御正体山への秋【後篇】

道坂峠⇔岩下ノ丸を越えて御正体山の麓に着いたときは，空は晴れ間を覗かせていました。

御正体山へと，峠の道のりを行くにつれ, 風が吹き荒れてなんだか紅葉が，さみしく感じられるものとなってきました。

黄土色に染まった枯葉のじゅうたんは，登山道に敷かれ，歩くたびに裾を濡らす．払い除けられた枯葉の土には霜が降りていました。

山頂は，すっかり冬物語でした。

あの夏の日。霧にむせびながらも針葉樹を魅せてくれた．せつなさが感じられた樹木たちは，静かに眠っているかのようにも思えました。

縛れた樹木たちは，これから寒い冬を乗り越えていくのでしょう．来年にはまた素敵な葉を魅せてください。

北風の吹く 寒い午後．

木枯らしに抱かれて．．凍えた手に息を吹きかけながら，山頂を降りた私でした。