ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 796727
全員に公開
ハイキング
関東

青ヶ島 カルデラだけで出来た島

2016年01月09日(土) 〜 2016年01月11日(月)
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
15:07
距離
31.5km
登り
1,351m
下り
1,364m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
2:34
休憩
4:28
合計
7:02
9:56
0
民宿杉の沢
9:56
11:47
0
周辺散策
11:47
13:14
24
民宿杉の沢
13:38
14:38
34
15:12
15:22
96
16:58
民宿杉の沢
2日目
山行
6:31
休憩
1:48
合計
8:19
8:24
76
民宿杉の沢
9:40
9:40
115
大千代港への降り口
11:35
11:51
22
12:13
12:15
6
12:21
12:23
15
12:38
13:32
25
丸山
13:57
14:31
6
14:37
14:37
126
16:43
民宿杉の沢
3日目
山行
0:14
休憩
0:00
合計
0:14
8:52
14
民宿杉の沢
天候 曇り時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2016年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
飛行機
島へのアクセスは八丈島からのヘリと船のみ。船は高波の影響で就航率が悪く、ヘリは満席になることが多いため、ヘリの便を予約してから来島することを強く推奨。(特に復路)

ヘリへの手荷物持ち込みは5kgまで。それ以上は超過料金が必要で、ある程度以上の荷物は持ち込み不可の模様。ちなみに、搭乗手続き時にみんなの前で体重を申告させられる。

島内にはタクシー、バスなどの交通機関は無い。レンタカー会社が一社のみ存在。
コース状況/
危険箇所等
大里神社・東台所神社の参道は丸石で作られた急な階段で、滑りやすく危険。特に下りは相当な注意が必要で、岩場だと思って手をつきながら降りても良いほど。東台所神社へは尾山展望公園から往復できるので、そちらからのルートを強く推奨。

地形図に載っている大人凸部への登山道入り口には気づかなかった。いずれにせよ通る人が少なく、かなりの藪こぎになることが予想される。

カルデラ内部の池之沢から三宝港へはトンネルが通じている。山を越える旧道は通れる状態ではなかった。また、三宝港から島の西側経由で集落に向かう道も、途中の崩壊が激しく歩きでも通行不可とのこと。

島の交通量は少ないがゼロではなく、また道が狭いので、事故に対する注意は必要。
その他周辺情報 カルデラ内にキャンプ場があるが、ヘリ搭乗時の重量制限が厳しくまた燃料を持ち込めないことから、キャンプする場合は船による往復にならざるを得ないと思われる。水場もない(滞在中に川や沢、池など天然の真水を一切見なかった。)ので、かなりハードルが高い。

