記録ID: 642104
全員に公開
アルパインクライミング
甲信越
間の岳弘法小屋尾根
2014年01月16日(木) 〜
2014年01月18日(土)
GINZA_Nagano
その他2人
コースタイム
1日目
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:00
8:30
360分
夜叉神
14:30
弘法小屋尾根1900m付近
2日目
- 山行
- 10:50
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 11:00
6:30
510分
弘法小屋尾根1900m付近
15:00
15:10
140分
間ノ岳
17:30
弘法小屋尾根1900m付近
3日目
- 山行
- 6:15
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:15
8:30
375分
弘法小屋尾根1900m付近
14:45
夜叉神
1/15 水 高円寺−芦安山岳館前(仮眠)
高円寺のMacでTさん合流・Iさんを待つ。前週末の全国的降雪及び今夜の低気圧通過で「ラッセルだね」と喜びあい、且つ北岳までの延長は「無理だよね」と語る。
Tさんにあわせて平日休暇なものだから、中央道も快調。R20のコンビニで買い足し、芦安山岳館に停める。ここ、夏季には無料仮眠所として解放されていた。なのに今回は玄関に” 宿泊はできなくなりました”と貼り紙がある。控えめに宴会・仮眠する。
1/16 木 夜叉神駐車場−鷲住山−荒川出会−北沢出会−弘法小屋尾根1900m付近(幕営)
夜叉神駐車場には数台あり。8時ころか、身支度していると係員が来てゲートを開け、工事車両を通す。ゲート脇で呼び止められ、「自己責任でトンネルに入る」と一筆メモ書きを要求された。
鷲住山を下り、吊橋を渡り、車道に上がる。荒川方面への下りは滑り、無照明のトンネルも数か所。荒川からは工事車道を利用する。
さて、ここが核心と私N野は考えていた。というのも、記録上この工事車道の延び具合が不明であり、また古い記録では吊橋があるのに最近だと渡渉数回等とあり、今一つ判然としなかったからだ。2.5万地形図の倍拡大コピーと、秘密兵器極厚0.1mmポリ袋(渡渉で靴の上に被せる。ホームセンタ200円/3枚)まで持参した。
荒川出合から約1時間、巨大な堰堤の陰で明確に北沢が出合う。正面の分岐尾根が弘法小屋尾根で、工事用鉄パイプ手すりが見える。河原に降りると、丸太橋がある。それも、北沢・荒川本流に1つづつ。一気に懸念が解消し、汲みたての水で大休止する。
アイゼンをつけ、弘法小屋尾根に取り付く。この鉄パイプ手すり、延々と上に続いている。結構な急傾斜なのでありがたいが、一般登山道開拓中なのかと思うほど延びている。途中途切れたものの、結局1700m付近地形図上導水管がある作業飯場跡辺りまで手すりがあった。
予想外に積雪は少なく、正月のワカントレースも残っている。樹林帯の急登を幕営地を探しながら登り、1900m付近15時頃でようやく幕とした。全般に急傾斜で樹も多く、飯場跡以外に森林限界以下の適地は少なかった。
今回はラッセル予想&3泊なので、食当を3人で分担しても各自軽量化が徹底している。だもんで水もプラティパス2本5Lで朝晩が足りる。水作りが短時間な分、大いに呑み且つ空炊きして汗で濡れた靴下手袋を吊って皆乾かす。
さて、ラッセル無くトレースもあることから、誰からとなく「北岳行っちゃう?」との言葉が出る。大いに誘惑に駆られるが、計画変更の連絡がネック。結局明日のペースと天候見合いで決定し、上部から電話することとした。
Tさんならではの生食材入りシチューパスタを食べ、22時には横になる。
1/17 金 幕営地−2500m付近(デポ)−間ノ岳(ピストン)−デポ地(幕営)
4時解禁。昨夜炊いた米飯で雑炊を食べる。
「北岳行けるかな?」と頭の中で唱えながら登る。トレースが続き急登と藪を繰り返す。時間とともにガスが降りてきて池山吊尾根を隠す。風・小雪もちらつき始める。3度目くらいで休憩した平坦地の先に、最後の藪の急登と尾根が見える。と、ここで私の頭に悪魔がささやく。
「デポしてピストンして、明日は下山・温泉・焼肉にしちゃおう」
