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更新日:2024年02月10日 訪問者数:429
山スキー/ボード その他
雪上滑走にまつわるエリア区分と滑走行為の是非
ランドレ
山滑走とゲレンデ滑走の狭間で色々問題が起きている。
山滑走とゲレンデ滑走の狭間で色々問題が起きている。
巷を賑わす「バックカントリー遭難」だ。
それを伝える報道には、特徴的な単語が頻出する。
・バックカントリー
・管理区域外
・コース外
・禁止エリア
などだが、誤った使われ方や、曖昧な使われ方をしている場面を見るので、私が理解している範囲で紹介しようと思う。

※基本的には日本雪崩ネットワーク(以下、略称JAN)が提唱する安全啓蒙活動の「ロープの向こう側」の解説に則って紹介する。
バックカントリー
そもそもは英単語 backcountryをカタカナにしただけである。
意味は「未開の土地」とか「辺境」といった意味である。
スキー場を「整備された土地」とするならば、「整備されていない土地」が対比で存在するので、そこをバックカントリーと呼ぶワケだ。
つまり、飽くまでもスキー場からの視点ではあるが、スキー場が管理する土地以外は全てバックカントリーと言える。

※「バックカントリー」とは上記の通りエリアを指す。
時折「バックカントリーをする」といった表現が見られるが、「岐阜県する」とか「神宮の森する」といった表現と同じだ。
違和感満載である。
一方、雪上滑走者目線で言うと「神宮の森はバックカントリーである」といった表現は間違っていない。
(滑走行為を行うフィールドとして見るかは別として)
管理区域
「スキー場管理区域」の略で用いられている。
管理区域とは文字通りスキー場が管理している区域の事。
土地所有者が誰であるかは関係ない。
その区域内にはコースやゲレンデは当然ながら、センターハウスや駐車場もある。
スキー場は利用者が管理区域内から誤って管理区域外へ出て行ってしまわないようにロープを張ったり、ゲレンデマップを作製したりする。
一方、管理区域外への進入を認める場合もある。
ゲレンデアクセスの登山などがその一例だ。
この場合、管理区域内外の境界線上に特定のゲートを設けて、そこからのみ出入りを許可する。
管理区域外はスキー場として責任を負う事は出来ないので、管理区域外へ進む人は自己責任となる。
補足となるが、前の項の「バックカントリー」と重複するが、スキー場管理区域内⇔スキー場管理区域外とするならば、スキー場⇔バックカントリーとして問題無い。

※管理区域外へ進入ではなく、故意に侵入するヤカラも居るようだ。
スキー場としては管理区域外への誤進入による事故が起きないようにする責任があるはずなので、利用者が誤って進入したのか、故意に侵入したのかは非常に大きなポイントだろう。
コース外
コースとは「ゲレンデ」や「林間コース」など、スキー場が整備を進め、安全に滑走が可能と判断したエリアを指す。
リフトの支柱に緩衝材を巻いたり、ゲレンデに穴が開いているなどのリスクがあればポールやネットで危険個所を示したりする。
ツリーランエリアなど、緩衝材を巻いていない立木が残存していて、滑走者に自己責任を求めるエリアもある。

それらがコースとされるので、それ以外はコース外となる。
狭義で見れば(スキー場からの視点で見れば)管理区域内の「コース」と「コース外」と言った表現である。
広義で見れば神宮の森はコース外である。(またかw)
管理区域外とコース外の混乱
管理区域外とコース外の違いは上記説明の通り。
そもそもの土俵が違う。
コースの内外はスキー場の内部の話であり、管理区域外とはスキー場の外部の話である。
よって、コース外と管理区域外を同じ基準で扱うことは出来ない。
この二つの単語の混用が最も多くみられるのではないだろうか。
禁止エリア
立ち入り禁止エリア、滑走禁止など管理者が設定しているエリア。
コース外と同じ意味ではない。

