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美濃戸口から御小屋尾根を辿り山頂へ着いたのは13:00頃だったか、風は少し強かったが、晴れ間は広がり360°パノラマ展望台から見渡す八ヶ岳連峰は壮大なものだった。
編笠山の後ろに南アルプス.権現岳の後ろを雲海の上に浮かぶ富士山、北東には赤岳がそびえ立ち、さらに進むと硫黄岳、はるか遠くの北アルプスまでも…
山脈の折りなる美しさに感動するがゆえ、鳥肌が立つような絶景に惹き寄せられ、足を止める事のできぬまま雪山の素晴らしさにすっかり、とり憑かれていた。
中岳付近へ来たあたり「ガシャ」っと、右足のアイゼンの外れる鈍い音がした.こんなところで…不吉な予感は的中した。
積雪が深くなり天候は急変、風が吹き荒れ、雪煙が渦を巻いた瞬間、視界は真っ白に…地吹雪によるホワイトアウトの遭遇に先へ進むことができない。
積雪にピッケルさし、ザックを壁がわりにして、雪を掘ってはみるものの風は強く、思うようにいかない、寝そべりながら風のおちつくのをじっと待つが、翌朝まで風はおさまることを知らず、アイゼンの外れたまま、その場でピパークすることになる。
体力の限界か、いっそこのまま…いや寝てはいけない、お母ちゃん助けて…人生最大の恐怖な夜を過ごすこととなる.記憶が残っているのは午前三時数分だったろうか…我慢だ、もうすぐ夜が明けると心に言い聞かせるが、すでに手足は麻痺して感覚はなく歩ける状態ではなかった。
朝方、意識の朦朧としている中、「大丈夫ですか」という救いの声が聞こえた。
倒れていた私を発見してくれたのは赤岳から中岳稜線を通りかかった登山者三名のパーティーだった。お茶を飲ませてくれ、ザックから服を取り出し被せて救急処置を行い、携帯電話で県警に連絡してくれた…私が現在、生きていられるのも、その人たちのおかげだ。
やがて、遠くから聞こえてくるプロペラの音は近づくにつれ、耳を突き刺すくらい大きくなって、その場から離れなかった。
真上から風に揺れるロープがみえる.それに捕まり救助隊が降りて来て、ハーネスにカラビナを装着して私をヘリコプターへと吊りあげる。
上空へと舞い上がる強風の中、瞼を開いてみると壮大な山脈が目の前に広がっていた。
一瞬の世界に酔いしれながら、生涯忘れることのないドラマが展開する…生きている喜びを取り戻す.助かったのだ、意識は回復へと向かった...
その後、私は病院に運ばれ、手指凍傷により入院した。
明日、指の手術を行う、懺悔の気持ちを込めて、その日のことを日記に書いている.登山復帰を目指して…
今までありがとう、御苦労さま.安らかに眠ってください。さようなら…
ご無事でなによりです
切迫した状況・・冷静な筆運びに感動しました。
よくぞ生還されました。
おめでとうございます
そして、これからもよりよき山行を・・
でわでわ
天候状況を誤った登山として、参考になればと思い書きました。
登山復帰!出来るよう頑張ります
karasiko7さん
本当に、生還おめでとう
本人の持って生まれた強さですね。更に成長された山行を続けて下さい。
又、春には、三人で飲みましょう。
それでは、リハビリしっかり頑張って下さい。
今回、この日記は伏せておこうと思ったのですが、学習院大学生、男女の遭難など...死者が3名.助かった私は、どんな状況であるか.一人でも多くの方に伝えなければならない衝動に掻き立てられました。
こんにちは、karasiko7さん。
その思いは必ず伝わると信じています。
いつまでも強い気持を持って、
頑張って下さい。
又、山行の話し聞かせて下さい。楽しみにしてます。\(^^)/
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