2月2日、日高山脈・ペケレベツ岳で雪崩に遭い、奇跡的に命を助けられたので、皆さまの教訓にもなるかと思い、恥ずかしながら詳細について記しておきたいと思います。
当日は風なく山中気温は-5℃くらい、晴れ~曇りの穏やかな日でした。
日勝峠十勝側4号目の駐車帯からスタート。雪は少ないものの何とか緩斜面の笹も隠れかけてスキーで歩いていけました。
頂上直下東尾根に取り付いて登っていくと、次第に雪は深くなり最終的には脛~膝ラッセルで、11時に山頂に着きました。
ここ数日、強い風もなかったようで、ウインドスラブの形成もなく、サラサラのパウダーに滑走の期待が高まっていました。
11時20分、山頂から東斜面にドロッピン。気持ち良く5ターンほどしたところで、突然後ろから多量の雪が降りかかってきて、揉みくちゃになりながら落ちていきました。雪崩だと思った時にはもうどうすることもできず、ただ「止まれ!」と念じることしかできませんでした。
どのくらいかわかりませんが(多分50mくらい流されたところで)脚が木に引っかかって身体が止まり、仰向けの状態で空が見えました。埋没しないで済んだ事に感謝し、自分の状況を確認すると、両足は骨折していそうで木に引っかかってもいるので全く動かせない。左右上肢は大丈夫。ほか頭~首~胸腹部など損傷ないと判断しました。
装備はスキーはもちろん、ストックもザックも全て流されてしまい、残っていたのはヘルメットとウエアだけでしたが、ウエアの胸ポケットにスマホを入れていたので、救助を要請することができました。
2時間後くらいに道警ヘリに救助されて、帯広市の病院に搬送されました。
ヘリを待つ間、寒さで身体が震えてきましたが、意識を失うことはありませんでした。
左大腿骨骨幹部骨折、左右脛骨腓骨開放骨折で何回か手術を受けて、今はまだ病院のベッドの上で、寝たきりの生活です。
さて今回の雪崩について、自分なりに考えてみました。
日本雪崩ネットワークの2月4日の調査結果が出ていましたが、それによれば面発生乾雪表層雪崩、破断面・弱層・滑り面は不明となっています。
おそらく、自分が落としたスラフが大きくなって、それに巻き込まれたのではないかと思います。
慎重に滑り始めて、ちょっと止まって様子を見る。2ターンくらいで横に寄ってスラフをやり過ごすなんてことをしていれば、恐らく防げた雪崩だったと思います。
雪崩のことは頭から消えて、美味しい斜面に最初から「ヒャッホー」状態で滑走を始めてしまった。慢心があった、調子に乗っていたのだと思います。
今回は色々な幸運も重なって、死なずに済んだと思うので、これまで書いてきたこと以外に幸運だった点についても記しておきます。
・事故発生場所が十勝平野に面している側だったので、携帯電波がよく通じた
・風が弱くてヘリの飛行に都合良かった
・ストックやザックが身体から離れてくれて雪崩の流れから外れてくれたこと。
滑走時にはテムレスを使っているのですが、これ手から外れやすくてストックが離れてくれたと思います。
また、あくまで想像なんですが、最近、ザックをオルトボックスのオートルート40に替えたばかりだったのですが、このザック、チェストストラップを含めてしっかりと締めていたのに、見事になくなっていました。多分、強い力が加わるとストラップが外れる構造になっているんじゃないかと想像します。
以上、とりとめなく書いてきましたが、ベッドに寝た状態で書いているので、これくらいで限界です。
山レコユーザーの皆さま、どうかこれからも安全には十分に留意され、慢心することなく山を楽しんで下さい。
皆さんのレコを読んで心の栄養とし、私は先の長いリハビリ生活を乗り切っていきたいと思います。
ありがとうございました。
貴重な情報をのせていただいて、ありがとうございました。いい雪を見ると雪崩のことは頭から消えてしまう私。雪山には危険があるのだと心に刻んで山へ向かおうと思いました。
どうぞお大事になさってください。
ありがとうございます
決して油断せずに、山を楽しんでください
実は報道を見てhidekinさんではないかと心配しておりました。hidekinさんほどのベテランでも事故に遭うことがあるということを知って、改めて気を引き締めてBCに臨もうと思いました。多くの愛好家のためにこのような情報を発信していただいたことに敬意を表します。完治にはまだ時間がかかるでしょうが、ゆっくり治療に専念して山に帰ってきていただきたいと願っています。
ありがとうございます
先は長いので、ゆっくり養生に励みます
先々週の手術直後のメッセージの連絡ではスマホの操作でも辛い状況だったと思います。今は少し落ち着いてきたのかもしれませんが、まだ体の自由が利かず大変だと思いますので無理なさらずにご自愛くださいませ。
hidekinさんと同様に私も療養中ですのでお互いの回復後は日勝エリアで山滑走しましょう!
あとコメントの返信もご負担だと思いますので無理なさらずにお願いします。
ありがとうございます
また山に復帰できることを目指してボチボチやっていきます
実は最近、レコがアップされないので、心配していました。自分も大雪の後に体調不良になり、しばらく山に行けなかったので、hidekinさんも体調を崩されていなければいいなと思っていたので、まさか雪崩がぺケレで起こっていたことも知りませんでした。
でも治療の真っ最中で大変な時にも関わらず、詳細な状況をレポートしてくださり、本当に感謝します。経験豊富なhidekinさんでさえ、雪崩を避けることが難しいという事実は、自分のようなヘロヘロじじいにとって如何に難しいか。身に沁みます。
治療の道のりは険しいものかと思いますが、一歩一歩、とにかくタフなhidekinさんですから、リハビリに立ち向かって下さい。自分もレベルの違う怪我ではありますが、左肩骨折、右肩腱板断裂を抱えても、山スキーに対する思いだけは衰えません。
今まで何故か隣の山にいたことはあっても、対面することはありませんでしたが、ぜひ回復されたらコラボさせて下さい。
一歩一歩の確実な回復をお祈りしています。なお返信はいりませんよ。治療をガンバでーす!
ありがとうございます
今は寝たきりジジイですが、いつの日かしっかりと社会復帰しますよ
また、入院、リハビリの最中、貴重なお話をありがとうございました。hidekinさんほどのベテランでも遭遇する雪崩。
大きな学びをいただきました。
元気になられることをお祈りしています🙏
ありがとうございます
今回はほんとうに幸運が重なって生還できました
リハビリに励んで、救っていただいた命を大切にしていきます
でもまさか本当にhidekinさんだったとは❗️
そして想像以上の高エネルギー外傷。まさに奇跡の生還‼️
速やかなる治癒、リハビリ促進そして上半身ムキムキ化をお祈り申し上げます。
ありがとうございます
雪の力はすごいものでした
流される途中、すごい勢いで足がガツンガツンと木に当たりました
頭や頚部、胸腹部など大きな損傷がなかったのは奇跡としか言えません
雪山では常にヘルメットを被っている習慣が生きました
もう二度とあの体験はごめんです
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