カルデラの底、丸山の麓にサウナがある。利用料は300円だった。
ヘリで青ヶ島へ。
2016年01月09日 09:41撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 9:41
ヘリで青ヶ島へ。
青ヶ島ヘリポート。
2016年01月09日 09:44撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 9:44
青ヶ島ヘリポート。
お世話になった民宿杉の沢。
2016年01月09日 10:15撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 10:15
お世話になった民宿杉の沢。
島で唯一の信号機。子供たちへの教育のために設置したとか。
2016年01月09日 10:21撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 10:21
島で唯一の信号機。子供たちへの教育のために設置したとか。
名主屋敷跡。
2016年01月09日 10:33撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 10:33
名主屋敷跡。
これが「ヘゴ」かな?
2016年01月09日 10:35撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/9 10:35
これが「ヘゴ」かな?
大里神社鳥居。
2016年01月09日 10:56撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 10:56
大里神社鳥居。
神社から参道を見下ろしたところ。かなりの急勾配。
2016年01月09日 11:06撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 11:06
神社から参道を見下ろしたところ。かなりの急勾配。
図書館。
2016年01月09日 11:29撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 11:29
図書館。
村役場。
2016年01月09日 11:30撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 11:30
村役場。
郵便局。
2016年01月09日 13:16撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 13:16
郵便局。
大凸部(おおとんぶ)へ。
2016年01月09日 13:17撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 13:17
大凸部(おおとんぶ)へ。
2016年01月09日 13:36撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 13:36
2016年01月09日 11:43撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/9 11:43
山頂はこんな感じ。
2016年01月09日 13:39撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 13:39
山頂はこんな感じ。
大凸部からの眺め。島全体を一望できる。
2016年01月09日 13:39撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/9 13:39
大凸部からの眺め。島全体を一望できる。
三角点。
2016年01月09日 13:39撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 13:39
三角点。
大凸部からの景色、パノラマ合成。
2016年01月09日 13:42撮影
2
1/9 13:42
大凸部からの景色、パノラマ合成。
さらに、全天球画像。360度パノラマをクリックすると、ぐりぐりと動かせます。
2016年01月09日 14:15撮影 by  RICOH THETA S , RICOH
1/9 14:15
さらに、全天球画像。360度パノラマをクリックすると、ぐりぐりと動かせます。
中の膨らんでいるところが丸山。
2016年01月09日 13:54撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/9 13:54
中の膨らんでいるところが丸山。
2016年01月09日 13:43撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 13:43
この道、かなり難工事だったと思う。
2016年01月09日 13:43撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 13:43
この道、かなり難工事だったと思う。
なんだこれ、巨人の足跡か。
2016年01月09日 13:43撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
6
1/9 13:43
なんだこれ、巨人の足跡か。
東台所神社参道。かなり急。
2016年01月09日 14:57撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/9 14:57
東台所神社参道。かなり急。
尾山展望公園。
2016年01月09日 15:11撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 15:11
尾山展望公園。
もちろん展望できるが、大凸部からの眺めのほうが良い。
2016年01月09日 15:12撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/9 15:12
もちろん展望できるが、大凸部からの眺めのほうが良い。
山がモルタルのようなもので固められている?
2016年01月09日 15:29撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 15:29
山がモルタルのようなもので固められている?
と思ったら、水を集めているらしい。島なので水の確保も一苦労。
2016年01月09日 15:31撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/9 15:31
と思ったら、水を集めているらしい。島なので水の確保も一苦労。
帰路に向かう。
2016年01月09日 15:54撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 15:54
帰路に向かう。
最後に八丈島と八丈小島が見えた。
2016年01月09日 16:13撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/9 16:13
最後に八丈島と八丈小島が見えた。
テレビは、港とヘリポートの様子をライブで映している。交通機関の運行が、島の生活に大きな影響を与えるからなんだろうな。
2016年01月09日 17:09撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/9 17:09
テレビは、港とヘリポートの様子をライブで映している。交通機関の運行が、島の生活に大きな影響を与えるからなんだろうな。
2日目。今日は火口の中へ。
2016年01月10日 09:02撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 9:02
2日目。今日は火口の中へ。
火口の様子。ここを下りる前に、
2016年01月10日 09:18撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/10 9:18
火口の様子。ここを下りる前に、
かつての大千代港方面へ。
2016年01月10日 09:26撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 9:26
かつての大千代港方面へ。
2016年01月10日 09:34撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 9:34
下る。
2016年01月10日 09:35撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/10 9:35
下る。
ここまでが限界。
2016年01月10日 09:43撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/10 9:43
ここまでが限界。
大千代港が見えた。この崖を上り下りする積もりだったとか、信じられん。
2016年01月10日 09:50撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/10 9:50
大千代港が見えた。この崖を上り下りする積もりだったとか、信じられん。
今度こそ火口へ。左は平成流し坂トンネル。今回はこれを使わずに右の山腹の道へ。
2016年01月10日 10:15撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 10:15
今度こそ火口へ。左は平成流し坂トンネル。今回はこれを使わずに右の山腹の道へ。
地形図にはこの崖を直登するような登山道が描かれているが、ちょっと信じがたい。今は痕跡を見つけられなかった。
2016年01月10日 10:17撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/10 10:17
地形図にはこの崖を直登するような登山道が描かれているが、ちょっと信じがたい。今は痕跡を見つけられなかった。
セメント工場がある。
