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更新日:2017年06月02日 訪問者数:1360
ジャンル共通 IT
パノラマ写真の作成について(フリーソフトでの比較を中心に)
sakeza
中央アルプス 千畳敷 からの 南アルプス
中央アルプス 西駒ヶ岳 からの 全周パノラマ
パノラマ写真
 若かりし頃は、銀塩カメラで撮影した山の写真を、知り合いのカメラ屋さんに無理をお願いして覆い焼きなど画質調整して貰い、そのプリントを切り貼りしてパノラマ写真を楽しんでいました。

 昨年の春先に、面白半分でデジタルデータでの写真を切り貼りしてパノラマ写真を作ってから、もう少しマシなものを作りたいと探したところ、世の中には便利な道具が増えていることを知り、この一年ほどパノラマ写真に取り組んでいます。

 天候に恵まれた日に山の上からぐるりと見渡せたときの感動を再現できればとの思いから始めましたが、できるだけフリーソフトで良いものを探して使っていますので、これからパノラマ写真をやってみようかという方の参考となれば幸いです。

 ※いわゆる「全天球パノラマ」や「360度パノラマ」ではありませんので、悪しからず…。
機 材
 最近のソフトウェア技術は素晴らしく、手持ち撮影で少しぐらい傾いていようと関係なくパノラマ合成してくれます。とは言え、撮影の際にカメラの水平がとれているとソフトウェアが画像を無理やり変形させずに済みますので、最低限の準備は必要かと思います。

・三脚
 ガタつかないしっかりしたもので、水平器が付いていて水平に設置できるものがオススメです。
 もちろん、水平方向にスムーズに回転できる雲台は必須です。
 ごく近い対象物を撮る場合には、レンズの焦点中心(「ノーパララックスポイント」もしくは「ノーダルポイント」)を軸として回転させることのできる「パノラマ雲台」が必要となりますが、間近の対象物が入らない遠景を前提とした場合は不要でしょう。

・カメラ
 ホットシューに水準器を付けるなどして、こちらでも水平出しをしておきます。
 横位置と縦位置のどちらでも水平が確認できる水準器がオススメです。
 また、オートフォーカスや手振れ防止機能など、勝手にあれこれやってくれる機能は全てOFFにしてマニュアルモードで撮影します。
 特に、遠方の山々を望遠レンズで引き寄せて撮影する場合は、レリーズケーブルを用意して精度の高い画像を得る努力が必要です。
 ※ 天体写真を撮る場合と感覚的に近いですね。

・レンズ
 歪みの少ないフラットで高精細な画像を得るのが目的です。
 そのため、できる限りクォリティの高い望遠レンズを使いたいところです。
 また最終的に合成した際に、歪みの補正などで天地をトリミングして切り捨てる必要が出てきます。その場合、望遠レンズで拡大していると天地方向に画像の余裕がなくなるため、可能であればカメラを横倒しにして縦位置で撮影します。
 その代わり合成枚数が数十枚と結構な枚数になることがありますが、画質には代えられません。

・PC
 昨年まで Core i-3、メモリ 8GB の 6年物のPCを使っていましたが、数十枚の合成に2時間以上もかかることがあり、Core i-7、メモリ 32GB、Quadro、SSD 仕様の新しいものに入れ替えました。
 おかげで、同様の画像処理が10分もかからずに終わり、とても助かっています。
撮 影
・隣の写真との重なり具合
 40%程度ずつ重なっているのが良いようです。
 逆に重なりが多すぎても良くないようです。
 但し面積的に40%重ねて撮影していても、明確な対象物の写っていない 空と空 のような画像が続くと、合成ソフトからダメ出しを食らいます。

・RAW
 写真はできる限り RAWモード で記録しておきましょう。
 撮って出しの JPEG でもパノラマ写真はもちろん作成できますが、RAWデータ であれば後でいかようにも料理が可能です。

・露出
 ホワイトバランスや露出も一定として撮影します。
 そうしないと、パノラマ合成する際に左右の写真と明るさや色のトーンが変わってしまい、上手に繋がらなくなります。

