記録ID: 32310
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ハイキング
栗駒・早池峰
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)19・驚愕のリアス式<中編>
2006年08月12日(土) 〜
2006年08月14日(月)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 82.4km
- 登り
- 1,472m
- 下り
- 1,475m
コースタイム
8/12 大石〜三陸〜小石
8/13 小石〜大船渡〜碁石岬
8/14 碁石岬〜陸前高田〜大理石海岸
8/13 小石〜大船渡〜碁石岬
8/14 碁石岬〜陸前高田〜大理石海岸
過去天気図(気象庁) | 2006年08月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
8/12 急な坂道を登り返して大石の漁村を後にする。ホタテを貰ったから言うのじゃないが、良い所だったと思う。リアス式の複雑怪奇な海岸線は、こんな慎ましやかな雰囲気を保ったままの小さな、静かな村を、その懐にいくつでも隠し持っているのであろう。三陸海岸の秘密をちょっとだけ垣間見た気がする。 誰もいない峠道を越えて半島の南側へと抜ける。この激しい峠の登り降りは、三陸海岸のお約束みたやうなもんだということがだいぶ分かってきた。地図からではその激しさは容易には想像できない。分かってはいても慣れるものではないな。出来れば全ての半島をつぶさに歩いて廻りたいものだが、そんな事をしていたらあっという間に一年ぐらいたってしまいさうだ。 吉浜からは国道45号を使って峠を越える。トンネルがあると峠越えはずいぶん楽になる。羅生トンネルは比較的新しいトンネルと見えてちゃんと歩道がついており、怖い目に合わずにすむ。 三陸町からは、二匹目のどぜうを狙って、R9号線に入って見る。昨日の行程に比べればわりと穏やかな道である。小石浜という漁港で野営。大石から小石浜へ。語呂も仲々良い。しかし、この小石浜という港は小さいながらも近代的な設備を擁している。入江を利用した港ではあるが、地形を無視して四角くコンクリートで囲ったやうな作りである。港の隅っこの方には記念碑的なものが建っていて、「港の建設の為の予算を県からぶんどってくるの結構大変だったんだぜ?」というやうな縁起が書かれていた。 8/13 9号線を辿って大船渡を目指す。綾里の町を過ぎるとわりと地形が嶮しくなってくる。途中、チャリで旅行している若者とすれ違った。こんな所を攻めるとは仲々の物好きだな。見ていると急な坂道にも負けずに、ガシガシと登っていく。よく日に焼けており躍動感に満ちあふれている。ああいうのを見てると、やはり日本一周はチャリでやるのが一番楽しいんじゃないだろうかって思えてくる。てきとーに機動力はあるし達成感もありそうだ。砂浜を辿ったり登山道からひと山越えたりってことは出来ないけど。坂道を越えて下り坂に入るとあっという間に見えなくなってしまった。畜生、快適そうだぜ。 蛸の浦というのどやかな地名の町まで来ると、出し抜けに大船渡湾の展望が開ける。大小の船が行き交い、色とりどりのブイが所狭しと並んでいる。活気に溢れ、楽しい気分になる風景。海沿いの道をホクホクと歩いていくと湾の突き当たりで太平洋セメントの巨大な工場に出くわす。様々なパイプが絡み合うやうにして伸びており、一見無秩序に見える。僕は採石工場とかコンビナートみたいなゴチャゴチャした施設の写真を撮ったりするのもわりと好きだったりする。岡本太郎曰く、「現代を受け入れながら、本質的に跳ね返していく力」こそ、創造の本質なんだそうで。芸術は爆発だぜ。 この工場のすぐ脇から橋を渡ると大船渡の駅への近道である。ところがこの橋が大々的に工事中で車両通行止めになっている。おいおい、勘弁してくれよ。ここを渡れないとなると相当な遠回りをしなければならない。一応橋まで行ってみると、徒歩なら渡れるとのことであった。 そろそろ寝床を探しながら歩く。港の灯りを眺めながら、波止場でお酒でも飲んでみたら、都会のブルースを感じられるかも知れない、とも思ったが、あまりにも狭っ苦しいな、ここは。碁石海岸というところまで行ってみることにする。 大船渡の町を抜けると再び地味な田舎道になる。道端におかしな看板を発見。「スピードの出し過ぎはこの吉右衛門が許しませんぞ。」などと書いてある。青地に白いペンキの手書きの看板である。ちゃんと乾かさなかったと見えて、ペンキがだらしなく滴ってしまっている。歩いていくと、この手書きの看板の様々なバージョンが次々と出てくる。「飲酒運転は許しませんぞ。」とか、そういう奴。お武家さんみたいなおっさんの絵も描いてある。この人が吉右衛門であろうか?多分、大船渡ゆかりの人物なんだろう。「変な看板趣味」に冒されている人達が見たら悶絶しそうな代物である。(この人物が「吉右衛門」であったかどうか、記憶が定かではない。「歌衛門」だったかもしれない。) 碁石岬は観光地と見えて何件か旅館が並んでいる。「天然温泉」をうたっている宿も見受けたが、今回の所はパスしておく。あまり湯量が豊富なやうにも見えなかったので。小さな砂浜にしつらえられた舟着き場からはくゎんこう船も出ているやうだ。岬の灯台の下におよろすい感じの四阿を見つけて野営。近くにはちゃんとしたキャンプ場もあるので、こんな所で野宿なんてされちゃ迷惑なのかもしれないが、キャンプ場ってとこには何故か泊まってみようと云う気になれんのだよなあ。 8/14 門之浜湾を経て広田湾へ、陸前高田を目指す。広田崎の方をまわっても楽しそうだったが、全部の半島を究める訳にもゆくまい。陸前高田は今回行ってみて初めて知ったのだが、すごく人気のある海水浴場のやうだ。だだっ広い松原を抜けていくと、砂浜は人でごった返している。随所に設えられたスピーカーからは大音量でFM放送が流れてくる。多分、このスピーカーは非常時に津波警報なんかを流す為に設置してあるんだろうが、もったいないからラジヲも流してるってことだろうか。海の家の片隅から聞こえるともなく甲子園中継が流れてくるって位なら風情もあるが、こうもわぁわぁうるさいとがっかりする。地元の放送局とみえて、まさに、陸前高田の海岸に取材に来ているようだった。なんでも今夜は花火大会なんだそうで。 一応記念にと思って、かき氷を買って、人目につかないところでこそこそ食べてみた。えらく氷が荒くて、ガリガリ君を器に盛ったやうな代物だった。まあ、記憶には残ってるので目的は達っせられたと言えなくもない。 極度に場違いなのでそそくさと砂浜をあとにする。広田湾を西へと回り込んで、大理石海岸手前の、荒谷前という所の小さい海岸で野営。夕方、テントを設営した時には気付かなかったが、夜になると大量の“フナムシ的な虫”が何処からともなく湧いてきて往生した。焚火の光に誘われてくるのか、所構わずピョンピョンと飛び跳ねて、ナベや食器の中に踊り込んでくる。困ったやつらだ。海岸で寝ているとよく見掛けるが、なんて名前なんだらう。焚火の火に飛び込んでしまった奴は、エビ見たいな美味しそうな色に焼かれて死んでしまうが、食べてみようというガッツは何処からも湧いてこなかった。 陸前高田の花火大会がここからでも見えるかと期待していたが、半島の影になっていて見えなかった。ドロロン、ドロロンと低い音がここまで響いてくる。盛大にやっているやうだ。そんなのを尻目に敢えて静かな場所で独りでいるってのも、風情だと言えなくもない。変なムシさえいなければな。 |
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