手稲山〜永峰沢-右岸尾根から〜冬期初登ルートはどこ?


- GPS
- 07:58
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,325m
- 下り
- 1,306m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ時々雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
写真
感想
手稲山の永峰沢を登ったという話は、夏にせよ冬にせよ最近はあまり聞かない気がする。しかし、ここは98年前の冬期初登ルート(当時はここに夏道もあったようだ)。「永峰沢に入って左方の尾根を頂上に登った」と、加納一郎や伊藤秀五郎の著書に書かれている。
以前から気になっていた、この永峰沢に行ってみた。右岸沿いに進み、標高370mぐらいから550mの独標に向かって伸びる細い尾根に取りついて、そのまま「タンネウエンシリ」の語源となった南壁の上の長い尾根をたどった。
この尾根は、特に後半は緩く単調たが、何より手稲山の手稲山たる所以の尾根なので、最も手稲山らしいコースとも言えるし、頂上まで、理にかなった明瞭なルートでまっすぐ一直線に登れるのが魅力。想像以上に楽しいコースだった。
下りも、登りのルートからあまり離れなかったために、上部は緩く、下部は尾根上の
木がうるさかったが、オープンバーンも何カ所かあり、もう少し沢の方をルート
を選んで下れば、滑りも楽しめるのではないか。
バスを乗り継いで平和の滝入口まで行き、歩いてすぐの永峰沢にかかる橋のたもとからスキーを履く。そういえば高校の時に、秀岳荘で鍵を借りてこのあたりの永峰小屋というところで追い出しコンパをやったが、あれはどこだったのだろう?今でもあるのかな?
すぐ現れる堰堤は左から越える。沢は埋まっていないが、二万五千図の水線の支流は広いスノーブリッジで渡り、割と広い左岸の川原を沢に沿って登っていく。昨日からの雪で消えかかったシュプールがかすかに残って続いている。
送電線下付近は、一帯の木が立ち枯れている。やがて右岸は尾根が迫って急になるので、いったん支流を渡ってまた戻るが、スノーブリッジも安定しており、水量も少ないので問題はない。
当初の予定通り、標高370mぐらいから550mの独標に向かって登っている細い尾根に取りつく。これは見るからに顕著な尾根で、細い木が密生しているが、傾斜が均一なので末端から真っ直ぐ登ることができ、登りやすい。初登のときの「左方の尾根」とはこれなのか?
しかし、この辺りから雪が深くなり、スネぐらいのラッセルとなる。それほどの深さではないが、結構重い雪。尾根の両側の斜面は結構急。尾根上には、倒木でデコボコのところや急な段差なども出てくるが、大きな問題はない。右(北)側の斜面は次第に緩くなって、快適に滑れそうなところも出てくる。さっきから聞こえていたスキー場の音がうるさくなってくる。
標高650m付近からは尾根幅が広がり、傾斜も相当緩くなる。ここからが長い。写真を撮りながらゆっくり登っているのでバテないが、全然進まない。しかし尾根の右にはキレイなオープンバーンも現れ出し、「帰りはネオパラにしようかな」と考えて始めていたのを、「いや、ここを滑らなくては」と思い直す。
標高780m付近のオープンバーンは、対岸の尾根にテイネハイランド・スキー場のゲレンデがよく見える、絶好のロケーション?
この辺の木は、ダケカンバやシラカバなどカンバの類ばかり。朝から、少し晴れてきたかなと思うと雪が降り出す、ということの繰り返しだったが、この頃から本格的に晴れてくる。
地形図の尾根上に岩記号のある900m付近を巻いて上がると、奥にリフトの終点付近の頂上の端の斜面が見えてくる。そしてスキー場のアナウンスがさらに近く大きく聞こえてくる。右に尾根に並行して走っているリフトのラインが近づいてきたようだ。
余計な摩擦を避けるために、見つからないようなるべく左へ、南壁側を巻くように行く。なんでこんなにコソコソしなければならないんだ?
