記録ID: 44482
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ハイキング
九州・沖縄
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)49・唐津へ。
2006年11月28日(火) 〜
2006年12月01日(金)


- GPS
- --:--
- 距離
- ---km
- 登り
- ---m
- 下り
- ---m
コースタイム
11/28 博多ー前原ー二丈町
11/29 二丈町停滞
11/30 二丈町ー唐津
12/1 唐津ー星賀ー日比
11/29 二丈町停滞
11/30 二丈町ー唐津
12/1 唐津ー星賀ー日比
過去天気図(気象庁) | 2006年11月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
11/28 博多での三夜はろくに眠れもしなかった。まあ、屋台をハシゴしたりして結構楽しかったかな。寝不足のボンヤリした頭でトコトコと歩き始める。例によって、町の引力圏を抜け出すのは力技。途中、性懲りもなくラーメン屋に入ってみる。「一蘭」というチェーン店。結構有名な店のようだ。これでダメなら博多ラーメンには縁がなかったってことで諦めもつくだろう。この店は「よそ見しないでラーメンだけに集中しろ」というコンセプトで経営しているらしく、座席が一つずつ仕切りで区切られている。客は余計な事は考えずにひたすらラーメンだけくってれば宜しい、という寸法である。これは…味がどうとかいう以前の問題だな。味覚って鼻とか舌だけで感じるものじゃないでしょ?美味しい食事って、味の良し悪しだけじゃないでしょ?などという食べ物に対する考え方の基本的なところで躓いてしまった。まあ、こういう考え方も世の中には存在するんだなぁ。どうやら博多のラーメンには縁がなかったようだ。 室見川を渡っていくと、いよいよ博多の街ともお別れって感じがしてくる。椎名林檎の歌に出てくる川だ。別にどうってことない川。近くにはももち浜もあったけど、敢えて行ってみようという気は起きない。 今宿の海岸でも野営できそうであったが、如何せんマンションが近い。買いもの帰りの奥様が、お子様を連れて散歩などしていらっしゃったりする。こういう方達は野宿の徒歩旅行者などというものに、寛大な思想など持ち合わせていらっしゃらないだらうと想像される。もちろん僕の偏見かも知れないけど、そんなに間違っちゃいないハズよ。というわけでもう少し進んでみる。 前原というところでニンニクと生姜を購入。博多で買ったカイエンペッパーと合わせて、チリペーストを作ろうというので。 <美味しいチリペーストの作り方。> ・ニンニクと生姜を摺りおろす。 ・ニンニク:生姜:カイエンペッパー=1:1:2 で、ひたひたの油で弱火にかける。 ・泡が立ってきたら火を止めて、そのまま冷まして出来上がり。 ごく簡単なもので、レシピって程のこともないけど、一応僕のオリジナル。徒歩旅行での持ち運びのことなんかを考えると、油は常温で凝固するラードを使うのがいいでせう。 ニンニクと生姜を摺りおろすのがちょっと面倒だが、これを作っておくとスープカレーなんかが美味しくなる。僕はちょっとしたカプサイシン・ジャンキーである。辛さの感覚ってのは麻痺し易いもののやうで、何時の頃からか、僕はかなり高いスコビル値でないと辛さを感じない体になってしまった。勿論ただ唐辛子を振りかけても辛くはなるのだが、香味野菜と一緒に油に掛けた方が随分美味しくなる。唐辛子に限らず、スパイスの基本は香りを油に移すってところにあるんじゃないでせうか?どうでもいいんですかね、そんなことは。僕にとっては大事なことなんですけど。これを作るためだけに、僕は百均の小さいおろし金を携帯している。 加布里というところまで来ると、道端に「牧のうどん」本店の姿が現れる。「牧のうどん」は福岡では結構有名なブランドらしく、あちこちで看板を見かけた。時こそ今は雀色、紺青の夕空の下で小腹の空いてきた頃合いである。今夜の夕食はここで済ますことにする。機械化されてはいるが、オーダーを受けてから裁断して茹で始める。やたら太くて、もっちりした食感が何とも言えない。店内の雰囲気は、無駄な装飾などなく、ざっくばらんな感じ。うどんを茹でる釜の向こうに、昭和の匂いがプンプンと漂っている。最近有り勝ちな、演出された「レトロ」とは一味違う。