荷を置いてしばし協議。200m/1hのこのペース・天候なら3-4時間・昼には登頂、北岳山荘に足を延ばせるだろう。だけど視界もないなら楽しくないぢゃん。ピストンなら明日には打ち上げだよね。なら早く荷を置いた方が楽・早いよね。なんとも饒舌合理的な悪魔である。で、デポ&アタックを決定。これが運のツキ。
デポ地から一転トレースが薄まり粉雪のラッセル。ここまでラッセル交代も無かったのが、にわかにローテーションが早まる。 森林限界を超え、2800m先第一ギャップ。高度差3-5mほどだが、割と立っていて雪も不安定。懸垂もしづらいので”サブ装備なんだから”と自分に言い聞かせて慎重にクライムダウンする。この先ナイフリッジを繰り返すが、粉雪が浅く積り不安定で緊張する。ロープは使わないが一気にペースが半減し、主稜線が見える頃には既に昼を過ぎた。
このままではヘッデン下山どころかビバークor撤退もありうる。 折しもガスは瞬く間に晴れ、青空に北岳・農鳥が輝きだす。素晴らしい天気・景色。だけど足は延ばせない&急がないとシャレにならない。安全策を獲ったつもりが余計にハードルを上げてしまった。 三人とも想いは同じで、休憩もそこそこに気ははやるが、ペースは上がらない。風も出てきて、シャリバテ・低体温症もまずい。立ち歩きながらパンとお茶を補給する。
稜線直下・細沢/北沢カール上部は粉雪の急傾斜で最後のラッセル。主稜線から間ノ岳山頂は指呼の間だが、今日ばかりは遠く感じる。それでも15時、三人で手をつないで間ノ岳山頂に到着。ほぼ快晴の空、前に農鳥後ろに北岳が陽に白く輝いて迎えてくれてる。「ヤッター」に続いて「コンチクショー」とはからずも本音を叫ぶ。
強風の中写真を撮り、さっさか降りる。樹林帯でうす暗くなるが、ギリでヘッデン無しでデポを発見した。到着17時。高度差600mのピストンが、登り6時間下り2時間。まったく、余計なことをしてヘロヘロになった。
水も作らずバタンキューかな、と思いきや、そこはこの3人。残りの酒とつまみを平らげつつキッチリ水も作り、私のニョッキもどきクリームスープすいとんを完食。昨夜と同じ22時には横になった。
1/18土 2500m付近幕営地−鷲住山−夜叉神
朝寝を楽しむつもりが、皆歳なので6時には小用に起きる。Iさんのα米3人分とシチューを食べ、撤収。結局ガスも大1でまだ余っていた。
右に間ノ岳尾無尾根が白くデコボコと連なり、左に北岳が三角形にそびえる。そんな背景で急傾斜を下る。丸太橋で最後の給水をし、鷲住山400mの登り返しを「ビール・焼肉・温泉」と念仏のように唱えながら1.5時間でクリア。最後は農鳥・間ノ岳・北岳の大パノラマに見送られて夜叉神トンネルをくぐり、15時駐車場着・下山終了となった。
さて、下山後の温泉は「泊まれて喰えて呑める」が要件。そんなのめったにあるはずもない。が、Tさんが知っていた。それは石和R20沿いの健康ランド「塊泉」(www.yu-kaisen.jp/ )。24時間2,000円タオル着替え付き。湯も仮眠室も各種あり、車を置いて心おきなく呑める。ちなみにHP割引なら1700円、宴会プランを予約なら料理+入館料が3,500円であった。
宴会場で焼肉打ち上げ。風呂・焼肉・風呂、二次会・風呂・仮眠、朝風呂・朝食バイキング880円と、宴会代一人約6,000円。存分に疲れを癒して日曜10時には府中本町到着・解散とした。
高円寺のMacでTさん合流・Iさんを待つ。前週末の全国的降雪及び今夜の低気圧通過で「ラッセルだね」と喜びあい、且つ北岳までの延長は「無理だよね」と語る。
Tさんにあわせて平日休暇なものだから、中央道も快調。R20のコンビニで買い足し、芦安山岳館に停める。ここ、夏季には無料仮眠所として解放されていた。なのに今回は玄関に” 宿泊はできなくなりました”と貼り紙がある。控えめに宴会・仮眠する。
1/16 木 夜叉神駐車場−鷲住山−荒川出会−北沢出会−弘法小屋尾根1900m付近(幕営)
夜叉神駐車場には数台あり。8時ころか、身支度していると係員が来てゲートを開け、工事車両を通す。ゲート脇で呼び止められ、「自己責任でトンネルに入る」と一筆メモ書きを要求された。
