記録ID: 1600523
全員に公開
トレイルラン
道東・知床
知床半島一周(ウトロ〜知床岬〜相泊)トレイルラン、トレッキング
2018年08月12日(日) 〜
2018年08月14日(火)
- GPS
- 59:30
- 距離
- 79.5km
- 登り
- 2,370m
- 下り
- 2,372m
コースタイム
1日目
- 山行
- 12:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:00
2日目
- 山行
- 12:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:00
4:30
420分
マムシの川
11:30
11:30
300分
知床岬
16:30
滝川
3日目
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:30
4:00
450分
滝川
11:30
相泊橋
出発日の朝と2泊目の夜は雨、それ以外は晴天だった。熊には4頭遭遇、印象は向こうから襲ってくるような気配はなく人を恐れているようだった。
知床岬から見た景色は生涯忘れることは無いだろう、大自然に感動した。
知床岬から見た景色は生涯忘れることは無いだろう、大自然に感動した。
天候 | 晴れ時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
コースは大きく以下のとおり。(括弧内は距離、地面の状態、雰囲気の順) 1)ウトロ〜世界遺産センター(距離は4km、全体的に登り基調、地面はアスファルトで車や人が多くて安全。) 2)世界遺産センター〜知床五湖(距離は9km、多少のアップダウン有り地面はアスファルトで車は通るけど人は居ない。たまに野性動物に遭遇。) 3)知床五湖〜カムイワッカ湯の滝(距離は12km、地面は砂利や土、時折バスが通るがもちろん人は通らず。狭い林道で野性動物に遭遇する可能性大、熊も怖い。) 4)カムイワッカ湯の滝〜ルシャ湾(距離は10km、地面は砂利や土の獣道、野性動物以外は居ない、狭い林道で多くのシカに遭遇。バッタリ熊に遇うのが怖すぎ。) 5)ルシャ湾〜知床岬(距離は32km、大小の浮き石の海岸、巨岩のガレ場、崖をへつったり、干潮時の海歩き、泳ぎなど全部有り。陸地の高巻きも可能だが踏み跡無く、危険。悪天候時は通行不可能。) 6)知床岬〜相泊(23km、西海岸同様全部有り。違うのは泳がなくても陸地を高巻き出来ること。踏み跡有り、ロープも設置。) |
その他周辺情報 | 相泊温泉、熊の湯温泉がお勧めです。 |
写真
装備
個人装備 |
約7kg(装備と食料5kg
スポーツドリンクと水2kg)
リュック(salomon s-lab peek20リットル)
寝袋(モンベル ダウンハガー800#7 約370g)
テント(finetrack ツェルト1 約300g)
防水ウェア(ノースフェイス ストライクトレイル上下)
エアーマット(モンベル120cm)
ウェットスーツ(モンベル アクア上下半そで)
ウェア(salomon s-lab advansdskin上下)
シューズ(アルトラ ティンプ)
マリンシューズ(zemのninja 片足100g)
防水バッグ60リットル
浄水器(ソーヤーミニ)
給水(salomon500mフラスコ2個とplatypas2リットルと3リットル)
飲食物4日分1)永谷園の水で作れるアルファ米9食2)水で戻すスープ類6つ3)ミックスナッツ4)スポーツドリンク粉(musashi riplenish500mlを10袋)5)エネルギー(パワージェル9袋アミノバイタルプロテイン10袋とアミノバイタルゼリー3個)6)カロリーメート(チョコ味4箱)7)その他(ソーセージ2本とゆで卵2個)
|
---|---|
共同装備 |
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
防寒着
雨具
着替え
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
笛
計画書
予備電池
携帯
時計
タオル
ツェルト