2016年01月10日 10:33撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 10:33
セメント工場がある。
道はそれなりに整備されている。
2016年01月10日 10:37撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 10:37
道はそれなりに整備されている。
この山腹の道を下りてきたことになる。
2016年01月10日 10:46撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 10:46
この山腹の道を下りてきたことになる。
2016年01月10日 10:47撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/10 10:47
丸山を下から。かつて大勢の犠牲を出した大噴火の溶岩を模して椿を植えたため、このような形になったという。でもみんなプリンを連想するよね。
2016年01月10日 10:54撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
4
1/10 10:54
丸山を下から。かつて大勢の犠牲を出した大噴火の溶岩を模して椿を植えたため、このような形になったという。でもみんなプリンを連想するよね。
2016年01月10日 11:05撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/10 11:05
2016年01月10日 11:09撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/10 11:09
妙な形の岩がある。
2016年01月10日 11:10撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/10 11:10
妙な形の岩がある。
港に向かう旧道は廃道になり通行不可。
2016年01月10日 11:19撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:19
港に向かう旧道は廃道になり通行不可。
青宝トンネル。
2016年01月10日 11:15撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:15
青宝トンネル。
トンネルを抜けると、
2016年01月10日 11:28撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/10 11:28
トンネルを抜けると、
海!トンネル出口の景色ランキングがもしあったら、世界でもトップクラスに入りそうな、素晴らしい眺め。
2016年01月10日 11:33撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
3
1/10 11:33
海!トンネル出口の景色ランキングがもしあったら、世界でもトップクラスに入りそうな、素晴らしい眺め。
三宝港。
2016年01月10日 11:34撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/10 11:34
三宝港。
海は荒れているので、普段はこのケーブルを使って船を陸へと上げておく。運が良ければ、空飛ぶ船が見られるそう。
2016年01月10日 11:39撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:39
海は荒れているので、普段はこのケーブルを使って船を陸へと上げておく。運が良ければ、空飛ぶ船が見られるそう。
すさまじい法面工事。ここまでやらなければならないほど、険しい地形。
2016年01月10日 11:40撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/10 11:40
すさまじい法面工事。ここまでやらなければならないほど、険しい地形。
港の待合室。後から知ったが、屋上に温泉があるらしい。
2016年01月10日 11:43撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:43
港の待合室。後から知ったが、屋上に温泉があるらしい。
このフックで船をつり上げる。
2016年01月10日 11:45撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:45
このフックで船をつり上げる。
ここに接岸するらしい。昨日テレビに映っていたところだ。
2016年01月10日 11:47撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:47
ここに接岸するらしい。昨日テレビに映っていたところだ。
あの映像は、このカメラで撮っていたと思われる。
2016年01月10日 11:47撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:47
あの映像は、このカメラで撮っていたと思われる。
トンネルの港側入口。
2016年01月10日 11:51撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 11:51
トンネルの港側入口。
2016年01月10日 12:06撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:06
2016年01月10日 12:08撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:08
キャンプ場。水場はないので、自力で確保するか集落で入手する必要有り。
2016年01月10日 12:14撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:14
キャンプ場。水場はないので、自力で確保するか集落で入手する必要有り。
地熱を利用したサウナ施設。
2016年01月10日 12:20撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:20
地熱を利用したサウナ施設。
地熱釜。
2016年01月10日 12:24撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/10 12:24
地熱釜。
地熱釜の隣で寝ていた猫。暖かくて気持ちよさそう。
2016年01月10日 12:20撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
2
1/10 12:20
地熱釜の隣で寝ていた猫。暖かくて気持ちよさそう。
そこら中から湯気が出ている。
2016年01月10日 12:24撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:24
そこら中から湯気が出ている。
いよいよ島の中心、丸山へ。
2016年01月10日 12:31撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:31
いよいよ島の中心、丸山へ。
丸山の火口は、お鉢巡り可能。
2016年01月10日 12:32撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:32
丸山の火口は、お鉢巡り可能。
奥の出っ張りが富士塚。
2016年01月10日 12:41撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/10 12:41
奥の出っ張りが富士塚。
丸山からはこんな眺め。
2016年01月10日 12:41撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:41
丸山からはこんな眺め。
これも全天球画像。360度パノラマをクリック。
2016年01月10日 13:27撮影 by  RICOH THETA S , RICOH
1/10 13:27
これも全天球画像。360度パノラマをクリック。
どちらを向いても外輪山。
2016年01月10日 12:56撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 12:56
どちらを向いても外輪山。
お鉢巡りの道。
2016年01月10日 13:36撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 13:36
お鉢巡りの道。
2016年01月10日 14:48撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 14:48
かつての島庁跡。
2016年01月10日 14:49撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 14:49
かつての島庁跡。
島庁の横にはブランコがあったようだ。
2016年01月10日 14:49撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 14:49
島庁の横にはブランコがあったようだ。
2016年01月10日 14:57撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/10 14:57
日が沈むので、見納め。
2016年01月10日 15:59撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1/10 15:59
日が沈むので、見納め。
おまけ:八丈島で寄った汐間海岸。滝が海に落ちている。
2016年01月11日 13:40撮影 by  DMC-GM1, Panasonic
1
1/11 13:40
おまけ:八丈島で寄った汐間海岸。滝が海に落ちている。

