愛されるということ

ずっとむかしの話。。。

その頃　私は脳外科病棟に勤務してた
その子は小児科からの搬送　小２なのに４歳児の体重
身体のあちこちにあざがあった。。。
がりがりで意識もなく　私達は人工呼吸器を取り付けた


母親は４０歳過ぎで水商売をしながら
その子を育てていた


だけど　女ということを捨てられなかったぁ？
お店に通う年下の男性に現をぬかしたぁ。。。


私達は虐待を疑えば　警察や保健所に報告をする


その子は男の子　名前は「元気」君。。。
父親と母親が元気に育ってほしいと願って名づけたぁ
そうだったと思う。。。
そうであったと思いたい。。。


なのに　どうして元気君　こんなになってしまったの？
私はいずれ元気君の呼吸器を外す日が近いことは解っている
名前の由来である元気な姿ではなく　息が途絶える日が間近だってこと
それと同時に母親は逮捕されてしまうことも


私は母親に聴いてみた。。。
「お母さん　元気君のからだを一緒に拭こう」
「お母さん　元気君の好きなものってあるかな？」と


母親は慣れない手つきで我が子の身体を拭いてた
元気君は「機関車トーマス」が好きなことも教えてくれた
お家から元気君が大切にしていた「機関車トーマス」を持って来てくれた


「元気君　お母さん持って来てくれたよ　嬉しいよね」
「元気君　お母さんとカラダ拭くからね」

母親　時々　目を潤ませて
もっと前に「母親」ってこと気づけなかったの？
だけど　最後に元気君に愛情をあげられたぁ
何もせず　元気君の死を迎えるって惨い


元気君が呼吸器に繋がれている期間
何週間もなかったけれど
母親は元気君に話しかけたり
元気君との想い出を話してくれた


元気君の生命の火が途絶える日が近づくにつれて
カルテは母親のことも記載することになった
年下の男は病室内でも母親とべったりで
その時は　母親も女にもどるようで
正直　ため息がでたぁ。。。


元気君の呼吸も心臓の鼓動も止まり
死亡確認後は検死が始まったぁ。。。
仕事柄　検死に立ち会うことも何度もあるけど
子どもの検死は辛い　子どもの死は辛い


後日　母親は殺人罪で実刑　その男性も殺人教唆で実刑
だけど　元気君は帰って来ない。。。


元気君　生きてたら今年が成人式だったんだね

コメント

ゲスト

RE: 愛されるということ
mashamashaさん、こんばんは。

今も昔も犠牲になるのは、弱い人（子ども）なのですね。
その母親も最期は変わり果てた我が子の容姿を見て、きっと「母さんを許して」と心の中で思っていたのでは。

aoisora810

RE: 愛されるということ
nonkibouさん　コメントに感謝です

元気君　母親を許せているでしょうか？
その母親　我が子が生きてれば成人式って
思い浮かべてるでしょうか？

父子愛の物語「とんび」の挿入歌
福山雅治の「誕生日には真白な百合を」
誕生日に産んでくれて　ありがとう
素敵な楽曲ですよ。。。