記録ID: 1982353
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沢登り
大峰山脈
【大峰】上多古川支流・矢納谷
2019年08月18日(日) [日帰り]
hillwanderer
- GPS
- --:--
- 距離
- 6.4km
- 登り
- 894m
- 下り
- 895m
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日帰り
- 山行
- 8:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:30
5:30
70分
林道終点
6:40
6:40
80分
昇竜の滝
8:00
8:00
50分
赤ナメクチキの滝
8:50
8:50
50分
コーリンの滝
9:40
9:40
130分
植林小屋跡
11:50
11:50
130分
遡行打ち切り地点（二俣の手前）
14:00
林道終点
後半はコーヒー沸かしたり釣りしたりしていたため，遡行時間が長めです。
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2019年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
林道は終点（矢納谷出合）の手前1kmほどの地点で落石があり，道がふさがれている。その手前の路肩の広くなった部分に駐車（あまり多くの車を止めるスペースはない。）。 どうやら先週の台風で荒れてしまったようです。落石地点以降の路面も雨で削れてガタガタになっています。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
・ 矢納谷は決定的な悪場はありません。滝場での高巻きのルート取りも，周囲の地形を観察すれば自然に導き出される感じで，あまり迷わないと思います（踏み跡がある場合も多いです）。 ・ むしろ，下山に使う矢納谷沿いの杣道のほうが不明瞭な箇所や危険個所が多く，注意が必要です。事前にルート本などでどこに杣道がついているか勉強しておかないと完全なトレースは難しいと思います。 ＜下山時に杣道を辿る場合のポイント＞ � 〜鵡埆�了点の二俣付近から植林小屋跡までは，かなり不明瞭。概ね左岸に道らしき痕跡がありますが，歩きにくい箇所もあるので，臨機応変に沢の中や右岸も歩いたほうが早いと思います。（植林小屋手前の小ゴルジュも谷中を通過可能） �◆／⇔咯�屋跡からは，右岸側に道跡が出てきますが，依然として不明瞭（序盤に林業用の機械が放置されている。）。白いビニールテープの目印が現れ始めるため，それを目印にできます。 �� コウリンの滝のあたりは特に分かりにくいので注意。ルート本の遡行図には右岸の高いところにずっと道跡が続くように書いてありますが，今回発見できず，結局登りにも使ったコウリンの滝の左手のルンゼを下降し，右岸側の岩壁の基部に沿う踏み跡があったのでそれを辿りました。目印や残置ロープがあったため，現役で使われているのはこちらなのではないかと思います。 �ぁ＼屮淵瓮�チキの滝の落ち口手前で，左岸に渡り返します。渡渉地点には白いビニールテープの目印あり。この地点から道が若干明瞭になり，ずっと左岸側に道が続きます。ただし，沢状地形をまたぐ際は必ずと言っていいほど道が不明瞭となるため，注意して道の続きを探す必要あり。 �ァ‐採気梁譴硫爾竜雋簑咾如ぢ膣笋鮖鎮屮蹇璽徑蠅蠅帽澆蝓さ爐舛�けたハシゴを降りなければいけない箇所があります。ここはちょっと危険なので，谷中を降りたほうが安全なように思います（巨岩の間を縫って下降可能。）。 |
写真
林道終点から鉄橋を渡る。鉄橋の下を右岸から流れてくるのが矢納谷である。直進方向は上多古川の本谷なので間違わないように注意。
鉄橋を渡ってから登山道（阿古滝道）を少し上がると，左手に水平にトラバースしていく道があるのでこれを辿っていく。行く手にさっそく矢納滝が現れる。2か月前に本谷を遡行した際にチラ見したときに比べて4倍くらい水が太い。台風の増水がまだ引いていないようだ…大丈夫かな。
8/18 5:41
鉄橋を渡ってから登山道（阿古滝道）を少し上がると，左手に水平にトラバースしていく道があるのでこれを辿っていく。行く手にさっそく矢納滝が現れる。2か月前に本谷を遡行した際にチラ見したときに比べて4倍くらい水が太い。台風の増水がまだ引いていないようだ…大丈夫かな。
果たして矢納谷に降りると，清流というよりは白く沸き立った奔流である。まさかまだ増水が続いているとは…先週の台風で相当雨が降ったんだな。
2
8/18 5:45
果たして矢納谷に降りると，清流というよりは白く沸き立った奔流である。まさかまだ増水が続いているとは…先週の台風で相当雨が降ったんだな。