|
備考 | 1)スタートまで 前日は情報収集のために、相泊近くにあるルサフィールドハウスに。対応してくださった稲葉さんは、何度も歩いて知床岬に行ったり海岸ルートの調査もしている方で、何でも知っているスペシャリスト、色んなことを教わりました。この日は1日雨で気温も低い。明日からは晴れ予報も変わりやすい天候に不安になる。 その後、斜里警察ウトロ駐在所の高橋さんに入山届けを提出。様々な危険があって全部自己責任、行かないほうが良いと何度も説得されました。私の決意が固いと知ると、絶対に無事帰ってきてくださいと言われて、本当に行って良いのか?と気持ちが揺らぐ。でも8ヶ月間準備してきたし後戻り出来ないし。 16時には前泊する宿の民宿、来羅玖さんへ到着。(2年前の知床観光でもお世話になった宿) 出発が早朝4時なので朝食を夜のうちに準備してもらい21時には就寝、でも眠れない。危険も多いし、無事に帰ってこれる保証がない本当の冒険。出発して良いのだろうか…最後まで葛藤した。 うとうとして朝の4時前に起きて出発しようとすると、宿のマスターが起きてエールを送ってくれた。元気で帰ってきてねと、この言葉がどれだけ心強かったか。スタート前に写真も撮ってもらい、元気に出発! 2)ウトロ〜世界遺産センター(4時30分〜5時:距離4km) 天気予報では、朝から晴れのはずが雨模様・・・知床の天候は変化が激しいとは聞いていたけどちょっとショック。 世界遺産センターまではアスファルトの道路、急な登り坂を北に向かって移動。海岸ではカラフトマスを釣っている人が大勢いて楽しそう。 西には海が、東には山々が見えて景色を楽しみながらゆっくり8分/1kmのペースです。距離は4km、30分くらいで到着。 3)世界遺産センター〜知床五湖(5時〜6時30分:距離9km) 8月はマイカー規制があってこの先は知床五湖に向かう車以外は通らない。朝が早いので車もまばら。 ここからは野生動物の出現が一気に増えます。2年前は鹿が目の前に飛び出してきたり、崖の下に熊を見たけど今回は遭わず。 怖いので熊鈴を思いっきり鳴らしながら行きました。雨も結構強く降って、気温も18度くらいで肌寒い。 9kmくらい走って知床五湖に到着。五湖に入れるのが8時30分からなので入り口には車の列ができてました。 4)知床五湖〜カムイワッカ湯の滝(6時30分〜8時30分:距離12km) ここから先は初めて通る道。地面も砂利や土に変わり、幅も狭くなって左右は木々に囲まれた林道に。 唯一通るバスの始発も数時間後だし歩行者も居るはず無く、ここからは完全一人。 カーブが多く、熊の雰囲気がぷんぷんして怖い。雨の音で周囲の音も聞こえず、熊鈴をストックに付け直して思いっきり音を鳴らしながら、たまに大声で歌を歌ったり叫んだり存在感をアピール。ここで初めて3匹の鹿に遭遇。親子でしょうか、可愛い。 私を導いて、熊から守ってくれるかのように、ちょっと先を走って山に消え、また現れては走って先に行く。カムイワッカ湯の滝まで一緒でした。 林道のくねくね道を12kmくらい走って温泉の滝、カムイワッカ湯の滝に到着! せっかくなので滝に行って手を入れてみるとぬるい…30度無さそう。硫黄の臭いが凄い、まさに温泉。滝を見ながらドライナッツを食べながらちょっと休憩…熊の出没多発地帯の看板を眺めながら(笑) 5)カムイワッカ湯の滝〜ルシャ湾(9時00分〜11時00分:距離10km) ここから先は観光客も来ない、許可申請を出した人しか通れない、いつ人に会えるかわからないまさにサバイバル。(通る人は年に数人らしいけど)道もいっそう狭くなりアップダウンの激しい獣道へ。 すでに思いっきりヒグマの生息地で、いつ遭遇しても不思議じゃない。時折地面には出来立ての熊のう○ちがあって恐すぎ。ここでバッタリ遇うのは危険すぎるので、熊鈴を振り回しながら大声出したり歌を歌ったりしながら緊張しっぱなしで10kmを駆け抜けた。幸い、熊には遭遇せずに暫く走ると西側の視界が開けて海が見えた。林道の終わりも近い、ここまでは順調。最後は暫く下って無事にルシャ湾に到着! 6)ルシャ湾〜知床川(12時〜16時:距離10km) 海岸線に到着、ここからが本当のトレッキング本番。