鷲住山を下り、吊橋を渡り、車道に上がる。荒川方面への下りは滑り、無照明のトンネルも数か所。荒川からは工事車道を利用する。
さて、ここが核心と私N野は考えていた。というのも、記録上この工事車道の延び具合が不明であり、また古い記録では吊橋があるのに最近だと渡渉数回等とあり、今一つ判然としなかったからだ。2.5万地形図の倍拡大コピーと、秘密兵器極厚0.1mmポリ袋(渡渉で靴の上に被せる。ホームセンタ200円/3枚)まで持参した。
荒川出合から約1時間、巨大な堰堤の陰で明確に北沢が出合う。正面の分岐尾根が弘法小屋尾根で、工事用鉄パイプ手すりが見える。河原に降りると、丸太橋がある。それも、北沢・荒川本流に1つづつ。一気に懸念が解消し、汲みたての水で大休止する。
アイゼンをつけ、弘法小屋尾根に取り付く。この鉄パイプ手すり、延々と上に続いている。結構な急傾斜なのでありがたいが、一般登山道開拓中なのかと思うほど延びている。途中途切れたものの、結局1700m付近地形図上導水管がある作業飯場跡辺りまで手すりがあった。
予想外に積雪は少なく、正月のワカントレースも残っている。樹林帯の急登を幕営地を探しながら登り、1900m付近15時頃でようやく幕とした。全般に急傾斜で樹も多く、飯場跡以外に森林限界以下の適地は少なかった。
今回はラッセル予想&3泊なので、食当を3人で分担しても各自軽量化が徹底している。だもんで水もプラティパス2本5Lで朝晩が足りる。水作りが短時間な分、大いに呑み且つ空炊きして汗で濡れた靴下手袋を吊って皆乾かす。
さて、ラッセル無くトレースもあることから、誰からとなく「北岳行っちゃう?」との言葉が出る。大いに誘惑に駆られるが、計画変更の連絡がネック。結局明日のペースと天候見合いで決定し、上部から電話することとした。
Tさんならではの生食材入りシチューパスタを食べ、22時には横になる。
1/17 金 幕営地−2500m付近(デポ)−間ノ岳(ピストン)−デポ地(幕営)
4時解禁。昨夜炊いた米飯で雑炊を食べる。
「北岳行けるかな?」と頭の中で唱えながら登る。トレースが続き急登と藪を繰り返す。時間とともにガスが降りてきて池山吊尾根を隠す。風・小雪もちらつき始める。3度目くらいで休憩した平坦地の先に、最後の藪の急登と尾根が見える。と、ここで私の頭に悪魔がささやく。
「デポしてピストンして、明日は下山・温泉・焼肉にしちゃおう」
荷を置いてしばし協議。200m/1hのこのペース・天候なら3-4時間・昼には登頂、北岳山荘に足を延ばせるだろう。だけど視界もないなら楽しくないぢゃん。ピストンなら明日には打ち上げだよね。なら早く荷を置いた方が楽・早いよね。なんとも饒舌合理的な悪魔である。で、デポ&アタックを決定。これが運のツキ。
デポ地から一転トレースが薄まり粉雪のラッセル。ここまでラッセル交代も無かったのが、にわかにローテーションが早まる。 森林限界を超え、2800m先第一ギャップ。高度差3-5mほどだが、割と立っていて雪も不安定。懸垂もしづらいので”サブ装備なんだから”と自分に言い聞かせて慎重にクライムダウンする。この先ナイフリッジを繰り返すが、粉雪が浅く積り不安定で緊張する。ロープは使わないが一気にペースが半減し、主稜線が見える頃には既に昼を過ぎた。
このままではヘッデン下山どころかビバークor撤退もありうる。 折しもガスは瞬く間に晴れ、青空に北岳・農鳥が輝きだす。素晴らしい天気・景色。だけど足は延ばせない&急がないとシャレにならない。安全策を獲ったつもりが余計にハードルを上げてしまった。 三人とも想いは同じで、休憩もそこそこに気ははやるが、ペースは上がらない。風も出てきて、シャリバテ・低体温症もまずい。立ち歩きながらパンとお茶を補給する。
稜線直下・細沢/北沢カール上部は粉雪の急傾斜で最後のラッセル。主稜線から間ノ岳山頂は指呼の間だが、今日ばかりは遠く感じる。それでも15時、三人で手をつないで間ノ岳山頂に到着。ほぼ快晴の空、前に農鳥後ろに北岳が陽に白く輝いて迎えてくれてる。「ヤッター」に続いて「コンチクショー」とはからずも本音を叫ぶ。
強風の中写真を撮り、さっさか降りる。樹林帯でうす暗くなるが、ギリでヘッデン無しでデポを発見した。到着17時。高度差600mのピストンが、登り6時間下り2時間。まったく、余計なことをしてヘロヘロになった。
