鳥海山 至近距離のクマ遭遇で危機一髪 百宅口から秋田県最高地点を通ってピストン登山
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- GPS
- 09:12
- 距離
- 11.8km
- 登り
- 1,495m
- 下り
- 1,487m
コースタイム
- 山行
- 7:26
- 休憩
- 1:46
- 合計
- 9:12
天候 | 晴れ 山頂部はガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
秋田の直根側からの林道は何カ所か穴で車体の底を擦りやすいところがありますが、ゆっくりと走れば普通車で全く問題ありません。山形の日向側からは崩落により長期通行止めになっています。 大清水園地というキャンプ場の駐車場が、登山口の駐車場を兼ねているため、水道やトイレは整備されています。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
百宅口登山口〜屏風岩 なだらかな土の道が中心です。時々木道が現れます。 屏風岩〜唐獅子平〜稜線合流点 石ころ混じりの坂道が多くなりますが、傾斜は特にキツイと言うことはありませんでした。唐獅子平は小高い丘の上の小さな平原になっています。 稜線合流点〜大物忌神社 険しい岩場のアップダウンになります。 大物忌神社〜新山山頂 大きなゴツゴツした岩を登っていきます。滑らないように注意が必要です。 |
その他周辺情報 | 野宅温泉の兵平湯は休館しているので、登山口からかなり走らないと山形市へ向かう方向にはお風呂がありません。酒田市で高速に乗る直前に入浴しました。 |
写真
感想
前回はより一般的な西側の象潟ルートから登りましたが、あいにくの天候でまったく眺望が無かったため、今回の東北遠征ではこの鳥海山を優先して登ることを検討していました。
クマさんの画像はありませんが、まずは危機一髪の状況について書いてみたいと思います。
唐獅子平の小屋の分岐点に到着した際、同行者はトイレということで小屋に向かいました。後で画像を確認するとその時点では特に異常はありません。
私はその分岐点にあるクマのような形をした岩の前にいつものブラウンをかざして撮影しようとしていましたが、ふとタブレットから目を離すと、左側の登山道を上からかなり大きなクマさんが近付いて来ているのが目に入りました。
目に入ったという状況では無く、幅が1mもない狭い茂みの登山道を塞いで足元をノソノソとこちらに向かって来ている状態で、気づいた時点で既に10mをかなり下回っていたと思います。
まずは同行者に小屋に入って隠れるように叫び、自分は後ずさりしながら二度転倒して逃げようとしました。
しかし大きな身体のクマさんはノソノソとゆっくり登山道をこちらへ向かって来ます。どうしようもない状況の中、転倒から立ち上がってクマさんに正対して様子をうかがっていると、自分から登山道横の茂みへ飛び込んでくれました。
この時点で自分はクマさんより下側にいたので、自分だけなら下へダッシュして下山すればいいのですが、同行者は上側の小屋付近にいます。意を決してクマさんが飛び込んだ場所を上へ通り抜けて同行者と合流し、仕方がないのでそのまま頂上へ向かってその場を離れることにしました。
その後は高山植物がきれいな山道をクマさんとの再度の遭遇を気にしながら稜線まで到達し、人がいる状況に安堵を覚えながら山頂に向かいました。
下山をどうしようかと思いましたが、とんでもない奥地に車を駐めている以上、他の登山者が百宅口のルート上にいることを見て、同じルートを下っていきました。
クマさんとの遭遇を避けるためと同行者の気持ちの動揺を抑えるため、タブレットで大きな音を出し、ずっと2人でかけ声を掛けながら登山口まで下山しました。
クマさんから逃れようと転倒したために太ももの筋肉とスネを強打していたので下山も足の痛みに少し苦しみながら進んでいました。
途中で出逢った登山者の方には、その下山姿にちょっと異様な感じを与えてしまったかもしれませんが、この状況なのでお許し頂ければと思います。
実際に5mほどの目前で出逢ったツキノワグマですが、今回の子は、攻撃性もまったく示さず、フーフー言うこともなく、つぶらな目でおっとりとした感じでした。
こちらの方にノソノソと近付いてくるのでさすがに怖かったですが、それはヤラレた場合の状況をこちらが想像するからで、今回に限ってクマさんの実際はとても穏やかで、大きな身体を急に横に向けてピョンと茂みに飛び込んでいきました。
クマの形の岩の撮影に気を取られていたのは事実ですが、出てくるまで音もせず体臭も感じずフーフー言う声やうなり声もせず、突然目の前に現れたように感じました。
私も同行者もクマ鈴を付けていましたし、当然小屋でのトイレやクマの形の岩などの会話などをしていた直後のことで、まったく気づかずの遭遇であったことには、遭遇回避策など役に立たないという脅威を感じました。
今回は、運良く気立ての大人しいクマさんが、まったく興奮していないことが、幸いだったように感じました。クマさん、テリトリーの山中で驚かせてゴメンね。。
このルートを選んだのは途中の唐獅子平の少し上の1757m地点に男女岳山頂よりも高い、秋田県最高地点が途中にあるためでしたが、登山時はクマさん遭遇直後で急いで離れるため、下山時も遭遇箇所が近付いているので様子の確認などに夢中で、そのことは忘れていましたが、通過をしていることは間違いありません。
標高差の大きい厳しいルート、頂上の険しい岩場、唐獅子平付近のきれいな丘陵、見頃の高山植物と本来楽しみどころはたくさんあったのですが、心の中はクマさん一色の山行となりました。
追記
至近距離から見るツキノワグマですが、若かったのか野生にも関わらずとても毛艶がよく、どっしりした肉体の塊感がすごくて、別に攻撃的に威圧されてるわけではないのにすごい圧力を感じました。
でもその表情はとても穏やかで、ラブラドールレトリーバーのようなかわいい顔とまで思いながら逃げていました。
本当に何事もなく済んでよかったです。
コメント
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espritさん、大変な目に会われたようで、まずはご無事で何よりでした。
もし自分だったらまともな対応も取れずもっと大参事になってるだろうな〜と、冷静な対応に感心いたしました。
ニュースでも良く耳にする秋田のクマ、恐ろしいですからね〜
野生のクマとの最接近5m… 何事も無く済んだからこそ言えますが、本当に貴重な体験でしたね!