・撮影モード
 標高の高いアルプス連山の場合は、上には空があるのみのため稜線はクッキリとしていますが、低山達は高山の裾野に埋没しがちです。
 そんな場合にHDR(ハイ ダイナミック レンジ)モードで撮影すると、明るい部分のレベルを下げ、暗い部分のレベルを上げてくれるため良さそうに思いますが、やってみると無理やり感があり、私はあまり使っていません。

・ハイレゾモード
 例:「ハイレゾショット(オリンパス)」・「リアルレゾルーション(ペンタックス)」など
 最近のカメラには、本体内の撮像素子を動かして手振れを補正する機能があります。
 ハイレゾモードは、そんな機構を活用して撮像素子をほんの少しずつズラして撮影することにより、撮像素子の画素数を超えた画像を撮影する機能です。
 とはいえ、撮像素子を少しずつ動かして撮影するのには少しばかり時間がかかりますので、撮影中に対象物が動いてしまうとブレた画像となり元も子もありません。
 遠方の山を超望遠レンズで捉えた際、ピントを合わせるために拡大モードにすると分かりますが、撮影地自体は全くの無風状態でも、何十キロも先の山々を狙うと途中の空気は流れていますので画像は常にゆらいでいます。
 そのため、超望遠撮影したハイレゾ画像は思ったほど美しくありません。
 また、ハイレゾモードを活かすには、それ相応の解像力を持った「松」レンズも必要です。
 できるだけ画素数の多い、フルサイズ以上のカメラと良いレンズを使うのが一番です。
 ※ 私は根っからの オリンパス ファンなので、撮像素子は小さめですが...。
現像ソフト
 パノラマ写真が巧く仕上がるかどうかは、撮影した元の写真の出来次第と言っても言い過ぎではありません。
 合成前の一枚一枚の写真の仕上がりに最大限の気を配った場合と、撮って出しの JPEG で作成した場合とでは、全く別物の結果となります。

 撮って出しの JPEG では埋もれて見える低山の稜線や、霞んでいる遠方の山々をクッキリさせるためには、コントラスト、明瞭度、シャープネスなどを調整して現像する必要があります。
 しかし、それを強調しようとすると画像はどんどん荒れていきます。
 一番気を付けるのは「空」です。
 山肌が少しぐらい荒れていても(私は)余り気になりませんが、空が荒れた感じの画像は「汚く」感じます。コントラスト、明瞭度、シャープネスなどとの兼ね合いとなりますが、私は空の仕上げに一番手間をかけています。

 RAWデータで記録できるカメラには、RAW現像できる自前のソフトが附属しています。
 現像については、ご自分のカメラに附属するソフトを使いこなせば十分かと思います。
 残念ながら、私がメインで使っているオリンパス用の現像ソフトは使い勝手に馴染めないため、カメラメーカーに制約のない汎用性のあるソフトを使うことにしています。
 私の用いている現像ソフトは、アドビ Photoshop の Camera Raw と、市川ソフトラボラトリーの SILKYPIX です。共に秀逸なソフトですが、残念ながら無料ではありません。

