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更新日:2016年01月12日 訪問者数:10075
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登山ビギナーのための登山メモ(虫、動物)
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ヤマビル
(ヤマビル 画像検索より)
ヤマヒル、山ヒル、山ビル、英名Leech

 陸地に生息するヒル。人、動物の血を吸う。主には、鹿、カモシカ、猪、熊。生体形状は細長いなめくじ。移動の仕方はシャクトリムシのよう。山の奥地に生息し、人への被害は少なかったが、2000年以降、特に関東以西で、生息数が増え続けたため被害報告、注意喚起が相次いでいる。

 ”ヤマビル 画像” で検索すればおぞましい画像が幾多も出てくる。”ヤマビル 動画”で検索すれば、血を吸うおぞましいシャクトリムシ、の動画を見ることができる。1分で1メートル近く移動できるらしい。なめてかかるとひどい目に合う。

 生息数増加の原因としては、林業衰退による里山が放置されるなどして荒れたことにより、ヤマヒルの生息に適した湿った林、森が増えたこと。また、同じく、手入れのされない針葉樹林は、広葉樹林と違い、暗く湿っており、草花が育たず、餌の足りなくなった鹿が里まで降りてきている。それにともなったヤマヒルの生息範囲も広がっている。ちなみに、ヤマビルは鹿の後ろ爪のあなに潜み、鹿の血を吸いつつ移動することが知られるが、鹿はここ30年生息数は増加の一途である。1990年に30万頭弱だったものが、現在80万頭弱になり農作物の被害も大きくなっている。頭数は環境省推定。ヤマビルは、鈴鹿山系、神奈川(丹沢)などでは特に生息数の増加が顕著で、地域番組として特集を組まれることもあるほど。登山、キャンプをする場合は、それなりの対処、また、登るなら食われても仕方無いという覚悟は必要である。関東以西は高地以外はどこにでもいるものと思ったほうがよい。東北以北では、鹿の多い秋田は、生息数、被害が多い。北海道は安全である。

 生息域が広がっている背景に人が関与している点も見逃してはならない。登山の場合は、下山し、帰宅する際には、ついていないか確認し、いれば払い落とし、吸っていれば殺し、ヤマビルを住宅街などに運び、生息エリアの拡大に手を貸すことの無いように、細心の注意をする必要がある。ヤマビル生息地に何の対処もなく行った場合に、靴の中がどうなるかは、検索してみれば山程でてくる。ひどいものだ。

 人体へは、多くは地面(草、落ち葉の下など)から這い上がってきたり、草や木の上から人体を感知し落ちてきて取り付いてくるケースもたまにあるようで始末に負えない。虫除け剤(ディート系が効く)、ヤマビル専用忌避剤(ハッカ油系)を数時間おきに靴や体に散布、サポートタイツを履く、靴の中へは侵入させない対応などが必要。

 ちなみにハッカ油系は自作でも忌避スプレー(専用忌避剤とほぼ同じ)を手軽に作れるのはよく紹介されているが、ヤマビル生息数の多いところでは、かなり頻繁に吹きかけ直せば効果があるものの、結局は無駄だという話も。それでもどうしてもという場合、ハッカ油より良く効くのは木酢液だとか。しかし猛烈に匂う。ヤマビルはある程度寄せ付けないが、同行者も寄せ付けなくなる(笑) どっちみちこちらも長時間は効かない。物理的に侵入経路を閉ざす、タイツなどで防御する、などしかない。あとはそういった生息数の増加が騒がれている山は避けるか、登山する以上ある程度は諦める、高地登山だけするなど、そのぐらいの選択肢で考えていたほうが良い模様。

 吸血された際には、毒を注入されるため、血を吸われ始めてもチクっとするか無痛である。気づかない場合、およそ1時間近くかけて1ccの血を吸われ続ける。血を吸われああと、または、気付いて取り払った後は、蚊とは異なり、これまたヤマビルに注入された毒により血がしばらく止まらず、だらだらと流れるほどになる。上半身に食いつかれた場合は、シャツが血で染まるほど。登山後の温泉はよくあるパターンだが、ヤマビルに食われていないか、下山後はきちんとチェックした後に公共の場所に向かおう(特に温泉、浴場)。血が流れていようものなら最悪である。衛生的にもマナーとしても必須だ。ちなみに吸い付かれたヤマビルは、ひっぱっても取れないことも多く、無理にひきはがそうとすると、ヤマビルがちぎれるか、食いつかれた皮膚ごと痛めてしまう。噴霧できる消毒用エタノールスプレーをかけるとイチコロ。ライターでも取れるが、お手軽さでスプレー推奨。

