また山に行きたくなる。山の記録を楽しく共有できる。

Yamareco

記録ID: 243014
全員に公開
ハイキング
石鎚山

秘境の森林軌道跡・安居林用軌道

2012年11月04日(日) [日帰り]
 - 拍手
GPS
05:30
距離
23.7km
登り
1,088m
下り
1,100m

コースタイム

10:00宮ケ平集会所-10:35大屋-11:15乙女河原茶屋-12:00若草の滝上流の崩壊地12:25大滝神社歩道入口-12:50大滝神社-14:05ふれあいの散歩道下り口-15:30宮ケ平集会所
※コースタイムは暫定的なもの。
地形図=上土居・筒上山
天候 晴れのち曇り
過去天気図(気象庁) 2012年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
車でのアクセスは一般的には、いの町から国道33号を仁淀川町役場西の川口橋まで行き、そこから国道439号、県道362号を辿るが、最近の土日の午前10時台から昼位まで、国道33号の日高村域が渋滞することがあるので、いの町中心街を抜けた先の仁淀川橋袂の交差点から、国道194号に折れ、下八川の広瀬交差点を左折し、国道439号を西進して県道362号に入った方が早い場合がある。

仁淀川町宮ケ平に「本川(旧本川村)」方向を示した道路標識が建つY字路があるので、そこを右に折り返し、すぐ上の島崎商事食品工場前の宮ケ平集会所側の広場に駐車。

公共交通機関利用時は、JR土讃線佐川駅から黒岩観光バスの大崎行に乗車し、終点降車。大崎から町営バスの宮ケ平方面行に乗り換え、宮ノ下バス停降車すぐ。
コース状況/
危険箇所等
≪住宅街から秘境へと≫
石鎚山系・筒上山(1859.3m)手箱峠コースや、安居渓谷を訪れたことがある方は、そこに至る県道362号の内、宮ケ平から北の区域(安居渓谷から奥の林道も含む)については、その前身が森林軌道であることをご存知だろうか。

大正14年から敷設・延伸工事が開始され、大滝(おおたび)神社から奥にかけては昭和14年に完成している。
当初は犬牽きトロッコだったが、後にガソリン機関車が導入された。但し、大滝神社以遠は手押しトロッコのままだった。
廃線になったのは昭和48年だ。

この廃線跡は、大滝神社参道として利用されている区間については、昭和期に遊歩道として整備されたが、それ以外の区間の廃線跡について、全容を知る者は皆無に等しい。

機関車の車輛庫があった軌道の基点には、島崎商事食品工場が建っているが、工場東沿いの小径から背後の鉄道廃線跡に出ることができる。
廃線跡はすぐ谷に突き当たるが、よく両岸を見るとヤブに覆われた橋台跡が確認できる。鉄橋は既にないが、谷は渡れるようになっている。

渡った先には民家があり、軒先を西に進むが、その先は県道に取り込まれている。よって、北の丘に上る歩道を辿る。
丘を反対側に下ると、東西に走る歩道に下り立つが、それに沿った畑が廃線跡だ。

歩道と廃線跡はカーブを描いてまた谷を越えるが、ここでも橋台が残っている。
谷から先、廃線跡は茶畑になっているが、土台の石垣に往時を偲ぶことができる。

歩道の四差路を過ぎた地点から、遂に廃線跡と歩道は合流する。廃線跡は民家の庭先を通っており、「こんな狭い所を本当に機関車が走っていたのか」と思うが、廃線跡沿い民家の住民に確認すると、やはりこの歩道が軌道跡だと言う。

二所奥神社を過ぎると、廃線跡は民家の一階の屋根横を走るようになり、右に急カーブして樹林帯に突入する。「如何にも森林軌道」という雰囲気だ。
前方左下の県道沿いに民家の屋根が見え隠れするようになると、廃線跡はやがてヤブに覆われてしまう。
仕方ないので、二所奥神社西の分岐まで戻り、そこから県道に下りる。この次に廃線跡が残っているのは、北の大屋集落だ。

大屋橋の二軒手前に消防ホース格納箱がある民家があるが、ここから歩道を上がる。民家の東を南北に走る小径が廃線跡だ。南の廃線跡は100mほどでヤブ化し、北方向の廃線跡は、下に大屋橋を見送った辺りで、県道に吸収されて消滅している。