地元の人に長く愛されてきたのだろう。何時も変わらない味ってやつだ。そして何しろ安い。大して期待もせずに入ったのだが、ボク的にはかなり気に入ってしまった。美味いとか不味いとかを越えた親近感を覚える。ある種のB級グルメは憧憬の対象たりえるのだ。お土産にうどんを二玉購入。 店を出るとあたりはすっかり暗くなっている。靴を変えたばかりなので、足が痛い。早くも靴擦れになってしまったようだ。頼りないことだよ。物悲しく、殺風景な夜道をヨチヨチと辿って行く。今夜は何処まで歩けばいいのだらう?二丈町に入ると、巧いこと温泉を見付ける。筑前深江の駅に程近いあたり。「きららの湯」という、比較的新しくて小奇麗な施設である。時刻は7時を回ったところ。閉館の9時までゆっくり休ませてもらう。休憩室でうたた寝するうちにいつの間にか9時になったようだ。仕方なく荷物を背負って表に出る。やたらだるい。そして眠い。 真っ暗な道を海と覚しき方角に歩いて行く。小さな川と民家の塀とに区切られた狭苦しい道を辿って行くと、果たしてこじんまりとした海岸に出る。テントを立てると、程なくして雨。なんだってんだろうね。関係ねーや。とにかく眠いんだ。地図で確認してみると、30kmくらいは歩いてきたらしい。まあ、今日のコンディションからしたら、がんばったんじゃないの? 11/29 こんこんと眠り続けて、目が覚めたのはお昼近く。それでもまだ全然寝足りない。このまま惰眠を貪ることにする。博多でロクに寝れなかったせいだろう。 午後から例のチリペースト作りに励む。生姜とニンニクを摺りおろし過ぎて、大量のペーストが出来てしまった。一度町へ出て買い物。挽き肉とニラを購入。さっそくチリペーストを使って、辛味噌うどんを作ろうという寸法である。テントに戻ってから再び寝る。幾らでも寝れるな、しかし。 夕方になって、お巡りさんがやって来る。これは僕にとってちょっとショックな出来事だった。僕はかつてヒッチハイクをしながらひと月ほど、山登りなどしながら九州を旅したことがある。その時も当然の様に野宿を繰り返していたのだが、警察に通報された試しなど唯の一度もなかった。それどころか、至る所で手厚いもてなしを受けて、恐縮の限りだったものである。今のご時世、本州島では防犯がどうとかって、うるさいことを言われても仕方ないと思っていたのだが、まさか、九州は違うだろ?僕の気分としては、 「そんなところに寝てないで、ウチに泊まったらよかろうもん。」 くらい言ってくれるのが九州の人の心意気だという気がしていたので。何だかすごくガッカリしてしまった。珍しく愚痴めいた事をお巡りさんに言ってみる。そんなことをしてもせんないことではあるが。 「なんなんすかね?僕はただ大人しく寝てただけですよ。やっぱり通報な訳ですか?ちょっと前なら誰も通報なんてしなかったもんですけどねぇ。」 「通報されてしまうとね、ワシらとしても放っておく訳にもいかんとよ。ワシも若い頃にはバイクで随分色んな所に旅しよった。あちこちで親切にされたとばい。時代が悪かねぇ。何も通報せんでもよかろうもん・・・。」 などと年季の入った博多弁で、率直なところを答えてくれた。年配のお巡りさんである。明日には出ていく旨を伝えると、今夜の所は見逃してくれた。わりと話せる人で良かった。お巡りさんってのは大概一方的な事しか言わない人たちだからなぁ。今夜の所は本場の「よかろうもん」が聴けて良かったかもしれない。 それにしても遣る瀬ない気分だ。先程買い出した食材で思いっきり辛い味噌うどんを作る。ヤケと辛い、激辛というやつで。あんまり辛くて涙が滲んだ。悲しいからじゃないよ。 11/30 さて、今日は先へ進まねばならないのだが、この先どんなルートを取ろうか、未だに考えがまとまっていない。伊万里から南へ、長崎へと抜けるのが一番自然なような気がする。しかし、もう少し北を回って小島を転々としながら、佐世保へ向かうのも面白そうだ。それよりむしろ、平戸や五島列島に足を伸ばしてみようかしら?地図を睨んでみても、様々な妄想がスパークするばかりで、一向に決断の付きそうな気配もない。取り敢えず唐津まで行ってみるか。僕ってめっきり優柔不断。 玄界灘を右手に見やりつつ、ヨチヨチと行く。相変わらず足が痛い。不安だ。この靴、不安だぞ。 虹の松原付近に「唐津バーガー」というハンバーガー屋さんがあるはずである。昨日、姉妹店みたいなのを博多郊外で見かけて、確認しておいたので間違いない。九州というのは知る人ぞ知るバーガー地帯なのである。