ルシャ湾はヒグマが多く集まる場所と聞いてたので、恐る恐る海に出ると幸い熊の気配は無い。代わりに数十頭の鹿の群れが! 奈良公園にもこんなに居ません、すごい光景です。海には釣り船が一杯いてホッとします。 ここで後ろから軽トラが近づいてくる、オジサンが窓から顔を出して久し振りの人との会話。「どっから来た?」「あ、ウトロから走って」「どごさ行くんだ?」「岬まで行きます!」「泳がねば行げねや」「その予定です!」何気ない会話がリラックスできて嬉しかった。 暫く移動して、さっそくルシャ川で初めて川の水を2リットル汲んで昼食の準備。 手頃な棒に水を吊るしてソーヤーミニを取り付けて飲んでみると冷たくて美味い! エキノコックス大丈夫か〜(笑) 初めての食事はドライカレーと卵スープ。5分待って食べてみると結構美味い。ちゃんと道具を使いこなせて満足…スポーツドリンクの粉も溶かして1リットル補給し1時間休憩。 いよいよ石畳のトレッキングスタート…と思ったら来た〜! ついに熊1号に遭遇。50mくらい先か、小熊のような小さめな感じ。歩きやすい道にいて何か食べてます。しょうがないので歩きにくい海辺の岩場をこっそり通過。 向こうはこっちに気づいて無いようで、後ろを振り返ると居なくなってました。 初めてのヒグマ遭遇でドキドキの中、石畳を歩き続け…とここで初めて走れないことに気付きました。 石が大きく、形も不規則。浮き石も多くて踏み外すと捻挫しそうになります。 出発前、ルサの稲葉さんや警察官の高橋さんが「走れない」と言ってた意味が分かりました。 一歩一歩気を使うし、足を高くあげるのでお尻の筋肉が疲れる。でもこれはマシで、巨岩が不作為に積まれた場所は自分でルートを探しながら手も使って登り降り、手袋してても切り傷が酷い。そんな場所をいくつか通過して最初のポイント、鮹岩へ。突き出た岩場に道は無く、水深も深いので初めての泳ぎ区間。少し緊張しながら着替えてリュックを防水バッグに入れて浮き輪にして海へ。距離は10mくらい、ちょっと手こずりながらも無事に通過。この日は晴れで水温も20度近く、泳いでも寒くないのでそれが救いです。 カシュニの滝、カパルワタラと泳ぎながら無事に通過して先に進むとリュックが濡れているのに気づく…恐る恐る防水バッグを見ると底に穴が開いている。海から上がる時は地面が尖った岩場が多いので気を付けてはいたけど引っかけてしまったらしい。荷物は全部、水没。携帯電話も寝袋もテントも…初日なのに、これから何ヵ所も泳がないといけないのに途方に暮れました。ここで本気で進むか戻るかを検討。戻る場合、距離は40km、1度通った道だし気が楽。進む場合も45kmくらいか、でも危険な西海岸が10km以上あるし東海岸も未知の世界…全部が濡れた状態で乗り越えられるか… 少し考え、進むことを決断。一番の決めては次の日も好天という気象でした。あとは、途中で投げ出すのも嫌いだし。 時間も15時を過ぎて今夜のテント場を探さないと。 この先はファイントラックの方も苦労した50m泳ぎ区間、この穴開き防水バッグで沈まないか不安に。 現地に着くと、大きく突き出た岩場は長い泳ぎになりそう。 泳がなくて良い方法を探して陸側の高巻きをチャレンジ。50m以上は急斜面を登って向こう側も降りられる斜面であることを願って反対側を見ると…とても降りられない崖だった。 脚力を使ったことで足が痙攣し疲労もピークに。もう戻って50m泳ぐのも厳しい。最後の手段は崖から海への飛び込み。 10mくらいの高さから飛び込めば20mくらい泳いで陸地に行けそう。ギャンブルだったけど、意を決して飛び込む。 無事に着水したと思ったら疲労と水の冷たさから足が痙攣。防水バッグにはどんどん水が入ってくるしパニックに。 本気で怖くなり、必死に動かない足をバタつかせ、崖を手で押して前に進もうとするけどほとんど進まず。 人生初めて死んでしまうかもと考えた…でも絶対に帰る!、その時、後ろから高波が3回、体を岸まで運んでくれる…陸地へ、陸地へ。最後の力を振り絞ってがむしゃらに泳ぎ岸の岩場に掴まり、泳ぎきった。間違いなく、生涯一番のピンチだった。 でもその代償は大きく、防水バッグは完全に水没。手からは岩場で深く切った傷から大量の血が止まらない。 