大事な事だから二度言う。

「コース外=禁止エリア」ではない。
コース⇔コース外と許可⇔禁止の間には関連はあるが、完全一致ではない。

コース外であれば滑走禁止である場合が大半ではあるが、逆もまた真となり得ない場合がある。
雪が少なく滑走禁止のゲレンデや、駐車場やセンターハウスの扱いを考えれば理解できるであろう。
センターハウス内は殆どの場合滑走禁止であるし(w)また、関係者外立ち入り禁止のエリアもある。
補足:そもそも管理している範囲を禁止、許可とするので、スキー場は管理区域外については禁止も許可も関与しない。

※今回はスキー場⇔それ以外の視点なので、以下は的外れな記述にもなるが、スキー場管理区域外は全て立ち入り禁止ではないのかと言うと、その限りではない。

スキー場視点ではなく、そもそも立ち入り禁止エリアは管理区域外に存在する。
例として、御嶽山の火口周辺や冬季の剱岳北方などの山域など、スキー場が関与しない基準で禁止(許可制)エリアも存在する。
場所、エリアは二次的な要素。禁止か禁止されていないかが重要。(&おまけの雑感)
上記説明をふまえれば、バックカントリースキーは山スキーである。(概ねね。神宮の森を滑るのが山スキーかと言うと疑問が…w)
滑走形態は色々なので、バックカントリー滑走≒山滑走、ゲレンデ滑走と表現するのが好ましいのではないだろうか。
時々見かける表現で「スキー場コース外でバックカントリーして遭難」とか「管理区域外でスキーヤーが身動き取れなくなった」などがある。
意味不明の表現だと思うが、皆さんも目にした事があるのではないだろうか。
この場合、遭難者、スキーヤーにルール違反があったか否かはわからない。
重要なのは禁止行為があった上での事故か、禁止されていなかったが過失により事故に至ったかだ。
また、ゲレンデアクセスでの管理区域外滑走行為の是非も一概に言えない。
冬山登山の装備と経験を備えて自然の山域に進入するも、ゲレンデスキーヤーが丸腰状態で管理区域外を滑走するも、その行為自体は禁止ではなかろう。
装備や経験のあるなしで禁止、許可は出来ようもない。
(長年のペーパードライバー(85歳)が40年ぶりにハンドルを握り、新東名の一部区間を120km/hで走っても、それだけで違法性を問えない。)
しかし、自己責任が求められるエリアであるから、有事の際は装備や経験を問われる事になるだろう。
まとめ
雪上滑走行為に限らず、自身の行動には「許可の要不要⇔許可⇔禁止」の観点と、責任がどこにあるかが重要視されるべきである。
我々登山者はそのことを留意する必要があると考える。
最後に
少々ふざけた表現もあり、真面目に雪上滑走者の安全を訴えるJANに失礼があったかもしれないので、ここにお詫び致します。
また、間違った解説や、私の誤った理解があれば是非皆さんからコメント欄からご指摘を頂きたい。
都度訂正をします。

私自身、滑走者でありJANの提唱には全面的に賛成で、雪上滑走者への理解と安全が高まる事を願い、ノートを認めた。

全ての雪上滑走者が自己の行動に誇りと責任を持っていることと信じている。
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コメント

橋田邦彦博士の「科学する心」を元祖に「○○する」という表現がしばしば使われるようになったと思います。この表現を批判する人は多くあります。私は中学校の国語で「科学する」を学習したおぼろげな記憶があります。理解にはバックグランドが要求されますが悪くない表現と私は感じます。
科学やバックカントリーや岐阜県や神宮の森の知識を要求されますがそれに「する」を付けるのはニュアンス的に良い表現になることもあると思います。
2024/2/12 7:23
いいねいいね
1
Kijo-Ashさんコメントありがとうございます。
言葉は生き物と言われる方も見えるようで、我々も実はそもそもとは異なる言葉を使っている場面もありますね。
あたらしい(そもそもは、あらたし)などが一例でしょうか。

さて、コメントいただいた事に感謝いたしますが、このノートは雪上滑走にまつわる用語の誤用を防ぐ目的で纏めました。
雪上滑走者の多くが「バックカントリーする」との表現を違和感なく、よい表現と受け入れるのならば、私がとやかく言う事ではないのですが、皆さんいかがでしょうか?
私としては本文中にある通り、受け入れがたい違和感を感じております。
2024/2/12 15:53
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