平時は容易に水線沿いに登れそうな箇所も，慎重にならざるを得ない。
巨岩帯が現れる。奥の岩は一軒家くらいの大きさ。支流といえどかなりのスケールを持った谷だ。
巨岩帯は遠目では谷中の突破は難しそうに見えるが，近づいてみると割と上まで水線沿いに登っていける。岩をくぐったり登ったり，なかなかアスレチックで楽しい。
8/18 6:14
巨岩帯は遠目では谷中の突破は難しそうに見えるが，近づいてみると割と上まで水線沿いに登っていける。岩をくぐったり登ったり，なかなかアスレチックで楽しい。
巨大なチョックストーン滝。さすがにここは登れないので左岸に逃げる。
昇竜の滝。増水のせいもあるかもしれないが，圧巻である。正直に言って，ここ数か月で見た滝の中で最も感動した。岩壁を袈裟懸けに斬ったような姿が凄愴。確かに白い竜がむくむくと岩の割れ目を上方に這い上がっているように見える。いろいろ煽り文句を並べてしまったが，とりあえず必見（水量の多いとき推奨）。
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8/18 6:41
昇竜の滝。増水のせいもあるかもしれないが，圧巻である。正直に言って，ここ数か月で見た滝の中で最も感動した。岩壁を袈裟懸けに斬ったような姿が凄愴。確かに白い竜がむくむくと岩の割れ目を上方に這い上がっているように見える。いろいろ煽り文句を並べてしまったが，とりあえず必見（水量の多いとき推奨）。
昇竜の滝の巻きは左岸から。斜面を上がると帰りにも使う杣道が現れるので，それを辿る。（写真は巻き途中から見た昇竜の滝）
巻き道こんな感じ。ところどころに杣道が現役だったころの丸木橋の残骸がある。今は朽ちてしまっているので，あまり頼らないほうが吉。
この滝は左岸沿いに絶妙なバンドがつながっており，そこを伝って巻ける。
一旦ゴルジュの中に降りると，樋状の滝がある。右岸側に渡り返して巻いていく。
赤ナメクチキの滝に到着。左手には本流の斜滝が2段，右手には30m位の高い滝があり，壮麗な空間である。
写真の発色の関係でわかりにくいが，赤ナメクチキの滝は全体が赤い岩（チャート？）でできており，それが余計にこの空間を華やかなものにしている。
8/18 7:59
写真の発色の関係でわかりにくいが，赤ナメクチキの滝は全体が赤い岩（チャート？）でできており，それが余計にこの空間を華やかなものにしている。
巻き終わって落ち口に降り立つと，下からは見えなかった2段の滝がさらに続いていた。
コーリンの滝に到着。これまでの二つの大滝と比べると，やや散漫な印象。
こんなところ通れるんかいな，と不安になるくらい壁が立っているが，うまい具合にルンゼが尾根まで続いている。尾根に出ると下山にも使う杣道が続いているため，それを辿って谷に降り立つ。
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8/18 8:58
こんなところ通れるんかいな，と不安になるくらい壁が立っているが，うまい具合にルンゼが尾根まで続いている。尾根に出ると下山にも使う杣道が続いているため，それを辿って谷に降り立つ。
このあたり，谷の中に林業関係と思われる残置物が多い。特にワイヤー。このワイヤーを使って伐採した木材を下界まで下ろしたのだろうか。
8/18 9:30
このあたり，谷の中に林業関係と思われる残置物が多い。特にワイヤー。このワイヤーを使って伐採した木材を下界まで下ろしたのだろうか。
これは林鉄用のレールでは？まさか林鉄が敷設されていたとは思えないが…。こういうものが谷に転がっていると，景観的にはあまり良くないかもしれないが，自分的には往時の林業華やかなりし頃を想像させられ，むしろ興味深い。
1
8/18 9:27
これは林鉄用のレールでは？まさか林鉄が敷設されていたとは思えないが…。
こういうものが谷に転がっていると，景観的にはあまり良くないかもしれないが，自分的には往時の林業華やかなりし頃を想像させられ，むしろ興味深い。
こういうものが谷に転がっていると，景観的にはあまり良くないかもしれないが，自分的には往時の林業華やかなりし頃を想像させられ，むしろ興味深い。
壁が途切れると，左岸側に植林小屋跡が現れる。かなり規模が大きく，往時の繁栄がしのばれる。こんな空き缶が転がっていた。「日本万国博覧会」って…1970年の大阪万博？そのころから稼働していたのか…
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8/18 9:45
壁が途切れると，左岸側に植林小屋跡が現れる。かなり規模が大きく，往時の繁栄がしのばれる。
こんな空き缶が転がっていた。「日本万国博覧会」って…1970年の大阪万博？そのころから稼働していたのか…
こんな空き缶が転がっていた。「日本万国博覧会」って…1970年の大阪万博？そのころから稼働していたのか…
