温見川支流杉ヶ谷三ノ又(左俣)〜白谷
- GPS
- 05:12
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 686m
- 下り
- 673m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
温見(ぬくみ)に来るのは実に10年ぶり。
温見には、大昔には大きな集落があって、山間は多くの人で賑わっていたそうだ。通常は谷間を進むと険しい地形となってしまうことから、そこで生業を営むにはそうとうの苦労が必要となる。しかし温見は豊かな地形を持つ谷間の平地だったこと、そして高度な生活様式をもっていた平家の落人の隠棲(伝説)もあって、人々の生活は豊かで格式を伴っていたそうだ。
奥美濃を愛した柴村文治氏は、著書「秘境・奥美濃の山旅」において、「スイスの山村のような明るい谷間」と形容したが、いまではそんな面影はまったく見られない。とは言え、温見と聞くだけで"奥美濃ハンター"の食指は動き出すに違いない。それほどこの地には、山域独特の歴史的魅力と神秘性がいまも秘められている。
福井県大野市から国道157号線を真名川ダムに向かい、雲川ダムを過ぎる頃、左手眼下に見える谷が熊河(くまのこ)川となる。地図でみてもわかる通り、この雲川ダムの先で谷は二分し、温見川は左に分ける。がしかし、国道を走るドライバーにはそれがわかににくい、地形的トリックとなっている。
温見に入る地蔵峠(旧熊河と温見を分ける峠)を越えて、左に見える谷が先ほどの温見川だ。たぶん多くのドライバーは、雲川ダムから先は、すべて温見川と思っているに違いない。そんな不思議な地形も、この辺りを徘徊する際の楽しみのひとつ。
杉ヶ谷は初遡行。目指すスギクラを辿るにはこの杉ヶ谷左俣である三ノ又を選ぶのがいちばんいい。ちなみに三ノ又は「サンノマタ」ではなく、「ミノマタ」と呼ぶ。
奥美濃周辺では、三ノ又と呼ばれる谷はけっこう多いが、どれも谷が複数に分流していることからそう呼ばれるようになった。鳩ヶ湯のある打波川にも「ミノマタ」があるが、こちらは後の測量で聞き間違いされたようで、「美濃又」と表されているので厄介なところだ。
視界も良くて空も青く澄んではいたが、足下の流れが早々に消えてしまったことが心残りだった。そのため沢水の音は消えたものの、この後の悪天候を予感させるかのような強風が頭上に吹き巻いて、まるで大滝のような、轟々とした唸りが全山を覆っていた。
単独行ではほとんど休まない。食い物は雨蓋に小分けし、地図を見る時に取り出して口にほおばる。ちなみにザックは下ろさないで、雨蓋から取り出すのがオレ流。しかし今日は空が晴れ渡って気持ちが良かったこともあって、スギクラの三角点に到着すると、どっかりと腰を下ろして一本立てることにした。
下降は温見川の本流ともなる白谷を選んだ。白谷は遡行の面白さには欠ける谷だが、大きな谷に抱かれての谷歩きはなかなかどうして楽しいものがある。
白谷を歩いている時に、左足がどうも落ち着き無いのでふと見ると、ソールごと踵(かかと)が剥がれて危うい状態に。3年間に5回の貼り替えに耐えたこの沢靴も、とうとうお役御免のようである。その後は被害が大きくならないよう、足先に体重を移動して歩く羽目になった。
下山後に国道の草刈りをしている人に聞いたところ、大型車通行止めのこの国(酷)道に、岐阜から大型車が入ってきて、峠を下りた福井側で脱輪、道を塞いでしまっていると聞いた。こんな狭い道、救助のレッカーも走りたくないだろうに、困ったものである。
(参考)
「フェルトの張り替え」はオレのサイトでどうぞ。http://j.mp/LfJneF
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