水も作らずバタンキューかな、と思いきや、そこはこの3人。残りの酒とつまみを平らげつつキッチリ水も作り、私のニョッキもどきクリームスープすいとんを完食。昨夜と同じ22時には横になった。
1/18土 2500m付近幕営地−鷲住山−夜叉神
朝寝を楽しむつもりが、皆歳なので6時には小用に起きる。Iさんのα米3人分とシチューを食べ、撤収。結局ガスも大1でまだ余っていた。
右に間ノ岳尾無尾根が白くデコボコと連なり、左に北岳が三角形にそびえる。そんな背景で急傾斜を下る。丸太橋で最後の給水をし、鷲住山400mの登り返しを「ビール・焼肉・温泉」と念仏のように唱えながら1.5時間でクリア。最後は農鳥・間ノ岳・北岳の大パノラマに見送られて夜叉神トンネルをくぐり、15時駐車場着・下山終了となった。
さて、下山後の温泉は「泊まれて喰えて呑める」が要件。そんなのめったにあるはずもない。が、Tさんが知っていた。それは石和R20沿いの健康ランド「塊泉」(www.yu-kaisen.jp/ )。24時間2,000円タオル着替え付き。湯も仮眠室も各種あり、車を置いて心おきなく呑める。ちなみにHP割引なら1700円、宴会プランを予約なら料理+入館料が3,500円であった。
宴会場で焼肉打ち上げ。風呂・焼肉・風呂、二次会・風呂・仮眠、朝風呂・朝食バイキング880円と、宴会代一人約6,000円。存分に疲れを癒して日曜10時には府中本町到着・解散とした。
天候 | 全日好天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
北沢・荒川本流に丸太橋あり渡渉不要 2800m第一ギャップ以降はナイフリッジ連続でペースが落ちる |
その他周辺情報 | 石和R20沿いの健康ランド「塊泉」(www.yu-kaisen.jp/ )。24時間2,000円タオル着替え付き。湯も仮眠室も各種あり、車を置いて心おきなく呑める。HP割引なら1700円、宴会プランを予約なら料理+入館料が3,500円。 |
装備
共同装備 |
アライ2-3人テント
ガスヘッド1
ガス大2(消費0.9)
鍋大・中1
8mm30Mロープ。<br />共通食糧 各自一朝一夕×人数分
お茶各自×日数分。<br /> 献立例; α米・パスタ・小麦粉(すいとん)+フリーズドライスープ+ベーコン等加工肉少量
|
---|---|
備考 | 極厚0.1mmポリ袋(渡渉で靴の上に被せる。ホームセンタ200円/3枚) |
感想
■所感;冬季南ア東面の魅力
今回行ってみて、冬期の南ア東面は魅力的と思った;
・主稜線のギザギザ感が格好いい
・西高東低なら北アより天気がいい。人が入らないからラッセル必須で、好天の下ラッセルできる。
・荒川出合いを中心として扇形に広がり、周回コースが組める
■次回に向けた研究
入山ルート
・夜叉神(鷲住山越え)vs奈良田 だと、歩行時間・高度差で奈良田が楽。とはいえ身延廻りは運転が長く店も少なく、眺めも川筋な分夜叉神より悪そう。 夜叉神・鷲住山越えは割り切ってしまえば登り2時間の我慢で、景色を堪能して早く街に降りられる。
・荒川の作業車道は南沢出合いまでは延長している模様。荒川出合い・夜叉神を4時間として、3泊+予備日で複数の雪バリルートがとれる。
ルート案1; 間ノ岳尾無尾根
・工事車道で南沢出合の広河原まで行けるので、見極めれば渡渉無しで取り付けそう。作業道・電線が1800mほどまである。森林限界上は登下降の繰り返し。左に農鳥右に間ノ岳・北岳と眺めを堪能できそう。北岳下山2泊のGW記録がある。
ルート案2;農鳥岳大唐松尾根
・通常奈良田雨池山から入るところを、荒川工事車道を利用。滝沢山もしくは南沢西側尾根から取り付いて大唐松山をダイレクトに目指してみたい。長大な尾根なので成功記録も少なく、荒川側からのアプローチは珍しいはず。
課題;下山・エスケープ
・一般道が無いので他尾根にエスケープしても下山ラッセルで時間がかかる。
・GWで雪が安定すれば、カール・沢筋下降も可能か?
・うまく拾えば尾根をトラバースして工事車道・北沢横手道を発見できるかも
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