植林小屋跡のすぐ上手に絵のような直瀑あり。一瞬，堰堤かと思ってしまうくらい。
直瀑の上はちょっとしたゴルジュになっているが，谷中を通過できる。
清冽な流れが続く。この辺りまで来ると，水が本当に冷たい。湧水でも湧いているのだろうか。
しかも驚いたことに，これだけ大きな滝の多い谷なのに，源流付近まで魚影が濃い。おそらく，昔から人が入っていて，滝上への渓魚の放流を繰り返してきたのだろう。下の小屋の植林関係の人も，休日は魚釣りを楽しんでたのかも。そして私も例外ではなく，次第に歩いているより竿を振っている時間のほうが長くなってきてしまった…
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8/18 11:12
しかも驚いたことに，これだけ大きな滝の多い谷なのに，源流付近まで魚影が濃い。おそらく，昔から人が入っていて，滝上への渓魚の放流を繰り返してきたのだろう。下の小屋の植林関係の人も，休日は魚釣りを楽しんでたのかも。そして私も例外ではなく，次第に歩いているより竿を振っている時間のほうが長くなってきてしまった…
二俣の手前で頃合いを見て左岸の斜面を上がり，踏み跡らしきものを見つけて下山を開始。しかしこのあたりの杣道はもう消えてしまっているらしく，実質的に歩きやすいところを歩いているだけの感が強い。
8/18 11:54
二俣の手前で頃合いを見て左岸の斜面を上がり，踏み跡らしきものを見つけて下山を開始。しかしこのあたりの杣道はもう消えてしまっているらしく，実質的に歩きやすいところを歩いているだけの感が強い。
植林小屋跡からは右岸側に踏み跡らしきものが現れるのでそれを辿る。植林小屋から少し行ったあたりに，大きな林業用らしき機械の残骸が放置されていた。この機械で，谷中にちらばっているワイヤーを動かしていたのだろうか？
8/18 12:28
植林小屋跡からは右岸側に踏み跡らしきものが現れるのでそれを辿る。植林小屋から少し行ったあたりに，大きな林業用らしき機械の残骸が放置されていた。この機械で，谷中にちらばっているワイヤーを動かしていたのだろうか？
コーリンの滝のあたりは特に杣道がわかりにくい。登りにも使ったコーリンの滝左手のルンゼを下ると，右岸の岩壁の基部に踏み跡が続いていたので，それを辿る。一部滑りやすい岩を下る部分があるので注意。残置ロープ（というかコード？）あり。
8/18 12:56
コーリンの滝のあたりは特に杣道がわかりにくい。登りにも使ったコーリンの滝左手のルンゼを下ると，右岸の岩壁の基部に踏み跡が続いていたので，それを辿る。一部滑りやすい岩を下る部分があるので注意。残置ロープ（というかコード？）あり。
赤ナメクチキの滝の落ち口手前で左岸側に渡り返すと，杣道は比較的明瞭になり，ずっと左岸沿いに続くようになる。
昇竜の滝を左岸から越えるあたりに，写真の遺物があった。多分，この構築物にワイヤーを吊り，植林小屋のあたりで見た機械でワイヤーを動かしていたのではないだろうか。今では深い樹林に包まれてしまっており，想像もできないが…。幽邃かつ豪壮なる自然と産業遺物が同居する，不思議な谷であった。
8/18 13:29
昇竜の滝を左岸から越えるあたりに，写真の遺物があった。多分，この構築物にワイヤーを吊り，植林小屋のあたりで見た機械でワイヤーを動かしていたのではないだろうか。今では深い樹林に包まれてしまっており，想像もできないが…。
幽邃かつ豪壮なる自然と産業遺物が同居する，不思議な谷であった。
幽邃かつ豪壮なる自然と産業遺物が同居する，不思議な谷であった。
装備
| 備考 | ・40ｍロープを持参しましたが，使いませんでした。 ・それほどぬめりはなかったため，沢靴はラバーでも可と思われます。 |
|---|
感想
矢納谷は上多古川の一支流というよりは，もう一つの本流といったほうがしっくりくるほど規模の大きな谷だ。特に，昇竜の滝は必見。上多古川の本谷のほうの洞門の滝や阿古滝，六字の滝もなかなかの風格があるが，昇竜の滝の迫力はそれ以上だった（今回は水量が多かったため余計にそう感じたのかもしれない。ある意味良いときに遡行したのかも。）。また，赤ナメクチキの滝も他では見られない特異な景観だと思う。
往時は林業の盛んだった谷だったようで，随所に植林も見られるし，さび付いたワイヤーなど，林業関係の遺物が谷中に頻繁に転がっている。しかし，それを補って余りあるくらいに，谷沿いには巨樹が結構残存していて，水も清冽で滝や淵の造作も美しく，自分的にはそれほど気にならなかった。むしろ，深い谷の中での当時の林業従事者の生活を想像したり，消えかけた杣道を探索したりするのはなかなか面白かった。人跡絶えた自然境の谷もいいが，人との関わりの深い谷もまたそれなりに興味深いものだと思う。
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