鳳凰三山強行日帰り
- GPS
- 10:58
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 2,122m
- 下り
- 2,143m
コースタイム
- 山行
- 9:08
- 休憩
- 1:51
- 合計
- 10:59
AKU
天候 | 晴れ/雷雨/晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ドンドコ沢コース:険しい道で下りは難儀しそう。最初の渡渉点と最初の滝、鳳凰小屋手前の涸れ沢では一瞬、行く手に迷ったものの、ピンクテープなどが豊富で道迷いの恐れは少ない。 ・中道コース:ひたすら樹林帯を下る長く単調な道。こちらはこちらで登りに使いたくない |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25000地形図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
非常食
緊急保温シート
着替え
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
GPS
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感想
産業医にメタボ対策で促されて登山を始め、はや足かけ20年。還暦を過ぎると何でもないのに膝が痛んだりして、無理が効くうち”日帰り登降2000m”に挑戦しようと思い立った。鳳凰三山をターゲットに日の長い梅雨の中休みに・・・のつもりが早々と梅雨が明けてしまったが、計画通り金曜の夕刻、山梨県へ車を走らせた。道の駅にらさきで仮眠し、4時起きで青木鉱泉へ。早寝したかったが、猛暑で車の窓を開けてもなかなか寝付けないのが誤算だった。
青木鉱泉への林道がいきなりダート区間なのには驚いたが、すぐに舗装路に戻り、既に多数の車が並ぶ鉱泉駐車場に到着。駐車料金を払い、出発する。天気は快晴で今日も猛暑日予想。標高1100mから歩くなら暑くはなかろうと踏んだのは甘かった。砂防ダム付近の陽だまりでじっとりと汗が吹く。樹林帯に入ってホッとしたが、すぐに急登が始まって汗が止まらない。
支沢の渡渉で「え、右岸に渡るの?」とちょっと逡巡。ドンドコ沢がこんな細流の筈はないと思い至り、ひと跨ぎに渡る。1時間ほど歩いて今度は滝の音が近づき、休憩するハイカーが見えた。水は少ないがそこそこ落差のある滝が見下ろせる。「何滝だろう?」と見物のつもりで近づいたが、トレランが一人右岸に渡って岩壁を登って行った。ヤマレコアプリでこちらがルートと確認し、岩に取りついた。確かに険しいルートだ。
汗を絞られながら登っていくと、南精進ヶ滝の指導標があった。滝の音がして木々の向こうに雄大な落水が覗く。岩場を登って左へへつると全容が見渡せた。戻ってもう一段岩をよじると、今度は中段の滝壺が見える見晴らし。こちらが本来の滝見台なのだろう。
滝はまだまだ続く。次は鳳凰の滝だが、体力温存のためショートカットを選択。滝のコースと合流した先の大岩で登山者が何人も休んていた。
白糸の滝分岐ではそこから滝が透かし見える。先行者はここで写真を撮って良しとしたが、当方は少しだけ下ってもう少しよく見える所まで頑張った。
最後が五色の滝で、落差はこれまでで一番ではないか。ただ、こちらも遠くから望むだけで失礼した。
コメツガの林が開けて道が沢と合流すると、はるか見上げた先に雲間からオベリスクが浮かび出た。ピンクテープを頼りに沢伝いに進み、やがて再び右手の林に入る。しばらく進むと後でトイレと知った建物がまず見えて、こじんまりした鳳凰小屋に着いた。
小屋の女性に「日帰りですか」「最後の水場てすよ」と声を掛けられた。ありがたく給水させていただくつもりで、急登の負荷を軽減するため水は少なめの1.5Lしか携行していない。早めだがここで昼食とした。寒くないのでカップ麺はやめてお握り2個とコンビーフで済ます。
小屋からしばらく歩くと前方が明るくなった。林相がダケカンバに一変し、何より足元が白っぽい砂に変わっている。そのダケカンバもすぐになくなって、むき出しの砂地になった。目線を上げれば立派なオベリスクが目と鼻の先のように見える。
が、名にし負う地蔵の砂地獄はここからが本番だった。踏めばズブリと靴が潜り、勾配も一段と増す。夏の日差しが照りつけ、空気だって平地の四分の三しかない(実測750hpa程度)。
前後の登山者ともども歩いては止まりを繰り返し、やっとの思いで地蔵ケ岳山頂オベリスクの下に辿り着いた。先ほど軽やかに抜いて行った男女4人のトレランが、その岩から降りて来る。聞くと、てっぺんの二枚岩はとても登れないとのこと。別の登山者が、以前あった残置ロープが撤去されたので無理だと教えてくれた。
