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記録ID: 163148
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山滑走
道東・知床

グレートサミッツ国内編NO6 海別岳

2009年03月01日(日) [日帰り]
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GPS
07:00
距離
12.7km
登り
1,226m
下り
1,226m

コースタイム

朱円東P530〜北ピーク頂上1040〜下山〜P1230
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2009年03月の天気図
アクセス 朱円東〜
斜里の海岸で流氷に乗って遊ぶ
2009年02月28日 13:51撮影 by  EX-Z1000 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2/28 13:51
斜里の海岸で流氷に乗って遊ぶ
中腹からオホーツク
2009年03月01日 08:56撮影 by  EX-Z1000 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3/1 8:56
中腹からオホーツク
下山して林道入口看板から、海別岳
2009年03月01日 13:03撮影 by  EX-Z1000 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3/1 13:03
下山して林道入口看板から、海別岳

感想

グレートサミッツ国内編NO6 知床・海別岳
 今年も流氷接岸のニュースが入った。ロシアの内陸バイカル湖辺りが水源となってアムール川が凍りついて、氷がオホーツク海を埋め尽くして、北海道の紋別海岸に流れ着く。氷の厚さは1mを超える。しかもオホーツク海とは日本の国土の数倍も広くて、それが全面的に氷に覆われるわけだから、話は北極南極など極地と同等だ。聞いただけでも身震いする。しかも世界的な流氷の南限が、紋別海岸だというのだ。
 でも北海道の登山家のどこまでが、オホーツクを知っているのだろう。ニセコも札幌も、あるいは大雪であっても影響を受けるのは日本海であり、日高山系は太平洋である。オホーツク海と根室海峡の話ができるのは、北海道広といえども、知床の山だけに限られる。だから知床の山は、他の北海道の山とは大きく一線で切り離され、別格扱いとなる。
 海岸線にダケカンバが生えて標高400mで這い松が出てくる。0mから登りだせば、1600mの羅臼でも、1200mの知床岳でも、標高そのものが登行高度になる。植生や自然は、北アの3000mに匹敵すると言われれば、同意せざるを得ない。さらに知床に登れば、反対側の根室海峡に国後島が見える。そこにはさらに高い山があって、真っ白な雪で覆われる。国後がロシアに占領されて一番いけないのは、気軽に登山に行けないことだ。知床に登ると北限の山とは、緯度がほんの少し高くなるだけで、思わぬ寒冷地の自然美に出会えることだ。しかも流氷は、たくさんの海と空のいきものを知床に運んでくる。栄養満点の海だと言われる。知床が世界遺産になったのは、半分以上がオホーツクの創造になる。
 接岸した流氷は、陸地から見る限りは、海の中にも雪原が続いているように見える。氷といっても雪を被った氷は、デコボコした白い陸地だ。「流氷に乗ってはいけません」というのはもちろんのこと。海に浮いている氷は、どう動き出してしまうか分からない。1月に北の季節風に乗って流れてきた氷は、3月に南の季節風に乗って、生まれ故郷に戻される。その間にも風来坊のようにゆらゆら動く。乗って遊んでいた流氷が沖へ向かって動き出して、足元から陸地が離れ出したら、笑いごとでは済まされない。斜里の漁港は、冬の間氷で閉ざされる。海が凍って船が港から出られないなんて、バルト海かノルウェー海の話か。

 山の上から流氷を見ようと、海別岳に行くことにした。斜里の街からほど近い。でもことのとき初めて気が付いた。冬の北海道の山は、海岸線の集落から奥へは、ほとんど除雪されていないのだ。それは山の中に集落がないから。新潟や会津のように「平家の落人の部落」なんてものは、北海道にはない。
 それにどの山も、広い裾野となだらかな緩斜面に囲まれて、水平方向に雪の要塞が続いているように見える。林道歩きか雪原歩きが相当に長い。知床半島のあの細い陸地であっても、それが長い。でもよく考えよ。知床半島は北アとさほど面積が変わらないのだよ。北海道の半島は、日本の脊梁山脈と同等なんだね。
 一番奥の酪農家の家を過ぎた林道の終点が出発地点になった。方向を見定めて後はただ雪原を歩くだけ。実は前日も3時間くらい登ってみたのだ。初見ルートの偵察というやつである。だから今日は、天気さえ良ければ樹林帯の上に出られる予定である。しかも昨日の自分のスキートレースが、頼りになる。
出発の標高は100mにも満たない地点でも、振り返れば流氷の海と弓なりの海岸線がそれと分かる。夜明け前のくらい時間に、オレンジ色の光が点々と続いている。真夏ならばここがアカプルコの海岸線でも、地中海でも、世界ではどこの海岸リゾートが一番オシャレなんだろう。その景色を背後に自分が山に向かっているなんて、酔ってしまいそうだ。
途中にエゾシカ避けの柵があってそれをまたぐ。山のシカが村に降りてこないように柵で山を囲っているわけだ。植林された針葉樹帯をいき、林道を横切って、昨日少し迷った地点を過ぎて、疎林になるとまた周囲が見え出す。
標高700m辺りが、森林限界である。昨日の地点を過ぎた。1400mの山のちょうど半分ほど。近くで見ても、残り700mはコニーデ状の、綺麗な山だ。雪は固くなってきた。あとは風に煽られながらも、頂上に向かって少しずつ前進していくだけだ。上部でアイゼンに履き替えて、二峰あるような頂上の北ピークに出た。知床の頂上に立つなんて、大いなる満足だ。
帰路、海岸沿いの温泉施設に寄って、海岸の流氷に乗ってみた。海の上のただの白いデコボコ陸地。ずっと前に、網走からオーロラ号という船で、流氷の海を観光したときの方が、よっぽど驚いた。安易な観光だが。
冬の知床というフレーズを繰り返しながら、また知床に行ってみたいと思う。2012/1

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