 参考例として、中央アルプス最北端の秀峰「経ヶ岳」の画像を並べます。
 元の画像は、オリンパス OM-D に 松レンズ を付けてハイレゾショットで撮影したものを、頂上付近の一本一本の木の解像させる事を第一に考えた上で「空」がギリギリ荒れない程度にシャープネスをかけて現像し、半分に縮小してあります。風が強い日でしたので木の枝や電線がブレて写っていますがご容赦下さい。
 Photoshop は、落ち着いた感じに仕上がります。頂上付近の木の解像感は高いのですが、画質的にはザラついた感じになっています。
 SILKYPIX は、空のきめ細かさや近景の建物などの階調の滑らかさは出ていますが、その分、場所によっては塗り絵的な感じにもなっています。
 あくまで私の下手な設定での話ですので、もっと上手に現像される方もおられると思います。
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[有料] アドビ Photoshop
 アドビの現像ソフトと言えば Lightroom が定番のようですが、仕事で Photoshop を使うことが多いため、Photoshop の Camera Raw を使っています。
 ナチュラルな画質で、安心して任せられます。また Camera Raw は RAWデータの現像のみならず、同様の調整を通常の画像データに対してもフィルタとして使えるので重宝しています。
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[有料] 市川ソフトラボラトリー SILKYPIX
 SILKYPIX の「ピュアディテール」を使うと、シャープネスを上げても「空」が荒れるイメージが少ないと感じています。
 ただし、松レンズを使って撮影したのにもかかわらず色収差が出てしまう場合があるなど、クセを掴んで使い分ける必要があります。写真右下の電柱のトランスの縁などを比べてみて下さい。
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 また、できる限りRAW現像の際に、左右の画像とのトーン調整とレンズの周辺減光補正を済ませておくことです。パノラマ合成ソフト側でも調整はしてくれますが、事前に済ませておいた方が仕上がりが良くなる傾向にあります。
 カメラとレンズの補正値がプリセットされているメーカーのカメラを使うと、こういった処理はワンタッチで進められます。
パノラマ合成ソフト
 色々下準備がてきたところで、一番気になるパノラマ合成ソフトですが、私は以下の4本を使っています。皆それぞれに個性があり、場合によって使い分けます。
 使う頻度が高い順に記載します。

 これ以外にも色々なソフトがありますが、合成できる枚数に制限があったり、結構制約があるため使っていません。またプロ仕様の高額なソフトもあるようですが、沼にハマらないよう、おいそれと手を出さないようにしています。
 沼にハマるのはレンズだけで十分です (^^);;;
合成前の元画像
 今回は近景(祠)がある三枚の画像の合成を例に、それぞれのソフトが出力した画像を掲示します。
 パノラマ雲台はもちろん、三脚も使わない手持ち撮影の写真ですので、背景の山の稜線と祠の位置関係や、上下方向のアングルもまちまち、その上ホワイトバランスも違うというパノラマ合成ソフト泣かせの画像ですが、どんな感じで合成してくれるでしょうか。

・実際の画像はこちら↓
 合成後の画像は基本的にソフトがデフォルトもしくは簡単な設定のみで吐き出してくれたものです。

 尚、以下のフリーソフトなどにつきましては、信頼のおけるサイトからダウンロードして戴き、ウィルス検査等をした上で、自己責任にてお使い下さい。また使い方につきましては、丁寧に説明されたサイトが沢山ありますので、敢えてここでは触れません。
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[有料] Photomerge
 アドビ Photoshop 内の機能の一つです。
 隣あった写真を継ぎ目なく上手に合成してくれます。仕上がりサイズにも制限がなく、一番安心して任せられるソフトです。
 但し、合成の際の微妙な画像の伸縮処理によって、部分的に滲んだような画質となる場合があります。また、何故こんな明確な写真が繋げられないのかなぁということも、ままあります。

 今回の画像についてはほぼ完璧に繋げてくれていますが、残念ながら祠の右上の遠方の山並みに少しだけ破綻がみられます。この程度は、レタッチで修正して使ってもOKかと。
 更に左下の部分は、周辺の画像を持ってきて埋めてくれていますが、実際にはトリミングしてカットすることになります。
 また、画像と画像の重ね合わせ部分で微妙にシャープさが甘くなっているのは残念です。
 とはいえ色調の滑らかさは、このソフトが一番かと思います。色調の微妙に違う三枚の画像を見比べて、ちょうど良い感じに色調を揃えてくれた感じです。
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[無料] Hugin
 秀逸なフリーソフトです。
 繋げられないものは無いという感じです。
 隣あった画像のどことどこを繋ぐのかは、もちろんソフトが考えてくれますが、手動で細かく指定することもできますので、おかしな繋ぎ方の場所があっても修正が可能です。
 継ぎ目も目立たず画質の劣化も少ないのですが、唯一最大の欠点が画像サイズに制限があることです。高画質の画像を何十枚も合成する場合には横幅が10万ピクセルを超える場合もあり、この制限は私にとっては致命的です。
 3万画素までのサイズで構わないのであれば、これがベストと言えるソフトと思います。