リュックを置いて少し登ってみた。中段に古い小さな石の祠と、少し離れて新しい地蔵像がある。その上は多少険しくなるが、下り方を確認しながら二枚岩へ接近し、下界を見下ろした。賽の河原までは見通せるが、雲が多くて南アは望むべくもなく残念だ。
さて、もう十分歩いた気もするが、今日はこれからが長い。賽の河原のたくさんの地蔵を見て、赤抜沢ノ頭へ登り返す。右手、西の方に南ア主稜らしき山体が見えるが、上部は雲に隠れて判然としない。行く手の観音ヶ岳もガスに見え隠れしているが、一度もったいないほど下らねばならない。最低鞍部から登る稜線は地蔵ヶ岳同様、風化した花崗岩らしい白っぽい砂利が目立つ。
鳳凰小屋からのショートカットを合わせる付近も、地蔵山頂に似た砂地獄だった。息が続かず、コイワカガミなどの高山植物に心を和ませながら若い登山者たちに道を譲りつつの道中となる。そこへゴロッと腹に響く不吉な音。西丹沢で驚かされた演習場の砲声などではなく、正真正銘の雷鳴だ。
まずいことになったが、進むより仕方ない。時々遠くから音が聞こえるだけなので、差し迫った危険はないだろう。重くなり始めた脚に鞭打つようにして観音ヶ岳に到着すると、間もなくポツリと雨粒が落ち始めた。小休止して先を急ぐ。相変わらず北アの燕岳あたりを思わせる白い砂の上に、ほぼフラットな尾根道が続くのがありがたい。
12時半を回り、いよいよ雨が無視できない降りになってきた。ザックにカバーをかけ、取り急ぎレインの下をはいて傘を取り出す。この気温でレインの上は着たくないので、風がない場合は傘を差すに限る。下り基調の尾根を急いで13時前に最後の薬師ヶ岳に到着した。ここもミニオベリスク状の岩が目立つ広々した山頂だ。
雨は強弱を繰り返しており、ここからは下りなのでレインの上を羽織ってみる。「青木鉱泉」と書かれた道へ向かうと、ほどなくコメツガかシラビソの林の中に入った。結局、暑くなったのでまずはレインの上を脱ぎ、続いて傘を畳んでリュックの外ポケットに差し込んだ。雨は弱まってきたが完全にはやまず、遠雷も思い出したように轟いている。
珍しく登ってくる人がいた。同世代の2人組で、見るとお一人はレンジャーの腕章を付けている。休憩がてら稜線の雷雨の様子や甲府の温泉の話などについて、情報交換させてもらった。薬師ヶ岳の小屋に泊まるとのこと。
御座岩に着き、レインの下も脱いだ。雨は上がって、いくらか明るくなってきたようだが、足が疲れてきた。その後も道は一向に乾かず、むしろ土が余計湿り気を帯びてきている。どうやら稜線よりこちらの方が本降りの雨に遭ったらしい。濡れた木の根は非常に滑りやすく、分かっていながら何度も足を取られた。
雨装備の出し入れをするうちにどんどん追い抜かれ、登りの二人以外ずっと人影を見ていなかったが、林道出合いの手前で若者二人に追いついた。急な下り勾配が緩み、休憩していた二人を追い抜く。林道の先はがぜん暗い森となり、足元も湿って一層滑りやすくなった。前方に見覚えのあるウェアの男性が見え、勾配の加減で見えなくなった際にザザッとスリップの音が聞こえた。
ほどなく追いついて声を掛ける。地蔵から抜いたり抜かれたりを繰り返してきた八王子の人で、けがは無かったようだが「もう足が限界です」と嘆いた。ネットで見て10時間の日帰りコースのつもりで訪れたが、「どうもトレランの人の記録だったみたい」とのこと。あと250mくらい下れば林道だと励ますと、「まだそんなに・・・」と絶句していた。
こちらも本音は同様で、いい加減飽きてきた。延々と続く山腹のジグザグ道を下り、薬師から3時間かけてようやく林道に降り立つ。ついて来た件の男性に「あとは林道歩きだけですよ」と声を掛けた。林の中に「大昭和」の文字が見える廃墟がある。大昭和製紙関係の保養所跡だろうか。
さて、その林道歩きも決して短くはない。途中、沢を渡渉して青木鉱泉へショートカットできる道があり、目印の赤ペンキの木も見つけたが、雨の後の増水を考えてそのまま林道を行くことにした。沢を渡る橋の手前で足音がして、男性が追いついてきた。きつかったこの山の話などで盛り上がり、最後は気持ちよく駐車場へゴールすることができた。
※GPSロガーが不調で青木鉱泉5:35スタートから13分間ログがなく、その後も大きくルートを外れて白糸の滝手前付近で正常化。このため、南精進ノ滝までは自動入力、そこから8時3分までのルートは手入力による。ルート外に自動配置された前半の写真が狂ったログの残骸。
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