 血を吸われた場合は、アルコール系消毒剤で消毒し、ヒスタミン系(ムヒなど)の軟膏を塗って炎症止めをして、絆創膏をはるなどして血を止める。アンモニア系での消毒は駄目。ポイズンリムーバー等がある場合は、毒を抜いておくと痒みや腫れなどの治りもはやい。死には至ることはまず絶対に無いので、必要以上に騒ぐ必要はないが、吸われた場合、流血するほどに血がとまらないので、初めての場合、軽いショックをうけるのは間違いなしである。
ブヨ(ブユ、ブカ)
写真 blog.livedoor.jp/antroom/archives/51345056.html より
 蚊のような煩わしい音もなく飛び、そして刺して、大きな痒みと腫れを残す蝿、それがブヨだ。体調は3mm~5mmと小さく、知らない人が見ればハエか羽虫かと勘違いする。蚊に刺されたと思っていてもそれはブヨだったりもする。

 目の前をチラチラと音もなくまとわりつき、一見、蝿か小さな虫にみえるので気にせずにいると、刺された後は蚊よりひどい。腫れ、痒み、持続日数(1週間〜1ヶ月)とも蚊よりも被害は大きく、とにかく痒い。透明なぬるっとした血小板が出てくるような刺され跡はブヨの可能性大です。腫れや、刺された数が多い場合は、皮膚科に行って痒み、痛み止めと、軟膏を処方してもらったほうがよい。

 活動時間は主に日没、日光に弱いため日中はあまり活動しないものの、雨天で湿気が多い時は1日じゅう活動する。生息場所は、小川が流れる清流の近くの山、森。渓流が近くにあるキャンプ場などで特に発生しやすい。住宅街にはほとんどいないが、近くに清流があるような場所では生息している。

 対策としては、ディート系の虫よけスプレー(スキンガードエクストラなど)を数時間おきに噴霧してヒザ下、足首、首筋、て手首などは特によく噴霧しておく。刺された場合は、直後にポイズンリムーバーなどで毒を出しておくとその後の症状は軽くなる。子供もいる、または、大きな虫よけスプレーを持ち歩きたくない時は、ハッカ油で作る自作の虫よけスプレーが軽量で、使っても清涼、効果も高く、毒性も無いのでおすすめ。"ハッカ油 虫除け 作り方" で検索してみよう。

 とにかく痒いし(ひどいと痛い)、腫れも大きく、見た目も痛ましいほど腫れることもあるので、ブーンと音が煩わしい蚊よりも、刺された後は被害が甚大、注意が必要。ブヨ(ブユ)による虫刺されを蚊の虫刺されと同じように考えてはいけません。適切に直さずに、何度もひっかいたりして長引いたりすると、時には難治性の結節性痒疹となり数年がかりの治療となるケースもあります。
熊(くま)
写真 sumally.com/p/787401 より
 ほぼ日本中の山にいると思ったほうがよい。興奮して襲ってくるようだともちろん危険であるが、基本的には臆病な動物であり、出くわしても滅多に襲われることはない。とはいっても熊に襲われる事件も1年を通してみればやはり発生しており、登山においては恐怖の対象でもある。本州はツキノワグマ、北海道はそれよりも体躯も大きいヒグマが生息する。

 対策としては、熊鈴などがよく知られるが、効果の程は実ははっきりしていない。音を聞いて事前に熊から離れるケースももちろんあるだろうが、熊は、木でのひっかき行動中、食事中、などにはそれに夢中になり、音に気付かず、気付いたら目の前にいて鉢合わせというケースもよくあるようだ。

 山奥の人里離れた熊は人間慣れしておらず、熊鈴をつけていようがいまいが、熊の方からそもそも人間に近づかない(犬の嗅覚の10倍程度あるためそもそも匂いで分かっている)、不意に出くわしても人間慣れしていない故に熊から逃げるだろうと言われる。また、人里近い熊は逆に人間慣れしており、熊鈴を付けようが人から積極的に離れることもなく、近づいても逃げず襲われる可能性があるとも言われる。また、熊の事故事例では、そもそも、熊が、人を食すために、襲うために、近づいてくるケースもある。こういうケースでは、鳴り物(笛、鈴)の効果は薄い。といったことから熊鈴の実効性を疑問視する見方も多い。というようなこともあり、熊鈴を効果なしと思う人もいる。どっちが正しいということではなく、そう思う人も多いということを知っておいたほうがよい。

 少なくとも、多くの登山者がいる登山道での必要性は薄く、熊鈴を必要無しと思ってる人にとっては、熊鈴の音は煩わしいと感じる人もいることは知っておいたほうがよいかもしれない。付けていれば自分が安心するといった個人的な理由があるのであれば、なおさら多少の配慮はすべきと思っていたほうがよいかもしれない。少なくとも小屋の中や人が多ければ、音を鳴らなくさせるぐらいの配慮は誰にだってできる。山には、風の音や鳥の声など、自然を楽しみに来ている方も多いのだ。といっても、もしかしたら命に関わるかもしれないものでもあるので、そこはその人次第なので各自の判断。

