鹿島槍ヶ岳・黒沢尾根



- GPS
- --:--
- 距離
- 3.8km
- 登り
- 142m
- 下り
- 515m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
2012年1月16日(月)
北安曇地方事務所商工会主催で鹿島槍スキー場の最上部から黒沢尾根の1599mピークを目指すスノーシュハイキングを想定したガイド講習が行われ、ぐるったネットワークの一員としてメンバー5人と共に参加した。
鹿島槍スキー場9:00集合。打ち合わせ後、2つのリフトを乗り継いで第10リフト上部に移動し、スノーシュー,ワカンを装着して10:11出発。左(西)に斜上して1520余mの小ピークと、次の1546mの中間に出る。
一帯はブナの木が優勢であるが、木の葉を落とした木の樹種を特定するには木の肌や形状から判断するしかなく、ここでは木肌を覆う地衣類やなよとした曲線美を見せる樹形,時折枝についている実等からブナと判断(推察)する。
そのブナの木の上にある熊棚を発見するとすかさず『森のくらしの郷・森の支配人』こと,Tomoさんが熊棚について説明を始める。
熊は木の上で手の届く範囲の枝を引き寄せて実を貪り食うが、サルが熟した実から食べるのに対して熊は熟して落ちる前に食べる。それは熟して地上に落ちたものを拾って食べるより効率がいいからであるが、その際,何故か熊は引き寄せた枝を尻に敷くと言うことをよくやる,云々〜。
広葉樹は本来なら葉を落として冬に備えるが、黄葉〜落葉の過程を経る前に折られた枝の葉は老成して落葉することができず、枝についたまま残っているので熊の仕業がよく目立つのである。
落葉は広葉樹が寒い地域に進出するための進化であるが、必ずしもすべての落葉樹が決まったようにうまく落葉できる訳ではなく、時には黄葉する前に雪が来たりしたためにうまく落葉できないことがある。3年ばかり前には、落葉できないで枯葉をつけたままの木が随所で見られたことがあった。
そう言う木は降雪に弱く折れやすい。それは黄葉〜落葉の過程での木の内部の水分等のバランスがうまく調節できず、結果として雪の重みに耐えられないからだと考えられる・・,等々。
こんな風に、その場その場で見られる事物や現象について誰かが疑問を投げかけたり質問を発したりして、それに対してそれぞれ得意分野の者が答える〜,と言う形で知識や経験を交流し、あらゆることに精通して行こうと言うのも講習の重要な中身である。
1546mの小ピークと次の1550余mのピークの間は痩せ尾根で、西側は緩やかであるが東面はガレていて小規模ながら後立山連峰によく見られる非対称山稜を呈しており、ためにこの痩せ尾根の東側には雪庇ができる。そう言う所をチェックしながら北進する。
1550余mのピークにかかる直前仁1ヶ所だけ、カラマツ林の隙間から爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳を望める場所があり、激しく動く雲の合間から一瞬だけ山頂を見ることができたのでザックにしまった一眼を出す。バッテリーが低温で機嫌を損ねるとそれっきりなのでこまめに出し入れするしかない。懐に入れておくと湿るのでザックに入れて衣類で包んでおくのが一番いいようだ。尤もこの日は気温が高かったのでTomoさんは首からぶら下げていたが大丈夫だったようだ。
この1550余mのピークを避けて左を巻くこともできるが、登り切って少し下った所から妙高,火打,焼山等,北信の山々を望むことができるのでピークを踏んでから次の鞍部に下る方がよい。期待通り北信の山々を撮ることができた。
1550余mのピークからは左に折れてカラマツ林を北北西に20m程下り、鞍部から1590余mのピークまで60m弱を登り切ると、左(西)に5分ほどで目的地の1599mのピークに達する(11:56着)。
珍しく風がなく気温も高め(-3℃くらいか)の穏やかなハイキング日和であるが、爺ヶ岳は見えているのに鹿島槍は貌を見せない。こんな風に爺ヶ岳は見えても鹿島槍は見えないと言うことがしばしばある。わずかな距離を隔てているだけだが、両者間には明確な気象の違いがあるようだ。
思い思いに弁当を食べ、12:50発,帰途に就く。帰りはスノーシューを楽しむ意味で各自新雪を踏んで自由に降りる。スノーシューは登りではつま先がめり込むようになっているが、後ろ側は面に固定されているので若干不利だ等と言いながら、そんなことは関係なく皆下るのが早い。
自分はスノーシューが嫌いなのでワカン一本であるが、紐がなくて代用したシュリンゲがやや太すぎてきつく縛ってもすぐに緩んでしまい、左足のワカンの前の縁と靴先の間が開いてしまうので思うようにコントロールできず四苦八苦して遅れを取った。
ワカンの紐縛り方も色々あるようだが、自分はワカンの下から通した紐に靴先をかけ、後ろ側は踵の後ろで交差させて足首の前で縛るだけの単純な縛り方なのでワカンの面と靴の面が開いており、足首の自由度が高いので登りの時にも靴底を水平に保って登ることができるが、緩んでくると下りの際に靴先は上がっても雪に埋もれたワカンの先端がすぐには戻って来なくなり、躓きの原因になった。右足のワカンは紐が細めで一度も緩むことがなかったことから、縛り方(方法)の問題ではなかったと言える。
下りの時はワカンと靴の面が一致していて、ワカンごと垂直に踏みしめて雪を崩しながら下る方がいいのかもしれない。現に後が長いスノーシューでさえそれをやっているのだから柔らかい雪の時はそうなのだろう・・。
1546mピークの先、出発点の第10リフト上の手前から、南に延びる尾根上のスキーコースとその右下の沢との中間を沢に入り込まないよう注意しながらダウンヒルで下り、1400m辺りで一旦林道に出て東に移動。1つ東隣りの尾根に飛び込んでまっすぐ下る。
『この沢の付近には必ずカモシカがいる』とTomoさんが言ったその数分後にTomoさんがカモシカを発見。距離は40〜50m。
レンズを250mmに替えて取り敢えず数枚撮ってからゆっくり近づく。Tomoさんの『だるまさんが転んだみたいに〜』の助言通りに、時折辺りを警戒するかのように周囲を見回すその隙にツツッと歩を詰める。
うまい具合に中間に2本の木があり、その影を利用して半分ほどの距離にまで近づくことができた。カモシカはじっとこちらを見たまま動く気配がないが、それ以上近づくのは気の毒な気がして30m程でやめる。この間10分。
そこから1200m付近まで一気に下り、林道下部から第3リフトの上に出て東京芸大山岳部の黒沢ヒュッテ横を通り、15:15,ゲレンデ末端に着き終了となる。
講習は1月30日に行われるスノーシューハイキングのための実地訓練で、本番当日は25名のハイカーを迎えて同じコースを歩く予定となっている。
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