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記録ID: 96988
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ハイキング
近畿

西光寺山

2010年12月05日(日) [日帰り]
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秋蛇星 その他5人
GPS
--:--
距離
9.0km
登り
1,061m
下り
1,053m

コースタイム

今田町本荘墓地〜林道自動車行き止り 12:26  → 東屋(寺坂登山道分岐)12:36 → 炭焼窯12:53 → 西光寺山山頂 着14:02 発15:00→ 大洞山15:19 → 西光寺跡15:35 → 寺坂登山道 → 東屋 → 今田町本荘スタート地16:13 
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2010年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
2010年12月04日 23:29撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/4 23:29
2010年12月05日 12:53撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 12:53
2010年12月05日 12:29撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
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12/5 12:29
2010年12月05日 12:48撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 12:48
2010年12月05日 13:28撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 13:28
2010年12月05日 14:14撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 14:14
2010年12月05日 14:01撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
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2010年12月05日 14:04撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 14:04
2010年12月05日 14:06撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 14:06
2010年12月05日 14:24撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 14:24
2010年12月05日 14:06撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 14:06
2010年12月05日 14:25撮影 by  SP560UZ , OLYMPUS IMAGING CORP.
12/5 14:25

感想

おなじみのエッセイスト、経済証券アナリスト唐山健志郎山荘にて、前夜祭(囲炉裏宴会)のあとのことだ。

 翌、12月5日、初冬のよく澄み切った空の下を逍遥するのもわるくないね、との唐山氏の提案により、急遽プランニングされた低山登山。

 場所は、篠山市今田町の西光寺山。

 インド・ネパールなどの8000m級のアンナプルナ連峰をたびたび歴訪している唐山氏にとって、丹波の片田舎に初冬の蒼穹に向かいすっくと聳え立つ712mの山塊は、もはやなんの不足もあるまい・・・。

 初冬に日差しは、どこまでも優しくかつ大胆に射るがごとくに、冥界をさまよえる子羊たるわれわれを包み込んで止む事はなかった。

 夏の名残である乾いた葉すら、そのすべてを潔く落とし骨のような姿をあらわにし、西からの日差しをスポットライトのように浴び、孤高にたたずむ名も知らぬ一本の雑木のその御姿に、さながらゴルゴタの丘のイエスを見るよりも激しい感動を覚えるわれわれであった。
 その痩せこけたひと枝ごとにも屹立とした生命の息吹がなにものにも臆することなく確実なまでに宿っているのだ、、、、!  その思いを抱いた瞬間、睡眠不足で酸素不全に陥って正常の働きを逸している私の小脳の奥深くに、些細な生命をまでもどこまでも支配する大宇宙の法則、さらには小さくとも鋭い瞬きの光を何万年光年の向こうから投げてよこす星星の奇跡のごとくに驚愕すべき速度と衝撃を見事に刻印したのである。

 本荘墓地はまだ年若く、午後の日差しの中に死者の住処にふさわしい、どこまでもまどろんだような里の静寂を醸し出し、三昧はないかとの、私たちの期待を見事裏切って佇むのであった。なにゆえに三昧の存在を求めるのであろうか?

 それは、この世とあの世をつなぐ、目にみえる唯一のドアなのである。

 私たちが、その乾ききって、すすけた赤っぽいレンガの老人の皮膚のごとく感触を思い描くとき、彼岸への固く重い鉄扉は、ポカンとわけなく開かれるに違いない。私たちはその事実を信じるほかないのである。天国への道程には、乾ききった人工物の演出もまた必要なのだ。

(注:三昧=墓地などの敷地に隣接する古く小さな火葬場 参考サイト:神戸市西区岩岡火葬場http://blogs.yahoo.co.jp/autumn_snake_1995/43174562.html)


さて、私たちの午後の逍遥は、池のほとりをクルマで素通りし、林道を行き着くところまで行きつくした雑木林に囲まれたポケットのような秘められた場所を基点とした。
 この先に、ネットサーフィンで行き着いたどこかのウェブサイトで見た東屋の風景が転がっているはずであり、事実、ものの10分も歩を進めれば、思わず抱きしめてやりたくなるほどに年ふり、時を刻み込んだ石灯籠を通り越したその先に当然のごとくにあったのである。

私たちが、デジャビュであるとにらんだ光景には、ときに必然があって、近年ではネット上に実存し見聞した情報も含まれている可能性にも留意、言及せねばなるまい。

 私たちは、もはや何某かの情報で視覚的に体験し、さらに行動で追体験することで,現実を実演しようとする悲しい存在でしかないのだ。


  それにしても、西光寺山懐の袂を開いたこの風景には、ある種の退廃した甘美、荒涼、寂寞、回顧と懐古、昔どこかで見た光景を時間というやんごとなき巨人をはさみ、再び対面するかのごとく不安と焦燥、それに何といっても抱えきれない静謐、そのどれもが隠されたスパイスのごとくに存在していたのである。

 それにしても、西光寺山懐の袂を開いたこの風景には、ある種の退廃した甘美、荒涼、寂寞、回顧と懐古、昔どこかで見た光景を時間というやんごとなき巨人をはさみ、再び対面するかのごとく不安と焦燥、それに何といっても抱えきれない静謐、そのどれもが隠されたスパイスのごとくに存在していたのである。


クリタケであろうか、クリタケモドキ、ニガクリタケであろうか。定かではないが、黄色を主体とする見事な秋の色彩を、周囲のくすんだ色調に対抗するがごとくに平然と投げちぎってよこすこのキノコの美には、しばし沈黙し見惚れるわれわれであった。

