金剛山(百ヶ辻〜寺谷〜頂上広場〜久留野峠〜百ヶ辻)
- GPS
- 05:18
- 距離
- 8.9km
- 登り
- 652m
- 下り
- 652m
コースタイム
【ダイトレを歩く人のためのサイトを立ち上げました!】
●ダイトレ Solo Walking Guide http://kupi-fw.com/wp/daitore/
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9:00 百ヶ辻
9:23 寺谷ルート取り付き
10:49 ロープウェイ・文殊岩分岐
11:00 回数捺印所
11:05 頂上広場(昼食)12:00
12:50 ダイトレ・念仏坂分岐
13:29 久留野峠
14:00 百ヶ辻
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険な箇所はありません。 |
写真
感想
寺谷ルートの谷筋でV字型に切り取られた真っ青な空を見た
【プロローグ】
先週の二上山で熱中症になりかけ、ほうほうのていで退散してきた俺は、次の山行きをどこにしようか、天気予報とにらめっこしながらあれやこれやと悩んでいた。
前日、激しい雨と雷があり、自分の家からそう遠くない長居公園でも2名の方が落雷により亡くなっておられた。
(もし、逃げ場の無い山の中で落雷に遭ってしまったら・・・)
想像するだけでとてつもなく恐ろしい。
雷雲は、いつ、どこに、どのような形でやって来るのか、正直、分からない。正直、分からないのだが、なんとなくこの時期の雷は午前中には来ないような気がする。
(2時ぐらいまでに下山していれば、何とかなるんじゃないか・・・)という事である。
行き先は金剛山だ。登りは寺谷ルート。自分のレコにコメントを頂き、いつかは歩いてみよう、と思っていたルートである。
9時前にロープウェイ前駐車場に到着、既に車で満杯だ。空いていた一区画に素早く駐車し、百ヶ辻入口より念仏坂をゆっくりと登っていく。
【寺谷ルート】
いつも不思議に思うのが山と高原の地図のルート掲載基準である。自分の持っている地図は最新だと思うのだが、金剛山における主要ルートの中にこの「寺谷ルート」は記載されていない。事情を知らない者は、地図に載っていないことによって、このルートは立ち入ってはいけないとても危険な道であると考えてしまう。実際、俺もネットなどで事前に調べていなければ、決して立ち入ることは無かったであろう。
しかし、実際は全く違う。危険な箇所は皆無である。危ないと思われるところには、過剰とも思えるほどの整備がなされており、ある箇所などは高速道路における登坂車線のごとく、谷筋道に平行してもう一本、階段が設えてあった。
俺は余り階段が好きではないのでそこでは谷筋道を歩いたのであるが、特に危険だと感じるようなところは無かった。
(ここを複線化する必要が本当にあるのだろうか・・・)
その階段を設置する目的が正直よく分からなかった。(あるとすれば増水時にその谷筋道が水に埋まって通れなくなるということだろう)
もちろん、この道を整備されている方々には敬意を払いたい。有償、無償にかかわらず(多分無償であろう)、その作業は並大抵のものではない。登山中の事故はすべて自己責任であるにもかかわらず、整備されている方々は、我々が怪我ひとつ無く金剛山を歩けるよう、そうやって影で努力されているのだ。
念仏坂入口に戻ろう。百ヶ辻より舗装道路を登っていくと、左手に文殊尾根への取り付きが見える。下山してくる方々が何名かおられたが、ここから登っていく人は何故かいない。
さらに歩いていくと水場に出る。寺谷ルートの取り付きだ。殆どの人がここから登っていく。俺も皆に混じってここから登り始める。
取り付き後、すぐに現れる板の階段が前日の雨で濡れている。滑らないように注意しながら一歩一歩確実に登っていく。
ほどなくして文殊東尾根ルートとの分岐にでる。ハードルートと呼ばれる文殊東尾根ルートは、前回、間違って下山してしまったルートだ。ズルズルと滑るようにして降りて来たら、この分岐地点に着いたのだ。
寺谷ルートはこの分岐を右に曲がる。傍には看板のようなものが落ちているが、何が書かれているのか、読み取ることはできなかった。ここから気持ちの良い谷筋が続く。
下界では既に真夏の太陽がジリジリとアスファルトの路面を焼き尽くしている事であろう。木々に覆われた谷筋はひんやりとした冷気に包まれ、焼けるような暑さは全く感じない。
もちろん、汗はかく。運動しているので体内の熱を発散すべく、大量の汗をかく。
