生水用消毒薬の作成-ヤマレコ

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更新日：2015年09月17日　訪問者数：17417

登山・ハイキング技術・知識

生水用消毒薬の作成

debneko

作成目的

縦走中に現地水源を利用するにあたって衛生状態が気になった。これから暖かくなるにつれ注意しようと生水の薬剤消毒について考える。

消毒薬の成分

井戸水、湧水を生活飲料水にしている居住区では役所の検査によって衛生を確認されたもので、かつ必要により消毒薬を使用しなければ利用できない。その際に用いられる消毒薬剤が次亜塩素酸ナトリウムである。

薬剤の入手方法

次亜塩素酸ナトリウムとは一般的に花王ハイター、キッチンブリーチ、ミルトンなどの名前で市販されている。いわゆる塩素臭のする漂白除菌剤の事で生活に身近なものである。
登山専門店では携行に便利なオーヤラックスピュア、登山水塩素消毒君などが市販されている。
薬局では消毒剤としてケンミックス4(4%)、ピューラックス(6%)、松葉次亜塩素酸ナトリウム(12%)などの高濃度品も入手可能だ。

薬剤購入の選択

キッチンハイター、ブリーチ濃度6% 600ml 80～170円適用性×
洗剤として界面活性剤、保存剤として水酸化ナトリウムが含まれ飲用に適さない

ミルトン、ピジョン哺乳瓶洗浄料濃度1% 1000ml 700～1100円適用性△
安全だが割高

オーヤラックスピュア濃度1% 15ml 1350円適用性◎　市販完成品、携行に便利
登山水塩素消毒君濃度0.12％ 10ml 870円適用性△-　市販完成品、濃度が薄すぎる

ケンミックス4　濃度4% 500g 900円　適用性△+　ピューラックスに比べ高価
ピューラックス　濃度6% 600ml　560円　適用性◎　入手しやすくコスパが良い
松葉次亜塩素酸ナトリウム　濃度12% 500g 600円　適用性△　濃度が高く利用しにくい。使いきれず劣化する

以上からオーヤラックスピュア(1%) かピューラックス(6%)が登山に最適である。
初回は携行容器のあるオーヤラックスピュアを購入し、補充はミルトンでも中身は同じである。
ピューラックスを補充する場合は、濃度に6倍の差があるので正しく理解し濃度調整の責任を負う必要がある。

携行容器の選択

ピューラックスを原液(6%)のまま点眼容器に入れる。
点眼容器は理学用や自作化粧品用、アロマオイル関係でも探すことができる。約70～100円
遮光容器はガラス製であることが多く、重量が気になる。
スポイト付蓋はザック内での液漏れの恐れを考慮し避けるべきだろう。
稀にプラスチック製もあるので探してほしい(Amazon)。容量は10mlあれば十分である。
移し替え用に必ずスポイトを購入し専用として使う。

写真左上から、
化粧品用点眼用器10ml
理学用点眼用器10ml
リトマス紙(特に不要)
スポイト
化粧品用遮光プラスチック点眼用器10ml(青、茶)

保存方法と使用期限　～次亜塩素酸ナトリウムは「生もの」～

次亜塩素酸ナトリウムは非常に不安定なアルカリ性で常温、高温、日光、紫外線、不純物等で自然分解が進み思う以上に早く劣化する生ものとして取り扱うこと。
劣化が進むにつれ中性にとどまらず、中性から塩素ガスを発生しはじめ急速に酸性化へ反転する。
よって、中性になる前に適切に破棄しなくてはならない。破棄する場合は家庭の下水でかまわないが大量の水で十分に薄めて流すこと。保存基準は暗所20℃以下が望ましい

濃度12％：半年で5％まで急速に劣化し、約1年で3.5％まで減少し安定する。
濃度6%：6%は70日で5%に下がり、その後3.5％に向かってゆっくり下がる。
濃度3％：最も安定する(2～3年が限度？要アルカリ度チェック)
濃度3%未満：安定しない、1年でゼロだと考えたほうがいい。

利用方法

オーヤラックスピュアの利用方法は完成品のため割愛する。
ピューラックスを原液(6%)のまま使用する。

【使用容器の適用性】
原液(6%)は腐食作用が強いので使用容器に直接付かないよう水面に滴下すること。
アルミ容器（特殊ライニングを除く）腐食し白化する。直ちにふき取り洗浄
ステンレス容器　急速に傷めない。ふき取り、洗浄推奨
チタン容器　原液でも変化なし
ポリ又はペット容器　原液でも変化なし

【その他注意する事】
チタン、ステンレス以外の金属は錆びる
ウール、革などの天然製品は分解される
酸性のものに混ぜると塩素ガスを発生する

【濃度6%の次亜塩素酸ナトリウムを希釈した場合の塩素濃度】
1滴は0.05mlなので生水の量に対し以下の濃度となる。
水　滴>濃度
3L　1滴>1ppm　~　5滴>5ppm
2L　1滴>1.5ppm　~　4滴>6ppm
1L　1滴>3ppm　~　2滴>6ppm
0.5L　1滴>6ppm

必要濃度は日本の一般上水基準の0.1~1ppmではなく、WHO(世界保健機関)の基準をである約5ppmが望ましい。これは現地水1Lに対して1～2滴と非常に判り易い。
5ppmを上限として自信の許せる範囲で加減してほしい。
薬液を添加した現地水は一般細菌が減少するまで30分以上放置が必要である。
一度でも沸騰させれば次亜塩素酸ナトリウムは分解され消滅する。

尚、濃度10ppmでも人体に影響ないが塩素臭いぐらい。
外科手術では粘膜保護がある部位において体内洗浄に50ppmを用いる。
100ppmともなると食器洗浄・野菜洗浄に利用される濃度なので皮膚への接触でも洗い流しが必要となる。

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