処置しようにもバッグから熊鈴、靴下、ストック1本、絆創膏や包帯、ティッシュなどが海に流れて紛失。向こう側にも戻れないし、途方に暮れた。 一先ず、テントを張れる場所まで移動、手が切れた場所をビニール袋で縛って圧迫しながら荷物を乾かし、テントを設営。 空腹だったのでまずは食事をして、18時には就寝。 疲労した足をマッサージ、次の日の準備とか何も考えられなかった。ここでも救いだったのは、20度を超える気温と晴天の天候でした。 7)知床川〜知床岬(4時30分〜12時30分:距離17km) 多少寒さを感じ、何度か起きたものの何も考えずに眠って日の出の4時前に起床。 今の状況は決して順調とは言えないけど、物理的に進めなくはない。(骨折したとか、荷物が全部無くなったとかじゃないし) 今までも冒険で壁に当たったことは多くあったし、ルサの稲葉さん、警察の高橋さん、宿のマスター、多くの友人と「無事に帰る」と約束したし、これが大きな支えになりました。 自分で言うのもなんだけど強いな、俺!(笑) 気分新たに2日目を出発! 一番の不安は靴下が流されて裸足で靴を履かないといけないこと。歩き始めてすぐに靴擦れが始まって最後まで苦しめられる。。。(凄く考えて脹ら脛サポーターを靴下代わりに。これで少しマシでした) この後の岬手前辺りは崖が多くあって、干潮時に歩いて通過したい。この日の干潮時刻は11時頃なので歩いて丁度良い。 1kmくらい進んだポトピラベツ川の辺りに2人の人影が! 久し振りの人との再会。話を聞くとウトロからカヤックで岬に行って、ここで釣りをしていると言う。 「徒歩で一周するんですか?」とビックリしてました…今までの苦労話をしながら情報交換をして少し元気回復。岬までは干潮で天気が良いので泳ぐ場所はほとんど無く、距離も10kmと聞いて一気に元気に(笑) 鮭を釣ってイクラもあるからと朝食に誘ってもらったけど、日程が厳しかったので泣く泣く断って先に進むことに。 確かに、2ヶ所くらいの短い泳ぎがあったり、膝くらいまでの水深を歩く場所はあったけど順調に進めた。 しかし、ここで熊2号に遭遇。今度のは結構デカい、さらに悪いことにちょうど細い通り道にいて前に進めず。 2号は川辺にいてガリガリ魚か何かを食べてる最中。 時おりこっちを見るも、また食べ続ける。困った、、、10分くらい待って決心、進もう。 熊の5mくらい横から崖を登って斜めにへつり、先に進むことに。近づいた時に襲われたら…とドキドキしながらそーーっと近づき崖を登って向こう側へ、足を滑らせて砂利が熊の方に、、、熊がこっちを見る、怖いー。でも餌が優先かまた食べ初めてくれた、良かった。 無事に通過、そして岬手前の文吉湾へ。コンクリート作りの港、人の気配は無いけど安心する。ここから斜面に踏み後の道ができてて高台へ。 その先は胸くらいの高さまである草木が生い茂る空間。 でも何故か人が歩く道がある…不思議。 熊の通り道?、実は多くの人が西海岸を通ってる?、疑問を感じながら岬に向かって歩く。半分藪こぎみたいで歩きづらいけど見渡す限りの草原、疲れも忘れて余韻に浸りながら歩く。 1kmくらい歩いても見渡す限りの草原…かなり広い。程なく、前方上に白い長い建物、灯台が見えた! ついに半島の先端へ着いた、石の階段を登ると灯台の真下へ。そこから北の方を見ると1面の青い海、天気は快晴で風が気持ち良い。海に、熊に、何度も諦めかけたけど、諦めなくて良かった…暫く目を閉じて、、、また目を開いて目頭が熱くなる。 携帯も水没し、アクションカメラの電池も切れて予備電池も水没して記録には残せないけど、記憶には強く焼き付けた。 時間は12時30分、ここで昼食でも、と思ったら下に二人の姿が。東から来るからトレッキングの人かと思い、手を振って挨拶し、下に降りる。「トレッキングの方ですか?」「いえ、環境省の職員で調査に来てます。相泊からですか?」「ウトロを昨日の朝出て走ってきました」「え?、メチャクチャ早くないですか?」「どうなんでしょう、色々とピンチの連続で…」「相泊までまだ20km以上あるので気を付けてください」「ありがとうございます!」…道があったのは環境省の方々が歩いた跡なんですね。 少し歩いたところで広い開けた場所に出たので昼食に。 