無事の帰還ができて、本当によかったです! ありがとうございます!!
いやー あまりの近さと迫力に本当に驚きました!
まずは同行者の安全のために、小屋に入るように叫んで、その後は自分の方へ来るクマさんにどう対応するかってところだったんですが、ノソノソとでもどんどん自分の方へ近づいて来るので、一時はこれはダメかと思ってしまって、思わず声が出たんですが、「うぉお〜」みたいな言葉にならない声を出してしまったことです。これが一番の反省です。
そのせいで、同行者は私がクマに食われ始めたかもと思ったらしく、クマが茂みへ飛び込んでくれた少し後には同行者も小屋から分岐点付近まで様子見に来てしまっていたようです。
クマが自分の方に来てくれる分にはいいけど、同行者の方に行ったら、それに対応するのはさらに難しかったと思います。
声を発するのなら相手にわかる言葉で、無事を伝えながらでないといけないと思いました。
自分だけなら最初の位置関係からすると、下り坂ダッシュで逃げることもできたかもしれませんが、同行者の安全を頭に入れながらの対応は本当に厳しかったです。
いろいろ考えさせられる、貴重な体験になりましたね!
peachk4cさんも私も、安全に気をつけて、これからもお山に出かけて行けたらと思います
熊はけっこう身近で私の周りでもみてない人の方が少なくなってきました。もはや登山をする上でいつかは遭遇するという心構えが必要なのかもしれません。espritさんのように何の前触れもなく現れるとも限りませんし。。
黒い薊は見ませんでしたか?。
鳥海山にはチョウカイアザミという鳥海山にしか咲かない薊が咲きます。
いつかは遭遇する・クマ鈴は効果が薄いかもしれない などの心構え、本当に必要かもしれませんねぇ
ただそれにしても、 前触れなく至近距離 ってのは本当に驚きますよ〜 ikajyuさん始め、周囲の皆様は是非経験なさらないことをお勧めいたします
黒い薊!ずっとあちこちに咲いていましたよ。お花に詳しくない私でも薊自体は見ればすぐに分かりますが、なんか色が濃くて黒っぽいなぁ 時期の変化なのかなぁ くらいにしか思っていなかったのですが、鳥海山の固有種だったのですねぇ
ikajyuさんやtomoyaさんのように詳しくないことでそのことに気づかずに当日もっと注目できずに損しちゃいました。
でも教えて頂けて、記憶を濃くすることができてよかったです。ありがとうございます!
レコへのコメントありがとうございます。
遭遇現場の図を見ると、かなりヤバそうでしたね。
自分がとってもラッキーだったと感じます。
とりあえず、無事でなによりでした。
唐獅子平をすっかりテリトリーにしてしまったのでしょうか?
大清水に目撃情報の表示等した方がいいかもしれませんね。
この日自分は、西南側を登りながら、前回の熊さんはどうしてるかな?
なんて考えてました。
帰ってきてからespritさんのコメントをみて、変な話ですが、息災にしてる
安心感を覚えてしまいました。(完全に同じ個体だと思い込んでます)
人と良い距離感を保って長生きして欲しいとさえ思います。
todohLX様、返信ありがとうございます!!
私も、先日のレポを見させて頂いて、同じクマさんがずっと小屋の周囲に住んでいるような感じがしていました。
人間の勝手な思いだとは思うのですが、通りがかった登山者はクマさんを襲う気持ちも実力もないので、お互い平穏にその場をやり過ごし、クマさんが人間を襲うこともなく、クマさんが危険ということで駆除活動が盛り上がるようなこともなく、ずっと息災で長生きして欲しいって思います。
クマさんから写真を撮られた距離で遭遇されたtodohLX様もとてもラッキーでしたし、あの距離で遭遇してしまったのに自らの転倒負傷のみで済んだ上に近距離で野生のクマさんを見れた私も、怖がりでクマさんを見ずに済んだ同行者も、とてもラッキーだったなぁと思います。
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