ハライド

天候 | 出発時:南東風力2/晴/19℃→ハライド:南東風力3/霧/20℃→下山時:南東風力2/曇/22℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2024年06月の天気図 |
感想
山行記録677
令和6年6月22日 (土) 夏至の小山行 〜ハライド
単独 地図:御在所山
昨日梅雨入りの発表があった。平年より15日、去年よりも23日遅いという。今年に限って言えば、気候変動が顕在化する前と比較しても10日ほども遅いように思う。梅雨は元々、前半はシトシト降り、中休み以降は1週間ほど降り込められて、時に災害が起きる。そんな形が多かったが、最近では終始豪雨で、災害の頻度も規模も多くなってきた。前線の位置も、最近は日本海沿岸に停滞することが多くなったような。降るべき時に降るべき所に降ってもらわないと困るが、ほどほどに願いたいモノである。
ところで、梅雨入りした昨日は、朝は雨だったが午後になってスカッと晴れ上がり、ひょっとすると土曜日の少なくとも午前中は晴れるんではないか。そんな希望的観測も頭に浮かんだ。山を2週サボっているから、この辺で行っておかないと足がなまってしまう。
それで思いついたのがハライド。天気が読めないとき、ハライドから青岳に登って様子を見て、晴れればエチ川、曇れば国見や御在所あたりという両面作戦を取ることがあって、今回もそのつもりで計画してはみたが…。
朝4時起床。夏至の満月が南西の低空で酔ったような顔をしている。今年は閏年と言うこともあって夏至は21日。そして今日22日は満月。太陽と月は真逆の位置関係になるから、一年で最も高い夏至の太陽に対して、夏至の満月は驚くほど低い。
菰野で陽が昇る。見上げる山に雲はなく、背後に少しばかり雲が見えるのみ。午前中ぐらい晴れてくれるといいけど、鈴鹿の山は、東風が吹きつけ始めると、ガスに閉ざされて雨が落ち始めるのも早い。途中で降りてくるのもアリ。気楽に行こう。
5:38出発。ヒュッテの脇からルートの入口まで、まずは車道歩き。入りはゆっくり、例によって鼻で息ができる程度のペースである。気温は高くないが風は湿気をたっぷり含んでいて少しばかり蒸す感じである。
5:52ハライドのルートに入る。粗く締まった真砂土を踏みながら登り始める。ややもすると枝道に迷い込みそうな所もあるから、目印を確認しながら行く。結局は尾根を忠実に登ればいいみたいである。ジグザグを切りながら尾根を登っていくと、670mの小ピークに辿り着く。地図を確認しつつ、森のすき間から周囲の山をのぞいて見る。県境稜線の向こう側の雲が少し増えた感じではあるが、青空が広がっている。これがいつまで続いてくれるだろう。
小鞍部に下りて南北に延びる尾根に上がると、東から風が吹いていて汗を冷やしてくれる。体が妙に重いので、この涼しさは非常にうれしい。尾根の東側を少しジグザグを切って尾根に戻ると、ちょっとしたザレ縁の急登になる。ザレから周囲を見渡すと、いつの間にか稜線にガス。朝明を挟んで釈迦ヶ岳や猫岳は、すでにガスが懸かっている。やはり山の天気というものは、変わり始めると足が早い。風も湿気を含み「雨風」と言える感じになって来た。
ハライドの登路もピーク直下の急登に入ってきた。ガスも見る見る低くなってくるし、体も重いし、何となく今日はここまで感が漂い始める。重い足を引きずって、7:08ハライド到着。
腰越峠の鞍部へ南からガスが吹きあがっている。雲底はすでにハライドより低くなって来た。とりあえず進んで見ることにするが、気分が全然乗らない。途中で引き返すのもアリ。そんな感じで出発する。
腰越峠への下りは、ルートの入口がいつ来てもわかりにくい。腰越谷側の茂みをのぞきながら少し北へ振るようにザレを下ると、幹線ケモノ道のようなルートが見つかる。毎度毎度の偵察?である。
茂みの中の岩場を下るところなどは、石車に載らないように注意しながら下ると、やがて腰越峠に降り立つ。通行止めの腰越谷道を分け、藤内小屋方面へのルートの分岐にさしかかると、薄暗い森の中にヤマボウシの白が浮かび上がる。「時期やな〜」と立ち止まって見とれるうちに、な〜んか、前進する気がなくなった。体も重いし、気が乗らないのならサッサとヤメにしよう。