やがて右にはロープが張られ、それに並行するシュプールが現れる。向こう側はスキー場の“ネイチャー・ゾーン”だか何だかという非圧雪コースらしい。平和の滝から登ってきたらしいツボ足のトレースも現れる。
急斜面を登ると、右の柵の向こうにリフト終点。正面奥には電波鉄塔群。左には何かの碑がある。昔見た気もするがよく憶えていない。
さて、ここからロープウェイ駅の方には出ず、南西側から電波鉄塔群の裏側を通って
手稲山頂を目指すが、結構遠い。鉄塔はいったい幾つあるのだろう?ロケット発射台かロケットのようなのもある。
一番西のHBCの鉄塔の裏を抜け、ようやっと山頂にたどり着く。下から5時間近くもかかってしまった。手稲山頂はたぶん7年ぶり。薄い雲がかかっているが、百松、烏帽子の向こうに札幌、空沼、そして恵庭も微かに見え、迷沢の向こうには定天。ヒクタ峰、白井も見える。
一番よく見えるのはもちろん手稲山西峰。するとカラカラという音が聞こえたと思うと、西峰の方へ滑っていく人の姿が。奥手稲に縦走するのか?と思ったが、そうではあるまい。スキー場のコース外の山頂北面を滑ろうという人間だろう。西峰の方へ行ってみたくなった。
シールを外して、今は動いていないロープウェイの山頂駅まで行き、その脇から山頂北西面の岩場下をトラバースしていく。ここへ来るのは、高校、大学の時に奥手稲から来たとき以来だから、ずいぶん久しぶり。かなり急な斜面のトラバースだが、スキーヤーによるトレースがしっかりついている。西峰への稜線に出ると、頂上の西側を取り巻く岩壁が城砦のようにそそり立っているのが見える。
稜線を行き、南側の緩斜面をひと滑り。トレースは西峰の北側を巻いて進んでいる。北側からは西峰に登れそうなので行ってみようかとも思うが、それはまた今度にする。トレースは西峰の北西の尾根まで続いているだが、西峰の基部から北面への斜面へと滑り込む。新雪のすぐ下に硬いところがあってうまく滑れない。何回か転びながら、右斜め下の北東方向へ、尾根と谷を乗越すように、あまり快適でない滑降を続けていく。
やがて無数のシュプールは右へとトラバースする一本のトレースに収斂される。パラダイスヒュッテではなく、かつてのロープウェイ山麓駅の方へと向かっているようだが、ひたすら真っ直ぐ斜滑降トラバースしていくだけのコース取りででつまらない。最後の方は多少外れて滑ってみるが、結局はほとんどトレースに忠実にハイランドスキー場にたどり着く。
腹が減ったのでスキー場の食堂で蕎麦でも食おうかと思ったが、800円以上もするので肉まん300円にしておく。手早く食って頂上へと向かう。といってもリフトで。頂上へのリフトは3ポイントで1,050円もするというが、すでに3時過ぎだし、仕方がない。ここから軽川方面へ下るわけにもいくまい。
リフト終点からフェンスの裏に回って先ほどのポイントへ。登ってきた尾根が平坦に続いているのが見下ろせる。最初こそ急斜面だが、すぐに緩くなる。全体に緩い斜面が均一に続くのではなく、ほとんど平坦な斜面の間に、時折段差がある感じ。だから地図の等高線以上に緩く感じられる。そこで、登りのシュプールも利用して滑らすために、往路と同じ南側の尾根上近くを行ったが、後から考えれば、もっとスキーヤーズ・レフトの沢筋に近いところを滑った方が良かったかもしれない。
行きに見たゲレンデの対岸の標高780m付近のオープンバーンを滑る。今日一番の快適な滑りだが、すぐにお終い。時間があれば登り返して滑ってもいいが、既に遅いのでトラバースして尾根上に戻る。ちょっと行って、標高700m付近から次のオープンバーンを北へ滑る。ここは二段になっていて先ほどよりはちょっと長いが、すぐに沢底が近づく。ここから沢へ下ってしまおうかとも思うが、それはまだ先にとっておいて再び南東へ長いトラバース。
この辺りから尾根上は細くなり、倒木等で段差もあって滑りにくくなる。尾根の北側の斜面をトラバース気味に斜滑降し、木のないところを北へ少し滑ることを繰り返す。後から考えれば、この辺の開けたところを沢へ下ってしまったほうが面白かったに違いない。しかし、標高460m付近から登りの細い尾根の南側の沢を滑ってみようと思っていたので、再び尾根へ。
尾根上はますます木が密生して滑りにくくなる。南の沢も、行きに滑りやすそうに見えたのは勘違いで、木の根元がぼこぼこなので、結局は尾根上を行き、末端近くなって、ようやく南側へ。しかし、沢底は少し落ち込んでいるので、その上を行き、尾根の末端に達する。
後は、行きのトレースを忠実にたどりつつ、時折ショートカットし、送電線下の枯れ木の森を通り、スノーブリッジを渡り、堰堤を越えて、入山地点の橋のたもとにたどり着いた。振り返ると、今朝は見えなかった手稲山の南東面がはっきり見えた。さらに車道脇を少し滑ってからスキーを脱ぎ、平和の滝入口終点のバス停に既に来ていたバスに待ち時間なしで乗ることができた。
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