生月島自然歩道と番岳☆辺境の絶景を求めて
- GPS
- 02:01
- 距離
- 4.6km
- 登り
- 353m
- 下り
- 382m
コースタイム
- 山行
- 2:19
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 2:32
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
生月島自然歩道は良好に整理された遊歩道 番岳は前半、放牧地は登山道は繁茂する草の中に埋もれている。牧草地が終わり樹林帯になると木製の階段が山頂まで続く |
写真
感想
1)生月島自然歩道
この前日は長崎のすぐ沖合を台風17号が通過したため、平戸のホテルで缶詰状態だったのだが、台風による風雨はようやく収まったようだ。平戸島の北西の島、生月島を訪れる。この島の北端の灯台から北西部の塩俵断崖まで遊歩道が整備されており、日本の道100選にも選ばれたところらしい。塩俵断崖の駐車場に車を停めるとタクシーで灯台まで運んでもらう。
灯台は階段で上まで登ることが出来るが、かなりの強風が吹いている。高台にある灯台の上からは地層により縞模様を呈する荒々しい断崖が目に入る。島の中央で綺麗な円錐形を見えせているのは番岳である。
遊歩道は海岸沿いなので平坦な道を行くのか思いきや、小さなアップダウンが続いている。最初のピークを越えると道には牛の糞が落ちていることに気がつく。まもなくその理由を合点することになった。道の東側には放牧地が広がり始める。牧草地には肉付きの良さそうな真っ黒な牛が放牧されている。黒毛和牛であることは一目瞭然だ。牛達を近くで眺められることを期待したが、道は再び鬱蒼とした常緑広葉樹林の登り坂へと入ってゆく。遊歩道は昨日の台風のせいだろう、かなりの数の小枝が散乱している。幸い道を塞ぐような倒木はない。
突然、樹高の低い林からアラカシと思われる樹高の高い壮麗な林に変わる。薄暗い林の中を進むとまもなく右手に「砲台跡」と記された道標がある。薄い踏み跡を辿ってみると円形の砲台が現れた。かつては大きな大砲を載せていたであろう砲台は今はすっかり樹々が生い茂っている。
ピークを下ると遊歩道は石畳の道へとかわる。遊歩道には石塁が延々と続いている。樹林の向こうは断崖となっているので、牛達が迷い込まないように積み上げられたものらしい。このあたり一帯はかつてはクジラの群れが通過するのを見張るための山でもあったらしく、旦那山と呼ばれる山であったことが遊歩道脇の案内板に記されている、
やがて下りに差し掛かると広々とした草地に出て、断崖が続く海岸線の壮大な光景が広がる。草原があるのはオロノクチと呼ばれるところだ。かつては放牧地であったらしい。今はキャンプ場となっているらしく、小さな炊事棟とトイレがある。草原の先に見える柱状節理の迫力のある断崖が塩俵断崖だろう。断崖が見せる荒々しさと放牧地の草原の長閑さが対照的なコントラストを見せる。
トイレや自炊棟があるあたりからは小さな入江に下ることが出来る。入江の両側の断崖は黒々とした柱状節理が規則的な模様を見せている。海岸には流れ着いた多数のゴミが散乱している。発泡スチロールの残骸が目立つが、荒波によって粉砕されたのだろう。波によって丸くなった小さな石の間には発泡スチロールによる無数の小さな白い粒が見られる。
樹林の中を歩いて塩俵断崖の上を越えると車を停めた駐車場が見えてくる。駐車場にはバスが到着し、ハイキング・スタイルの大勢の人がバスから次々と降りているところであった。この自然歩道を歩くツアーのようだ。この自然歩道は縦走するとタクシーを使わない限り、元の地点に戻るかあるいは車道を歩いて車を回収する必要があるので、こうしたツアーが便利なのかもしれない。
大勢のハイカー達が通り過ぎると断崖の景色には静寂が戻る。海岸の先を見上げると先ほど灯台からは彼方に見えた番岳が近くなり、斜面の緑色の草地が明瞭に見える。
2)番岳
生月島のしばらく西海岸沿いに走るが、番岳の西側の斜面を登ってゆく細い林道へと入る。林道は舗装はされてはいるものの、車一台が通れるかどうかという幅である。昨夜、通り過ぎたばかりの台風のせいだろう、道路上には木の枝が多く散乱しており、しばし車から降りては枝を除去して進む。
番岳から北に伸びる尾根を越えるところに駐車場とトイレがある。トイレの便器は驚くほど綺麗だが水は流れなかった。
駐車場のすぐ西側から牧草地の中へと入ってゆく踏み跡があるものの、踏み跡は繁茂する草に覆われ、まもなく不明瞭となる。しかし微かな痕跡を辿りながら斜面を登って行くと、足元の草に隠れた木があるので、道が正しいことを確信する。草地には野菊を始め、数多くの
背後を振り返ると先ほど歩いてきた塩俵断崖から島の先端部までの眺望が目に入る。牧草地の緩やかな斜面を登って行くと左手に東屋が現れる。おそらくかつては歩きやすい道がこの牧草地の中に整備されていたのだろう。
牧草地を上部では再び足元の草地の中に木の階段が現れる。階段を辿ってゆくと鉄の柵が現れ、その間を通過できるようになっていた。放牧された牛が迷い込まないために設けられた柵であろう。
柵の先は広葉樹林であるが、登山道には階段が整備されており、これまでの牧草地の藪漕ぎから突然、歩きやすくなる。山頂直下に鳥居が現れる。階段を登り詰めると南から北まで展望が広がる。西側は樹林が茂っており眺望が効かないが、番岳の山名の由来を考えるとおそらくかつては全方向に眺望が開けていたのだろう。番岳というのは五島列島にも多数、同名の山があるが見張り台がおかれていたことに由来する。
再び見晴らしの良い牧草地を歩いていると空には青空が徐々に広がってゆく。するとそれまで鈍色を見せていた海がみるみるうちに群青色へと変わってゆく。
駐車場に戻ると靴下には夥しい数のひっつき虫が付いているのに気がつく。キンミズヒキの果実だ。靴下がウールだったのでとりにくいことこの上ない。
下山後は平戸の漁業協会の食堂で、いかが水揚げされていればよかったのだが前日に台風が通過した後では食べられる魚は限られている。しかし、それでも刺身一皿に盛られたカジキ、ヒラス(ヒラマサ)、イサキ、サワラ、鯛はいずれも美味であった。
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