7:48、ハライドに再び到着。岩に腰を下ろしてガスを見上げる。いろんなガスがある。サッパリした趣のあるガスだったらこの上もない山になるだろう。しかし今日のガスは湿っぽく重くなりつつあるガス。気温が上がれば雲底は上がるかもしれないが、今日の足の重さでは雰囲気を味わおうと思えるような気分にもなれない。腰を下ろして、ただガスを見上げる。
「また来ます」。8:03、山にあいさつして下り始める。
山頂のザレ場から茂みに入ってすぐのあたり。ほとんど腰ぐらいの高さの樹に、コメ粒ほどの小さな花が咲いている。なんやろな〜、とのぞき込む。直径5mmほどで、花びらは4枚、まだ咲き始めたばかりなのか2mmほどの球形のツボミが目立つ。ツバキやクロガネモチなどのような光沢のある肉厚の葉で、葉の軸の付け根辺りから花序が5〜6個ぐらいずつ広がるように立ち上がっている。帰ってから図鑑で調べるために、花のアップや葉の形、茂り方、樹の全体の感じなど、何枚か写真を撮っておく。
《帰って調べてみたが、未だに特定できていない。「あなたはだあれ?」》
少し下ると、今度はお馴染みヒカゲノカズラ。もう胞子嚢を立ちあげている。まさかとは思うが指ではじいてみる。まだ胞子が飛び散らない。そりゃあそうだろう。毎年8月に入ってからであ。それにしても、1ヶ月以上も前から胞子嚢を立ち上げるようである。
その次に目に留まったのは、樹なのか草なのか?。柔らかみのある葉が互い違いに並んだ枝の先に、直径2mmぐらいの円筒形の先に黄色い花びらを広げた花が、これまた10個ぐらい、放射状に咲いている。
《この花は「ガンピ」。ジンチョウゲ科の落葉低木で、ナントナント「美濃紙」の原料だという。デジタルの時代が来る前は測量の業界ではお馴染みの和紙で、法務局でこの紙に墨で書かれた図面をトレペに写し取って来たものである。》
この時期おなじみのコアジサイも盛りの頃。どうせあとは下るだけなのをいいことに、小さい花の集まりの中の一つをコンパスに付いている虫眼鏡でのぞいてみたりする。うむむ・・・少し複雑な形をしている。5枚の薄紫の花びらに見えるものはガクだろうか。そして雄しべが10本ぐらいあって、その真ん中に、少し膨らんだような雌しべが3個かな?。つまり、花一つに対して種が3つできるということか。帰ってからゆっくり見れるように、ドアップで写真を撮っておく。
さらに今度は、5mmぐらいのちょうちんのような赤っぽい花が一列に並んで咲く。これも樹なのか草なのかわからないぐらいの低木。
《これは「ナツハゼ」。ツツジ科の落葉低木。ネットで調べた限りでは、夏にハゼのように紅葉するのでその名が付いたらしい。それにしても、ツツジ科はサラサドウダン、ベニドウダンでシーズン終了かと思っていたが、まだあったとは。ツツジ科もなかなか守備範囲が広いグループである。》
それにしても、まだ名前を知らない花に次々にお目にかかった。花が地味なこともあろうが、この時期の花にあまり目を留めてこなかったのも事実である。
少し暗い雰囲気の小鞍部にさしかかると、目の前にふんわりと白が広がった。大きなヤマボウシの樹が花盛りである。花がよく見える場所に立ち止まってみる。ガスに包まれた薄暗い森に浮かび上がる白。不思議というか、怪しいというか。そうやって眺めていると、頭上でカサカサ音がする。鳥が梢を渡っているんだろうと思って気にもしていなかったが、音がヤマボウシの方に進んで行ったと思ったら、何かが幹を伝って降りてきた。「リス」。じっとヤマボウシを眺めていたからだろう、ニホンリスが頭上を通過して行ったらしい。時々立ち止まりはするが、振り返ることもなく斜面に消えていった。
すっかり道草モードに入っている。歩くより立ち止まる時間の方が長いぐらいで道草三昧の下り。登山口に降り立つ頃には9時近くになっていた。
曇り空の駐車場に戻る。車は満車。これから登っていく人も居る。さ〜て・・・、帰ったら風呂の蓋の修理が待っている。買物はないかと電話をして、帰途に就いた。
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