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このところ山に関する本ばかり購入し続けている。
中でも実際に起こった遭難ドキュメントは好んで購入する。
しかし本屋でそれを見つけることがなかなか難しく
今回立ち寄った本屋でも見つけることができなかった。
何か1冊で良いので週末読み耽るための山本が欲しかった。
そこでたまたま見つけたのが「氷壁」(著井上靖)である。
小説ではあるが、1955年穂高岳で実際起きたナイロンザイル切断事件
が基になっている。この本ならリアリティを感じれると手に取った。
割と序盤から興味のない男女色話が出てくるのがいかにも
小説という仕立て方だなと躊躇うも、陰湿なもの淫らなもの
ではなく何か純粋さを感じていくと不快感は徐々になくなった。
読書慣れしていない自分であったが一気に引き込まれてしまう。
面白い。しかし面白い。途中でどうも止まらせてくれない。
気が付けば夜更かししながら2日間で633ページ完読。
文豪というべきか文才のある人が書くのだからなるほど納得できる。
登攀描写は多くはないが8月に行ったばかりの上高地〜穂高岳が舞台
だけに理解しやすく、また昭和30年代の上高地を知ることもできた。
この時代でも登攀技術は優れているとも分かった。
なかなか小説も良いかなと思わせた素晴らしい1冊。
次の小説は新田次郎著「栄光の岩壁」を選んでみようかな。