感想

前回は、八丈島から青ヶ島に向かうヘリがまさかの故障。そのため八丈島の山を登ったが、やはりどうしても青ヶ島にも行きたいということで、この3連休に再訪した。往路のヘリがなかなか空かなかったが、数日前にキャンセルが出た隙に予約できた。

ヘリは島の北部に西側から進入。今までに見たことのない形の島だ。島の周囲は絶壁で、集落は標高2〜300mあたりに位置している。その奥が外輪山で、さらに奥にある標高100m程度の火口を取り囲んでいる。ヘリポートは海岸のかなり近くにあるが、標高が高いのでヘリを降りても潮の香りを全く感じない。これまでに訪れたことのある他の島とはかなり様子が異なるようだ。

青ヶ島は天明の頃の大噴火で多くの犠牲者を出し、残った島民は八丈島に避難した。そこから帰還までの経緯はWikipediaの環住の項
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%84%E4%BD%8F
に詳しい。この環住というキーワードは青ヶ島住民の支えであるらしく、定期便の船に「環住丸」という名前が付けられていたほどだ。(現在は代替わりして「あおがしま丸」)なぜそこまでして島に戻りたかったかと言えば、この恵まれた環境があるからだ。特にカルデラの中は外輪山に囲まれていて、風が穏やかで塩害も無い。噴火でできた地層は栄養が豊富で、農作物がよく育つ。八丈島が飢饉に陥ったときには、逆に青ヶ島に移住してくる人もいたという。ただ、この島では水を大量に確保できないので、稲作には向かないようだ。

一日目は、島の最高峰である大凸部(おおとんぶ)へ。集落から高々150m程度の高度差なので、すぐに到着。目の前に広がる景色に、絶句してしまう。ただの火口なら他にも数多くあるが、このように海に浮かび島全体が一つのカルデラになっているというのは、世界にいくつあるのだろうか。しかもここの面白いところは、カルデラの中にも普通に道が作られていて、建物があり、畑が耕され、工場が動いていて生活の基盤となっていることだ。なによりも、火口なのに全面が植物に覆われている。江戸時代の大噴火からよくこれだけ成長したものだと思う。とにかくいろいろなことがミスマッチで、不思議な気分になってくる。

この日は昼食時間などの関係で、大凸部と集落近辺の神社などの散策で終わった。宿泊したのは民宿杉の沢で、ここは宿の別棟に居酒屋が建てられていて、食事などはそちらでいただくことになる。島の魚はやはりおいしい。寒気が降りてきていて気温はかなり低かったが、炬燵があり暖かかった。

二日目、いよいよカルデラの中を歩くが、まずは大千代の港へ。三宝港がしばしば接岸不能になるため、その代替として造られたそうだ。島の両側に港を造れば、どちらから風が吹いても片方は使えるだろうという発想だろうか。しかし、港はともかく、そこに下りる道が問題だった。なにしろ相当に急な崖なので、道を通しても短期間で崩れてしまい、結果的に大千代港はほとんど使われなかったそうだ。

その道を、行けるところまで行ってみた。車道は途中までで、その下は階段になっている。この風景はすさまじい。階段も途中からは廃道になり完全に通行不可だが、たとえ通じていてもこの階段を上り下りするのはかなり大変ではないだろうか。それとも、後で車道を通す計画があったのだろうか。地形を見る限りそれも無理に思う。いずれにせよ、どうしてここに港を造ろうと思ったのか。いくら何でも無茶すぎる。