 襲われた場合の対策としては、爆竹、大きな音、熊避けスプレーなどがあるが、かなりの至近距離で出くわした場合どれも効果は見込めない。おそらくそんなものをゴソゴソだしている余裕は無い。至近距離にいたらとにかく急いで背を向けて逃げるようなことだけはしないほうが良い。大抵は向こうから逃げるようだ。熊から見て安全に襲えるという状況を作れば襲われやすくなる可能性はわずかでも上がってしまう。子熊を連れた母熊は守るために襲ってくる場合もあり、より危険とも言われる。足は相当に速いので、熊が攻撃行動を選択した場合は、逃げることはそもそも出来ない。

 ちなみに、「死んだふり」は都市伝説であるらしい。北海道の動物の生態を非常によく研究されている門崎氏(農学博士、獣医学修士)のサイトが有用。主にヒグマ。判断は各人ですべし。個人的には、道庁おすすめの「死んだふり」と「スプレー」より、門崎氏の言うことのほうが余程説得力があると思う。その中から引用。http://www.yasei.com/genninntotaisaku.html

(2)過去の事例で、熊に襲われての生還者は皆積極的に熊に反撃しており、誰一人「無抵抗」や「死んだふり」で、熊に対応した者はいないことを肝に銘ずべきである。
(3) もし、熊が襲い掛かってきたら、熊のどこでもいいから、鉈で叩きつけることだ。反撃以外に熊を撃退し生還はない。そのためにも、鉈を必ず携帯すべきである。

ヤマレコにも熊に襲われたレポがあるが、出会って熊が襲いかかってきた時は、必死に抵抗する。そうすれば熊が逃げていく可能性も生じる。山菜採りであれば鉈(なた)を持っている人もいるであろうが、登山者だと流石にもっていない、とにかく鼻を蹴りあげるなどして抵抗するしかない。無抵抗に襲われ続けるよりましである。まあ熊が襲ってきた時に無抵抗にやられるだけの人はさすがにいないだろうが。また、氏は、鳴り物(熊鈴、ラジオ)等は、鳴り物が効く状況においては効果があるとしている。と同時に、襲われる理由(戯れ、排除するため、人を喰うため、母熊との遭遇)によっては効果がないともしている。実際には、効果のあるケースのほうが少ない、しかし、防げるケースがあるのであれば、鳴り物は持つべきとしている。そして、鉈(なた)らしい。まあ普段、狩猟的なことをしていない我々が鉈を使って撃退できるかといえば上手く使えるはずがないが、絶体絶命の時に武器のあるなしはやはり全然違うだろう。そして熊事件においては、死亡者より生還者の方が多く、その多くは必死に抵抗した結果であることも重要である。熊撃退スプレーは、使用が可能な状況がかなり限定されるため、個人的には効果は期待出来ないと思う。というか、遭遇し、10m近く離れていて、取り出す時間があり、かつ、熊がゆっくり近づきつつ襲おうとした時、という使う条件が極めて難しい。2,3mまで接近されてなお襲ってきた時はもう使えない。あのスプレーは熊用といっても、恐らく人体にもひどいダメージを負わせるはずだ。超接近状態で緊迫した状態でのスプレーとか、まず自分の目や口にも入る。ということで使うチャンスが恐らくかなり限られる。

ということで、襲われる予防としては、鳴り物(笛、熊鈴)。そこまでするかどうかは別として、襲われた時の対策というか生死を分けるのは腰鉈(なた)。

同氏のサイトより。熊事故から生還するための緊急アピールもでており分かりやすい。 http://www.yasei.com/kinkyu.html
スズメバチ(スズメ蜂)
写真 blog.goo.ne.jp/merondog より
探せば情報はどこにでもあるが、次の情報が興味深い。

<a href="http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/vespa064.htm">スズメバチに関する七つの誤解</a>
より抜粋。

誤解1:スズメバチは一度人を刺したら死ぬ
誤解2:刺されたらアンモニアを塗るとよい
誤解3:人が刺されて死ぬのはハチ毒成分のせいである
誤解4:2回以上刺されると危険
誤解5:虫よけ(忌避剤)をつければスズメバチはよってこない
誤解6:スズメバチはミツバチの仲間である
誤解7:スズメバチの巣は翌年また使われる

ポイズンリムーバーは持っていると安心。対抗のあるなしに関わらず、刺された直後に毒を抜けば効果がある。ちなみに個人的には、スズメバチは、刺される刺されないとか、刺されたらどうなるかとかいう以前に、5cmにもなろうかする巨体と、あの獰猛そうな存在感そのものが恐怖。
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