お腹も満たされ、草原に寝転がって空を見て黄昏る…しばし至福の時、一切の文明の無い楽園のようです。 30分くらい休んで、気持ちを切り替えて出発、進めるところまで行って明日を楽にしたい! 8)知床岬〜男滝、女滝、滝川(13時30分〜16時30分:距離8km) 岬を後にして再び海岸線へ降りる。 事前の情報だと東海岸は基本、高巻き(ロープが常設されてる)をすれば泳ぎ不要と聞いたし、少し気が楽。 でも数キロ進んだところでどうしても4mくらい深い溝があって通れない。泳がないと行けないじゃん!(笑) 後から聞くと高巻きすれば泳がなくても良かったらしい… でも気温も高かったので問題なく通過し、動いているとウェアも乾いて16時30分、テントを設営する頃にはすっかり乾いてくれました。 残りの距離も15km無いし少し安堵、昨日の夜のどん底だった時とは真逆の状況です。濡れたものを全部海岸の石の上に広げて干して夕食に。波の音を聞きながら空を見上げると満点の星空…この旅の目的、知床の大自然を体験して疲れも忘れて幸せ。しばらく夜空を眺めて19時頃に就寝。ところがポツポツと雨が降り始めて土砂降りに。5〜6時間降ってました。幸い、ファイントラックのツェルトは水に強いと聞いてただけあって多少結露するも濡れること無く夜中の2時くらいには雨も上がってくれました。出発前の予報では、翌日は雨予報…晴れることを祈ってもう少し就寝。 9)滝川〜相泊ゴール(4時〜11時30分:15km) いよいよ最終日、多少雲が多いものの雨は降っていない。 日の出前の3時に起きてずぶ濡れの洗濯物を絞り(笑)、逆に水分吸って重くなった! 4時前には出発、2日間の疲労で体が重い、足の下は海でふやけた足に靴擦れが重なって皮が破けて激痛。もう痛いのは当たり前、無視です(笑) 1kmくらい進むと崖の窪みにテントが張ってある、この旅初のトレッキングの人と出逢う。 「岬を目指してるんですか?」「そうです、昨日の昼にこの先に熊がいて進めず、ここに泊まりました。岬からの帰りですか?」「ウトロから岬を通って相泊に向かってます!」凄い驚いてくれました。そしてジップロックの袋をくれました。唯一生き残ったアクションカメラを濡らさないために感謝です。 この後、1つ目の難関はペキンノ鼻。高巻きをしないといけないので高台の斜面を登る、でも西海岸と違って人が通る踏み跡があるので無事に登り、降りようとするとかなりの直角に近い壁。ロープが設置されてるんだけど、物凄く危険で怖い。ロープが切れたり足を踏み外したらアウトです。 高度な登山技術は無いので、自分の経験から後ろ向きになって手でロープを握り、慎重に降りる。手は至るところが切れて(もともと切れてるところ多数)血が出て足も擦り傷だらけです。もう少しロープの使い方&クライミングを勉強して来れば良かったと後悔、かなり無茶な方法だったけど人間、追い詰められると何とかなる、気合いで降りた。 でもこの後、この日最大のピンチ熊3号&4号と遭遇。 疲労も溜まり、石畳を踏み外さないように下を見て歩いていて、ふと前を見ると2つの黒い物体が!、親子の熊だ!! 子連れの熊は子供を守ろうとして親熊が攻撃的になると聞いていた。しかも距離は5mくらい…こっちも、あっちもお互いビックリしてのけぞった。これはまずい、ストック一本で戦うか…と覚悟したら熊が逃げてくれました。小熊が、私の進む方向へ一直線に逃げ、親熊は小熊を逃がすように後を追ってゆっくり移動。 助かった〜と思ったけど、自分もそっちに行かないと帰れないんだけど。 親熊はその辺をウロウロしてる。しょうがないので、腰くらいまで海に入って様子を伺いながら進み親熊の横を通過。親熊は見えなくなった。でもこれで熊に挟まれた状態に。 いつ親熊が後ろから追ってくるかドキドキしながら速足で移動、試練を乗り切った。熊鈴があったらなぁ(笑) この後漁師の方と会う、環境省の方から委託を受けて?通るトレッキングの人の話を聞いて記録してるという…本当かな? ここでもウトロから来たことを伝えると驚いてくれて、行動の詳細を伝えて記念に写真も撮ってくれました(笑) 東海岸は人が多くて嬉しい…元気が出ます♪ 続いて、トッカリ瀬は干潮時刻に無事通過、モイレウシ川も通って化石浜辺りで3人のトレッキングの親子と会う。 