次に廃線跡が残る区間は、県屈指の渓谷、安居渓谷の上方だ。
安居渓谷の核心部より手前の千仞(せんじん)峡に注ぎ込む谷には、みかえり滝が懸かっている。その名の通り、滝の横を通ってもすぐには飛瀑が見えず、少し過ぎた所で振り返らないとよく見えない。できれば県道沿いの木々を伐採して、滝見台を造成してもらいたいところだ。

飛龍の滝入口の乙女河原茶屋の先のY字路を左に折り返して上がる。この辺り、廃線跡は大きくジグザグを描きながら高度を上げている。道路の最初の左ヘアピンカーブ周辺に、上りと下りの軌道跡が接しているが、藪に埋没している。
次の左カーブ部やその先の右ヘアピン部も同様だ。

「野外調理場B」とトイレの先の左ヘアピンの分岐から北西に入る。終点の民家手前のY字路を左に上がると広場があるが、そこから北に尾根に沿う形で廃線跡が残っている。小屋掛けされている箇所もある。

尾根に沿って左カーブを描くと、ほどなくの谷で土砂崩れを起こし、通行困難となる。尚、この谷の下流には若草の滝が懸かっているはずだ。
そこからY字路手前まで戻り、小径を南に上がって道路に出て、北西に進む。

安居渓谷沿いの道路に合流するとすぐうすぎ谷橋が現れるが、この袂と、橋を渡った先のトイレがある箇所を結ぶトレッキングコースがあり、巨木の縄文桂や昇竜の滝を見られる。が、ある程度の登山経験者でないと、回遊するのは無理だ。初級者は昇竜の滝の往復だけにとどめるように。

地形図「筒上山」の、1171.7m峰(点名は国王山だが、実際の国王山は南西にある)北東の林道から分岐する破線の内、大滝神社手前のカーブまでが廃線跡だが、最初の部分はヤブに埋もれている。

破線起点をやり過ごし、しばらく行くと大滝の道標があり、小径が分岐しているので、これを辿る。数分足らずで廃線跡に下り立つ。そこから大滝神社までは遊歩道が整備されており、支流の沢には鉄道橋を模した橋が架けられており、廃線跡ウォーキングの気分が高揚される。
所々、頭上に覆い被さるような岩盤があり、軌道敷設工事の労苦が偲ばれる。

大滝神社の奥は、渓谷の両岸が岩門のようにそそり立っており、渓谷は渕を成している。この渕を「カドヤ渕」という。この渕も「仁淀ブルー」(安居渓谷は仁淀川の支流、土居川のそのまた支流)の美しさだ。

渕の左奥からは滝音が聞こえているが、これがその名も大滝だ。滝の前に下りられるようだが、投稿者は道が分からなかったので、ここから引き返した。
神社周辺の軌道は岩盤横に櫓を組み、その上にレールを敷いていたので、櫓とレールを撤去すると、軌道跡は残らない。軌道はカドヤ渕の先で対岸に渡っていた。

帰路はうすぎ谷橋から渓谷沿いの道路を行く。
背龍橋には背龍滝が懸かっており、間近に見上げることができる。水量は少ないが、趣はある。
橋を渡ると、小径を下りて、安居渓谷遊歩道を辿って行こう。遊歩道は所々ヤブっぽい箇所があるせいか、全コースを歩く行楽客は皆無だ。上流の終点には無粋な堰堤があるが、流れ落ちる水量が多いため、それなりの見甲斐はある。
また、近くの対岸には横穴から流れ落ちる沢もあり、意外な景観を見つけることもできる。

遊歩道を南に辿って行くと「せり割洞穴」の道標が出ているが、一見すると、そこからは洞穴もそこに至る遊歩道も見えない。が、実は道標下の大きな石群は皆、人工の石で、それを階段代わりに下りることができ、西を見ると洞穴が口を開けている。

横穴ではなく、巨石が折り重なった上に土が堆積してできたような洞穴なので、あまりひんやり感はない。が、下の空間には渓流も見える。子供の頃なら「基地」をつくりたくなるような空間だ。

もみじ橋周辺はさすがに行楽客が多いが、遊歩道の南端まで歩く者は皆無だ。
手すりのない遊歩道は川面ぎりぎりを走っている所もあり、路面も滑り易いが、渓谷は随所に川石で簡易堰を造り、水かさと流れを調整しているので、子供が滑落したとしても溺れることはない。

