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ココヘリの弱点をカバーをする機器としては、衛星ネットワークを使った機器（Garmin InReach等のSEND(Satellite Emergency Notification Devices)、PLB等）も紹介しました。
（ https://kenjiro-t.hatenablog.com/entry/2024/06/04/ ）
今回はその調査結果にココヘリを加え、表にまとめて比較してみました。添付のイメージ１枚目になります。黄色セルはポジティブポイント、水色はネガティブポイントです。
なお、GEOS国際緊急対応連携センター（IERCC）は、2021年にGarmin社がGEOS社とIERCCを買収して傘下に入れています
遭難時の海外でのSOS発信についてのイメージを作ってみました。添付のイメージ２枚目が海外での一般的なイメージです。衛星ネットワークを用いたデバイス、遭難信号の受信機関、受信機関との捜索・救助機関の連携が構築されているため、利用も普及していると思われます。
次に日本国内での状況を、添付のイメージ３枚目にまとめてみました。Appleは国内提供なし、PLBは海上利用のみ。海上保安庁での地上設備については警察は含まれておらず、電波受信から救助活動の調整まで、すべてを海上保安庁の関係機関で行っているようです。
またGEOS国際緊急対応連携センター（IERCC）の日本国内での対応については、殆ど情報がないのですが、公式サイトでも日本は対象外エリアにはなっていないですし、↓の情報を見ると日本語対応をしていると。おそらく国内でも対応しているはずです（この辺の情報ある方、教えてください）。
では、現状の環境で、国内での山岳遭難デバイスとして何を選択するかです
・PLBはサブスクリプション費用が不要ですが、日本国内では山岳地域は対象外のため使えません。仮に使えたとしても、SOS遭難信号の発信（発信後30時間）のみであり、メッセージ通信ができない点がマイナスです。完全なSOS遭難発信専用の機器です。
・iPhone 14以降の機種も魅力的なサービスですが、現状では日本国内で未提供です。遭難信号の受信組織がIERCCではなく独自で行っているため、日本国内での調整には時間がかかるのではないかと考えられます（日本国内でサービスを提供しても利益が出ないため、Apple社がサービス提供しない可能性もあります）。ただし、Apple社はこの分野にも力を入れれば、今後はゲームチェンジャーになる可能性もあります。
https://techcrunch.com/2024/06/10/iphones-will-soon-text-via-satellite/
https://www.youtube.com/watch?v=966F34ZeinQ
・GlobalStarは国内で使えますが、衛星ネットワークがIridiumよりカバーエリアで若干劣ります（衛星の数の違い、八ヶ岳周辺での利用不可など）。Garmin InReachと比較して、あえてGlobalStarを選択する理由はありません。
・ZoleoはほぼGarmin InReachと同じ仕組みのようですが、国内で契約ができず、Garminよりサブスクリプション費用が高いため、あえて選択する理由はありません。
・上記を考慮すると、日本国内で衛星通信を使った遭難対策機器はGarmin InReachの一択になると思います。
・あとは遭難対策としてのGarmin InReachとココヘリの比較ですが、そもそも機能やカバーするサービスが異なるので一概には言えません。ココヘリの強みは、遭難捜索サービスとして国内での山岳警備隊・警察や民間の捜索チーム等との連携が進んでいること、遭難保険を含んでいることなどです。Garminの強みは、携帯エリア外でもSOS遭難信号の発信や通常時でもメッセージ通信ができる点ですが、デバイス費用やサブスクリプション費用がネックになります。
海外ではココヘリのようなサービスがないことも考えると、個人な考えではココヘリから「衛星通信オプション」のような形で、Garminの現状価格から料金を下げた価格で提供してもらうのが一番のように思えますが、難しいのでしょうかね。GEOS国際緊急対応連携センター（IERCC）とココヘリが連携できれば最強になると思います。
世界的には衛星ネットワークを使った機器の対応が標準になっている中、遭難者の位置特定のためだけにヘリコプターを飛ばす（最近はドローンも導入）のは、ヘリコプター出動による捜索リスク（悪コンディションでも頑張って捜索する場合もあるようなので）と費用の問題があるため、避けたほうがよいと個人的に思います。
今後、他のサービスのように日本だけがガラパゴス化しないように、世界標準の衛星ネットワークを利用した位置特定サービスと、ココヘリが築いてきたノウハウや山岳警備隊・警察等との連携をうまく生かして、登山者に使いやすい遭難対策サービスが提供され、普及していくことを期待しています。
https://kenjiro-t.hatenablog.com/entry/2024/06/18/
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