![]() |
今年の夏山を振り返ってみると、一番大きな出来事は、登山中の山火事の発見でした。
夏のある日、某山の天気はあまり良くなく、雨は降っていなかったものの風速20mを超え、真っ直ぐ歩くのも大変なくらいの強風が吹いていました。
そんな天気なので、山頂での休憩も取らず下山に取り掛かろうと歩き始めた時、どこからか薪ストーブを炊き始めた時のような木が焼ける匂いが。かといって、山小屋があるような山ではなく、原因が想像つかずに思考がフリーズしながらも歩を進めていると、どんどん匂いが強くなっていき、煙がもくもくと出ている現場を発見してしまいました。
そんなに大規模ではなく、くすぶっているくらいだけれど、強風に吹かれて時おり灌木から火が上がっていました。迷わず残っていたありったけの飲み水を振りかけてみるも、目にみえるような効果はなし。私一人ではどうしようもない状況で、携帯の電波も微妙だったため、走って登山口まで駆け下りました



電波がつながったところですぐに119に電話。数十分で登山口にはたくさんの消防車が集まってきました。
消防隊は、登山口周辺の火事だと思っていたようですが、山頂付近の火事であること告げると、水槽車からウォーターバッグのようなものに水を10〜20Lほど詰めて、それを背中に担いだ何名もの隊員が山頂付近の現場めがけて登って行きました。
それから約1時間強。登山口に設置された本部に、無線連絡で鎮火の連絡が入りました。ほっと一息つくと共に、プロフェッショナルのお仕事に感謝です。
現場を通りかかったのが夕方だったのですが、それ以降誰ともすれ違う登山者はおらず、私が今日最後の登山者だったようです。下手すれば夜のうちに大規模火災に拡大しかねない状況であったため、ごく初期のタイミングで火事を見つけ、鎮火させることができて、とてもよかったです

今回の火事の現場は、山頂から少し下ったところです。なぜこんなところで火器を使うのだろうか?バーナーでカップラーメン作ったりするにも、タバコ吸ったりするにも普通は山頂だろうにな…雷が落ちるような天気ではないし…と不思議に思っていましたが、現場付近には蚊取り線香が落ちていたとのこと。つまり、虫除けのために腰やザックにぶら下げていた蚊取り線香が落下し、強風により付近の藪に延焼したものと考えられます。
山火事の原因として、バーナーやタバコを想像することは容易ですが、蚊取り線香も原因になりうるということは、意外でとても驚きました。自分でも蚊取り線香を使っていることがありましたが、この一件以降、電池式の虫除けに切り替え、火をつけるタイプの蚊取り線香は山に持ち込まなくなりました。
よく林道や登山口には、”山火事注意”の看板や旗が設置されていますが、「これまで山で火事なんて起こるはずはない。雷とかで自然的に発生するものだろう。」と思っていたため、これらの注意を気に止めたこともありませんでした。おそらく多くの人が同様だと思います。でも、実際に体験してみて、「日常的な登山が原因で、火事が起こることがあるんだ」と、その感覚は大きく変わりました。
山で火事が発生すると、目撃者が少ないため規模が大きくなり、また、消火作業が困難な場合がほとんどですので、山に深刻なダメージを与えることとなります。そのようなことを起こさないよう、改めて気をつけようと思った次第でした

コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する