いや、バーガー地帯なのは佐世保だけか?米兵いるからな。唐津バーガーにも興味ある。しかし、どうも何処にあるのかよく分からない。あまり探し回りもしせずに、あっさり諦めて虹ノ松原をくゎんこうすることにする。考えたらバーガー趣味とかってないんだよなぁ、俺って。 虹ノ松原はだだっ広い砂浜である。防風林の松林の中で、松ぼっくりの写真など撮りながら歩く。上半身を諸肌脱ぎのオヤジが波打ち際で乾布摩擦に勤しんでいた。 唐津市街に近づくにつれ、お城が見えて来る。立派なお城だ。お城のすぐ下に中学校や高校があるらしく、学生さん達がウロウロしておられる。 取り敢えず駅に行ってみる。別に鉄道に用はないんだが、なんとなく。町の中心っていうと駅のような気がするんだなあ。駅の構内のラーメン屋さんが美味しそうだったので入ってみる。美味しかった。 温泉があるようなので、くゎんこう案内所で道を確認して行ってみる。旅館の内湯である。鉱泉の沸かし直しのようである。受付で何やら仲居さんに言われたが、よく聞き取れなかったので、「はい、まあ、そうですね。」などと適当に答えていると、何故か露天風呂に案内されてしまった。湯温がそれほど高くはないので、体を洗ったりしていると寒い。しかし俺は何を訊かれたんだろうね。 旅館を出て海の方へフラフラと歩みを進めていると、角の所にお宜しい感じの八百屋さんがある。さしずめ梶井基次郎ならさぞや素敵に描写するであろう。一袋100円のみかんを購入。 海岸近くは旅館街になっているが、そのうらに静かな砂浜が広がっている。ひょっとしたら人工ビーチなのかも知れないと思った。傍らには唐津城の姿が夜闇に浮かんでいる。 12/1 あれほど恐れた11月も、いともあっさり終わってしまった。これはこれで心細い。もうあとひと月で今年も終わりだ。先生も走る12月である。Teacher is running, Aha? 今朝も何だか異常に眠い。ゴロゴロしているうちに時計は10時を回ってしまった。さあ、今日はサボる訳にはいかないよ。駅前に1000円の床屋さんがあったので入ってみる。昨日風呂に入ったばかりだし、そんなに臭くはないハズよ?1000円とリーズナブルな価格設定ではあるが、最近よく見るチェーン店の類ではない。結構ちゃんと切ってくれてお得だった。考えてみれば新潟でMiya君に個性的な髪型にしてもらって以来の散髪である。久々に綺麗サッパリ。晩秋の風が襟首に冷たい。シャンプー無しなのでちょっとチクチクするがまあいいでせう。 そうこうするうちに、昼近くなってしまった。困った話だ。昨日まで煮え切らなかった今後のルートは、一応佐賀の北部を小島を繋ぎながら歩いてみるってことで決定。五島列島まで足を伸ばすかは、また明日にでも考える。 今日は鷹島という小島に渡ってみることにする。フェリーターミナルのある星賀というところまで、軽い峠越えである。山陰の日本海岸に出て以来、ひたすら海沿いを歩いてきたので久々の山越えである。まあ、山って程のものでもないが。頼りないウォーキングシューズ、大丈夫だろうか。足の痛みは大分引いて来た。足に靴が馴染んできたものと見えて、早くも靴底が足裏の形にへこんで来ている。 17時頃星賀に到着。しかしなんとしたことか、眼下に見えるフェリーターミナルから、今まさに船は出港せんとするところである。 「わー、その船待ったぁ。」 などと奇声を発しつつ急いでみてもせんないことで。こうなってはもはや手遅れである。それならそれで、まあ、いいか。別に急ぐ旅ではない。日記などしたためながら、星賀のフェリー待合所のブルージィな風情を楽しむことにする。鷹島側のフェリーターミナルである「日比」までは片道200円。次の便まで1時間半ほどの待ち時間がある。ひと気のない券売所の気だるい雰囲気など、やけに旅情をそそりやがる。 6時20分頃船に乗り込む。真っ暗な窓の向こうを睨めているうちに、いつの間にかうたた寝してしまったようだ。それにしてもやけに出港が遅いな?などと思っていたら、いつの間にか日比港に到着している。なんとまあ、すっかり寝過ごしてしまった。フェリーターミナルのすぐそばがダム湖になっている。極度に真っ暗で、足元に地面が続いているのかさえ定かではない。頭上には星影もない、闇夜だ。何が何だかよく分からなかったが、四阿があったので、その下で寝る。 |
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