副題：知的障害者を含む登山の歩行の順番について
学校山岳部の経験では、最も実力（経験、知識、技術、体力）のある者がリーダーとなり、パーティー全体を俯瞰できるラスト（最後尾）に位置していました。トップ（先頭）は次に実力のある者が位置していました。学校の部・クラブでは上級生と下級生との経験の差は年齢と大体比例されるので、リーダー（上級生）はラスト、次年度のリーダー候補をトップにして経験を積ませようとの考えもあったと思います。現在の学校では、どうでしょうか。
障害者を含む場合は、その前後に力量と経験豊富な者を配置した方が良いと考えています。またトップには最も実力のある者が位置すべきと考えています。実際に当方の重度知的障害者１名（呼称ペーター強度の自閉症もある）を含む３人パーティーでは、登りにおいても下りにおいても原則として次の順番で行動しています。
�癸韻亮体麓圈�私（笑） 〜 知的障害者（ペーター） 〜 �癸欧亮体麓圈�妻
（自分で言うかですね 自分でもお笑いですが）
★トップ（先頭）は、的確な状況判断力が求められます。この道で間違いはないか、危険がありはしないか、先の見通しはどうか、休憩を入れようか、後続の状態はどうか、などなど見えない危機も含めて常に全体に気を配りながら進みます。危険個所では、後続（知的障害者）の足の置き場所や手掛かりを考えながら、場合によってはロープを使って確保をしたりして通過するサポートをします。ペーター（知的障害者）はラムネ菓子が大好きで常に菓子の容器を持ち食べながら歩き、片手はいつもラムネを手に持っています。それでは危ない処で２点支持（足場だけで）の状態になるので、『ポッケ』と何度も声を掛けラムネ菓子をポケットに仕舞わせて両手で手掛かりを掴めるように注意喚起する必要があります。危険がなさそうな処では、後続２人より離れて先を進むこともありますが、路の分岐やだだっ広く迷いそうな処では後続が追いつくまで待つことを守らないといけません。また降りにおいては、トップは知的障害者（ペーター）が暴走を起こさせない盾および暴走を止める役目があります。危険に対する認識が無いに等しいので、特に急斜面や露岩などの転びやすく滑りやすい処では大事故にならないように、直ぐに阻止できる構えをしながら近接して降りています。
★セカンドには障害者が位置します。ペーターは、辛く苦しい登りは嫌いなので、隙があれば辺りかまわずペタンと座り込みます。楽な降りは、自分の歩行技術を超えて暴走しがちです。
★ラストはペーターのすぐ後ろでサポートして歩きます。登りでは直ぐ座ってしまい歩みが遅々としてしまうので、歩きを停めないように褒めたり叱ったりする役目をしています。一般的な法則なのでしょうか、叱るより褒める方が効果的です。
★ペーターも先頭を歩きたい時もあり、危険が感じられない処では先頭ペーターで歩いています。また沢登りや険しい尾根ルートでロープを使用して危険地帯を抜けた後では、ロープを束ねるのを全員が待つのではなく、２人で先に進み、ロープや登攀具を仕舞ったら追いかけるようにしています。このような場合には、再び危険な処が出てきたり、だだっ広き場所や進路判断に迷うような場所では、私が合流するまで待つようにしています。
★まとめ：戦国時代、負け戦の敗退では『しんがり』は優れた武将が担ったと認識しています。（実態は下級武士を置き座入りにしたかは分かりませんが）昔の学生山岳部では、昔ながらの順番（戦法）だったのかもしれません。先の見通しや隠れた危険性を察知するの力は、問題発見力です。いくら実力（体力、技術、経験）があっても察知力が無いと、対処対処の連続になってしまいます。登山のトップは最も問題発見力を持った実力者が適任であると思います。話が飛びすぎますが、昨今の人類に思いを馳せると、コロナ禍（問題）に翻弄される前に問題を発見して（危険性を見つけて）事前対応するべきだったように思います。今の日本と世界にある大問題の数々も昔から一部の識者は発見・認識・指摘もしてきたのに、私も含めて無視してきた結果だと思います。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する