なお地形図によれば、この道の途中から大人ヶ凸部(おおにんとんぶ)への登山道が描かれているが、気づかなかった。横の崖にはしごが掛けられているところが一カ所あったが、あれを登れば良いのだろうか。いずれにせよ道標などは全くない。また、大里神社横から火口に直接下りる道もあるはずだが、痕跡は全くなかった。そのため火口へは車道で下りるしかない模様。

この道は途中からトンネルと山腹を這う道に分岐している。後者は現在通行止めだが、人だけは通れる。確かに落石や木の枝が散らばっていて、車が通れる状況ではなかった。

火口の底は緑が豊富で、八丈富士の火口に似ている。時々、農作業関連の車が通過していく。ビニールハウスでの栽培が多いようだ。おそらく集水に使われている青いブルーシートが、上から見ると目立って景観を損ねているように思うのだが、この島はあまり観光に熱心ではないようでそのままになっている。これだけの自然がありながらもったいないとは感じるが、これはこれで良いような気もしてくる。そういった生活感も含めて面白がれば良いだけの話だ。第一観光客が殺到しても、交通や宿のキャパシティーに限度があるので、あまり宣伝しても意味が無いだろう。

丸山に登る前にその西側をぐるっと回って、三宝港へ。かつての山越えルートはやはり廃道で、通れそうになかった。そのため歩行者もトンネルを使う必要がある。この500mのトンネルは島の外輪山を貫いていて、港とカルデラ内を急傾斜で直接結んでいる。島の西側の、港と集落を結ぶもう一つの道は、崩壊のため復旧の見通しが立っていない。結果的に、集落から港へ向かうには、まず外輪山の上を東に向かい、そこからトンネルで火口に下り、丸山の周囲を回って南西側に行き、さらにトンネルで外輪山の下を通過するしかなくなった。これが島の生命線だから、かなりの綱渡り状態である。もし山が再噴火したらこのラインは使えそうにない。避難はヘリポートから大型ヘリでのピストン輸送しかなさそうだ。

ナトリウムランプに照らされたトンネルを抜けると、青空が広がる港に出た。日曜日ということで定期便はなく、完全に無人だった。ここはテレビなどで時々紹介されるように、港が狭く波も激しいので普段は船が陸揚げされている。その際に船が上から吊られて空を移動する風景が面白いのだが、当然今日は何も動きはない。さすがにこの場所は潮の香りに満ちていて島らしい。強風でしかも寒いので、しばらくの滞在後またトンネルを上り返した。

次は島の中心部、丸山に登る。天明の大噴火時に噴火でできた小山である。山頂の富士塚の隣に展望台があり、周囲の景色を眺められる。ここから、お鉢巡りで丸山を一周できる。つまり丸山自体がカルデラであり、周囲の外輪山と合わせて二重カルデラを形成しているわけだ。さらにこの青ヶ島自体が巨大な海底火山の外輪山であるというから、不思議なものだと思う。

丸山を下山し、地熱を利用したサウナ施設を利用する。別に硫黄臭いということもなく、普通のサウナだ。そういえば、この島では硫黄のにおいを全く感じない。そういう火山もあるということなのだろう。

これで、思い残すことはない。朝、集落から出発して外輪山を下り、旧港と現港を見てカルデラとお鉢を一周し、サウナにも入ってまた外輪山を登り宿に帰った。これだけの全過程を徒歩で行動しても、まだ時間に余裕はあった。やはりコンパクトな島だなあと思う。レンタカーを借りたり、あるいは歩きが速い人ならば一泊でも十分かもしれない。しかし訪問が難しい島なので、二泊は見ておきたいところ。

そういうわけで、なかなかに濃密な二泊三日の旅だった。実は、八丈島でマラソン大会が開かれていたからか東京行きの飛行機が予約できず、八丈島でさらに一泊することになった。そのため前回行けなかった場所を訪問できて、これで八丈島にも思い残すことはない。しかし、また何年か経ったら再訪したくなるだろうと思う。そのとき2つの島はどう変わっているのだろうか。あるいは変わらず今の生活が続いているのだろうか。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:2356人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら