山王遺跡、市川橋遺跡, 地底の森ミュージアム、魯迅の石碑
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 23m
- 下り
- 23m
コースタイム
天候 | 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
自転車
|
写真
感想
国府多賀城跡の南側に広がる山王遺跡、市川橋遺跡は、古代の町並みの広がる地域だが、それ以前の古墳時代中期から後期(1600-1350年前頃)にも、既に大規模な集落が存在していたという。仙台駅から東北本線に乗り換え、先日チャリで回った山王遺跡の看板が駅前にある陸前山王駅をすぎ、国府多賀城駅で下車、小雨の中博物館に向かうが開館時間の九時半までまだ十分待たねばならない。ようやく中に入り、チケットを買ってテーマ展示室に直行する。先日この博物館に来たときは確かまだこの展示はなかった。
最初に後期の集落に接する河川跡から木製品や骨角器などがたくさん出土し、平鍬、又鍬、田下駄、横槌などの農具類は、未製品もあり、集落で作ったものだった。またやはり木製や骨角製の漁労具も出ているが量が少ないので農業の副業的な仕事だったようだ。たも網の枠木も出ている。鹿の四肢骨の矢尻や丸木弓は、狩猟用だが、装飾や、まじない具などシカの骨は、様々な用途に使われたようだ。シカの頭骨には、脳を取り出した痕跡があり、皮なめし剤として使われた可能性があるらしい。皮なめしは、この辺りの重要な生業で交易品だった。
また山王遺跡や市川橋遺跡からは、圭頭太刀の柄頭や柄香炉なども見つかり、後期には有力者が出現していたやうだ。一般的な集落にはない須恵器や横櫛、墳墓の副葬品に多い管玉や勾玉類、また占いに使う卜骨、刻骨、祭司に使う斎串、人形、刀形などとも出ていて興味深い?なお会場の展示物の撮影はできない。
東北歴史博物館から仙台駅に戻り、地下鉄南北線を使うか、シェアサイクルを使うか迷ったが、雨が大したことなさそうなので予約してポートを探す。上の歩道から下を見るとポートらしき場所を見つけて下に降り解錠する。今回はスムースにできた。雨は降ったりやんだりで上の雨具だけでなんとかしのいだ。長町南にあるミュージアムに到着、最初のメインの旧石器時代の埋没林は、何度もみたので簡単に見学して展示室に向かう。常設展も簡単に見学して企画展示室に向かう。今回は遺跡ができた時代の環境の復元図を初期のものから宮城県史に使われた復元図まで四回に渡る復元図の展示とその下絵、どの箇所に新たな知見を踏まえて絵を変えたかー西側丘陵からの堆積物がたまり新たな地形が形成される様子などが書き込まれた。特に驚くような変化はないが植物相、動物相と人間の活動の時間的な重なりがどうだったかは難しい問題だろう。
今日のメインメニューー東北地方の豪族の姿シンポジウム、地底の森ミュージアムか、少し走った高倉町珈琲店でランチをすませ、七キロ先のトークネットホールに向かって走る。何とか雨はひどくならずにすんだ。
シンポジウムメニューは、辻秀人考古学からみた東北地方の古墳時代、奈良貴史、同古墳時代人骨の形質人類学的特徴、安達登、神澤秀明、DNAからみた東北地方の古墳時代人、米田遜、古墳時代人は何を食べていたか? 波多野悠夏、鈴木敏彦、顔の復元、伊豆原月江、服飾文化等の発表の後、まとめの討論が行われる。まず、このシンポジウムのきっかけとなった会津の灰塚山古墳出土人骨わ発掘した辻秀人氏が灰塚山と山形の戸塚山古墳の人骨との比較を行おうと人類学やDNA解析等の研究者を集めてチームで共同研究を行い、今日はその成果の報告になる。形質人類学的な基本的な研究結果の報告の後、国立科学博物館の神澤氏が古人骨DNA解析と戸塚山、灰塚山人骨のDAN解析の結果を報告、基本的には現代日本人の範囲にはいるが、一方縄文的要素も出ている。他地域にくらべやや大きいようだ。
また復願に関しては歯学部の先生方が積み重ねた研究から、灰塚山古墳の人骨の復顔を試みた。そのプロセスは、興味深かったが必要な顔の軟組織のデータが不足していると言う。古人骨DNA分析の神澤氏は、比較としてアメリカのFBIとも関係するような分析機関に復元依頼をして神澤氏の分析と照合して、分析の確からしさを確認していたが、海外ではこうした復顔の重要性から多くの基礎研究やデータを揃えているのだが、日本ではそうした基礎研究が欠如しており、作業が大変らしい。科学弱小国日本だー情けないこと甚だしい。また服飾専門家で文化人類学的なフィールド調査を積み重ねている伊豆原月江氏は、服装、髪型、生地や色、佇まいなどに関して多くの関連資料やご自身の実験などから、かなり大胆な予測を話されて面白かった。従来は縄文人の推定衣装と余り代り映えしないような推定が多かったが多くの渡来文化や人の往来からもっと大陸文化に近いものを上位階層の一族は身につけていたのではないかと議論され、今後の更なる研究が楽しみだ。
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