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Yamareco

記録ID: 2517673
全員に公開
沢登り
甲信越

三峰川遡行 (小瀬戸から入山し仙丈岳の肩を通り北沢峠へ)

1994年08月12日(金) 〜 1994年08月15日(月)
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littletrekker その他1人
GPS
80:00
距離
30.9km
登り
2,047m
下り
1,138m

コースタイム

 南極にも遠征された事のある山の先達B氏に連れられ、南アルプスを流れる三峰川を遡行して、仙丈岳にを越えて北沢峠に抜けることにした。
 高遠からタクシーで三峰川に沿って林道を進んだが、途中工事の為、小瀬戸で降ろされてしまった。大曲のゲート迄入るつもりであった当てが外れ、3時間余計に歩く事となった。延々と続く林道を、辛抱強く進む。大曲から30分位進んだ辺りに、林道の脇に湧く延命水はなかなか美味しい水だった。歩き始めて約6時間、漸く林道終点に到着する。ここから少し進むと、渡渉が始まる。初日は、林道終点で幕営する事にした。

 2日目、三峰川沿いに10分も進むと、歩ける河原が流れの反対側に移り、渡渉しなければ先に進めなくなる。半ズボンに履き替え、渓流釣り用のゴム靴を履いての沢登が始まった。8月に入り雨が少なかったせいか、水量は予想より少なく、膝が隠れるくらいの深さのところを、慎重に進んでいく。水は程よい冷たさで気持ちが良い。
 大横川分岐を過ぎる頃から河幅が狭くなり、倒木が目立ち始める。程なく、高まきをしなければ越えられない個所に出た。刺のある下草で怪我をしないように、長いズボンと登山靴を履き、B氏が鉈で藪を開きながら道を付け、倒木地帯を越えてゆく。高巻の度に靴を履き替える事もあって、思うように距離が稼げない。
 この日は、斜面に取り付く三軒岩小屋沢分岐迄入る予定であったが、谷筋の夕方は早く、手前で幕営地を探すことにした。川幅が狭く、なかなか良い場所が見つからない。万が一増水した時の事を考えると、水辺の設営は危険すぎる。辺りが薄暗くなり始めた頃、漸く河原より一段高い所に、平らなテン場を見つけた。辺りから薪に出来る倒木を集めてきた頃には、とっぷりと日が暮れていた。

 こからは沢筋と離れ、枯沢をなめながら地蔵尾根に一気に突き上げる。装備を固め直し、地図を頼りに登攀をはじめた。途中、開けた枯沢が大きく右に曲がっていて、枯沢筋に沿って急斜面を登っていく。木々が開け始めると、三峰川に大きなUの字型を描かせている小瀬戸尾根が下に見える様になった。高度的にはそろそろ地蔵尾根に出るはずなのだが、目の前の坂はなおも続いている。「道を間違えたか。」と思いながらも、高度的にはかなり登って来ており、そのまま進む。と、道がすっと消えてしまった。
 どうやら、獣道に入ってしまった様だ。獣道は下枝がうるさく、かきわけながら進むのに体力を消耗する。時間も気になる。このままでは、水のある幕営地にたどり着けるのだろうか。再悪、何時に下降すれば、水のある三軒岩小屋沢分岐迄戻れるだろうか等と考えるが、焦ると方向感覚まで狂いだす。やおらB氏が「お茶を点てよう」と言って荷物を降ろした。「こういう時には、一服して落ち着いてから進む方向を決めれば良い。」と言う。なるほど、熱いお茶をすすり、飯盒の冷飯を食べると、不思議と気持が落ち着いてくる。15分程度の休息が、気が焦る時には大変効果的である事を、身をもって体験させられた。休憩の後、斜面に向かって右方向に道を決め進むと、やおら地蔵尾根の稜線が見えた。
 地蔵尾根から仙丈岳カール壁まで、展望の良い稜線を進む。カール壁の分岐から山頂までは15分程度で登れそうだったが、明るいうちにテントを設営したかったので、そのまま仙丈カールのテントサイトまで下降した。ところが、折からの好天で、カールの水場が枯れている。水場のある、これより下の幕営地まで降りてしまっては、もう明日、登り返す自信は無い。しかし、幕営に水は必須である。後髪を引かれる思いで、藪沢カールを後に下る事にした。途中、馬の背ヒュッテは幕営禁止になっており、藪沢小屋のテント場まで降り、幕営した。
 先程までの三峰川沿いと打って変わって、ハイシーズンの仙丈岳周辺は人が多い。その中で藪沢小屋は比較的静かな所だ。仙丈に登る人は、北沢峠周辺で泊って軽装で山頂を往復するか、馬の背ヒュッテや仙丈カールで泊って、朝一番で山頂を目指すかする人が多い様である。小屋からは、北沢峠を挟んでそびえ立つ甲斐駒ヶ岳が夕日に染まって、朱色に輝いていた。

 4日目、朝ゆっくりと起床する。今日は北沢峠に2時間下るだけだ。山の上で朝ゆっくりと過ごすと、凄く贅沢な気持になれる。3日間の三峰川遡行を思い出しながら、藪沢小屋をあとに北沢峠へと向かった。
天候 晴れ
アクセス
利用交通機関:
タクシー 自家用車
高遠からタクシーで三峰川の小瀬戸まで入り、此処から三峰川沿いに入山。仙丈岳の地蔵尾根に突き上げ、藪沢小屋を経由して北沢峠へ下った。
予約できる山小屋
馬の背ヒュッテ
北沢峠 こもれび山荘
三峰川沿いの林道を進む。
三峰川沿いの林道を進む。
倒木を潜りながら沢を登る。
倒木を潜りながら沢を登る。
2泊目は沢沿いの平地に幕営した。
2泊目は沢沿いの平地に幕営した。
たき火を起こす。
たき火を起こす。
南極越冬の経験したB氏が先に進み沢を進む。
南極越冬の経験したB氏が先に進み沢を進む。
谷筋を突き上げる。この先で道を失った。
谷筋を突き上げる。この先で道を失った。
漸く地蔵尾根が見えた。
漸く地蔵尾根が見えた。
稜線から仙丈岳。
稜線から仙丈岳。
賑やかな北沢峠。
賑やかな北沢峠。

装備

個人装備
長袖シャツ ズボン 靴下 グローブ 防寒着 雨具 着替え ザック ザックカバー 昼ご飯 行動食 非常食 調理用食材 調味料 飲料 ガスカートリッジ コンロ コッヘル 食器 ライター 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 筆記用具 ファーストエイドキット 常備薬 日焼け止め ロールペーパー 保険証 時計 タオル ナイフ カメラ ポール テント テントマット シェラフ 渓流シューズ
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