本人の記録ということもあり、気持ちの面が伝わりやすかった。登山中に感じるポジティブな面とネガティブな面がリアルであり、共感できる部分も少なからずあった。そのため、個人で解釈の違いはあるが、山から貰えるものはいつの時代も同じなのだと感じた。
しかし、共感できたのは束の間であり、読み進めると常人には計り知れないものをたくさん持っていた。山に取り憑かれたように登山をしており、毎年のように年末年始に登っていたり、さらっと1日中活動している内容もあったりと体力面の凄さが垣間見える。
冬山ルートも立山や北アルプスなど地形図を見ると歩いている距離が異常であり、衝撃的だった。夏山ルートは事例は少ないが、燕岳→槍ヶ岳→上高地→乗鞍岳→木曽駒ヶ岳のルートも驚いた。
冬山ルートのトレースは難しそうなので、今後、自信ができたら夏山ルート(特に上記のルート)のトレースをしてみたいと感じた。
ストイックな方の活動を読むと、自分の知識や技術面など、まだまだ学ぶことが多いのだと実感することができた。
加藤文太郎さんの功績や考え方などを知るためにも是非とも読んでいただきたい書籍である。