 今回の画像については完璧に繋げてくれていて、どこにも破綻がみられません。歪んでしまったであろう画像周辺部は、潔く切り捨ててくれてあります。
 画像の重ね合わせ部分であろうと思われる箇所を拡大しても、シャープさは失われていません。
 但し、画像全体の色調合わせまではしてくれないので、仕上がり画像は元の画像の色調を引き継いでいます。これは欠点のようにも思えますが、そういった使い方をしたい場合には利点になります。

※最大サイズにつきましては、私が制限を解除する方法を知らないだけかも知れませんので、最大サイズを変更する方法をお知りの方に、その方法を伺えれば幸いです。
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[無料] Image Composite Editor(ICE)
 これまた秀逸なフリーソフトです。
 画像自体は上手に繋いでくれますが、隣あった画像の画質が違い過ぎた場合には、色ムラが目立つことがあります。
 また調整できる項目が限られているため、意図した結果にならない場合も多いです。
 ただ、その分悩むことも少ないため、サクっと作りたい場合は、とりあえず ICE に放り込むという感じで使っています。

 今回の画像については、photomerge とほぼ同じところが破綻しているため、同じようなアルゴリズムを使っているのではと考えられます。また、重ね合わせ部分のシャープさについては、photomerge と hugin の中間といった感じです。
 色調の滑らかさは、やはり photomerge と hugin の中間で、無難な仕上がりです。
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[無料] Auto Stitch
 最後の手段はこれ、という感じのフリーソフトです。
 他のソフトで繋げなかったものが、これだけは繋いでくれたことが何度かあります。
 ある意味、そんなに複雑に考えずに繋げているからできる芸当で、出来上がった画像の細部を見ると重ねた画像がズレたまま合成されていたりと、高画質を狙う場合にはオススメできません。設定項目も、この4本の中では最も少ないシンプルさです。
 とはいえ、コンデジでテキトーに撮った写真で参考画像を作る場合などには、大活躍します。

 今回の画像については、祠周辺のつじつま合わせが全くできず、お手上げという感じです。
 また自動で画像を四角に仕上げてくれませんので、どんな感じで元の画像を歪めているのかよく分かりますね。
 まぁ、最後の切り札です。
山座同定ソフト
 パノラマ写真には、山座同定がつきものです。
 山名が記されているパノラマ写真を見ていると、行ったことことの無い山々の連なり具合が立体的にイメージでき、今後の山行の参考になります。

 最近はスマホのカメラを向けただけで山の名前を教えてくれる優れもののアプリがありますが、私はPCで使えるフリー系のソフトを使っています。
 また、標高を併記する場合は、地殻変動の影響で不定期に変更となるため、できる限り 地理院地図WEB を確認するようにしています。
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[基本は無料] カシバード(カシミール3D)
 地図マニアには垂涎ものの、言わずと知れた地図ソフト「カシミール」ですが、カシバードというサブセットを使うと、指定した位置から見える山が確認できます。
 基本セット自体は無料でダウンロードできますが、山座を同定するための標高データを使う場合には、そのデータが有料となります。
 国土地理院のサイトから無料のドでかい標高データを落とすという技もありますが、やってみると結構大変なので私は標高データを買いました。
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[無料] Peak Finder
 スマホでもPCでも、同じ使用感で使うことのできるフリーの山座同定ソフトです。
 ただ、山の形がアバウトに表示されるため判別に苦しむ事もあります。
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[暫く無料] 山座同定ナビ
 最近出たソフトですが、スマホのアプリのほかPC版も発表されています。暫くは試用期間となっているようですが、近いうちに有料化されるとのこと。
 山座同定に特化したソフトのため処理速度も速いのですが、私の設定が悪いのか カシバード に比べると示される山名は少ないかと思います。

※2017年3月現在
謝 辞
 パノラマ合成ソフトにつきましては、山レコの eurekapapa さんにご指導を戴きました。
 この場をお借りして、御礼申し上げます。ありがとうございました。
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