大雨の屋久島 縄文杉 無念の撤退と決死の沢渉り
コースタイム
- 山行
- 7:33
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:33
天候 | 大雨・強風 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
大雨のため、帰途の楠川歩道は沢状態。白谷川は渡渉不可能と思われましたが、増水時のルート(?)を見つけてなんとか渉ることができました。 |
写真
装備
備考 | 大雨でスマホ、デジカメが浸水。時計がないので時刻がわからなくなった。 |
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感想
前日の宮之浦岳の日帰り登山(淀川口からの往復)は好天に恵まれて最高でしたが、この日は大雨。白谷雲水峡から日帰りで縄文杉登山にチャレンジするも、帰途の白谷川渡渉が不可能になるのではと不安になり、ウイルソン株を過ぎたところで引き返すことにしました。
で、問題の帰路の楠川歩道。まずはトロッコ道分岐から辻峠まで登りとなりますが、登山道が沢状態で、その水量のあまりの多さは思わず笑ってしまうほど。
しばらくして中年のカップルとすれ違う。聞けば、案の定、白谷川が増水して渉れないので引き返し、トロッコ道で荒川登山口に下山するという。
それでも、何とかなるんじゃないかと、かすかな望みを胸に先を急ぐ。
すると今度は中年男性のソロ登山者と出会う。やはり引き返して荒川口へ下山するという。
「登山口にバイクがあるのでどうしても戻りたいんですよ」
「うーん、渉れないことはないかもしれません。水位は膝下くらですから。ただ、私には渉る勇気がありませんでした。まだ数人が沢の前にいました。この先、誰ともすれ違わないで沢まで行ったら、彼らは渉ったということですから、渉れるのかもしれません」
辻峠を越え、白谷雲水渓にむかって下りはじめてからも数人の登山者とすれ違った。いずれも「無理。荒川口に下山する」。
そして最後に男女のグループとすれ違う。
「我々が最後です。沢を渉った人は一人もいませんでした」
「いちおう、この目で見てみます」
そして問題の沢にたどり着いた。すでに岩の大半が水の下に沈み、朝渡った時は穏やかだった沢は激流と化していた。
ためしに流れのゆるいところに足をいれてみると、膝下どころか、股下までどっぷり浸かる。
水面に出ている岩を両腕で抱きかかえながら、足をゆっくり動かしてみた。行けそう、と思ったのも束の間、流れに足をとられそうになり、必死に岩にしがみつく。やはり無理か。下手をすると、岩に激突しながら下流まで延々と流されることになる。
これは後で気づいたことだが、去年7月、内閣府情報保全監察室の参事官の遺体がこの白谷川の下流で発見されてニュースになった。特定秘密を扱う担当だったことから妙な注目のされ方をしていたが、遺体の損傷具合から激流に流されたものと警察はみていると報道されていた。同じことになりかねない。
沢から上がって途方にくれる。やはり渉るのを諦めるべきか。しかし、今からトロッコ道に戻って荒川口に下山するとなると4時間はかかりそう。今何時なのか。バスはまだあるのだろうか。雨がやんで水位が下がるのを待つか。スマホが浸水して電話もできない(そもそも電波は届いてなさそう)――。
もしかすると他に渉れそうな場所があるのではないか。そう思って探すことにした。
沢に沿って上流に進んでいくと、すぐに格好の渡渉ポイントが見つかった!
象のような巨大な岩があり、それが川幅の半分近くを占めている。その先にも大きな岩が2つ水面から顔を出していて、その先には梯子がある。これは増水時の渡渉ルートに違いない!!
まずは象の岩に乗り、半歩ずつ進みまがら岩の先までくる。そして1つめの岩へ慎重に飛び移る。さらに2つ目の岩にステップし、最後は梯子に向かってジャンプ。無事、対岸へ渡ることができた。
嗚呼こんなルートがあったことを、すれ違った人たちに教えてあげたい。しかし伝える術はない。
そこから1.5kmほど登山道を下って駐車場に到着。17時半くらいだと思っていたが、バイクの時計をみると15時30分。これなら縄文杉まで余裕で行けたな、というのはあくまでも結果論。
はっきりいって縄文杉登山を舐めていました。オーソドックスに荒川口から登ったほうがよかったかもしれないし、白谷雲水峡から登るならもっと早くスタートすべきだった。予報で大雨になるのはわかっていたのだから防水対策もきちんとしておくべきだった。増水時の徒渉ルートも本来なら当然知っておかなければならないこと。
反省すべき点は多く、同時に屋久島の水の恵み、その豊かさと恐ろしさを強く印象づけられる山行となりました。
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