行されたパーティがトイレのみの利用で登山届けを出して行かなかったと言う。今はネットでも出せるので、もしかしたらそうしているのかもと伝えると、
「それなら良いんだけどね。」と言いつつ、ちょっと心配そうな顔をしていた。
このビジターセンターは施設そのものは冬季閉鎖しているものの、入り口と風除室は常に開放し私達のような登山者の起点になっているだけでなく、雪のイベントなどに使用される他、何かの際には救助の拠点にもなっている。そのため、いつでも対応できるようにと除雪をしてくださっているのだ。
コロナ禍で多くの行動が制限がされる中、自然あふれるこの土地に注目が集まり以前よりたくさんの人が訪れるようになった。その反面、軽装で入山する人や数日間駐車場に止めたままの車などが増え、お母さんは気が気でないと言う。
昔からこの土地に住みたくさんの登山者を見送ってきたが、必ずしも全員が安全に戻ってくるとは限らない。それを何度となく目の当たりにしては心を痛めてきた。だからこそ皆の安全を願わずにはいられないのだ。
誰だって自分の住む土地で悲しい事故や事件が起きるのは嫌なもの。私たちが「大丈夫だろう」と安易な気持ちで入山する事は、その土地に住むお母さんのような方達に心配を掛けるだけでなく、大変な迷惑をお掛けする事になりかねない。
ビジターセンターまで戻ると、お母さんたちが掻いてくれた雪はたった数時間足らずで10cm以上積もっていた。きっとお母さんたちはまた除雪しに来るだろう。気休めにもならないが少しでもと思いスコップを手に取り除雪を始める。降りたてのフカフカの雪は決して軽くない。これを毎日毎日何度も行なっている。私たちは汗を掻きながら黙々と作業をした。
自宅前の雪掻きに出てきたお母さんがこちらに気付き「ありがとうね〜」と手を振っている。いえ、感謝するのは私たちの方。お母さんのような方がいるからこそ、安心して山に入って行ける。
吹雪く雪の中をただ歩きに訪れたこの日、何気なく起点としたその土地の人の想いを知った。そして、安全に勝るものはなく、無事に帰る事の大切さを改めて実感した。
こんにちはTNINNINTさん 昨夜の地震には驚きました。TNINNINTさんの所はどうでしたか。
私も二口山塊は好みの場所で、数度しか訪れた事しかないビジターセンターですが地元ならではの展示方法に関心を持ち、運営方法が地元志向でやられているんだなと気づきました。
「ここのジターセンター私ビたちが「大丈夫だろう」と安易な気持ちで入山する事は、その土地に住むお母さんのような方達に心配を掛けるだけでなく、大変な迷惑をお掛けする事になりかねない。」ここ大事です oyaziより
oyaziさん、こんばんは。
昨夜の地震には驚きましたね。被害等は特になく無事に過ごしております。東日本大震災から10年。節目の年に「あの日を忘れるな」と教訓を得たようでした。
ビジターセンターのご近所のお母さんたちは、本当にこの土地を愛し、来てくれる人を歓迎し、そして心から安全を願っていると感じました。
いつも、何か起こってから対処方法を考えがちですが、今回の地震然り「予防と備えあっての安全」という認識を常に心に留めておくことが大切だと教えていただきました。
こんにちはTNINNINTさん 被害なく無事で安心しました。
「気休めにもならないが少しでもと思いスコップを手に取り除雪を始める。降りたてのフカフカの雪は決して軽くない。これを毎日毎日何度も行なっている。私たちは汗を掻きながら黙々と作業をした。」ご苦労様です。
「あの日を忘れるな」まさにその通りです oyaziより
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