遊歩道からは渓谷最大の滝、飛龍の滝遊歩道も分岐しているので、往復されたい。尚、古い看板には滝を回遊するコースが描かれているが、沢の橋は出水で流され、山手の道も途中で土砂崩れを起こし、永遠に復旧されないから、回遊することはできない。

宝来荘で渓谷を愛でながら、飲食してエネルギーを補給しても良い。
尚、ここで紹介したコースは三回に分けて探訪しており、安居渓谷遊歩道以南については9月に撮影したものなので、雰囲気は若干異なる。
鉄道廃線跡基点
2012年11月08日 17:51撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
11/8 17:51
鉄道廃線跡基点
歩道上の畑が廃線跡
2012年11月08日 17:54撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
1
11/8 17:54
歩道上の畑が廃線跡
茶畑となった廃線跡
2012年11月08日 17:55撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
1
11/8 17:55
茶畑となった廃線跡
民家の屋根横を走る鉄道廃線跡
2012年11月08日 17:57撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
2
11/8 17:57
民家の屋根横を走る鉄道廃線跡
大屋の小屋掛けされた廃線跡
2012年11月08日 18:01撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
1
11/8 18:01
大屋の小屋掛けされた廃線跡
大屋集落北の廃線跡
2012年11月08日 17:59撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
1
11/8 17:59
大屋集落北の廃線跡
安居渓谷上方の広場から続く廃線跡
2012年11月08日 18:06撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
2
11/8 18:06
安居渓谷上方の広場から続く廃線跡
安居渓谷上方の尾根を回り込む廃線跡
2012年11月08日 18:09撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
11/8 18:09
安居渓谷上方の尾根を回り込む廃線跡
みかえりの滝
2012年11月08日 19:29撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
2
11/8 19:29
みかえりの滝
「奥安居渓谷」支流に架かる廃線鉄橋跡
2012年11月08日 17:31撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
4
11/8 17:31
「奥安居渓谷」支流に架かる廃線鉄橋跡
岩盤を掘り割って進む廃線跡
2012年11月08日 17:32撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
4
11/8 17:32
岩盤を掘り割って進む廃線跡
頭上を岩盤が覆う廃線跡
2012年11月08日 17:36撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
4
11/8 17:36
頭上を岩盤が覆う廃線跡
大滝神社の新旧の橋
2012年11月08日 17:34撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
11/8 17:34
大滝神社の新旧の橋
カドヤ渕
2012年11月08日 17:38撮影 by  DiMAGE Z1, Minolta Co., Ltd.
11/8 17:38
カドヤ渕
背龍の滝
2012年11月08日 19:45撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
2
11/8 19:45
背龍の滝
安居渓谷上流の遊歩道から
2012年11月08日 19:43撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
3
11/8 19:43
安居渓谷上流の遊歩道から
乙女河原北方辺り
2012年11月08日 19:32撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
1
11/8 19:32
乙女河原北方辺り
せり割洞穴
2012年11月08日 19:40撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
11/8 19:40
せり割洞穴
せり割洞穴下部から渓流を
2012年11月08日 19:41撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
4
11/8 19:41
せり割洞穴下部から渓流を
もみじ橋周辺
2012年11月08日 19:48撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
2
11/8 19:48
もみじ橋周辺
飛龍の滝遊歩道の橋
2012年11月08日 19:34撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
11/8 19:34
飛龍の滝遊歩道の橋
飛龍の滝
2012年11月08日 19:35撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
5
11/8 19:35
飛龍の滝
安居渓谷の澄んだ流れ
2012年11月08日 19:37撮影 by  Canon PowerShot S3 IS, Canon
5
11/8 19:37
安居渓谷の澄んだ流れ

感想

[林道情報]
廃線跡のみを歩き、移動は車を利用する場合、うすぎ谷橋から北は通行止めになることがあるので、役場や森林管理署に確認を。
その林道は、平成9年発行の地形図では途中までしか描かれてないが、実際は手箱越道の先まで延びている。だから以前より筒上山の登頂時間は短縮されるが、林道にゲートがあるか否かは未確認。また、'04年時の豪雨で崩壊している場合は、奥の区間が通行止めになっているはず。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:3585人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら