山行記録: ο(オミクロン)滝①【敗退】

記録ID: 3815851

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沢登り

東海

ο(オミクロン)滝①【敗退】

2021年12月04日(土) ～ 2021年12月05日(日)

まっちゃンその他1人

天候	晴カゼ
過去天気図（気象庁）	2021年12月の天気図
アクセス	利用交通機関：自家用車

写真

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2021年12月05日 10:27撮影 by DSC-T77, SONY

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12/5 10:27

撮影機器：

DSC-T77 SONY

感想

まっちゃン

　クライミング志向の取り立てて強くない、私のような一溯行愛好家にそう思わせる貌が、この滝にはあった。「これには手を掛けたい、是非登ってみたい。」と。林業で言うところの「このヒノキや大杉は私の手で伐倒したい」と思わせるような存在感が。
　ここではその滝を、時節柄「ο(尾身苦労、もといオミクロン)滝」としておく。
　私の大滝登攀コレクションといってもそう多くは無いけれど、私自身の中で“これは”というものも幾つかあった。ここでは敢えて挙げないけれども印象的なそれら幾つかに、決して引けを取らない容貌をした今回のο滝を発見した際の喜びといったら、ここ近年感じたことが無い程の感情だった。これこそが感情的になる、というのか。
　この手の感情に移入してくれる人物といったらこの方を措いて他になし、というα(アルファ)氏に連絡を取るとこちらの想像を越えて同意下さった。これまで多くの大滝登攀を手掛けてきた練熟のα氏となら納得の登攀が出来るに違いない。何となくの人と組んで登るわけにはいかない、そんなο滝なのである。
　こちらの希望するそのο滝を一本、α氏の希望滝(α滝)一本を翌日に計画して、出掛けた。尚、足回りはα氏がウン十年前のEBシューズ(！)、私は崩壊寸前のフェルト地下足袋と30年前のクレッターシューズ。

　結果、身持ちの固い彼女ら滝は、クライミングにブランクあった我々に心を開いてはくれなかったが、この夏がそうであったように“そうは問屋が卸さない”山行の意味を知った身としては、登れなかった今回の一連に思い巡らすことを今は楽しんでいる。無事に帰ればまた次がある。
　ヌメる外斜バンドを辿ってハーケンのピンを固め打ちして到達した凹角の、そのリス(割れ目)は果たして閉じていた。あと一歩が出ずに敗退を決意、その行き詰った落ち着かないバンドから見下ろしたこの滝の高度感を目に焼き付けた。久方振りのその露出感覚が堪らなかった。それにしても、思った以上に傾斜の強い滝だった（ο滝）。
　飛沫も上げず音も立てず、岩盤を舐めるよう静かに垂れる巾広滝に、我々は文字通り“手も足も出ず”に引き返した。思った通りに強傾斜の滝だった（α滝）。

　悔しさよりも、これで年を越せる安堵が今は勝っている。
　帰宅して写真を見返すに、あんなにもイカした滝に我らが身を置けたことを真に幸運なことと思えた。
　機を改めて、また会いに出掛けるだろう。

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