石尊稜
天候 | 曇り風雪 |
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過去天気図(気象庁) | 2018年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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感想
コースタイム:登り4hr下り2hr(赤岳鉱泉→石尊稜→一般縦走路合流→地蔵尾根→赤岳鉱泉)
しもさんオールリード
今回は連続バリということで小屋泊。真冬のテン泊に比べると天国でした。明るくなってから動こうという事で遅めの5時起床、6時半出発。事前に色々と下調べした割には取り付きに辿りつくまで「本当にこっちでいいのかな?」と不安な気持ちのままトレースを追った。やがて第1岩峰とおぼしき黒い岩肌が見えてきたと同時に「ビレー解除!」のコールが響く。目を凝らすと岩壁の真ん中らへんに1人張り付いていた。初めてのバリの時は先行パーティーがいると気持ちが楽になる。特に今日みたいに天候の兆しが悪そうな時は、多少の待ち時間があったとしても尚良い。
そのコールを聞いてか、しもさんが不意に振り返り「今日は笛を使おう」と言った。およそ1年前に購入して以来、ずっとハードシェルの内ポケットにしまい込んでいた笛がようやく陽の目を見ることになった。1回がビレー解除、2回が登っていいよの合図。今回は風が強く声が届かない上に、岩壁の向こうにいる相手の様子が全くわからない状況だったので非常に役に立った。
下部岩峰の取付きには支点が2箇所あった。右か左か迷ったが右側から登るルートを選んだ。岩壁には雪がなく、見た目と違ってしっかりとしたホールドもスタンスもあまりなく想像以上に難しい。所々に砂地や草付きもあり落ちたくないと必死になるあまり手も足もガッチガチに力が入り、2ピッチ目に辿り着く頃にはパンプしそうになり泣きが入った。セカンドのくせに(もう懸垂で降りたい…)と内心思う始末。今回の山行で私は足で登るという基本が全くできていない事が良く分かった。やっぱりちゃんと岩トレしないとな。
ビレー中は寒さと落ちるかも知れないという恐怖で久しぶりに足が震えた。やっとの思いで雪稜に出てからも余裕がなく、美しく怖ろしい景色もチラッと横目に見ただけだった。ほどなくして上部岩峰が見えてくると、今まで聞いたことも無いような絶叫コールが耳に飛び込んできた。さっきの先行パーティーとはまた別の少し年配の2人組だった。彼らの熱いコールの応答を耳にしながら(いつのまにかこっちの世界に足を踏み入れていたんだな)と文さんの言葉を思い出していた。ふと右の方を見上げると一般縦走路を歩く人の姿が見えた。俄然やる気が出てきて、ここを抜けたら終わりだ!と自分を鼓舞して最後の岩峰も夢中でよじ登った。高度間はあるものの、ホールド・スタンスともにしっかりあって登り易かった。
このルートをリードしたしもさんは凄い。登攀の技術もルーファイの判断力も未熟な私にはまだ無理だ。でも今回の山行では、2人ともコンテやスタカットなどの状況判断が上手くなってきた事が実感できた。初級バリと言われる石尊稜は、自分の技量が試されるとても良いルートでした。本ちゃんに勝る訓練はなし!
動画の中の言葉は Hachi Production代表、宮田八郎さんのブログから引用させて頂きました。
http://bochiiko8.blog.fc2.com/blog-entry-580.html
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