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中学まで稲沢市で過ごした自分にとって「裸祭り」の日は
学校が休みになる、祭りの露店が楽しみ、という記憶しかない。
何せ野蛮な祭りである。ふんどし姿の男達が「神男（しんおとこ）」
という一人の素っ裸の男に触ろうとしてもみ合いへちあいを繰り広げるのである。
全国に似たような祭りは沢山あると思うが、特に国府宮裸祭りは規模、
荒々しさなどにおいて群を抜いているらしい。
2月のまだ寒い時期にこの祭りは行われる。この日、地元の学校は休みになる。「裸男には絶対近づかないように！」
と担任の教師から必ず言われた。
街はこの日ばかりは裸男衆に対して寛容な気がした。
多少の無礼なら許される様な。道端で酔いつぶれて倒れている者。
裸男同士で喧嘩して血だらけの者、
見物人に絡んでいる者・・など裸男に対して良い思い出は一つもない。
「自分はこの祭りに参加することは一生無いであろう。」
子供心にそう思ったのである。
そんな祭りに今年は裸男として初めて参加した。
地元の「顔」であるＵさんに頼まれてしまい断れなかったからである。
朝から「宿」となるＩさん宅に集まる。午前中から酒が出され、すき焼き、
寿司等のご馳走攻め。女衆は裏方に廻りこの日だけは裸男たちが主役だ。
昼頃になり、各自風呂に入り身を清める。
さらしを巻きつけ褌姿になる。さらしは「これでもか！」という位きつく
巻きつける。身が引き締まるようだ。
各部落から短冊を付けた笹を担いで国府宮神社を目指す。
途中途中で他部落からの集団と合流し100人位の集団になる。
最終的には１万人の裸男が集まる。
見物人には「なおいぎれ」と呼ばれる厄落としのきれを配る。
夕方、祭りはクライマックスになる。「神男」の登場である。
裸男にとってその名の通り「神」である。
「神男」に触るという事は１年間の厄を落とせるという事もあるが、
地元人にとっては非常に名誉な事である。
自分も「神男」に4ｍ位まで近づいたがそれ以上は無理だった。
巻かれる水も熱気で蒸気に変わる。
気を抜くと転んでしまう。転ぶと踏みつけられて大けがになる。
熱気で酸欠状態になりそうだ。
やがて「神男」が神殿に引き摺り込まれる。
「あがった〜！」裸男達が叫ぶ。祭りの終焉である。
近くの男達と抱き合い握手をする。
自分もどこでぶつけたのか痣だらけだった。
再びＩさん宅でお風呂と夕食を戴き帰宅したのは夜中だった。
裸祭りが終わると、この地方にも春が来ると言われている。
aoikasaさんこんにちは
以前、名古屋に住んでいたとき、何度か見に行きましたが、外野からは一度も神男が見えませんでした。
愛知県地方は、住んでみないと分からない、こういうお祭りやいろんなしきたりがあって、意外におもいました。裸男は、僕のようなよそ者が参戦したいと言っても地域のつながりが無ければできないもの。観光化していない、神聖なものだなあと、思ったものです。でも、ご近所さんから「なおいぎれ」の切れ端を頂きましたよ。
yoneyamaさん、こんばんは。コメントありがとう
ございます。
確かに参道からは神男は見えませんね。
私も裸祭りは何十回か観に行きましたが、神男をを見たのは今回が初めてでした。
確かに地元人なければ参加しにくいという面もありますね。要領もわかりませんし・・。
さらしと白足袋さえあれば、車中で着替えて個人参加も出来ますが・・中々そんな訳にもいかないですね。
「なおいぎれ」はこの地方に住んでいるとどこからか手に入りますね。
伝統行事ですから大事に守って行きたいと思いました。
国府宮神社公式ＨＰ⇒http://www.konomiya.or.jp/
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