しかし、その汗は気持ちの良い汗だ。あえて言えばジトッとした汗ではなく、サラッとした汗という事になろうか。
次から次へとハイカーが登ってくる。俺の場合、写真を撮ったり、メモを取ったりしながら登っているので、後からくるハイカーには、できるだけ道を譲るようにしている。かなりの人に抜かされたと思うが、俺が抜かした人は一人もいない。
たくさんのハイカーを見ると、このルートが皆にいかに愛されているのかが分かる。老若男女、すべての人々を受け入れる懐の深いルートなのだ。
谷筋にかかる階段の下から上を見上げると、V字谷に切り取られた真っ青な空が見えた。無言でシャッターを切る。寺谷の真実が四角いフレームの中に収められた。
谷筋を上り詰めていくと、数人のハイカーがベンチに座って休憩しているのが見える。気持ちの良かった谷筋ルートもここで終わりだ。ここからは杉林の中の急斜面をグイグイと登っていく。
途中、小さな分岐がいくつかあるがあまり気にすることは無いだろう。最終的には頂上手前で合流する。
なによりも杉林の中は見通しがよいので、別の分岐を行った方たちの姿もよく見える。その方たちを見ながら歩いていけば、迷うことはない。
木々を通してコンクリートの構造物のようなものが見えたらゴールはすぐそこだ。最後の登りを登ると、ロープウェイと文殊岩の分岐標識のすぐ横に出てくる。
【頂上広場】
前回、金剛登山回数カードを購入したので、さっそく印をもらいに山頂広場方面に向う。丁度その時、回数捺印所の近くで、よく見た人達に出合う、といってもネット上で拝見させて頂いていただけで、実際に会ったことは無い。その方は「ザ・金剛登山」というブログを開設されているキバラーさんだ。俺の中のミーハー的感情がムクムクと湧き上がり、挨拶させて頂こうと思ったのだが、向こうは俺のことなど全く知らない。お仲間の方たちと談笑しておられたようなので、俺もその場から静かに立ち去った。
頂上広場のベンチに座り、大阪側を見下ろしながら、ワシワシと昼飯を食う。
前日の雨のおかげかモヤもなく、大阪湾を越えて六甲山のあたりまで、すっきりとした眺めが広がっている。青空の中に浮かぶ真っ白い雲は、まるでジブリのアニメに出てくる風景のようだ。
一時間ほどその場所に座って眼下の景色をボンヤリと眺めていた。
さあ、そろそろ行くか
【久留野峠ルート】
舗装された周回道路を歩き、ダイトレを久留野峠方面に向う。念仏坂分岐を左に入ると、ここからは再び山道だ。
少し行くと長い登りの丸太階段が現れる。飯を食って元気が出たのか、この階段は快調に登っていく。
久留野峠までの登りは、実質、この階段だけと言っていいだろう。多少の上下はあるものの、後はなだらかな尾根道をゆっくりと歩いていく感じだ。
地蔵峠に佇むキュート過ぎるお地蔵さんに下山の無事をお祈りし、久留野峠に向う。
久留野峠手前にはちょっとしたピークがある。正式なダイトレルートはこのピークを踏んでいく。前回、ここを歩いたときはしっかりとこのピークを踏んだのだが、今回は手前から巻き道に入る。ガレた急斜面を注意深く降りていくと久留野峠である。
ここから中葛城山への急な階段を登り、千早峠経由で五条林道から下山することも考えたのだが、2時までには駐車場へ戻りたかったので、ここは右に折れて久留野峠ルートを下山した。
膝丈程の笹が茂る道をほんの少しだけ歩くと、セメントで固められた舗装道路に出る。後はこのセメント道を歩いていくだけだ。舗装道路の上に落ちている石ころを踏むとズルズルと滑ってしまうので、踏まないように気をつけながら、急な坂道を下っていくと、ロープウェイ乗り場のすぐ下の駐車場のところに出た。
ロープウェイに乗車した観光客に混じりながら、百ヶ辻の駐車場まで歩いていく。
この辺りから雨粒がポツリポツリと落ちてくる。ザバッと一雨きそうな雰囲気だ。
慌てて車迄戻る。時刻は丁度2時だった。
【エピローグ】
下界に下りるにしたがって雨の気配はなくなっていき、自宅に着く頃には、相変わらずの厳しい日差しだった。
(雨の心配は杞憂だったか・・・)
そう思ってフッと見上げた視界の先、生駒、金剛の山並みが真っ黒な雲に覆われていた。
(ウーム・・・)
山に残っておられる方の無事を祈った。
安全を祈願して整備を続ける方々、その作業に敬意を払いながら登っていく登山者、谷筋と青い空のコントラスト、透き通る川の水、小気味よい杉斜面の登り、登山者たちの笑顔・・・
人々に愛される寺谷ルートの真実を見つけたような気がした。
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