 乾いた紫色に近く見える雑木の群れは、林中に至れば、いつしかウバメガシの見事な雑木へと変貌を遂げるのである。保存されたと思しき炭焼き小屋が、三昧に代わり、ぽつんと山すそに佇んで乾いた光景を見せていた。


地面に程近いあたりにポカンと真黒な口を開き、それはあたかも、いつまでも遠い火を待ち望んでいたように思える。


 乾いた光景を、もうひとつ見つける。

 名も知らぬ、蛾の屍骸であるが、それはあたかも朽ち、擬態を死後もさらに進化させ、いずれ土に同化していきそうな勢いを私たちの角膜に焼き付けるのである。

 これはやはり、どこかで記憶のある体験である。

 紛れもない・・・・
志賀直哉の『城之崎にて』の追体験にほかならぬと直感する。
 (『城之崎にて』全文 http://coffeejp.com/article/wenxue/yuanzhu/2009-05-29/2543.html)

ウバメガシの奇矯な集団は、私たちの常に日常に埋没しそうなささやかな精神を鼓舞するに十分であった。彼らは彼らに生命を注ぐ太陽に向かって一斉に沸き立ち、咆哮するいにしえの兵士のごとくであった。どうだ、その姿態は・・・。

 きっかけさえあれば、言葉など要らないのだ! 生命は、過去からそのようにして理由なく存在し、それぞれは理由なく時の彼方へと翔けていく一兵卒に過ぎぬのだから。

 ・・・・・・・明らかに彼らは、私たちに向かってそう呟いていたのである。


影踏みは、いつも悲げでエンドレスな賽の河原の子供らの遊びに似ている。

 澄み渡る蒼穹に支配されることを甘んじながらも受け入れ佇む頂上は、そう遠くない。雑木のほの暗さの先に、すでに傾く西日が作る陽性の世界が開けており、飢えた餓鬼の群れのようにその光の世界へと飛び込み、瞬時にして移行するわれわれであった。
 彼岸は、遠くにありそうにみえて、実は此岸(しがん)の裏表に過ぎぬのである。

(此岸:Wikimediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A4%E5%B2%B8)


西光寺山(さいこうじやま)山頂
ここで、私たちの脳裏に、当然のごとくに、この問いかけが電撃のように閃いたのはいうまでもない。

http://www.youtube.com/watch?v=hBhmdjciUtU&feature=player_embedded

さいこうですか〜!


「最高でーす!!」    (おぉたむすねィく探検隊一同)

この見晴らしも、初冬の煌々とした空気の輝きも・・・・

どうだ、平凡な低山の重なりも午後の柔らかな湿りを帯びだした空気に触れ、らんらんと輝きだしたではないか・・・・。

平凡から非凡へ、その移り身の早さにはだじろぐほかあるまい。

標高713mで飲むコーヒーの味は・・・

つげ義春の「庶民御宿」の主人公が、旅先の障子と畳のセンスが抜群の喫茶店でのむコーヒーを越えていたのかもしれない。

「Kさん、今夜はお祭り、お祭り」

庶民御宿(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%B6%E6%B0%91%E5%BE%A1%E5%AE%BF)

ここで、ようやく事件は起こった。

旅にエピソードは付き物であり
エピソードなくして
物語は始まりもせず終わりもしない

例えていえば
クリープを入れないコーヒー
のようなものだ

誰も知るように
なければ作るほかないのだが
幸いにもそれは、下山への道すがらに
訪れた。当初、ピストンを予定していたわれわれであったが、上記地図を見ていただければ分かるとおり、炭焼窯方向へ下山するには頂上手前を帰路は左折せねばならない。が、うっかり見落とし大洞山方面へとおぉたむすねィく探検隊一行は行軍を続けていたのである。

直後に気付いたモリゾー氏(大阪都島モリゾー・プロダクション代表)は、おののき、青ざめ引き返そうとするが地形を熟知する唐山健志郎氏の提言により寺坂登山道へ下山するルートへと急遽変更。そのまま進軍を続ける。

ところが、大洞山頂上にあるべき寺坂登山道が、どこを探しても見当たらない。

さらに悪いことには、頂上石碑には「南無妙法蓮華経」の文字が刻まれていた。

これは、創○学会をこの世でもっとも忌避すべきもののひとつと捉えているモリゾー氏にとっては、最も忌み嫌うべき連想を惹起する重大な事態だったのだ!

・・・・・氏の顔が一瞬にして青ざめ、ひきつった。

これを”西光寺山死の彷徨"と捉えた氏は、その徒歩の速度を一気に5-6倍に加速するとたちどころに視界から姿を消した。

しばしの彷徨の末、下山道は頂上直下わずかに戻った位置に見つけたのであるが、そこからの大蛇のようにうねった黄昏の道は、私たちの心象風景に近似してあまりに心細いものであった。

途中、寺屋敷跡を発見する。

西光寺屋敷跡

モリゾー氏の姿ははやとおに消えて久しい・・・時折、遠吠えのごとくに切れ切れに私たちを呼ぶ氏の悲鳴にも似た声・・・・・それは、暮れなずむ谷間にひときわ虚しくこだましたのである。

ようやく本荘・東屋へと続く細路を見出した際には、生還の喜びに酔い痴れるわれわれであった。思えば、わずか1時間のできごとであったが、この日唯一の”事件の味覚”であったのはいうまでもない。


そんな風にして、おぉたむすねィく探検隊の「白い一日」(モリゾー氏の脳内に因み)は、早くも終わりを告げていた。

















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