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著者は、名著『忘れられた日本人』で有名な民俗学者の宮本常一氏。
塩の普及には、精製のための土器(土釜、鉄釜、石釜など)のほか、椀を作る木地屋、石ノミを作る鉄の供給などの文化的な背景があったといわれている。そして、海岸沿いで生産された塩が、各地の山中へ行商によって普及する際には、馬宿を必要とする馬ではなく、牛が中心的な役割を果たしたらしい。牛は、すぐ横になって寝てくれるため、馬よりも手がかからず、また、脚力が強いうえ、道端の道草をよく食べてくれるため、餌代もかからず好まれたようだ。塩が貴重な品だった時代ならではのエピソードといえよう。
また、当時、山村では、ニガリのない高価な塩よりも、ニガリのある悪い塩の方が好まれたらしい。それは、苦汁(ニガリ)を溜めて、大豆のタンパク質を凝固させ、豆腐を作るためだったようだ。人間の生きるための知恵を感じさせてくれる。
塩の道は、全国に色々と存在するようだが、現在、良く知られているのは、千国街道(糸魚川〜塩尻)や北国街道(直江津〜上田〜追分)だろう。いつの日かロングトレイルで歩きたいと改めて感じさせてくれる一冊だった。
「忘れられた日本人」読みました。
自分がせかせかと生きているようで反省した覚えがあります。
各地をドライブするのが好きでしたので、「塩の道」も時々通りました。ロングトレイルで歩きたいと感じさせてくれるのですか?是非読んでみたいと思いました。
ありがとうございました。
コメントありがとうございました。著者は1981年に逝去されましたが、この本は1985年に初版が発行され、手元の書籍は2018年で63刷と、まさにベストセラーの部類に入るでしょう。70ページくらいの短編で、全3編の構成です。ガイドブック的な色彩は一切なく、「道」について思いを馳せる一冊になるかと思います。
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