運命の傀儡と上赤坂城趾
- GPS
- 00:47
- 距離
- 1.6km
- 登り
- 127m
- 下り
- 125m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
チャリダーのバイブル的な位置付けの本「行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅」を最近読んだ。一編が2〜3ページにまとめられた旅のエッセイ集で、40代で読むにはいささか遅すぎた感はあるものの、その中で印象に残ったのが「運命の傀儡」という編だ。
簡単に言うと、
道端でテント泊しているときにベドウィンらしき二人組の気配がし、襲われやしないかビクビクしつつ、そのまま泊まっても何もなかったかも知れないが意を決してテントを撤収しそこから離れた時の経験が、生々しい心の葛藤を交えて描かれている佳作だ。
さて、今回は上赤坂城趾から金剛山を登ろうと朝から車を飛ばした。登山口に着いたものの駐車場には「施設を封鎖しています」という貼り紙とコーンが置いてあった。
あーしもた…
世は何度目かの緊急事態宣言下。慣れてしまい気にせず来てしまった。そういえば昨年は登山も自粛してたっけ。
とは言え、コーンを避ければ車は止められるのでひとまず駐車。他に車はないが、特に登山口自体が物理的に入れなくなっているわけではなかった。
行くか。
私は行くことにした。ここまで来てしまったのだ。
駐車場の前で畑仕事をしているおっちゃんの目から隠れるように登り始めた。もっと身近な六甲山には宣言下でも登ったし、云々。
こういう時は楽しくない。
何かを気にしながら登山する時は、だ。
以前、ある山での登山経験を思い出した。
その時は、有料駐車場の手前数百メートルのところにあるスペースに駐車して、トコトコ歩いて駐車場代をケチったことがあった。その登山はあまり楽しめなかった。なぜなら、そのスペースは崖の直下で、車に石が落ちていないだろうかと気にしながらの登山だったからだ。
事情は違えど、同じような引っ掛かりを心に抱えながら登った。
来てしまったのだ。
登り始めてしまったのだ。
運命にがんじがらめにされている傀儡そのもののように感じ、冒頭のエッセイを思い出した。
今日は城跡だけ見て帰るか…。
私もまた運命の傀儡から逃れることができた。我ながら自分のクソ真面目さに苦笑いしながら、城跡の展望台で景色を眺めた。思ったよりひらけていて、大阪平野が一望できる。
後から登ってきたトレランの男女や、下りですれ違った登山者に後ろ髪を引かれながら、私は約40分の登山を終えた。
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