小学生くらいの子供も一緒、あの過酷な行程を通過できるのか?と思ったらクライミングをやっているそうで余裕そうです。 数日後に天候が崩れるので途中で引き返すとか、後日リベンジですね。 この時いただいたジャガリコは美味しかった、忘れないでしょう。 ここから相泊ゴールまで5kmくらいと聞いてついに来たかと元気になりラストスパート。 最後の難関は観音岩という高巻き区間。ここにもロープが設置されてるけど勾配がキツいし、ロープも古くて頼りない。 最初はロープを使わずに登るも、キツすぎてロープを手に。 切れたら、一瞬であっちの世界に行けます。 知床の岩登りは、一般的な登山と全然違う。一般的な登山は手と足を置く場所があって、鎖やロープを掴みながら登っていくけど、ここは手や足を置く場所が無くて、どうやって登るの?って場所ばかり。手足が一回でも滑ったらアウトってとこを何度も乗り越えて、もう手の感覚も無かったけど、何とか登りきった。 そこには観音様が一体、優しい顔で待っていた。ゴールまで無事に着けますようにと手を合わせて下りへ。この下りもキツイ。こここそロープがないと無理、絶壁を命綱無しで下降、人生今までこんな危険なこと無かったです。 最後の力を振り絞って下に到着。生きていることに感謝です。 そして先の方を見るとついに多くの相泊の番屋が見えた! 1日目の苦難を思いだし、諦めなくて、引き返さなくて良かった。 この日も天候は快晴、信じられないくらい恵まれてます。 あとは石畳の道をずーっと歩いて歩いて1時間くらい。変化がなくて足裏の靴擦れが激痛で辛い、足裏見たくない… そしてついに2年前に通った場所へ。前に見た景色を逆から通って見る景色、本当に一周してきたんだと半分信じられない気持ち。 今日出発してから7時間で15km、11時30分に相泊の駐車場に辿り着いた。ウトロを出発してから総移動距離90km、総移動時間31時間です。(朝歩き始めてからテント場まで、休憩含む)少し余韻に浸ってしばらく黄昏れながら、コーラで祝杯と考えたけど、宿のある羅臼までは23kmあるのでヒッチハイクを試みる。 そしたら声をかけて2人目でキャンピングカーで旅行しているご夫婦が乗せてくれた! あまりの突然で余韻に浸るまもなくコーラを飲む間もなく車へ。(多分、お札は水没してベチャベチャで自販機に入らないと思うけど)定年後に夫婦で全国を旅行している方で、私の見た目のボロボロ具合を見てご親切に60km離れたウトロのスタート地点まで送ってくれるという。 物凄く親切な方で、人の優しさに触れて話しているうちに涙が出てきました。 14時、無事にスタート地点に到着。お風呂が楽しみなはずが、全身傷だらけで手の平も酷いので、お風呂が辛い! それでもがむしゃらに洗って、宿で薬を貰って手当てをして一息。この後、出発前に入山届けを提出したウトロ駐在所の高橋さんに帰還報告を。今後の参考にと1時間くらい事情聴取を受け(笑)。さらにサポートをしてくれたルサフィールドハウスの稲葉さんにも完走報告をして3日間の壮絶な冒険は終わりました。 お金で買えるものはいっぱい無くしたけど、お金では買えないものをたくさん貰いました。 知床に滞在した8日間のうち 、晴れたのは私がトレイルランした3日間だけという奇跡が完走できた理由です。西海岸は海が荒れると泳げず立ち往生、本気で救助要請だったかも知れません。 でも自分で体験してみて、半島一周出来ることを証明できたので、一人でも多くの人が一周に挑戦して知床灯台からの景色を見てほしいと思います。 最後に、無事に一周できたのは、「絶対に無事に帰ってこい」と言ってくれた多くの方々の声援のお陰です。感謝します、ありがとうございましたm(__)m |
感想
【動画】
https://youtu.be/TScEXqPBMEs
【ルサフィールドハウスブログに掲載】
http://shiretoko-whc.jp/rfh/2018/08/post-122.php
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:4715人
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する